パワーユニットの電動化や各種自動化デバイスの実用化など、自動車をとりまく環境は大きく変わろうとしています。その流れで大排気量エンジンの後輪駆動車を操るというピュアなクルマの楽しみ方ができるモデルが減りつつありますが、まだその灯が消えたわけではありません。今回は10年ぶりにフルモデルチェンジしたフォードの元祖スペシャリティカーでありマッスルカーでもある新型マスタング(FORD Mustang)を解説。概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
フォード マスタングとは
マスタングはフォードのスポーティカーです。ボディサイズは全長:4,810mm×全幅:1,980mm×全高:1,404mm(ミラー折り畳み時) と、国産車では近いモデルがありませんが、サイズとしてはレクサスLCに近いサイズです。
初代モデルは1964年、フォードの乗用車ベースに開発されたスポーティカーとしてデビューしました。スポーティでバランスのよいシルエットや手ごろな価格、自由に選択できる装備などからたちまち人気モデルとなり、スペシャリティカーやポニーカーと呼ばれるジャンルを開拓したほか多くのフォロワーを生み出しました。一方、キャロル・シェルビーにチューニングを依頼したGT350やMach1などをはじめ現在まで一貫してハイパフォーマンスモデルを設定しているマッスルカーとしての一面もあります。その後も市場のニーズに応えて進化を続けて米国内外問わず長年大きな支持を得ています。
そのなかで転機となったのが、2004年にデビューした5代目モデルです。比較的に曲線を多用した従来モデルから一変、逆スラントしたフロントセクションをはじめ、初期モデルをトリビュートしたようなデザインを採用しつつ最新のテクノロジーを融合したネオレトロなコンセプトは大きく話題になりました。その結果、5代目以降も基本的にこのコンセプトを継承しています。2013年にデビューした6代目モデルは、自動車業界のトレンドに合わせてダウンサイジングした直列4気筒EcoBoostユニットの採用のほか、2019年には電動化の流れを受け、マスタング初のBEVでSUVモデルとなる「マスタング MACH-E」が新モデルとして追加しました。
現在販売されているのは2023年にフルモデルチェンジし、MACH-Eとは別に内燃機関専用モデルとして開発されました。メーカーは「競合他社が内燃機関車の事業から撤退および電動化シフトをするなか、新型マスタングへの投資は大きな決断であった」とコメントしています。欧州市場では2024年より販売開始されており、ボディタイプは従来モデルに同じくファストバックとコンバーチブルがラインナップされています。加えてファストバックにはフォードの専門チームが3年以上の歳月を掛けて開発した新世代ハイパフォーマンス仕様の「DarkHorse」が新たに加わりました。
さらに、DarkHorseを上回る最強の激辛仕様となる「マスタングGTD」が今後リリース予定とアナウンスされています。最高出力800PS以上でサーキット走行に特化しつつ公道走行も可能なこのモデルは、ニュルブルクリンクで7分を切るタイムを目指して開発されていると言われています。
日本市場にはフォードがインポーター事業から撤退したため、正規導入されておりません。
ココがスゴイ!フォード マスタング
フォード マスタングを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- ファストバックとコンバーチブルをラインナップ
- ピュアな走りを楽しめるV8ユニットに一本化
- 新世代ハイパフォーマンス仕様のDarkHorseを設定
- ハイパフォーマンス仕様でもATが選択可能
- 最強仕様のマスタングGTDが今後リリース予定
スタイリングとインテリア
- ひと目でマスタングと分かるデザインを継承
- DarkHorseには専用エクステリアアイテムが装備
- 戦闘機からインスピレーションを得たインテリア
- 従来モデルからデジタル面が大幅にアップデート
エクステリアで目を引くのは、やはり時代を超越したデザインではないでしょうか。1960年代のオリジナルデザインをモチーフにしたグリル上部のデザインをはじめ、ロングノーズから滑らかに続くルーフラインを通して短いリアオーバーハングに繋がるシルエットや、リアの3本ラインのテールライトなど、ひと目でマスタングと分かるものに仕上がっています。新たにエクステリアミラーにはマスタングロゴを路面に投影するウェルカムライティングを採用しており、近づくオーナーを歓迎します。
コンバーチブルは、裏地の全面に断熱素材を採用し、美しいラインを損なわず快適性が向上したファブリックルーフを装備しました。ルーフはシングルハンドルのラッチをワンタッチ操作で開閉可能で、思い立ったらすぐに抜群の開放感を得ることが可能です。
DarkHorse仕様にはダウンフォースを生み出し、空力性能を向上させる固定式のリアウイングをはじめ、ブラックアウトされたLEDヘッドライトやフロントグリル、牙のような造形を取り入れたフロントバンパー、レースにインスパイアされたリアディフューザーなど、ハイパフォーマンスモデルとしての凄みを感じさせる専用アイテムが装備されます。
インテリアのポイントのひとつは、ドライバーを中心に湾曲した大きなスクリーンなどデジタル面の大幅なアップデートです。アナログメーターを排して全車標準装備となった14.2インチデジタルインストルメントパネルとシームレスに配置された大画面の13.2インチタッチスクリーンはドライバーが必要とする情報を素早く表示できるほか、それぞれが連携することで、近未来的な没入型デジタルエクスペリエンスを提供します。メーカーはこれらを戦闘機からインスピレーションを得ているとコメントしています。シートはスポーツ走行でもホールド性の高いシートが装備されるほか、仕様によりRECAROのスポーツシートも選択可能です。
DarkHorseにはシートベルトや専用シフトノブをはじめ、シートやインテリア各所のステッチにイメージカラーのインディゴブルーが使われます。
インフォテイメントシステムは従来よりも処理速度が向上した最新のFORD SYNC4システムを採用し、オーディオには12スピーカーとサブウーファーを備えたB&Oサウンドシステムも仕様により選択可能です。
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ガソリンのみ設定です。
- ガソリン
5.0L V8自然吸気 Ti-VCT 446PS(328kw)/540Nm
5.0L V8自然吸気 Ti-VCT 453PS(334kw)/540Nm(DarkHorse専用)
設定されるのはV型8気筒 5.0L自然吸気のコヨーテユニットにGT向けの446PS仕様と、DarkHorse専用にチューニングが施された453PS仕様の2種類が設定されています。一方、従来モデルにあった直列4気筒EcoBoostは欧州市場には設定されておりません。これはマスタングならではの趣向性の高さから敢えてV8に一本化されたと予想されます。最近のダウンサイジングユニットとは一線を画す、低回転から豊富な低速トルクとパワフルさを両方味わえるのは多気筒大排気量ならではの魅力です。燃費性能は446PS仕様の欧州複合で8.2km/Lです。
駆動方式はFRで、トランスミッションは6速MTには2種類あり、GTのゲドラグ製とDarkHorseにはサーキット走行に適したTREMEC製の専用トランスミッションが組み合わされます。2ペダルのATは10速に多段化されたものが新採用されており、DarkHorseでも選択ができるのがポイントです。
走行性能とハンドリング
サスペンションはフロント:マクファーソンストラット、リア:マルチリンクを採用してます。従来モデルと同じ組み合わせですが、マウント部分などが強化されたほか、ダンパーおよびスプリングもアップデートされています。ブレーキはオプションでブレンボ製レッド塗装のブレーキキャリパーも選べるほか、新型ではサーキットで楽しむ際にテールスライドをコントロールしやすくする新設計の電子式ドリフトハンドブレーキを装備しています。
そのほか運転支援機能として、ストップアンドゴー機能付きインテリジェント・アダプティブクルーズコントロールや車線センタリングアシストをはじめする各種機能が設定されています。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,810×1,980×1,404 mm(ミラー折り畳み時)
【ホイールベース】2,717mm 【トレッド】前/後:- / -mm
【車両重量】 -kg
●エンジン
【構成】水冷V型8気筒自然吸気 DOHC32V フロント縦置き
【総排気量】5,038cc 【直径×内径】 -×-mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】446ps(328kw)/-rpm 【最大トルク】540Nm/-rpm
【燃料容量】-L
●駆動系
【駆動方式】FR 【トランスミッション】10AT
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)マルチリンク
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ベンチレーテッドディスク
【タイヤ】(前後)-/-R–
●パフォーマンス
【最高速度】-km/h 【0-100km/h加速】4.9秒
【燃費】約8.2km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2024モデル:€62,900
歴史とトリビア
フォード マスタング関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- スペシャリティカーの元祖的存在
- 先代モデルは7年連続で世界で最も販売台数の多いスポーツクーペ
- 仕向け地により4気筒ダウンサイジングターボ仕様もあり
- BEV専門の別シリーズとしてマスタング MACH-Eをラインナップ
- 初代から一貫してハイパフォーマンス仕様を設定
ライバル
マスタングのように多気筒大排気量エンジンで後輪駆動を採用したファストバックのスポーティカーというのは今や稀有な存在です。欧州市場では直接ライバルとなる車種は見当たりませんが、世界的にはマスタングのフォロワーとしてデビューし、長年ライバル関係にあるシボレー カマロではないでしょうか。
- シボレー カマロ
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
日本にも長年ファンがいるマスタングですが、フォードが日本のインポーター事業から撤退した現在、新たに正規で導入される可能性は残念ながら低いと予想されます。そのため、確実に手に入れるなら引き続き並行輸入がおすすめです。マスタングのグレード構成は以下の通りです。現在左ハンドル欧州仕様および右ハンドル英国仕様共に設定されています。
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)
- GT
GT LEDデイタイムランニングライト、オレンジ色のインジゲーター付きテールライト、GT専用エンブレム、本革ステアリングホイール、スポーツシート、12.4インチデジタルコックピット、FORD SYNC4+13.2インチタッチスクリーン(AppleCarPlay/AndroidAuto接続対応)、12スピーカーB&Oプレミアムサウンドシステム、2ゾーンオートエアコン、フォードキーフリーシステム、ハイビームアシスト、プリクラッシュアシスなどが装備 - DarkHorse(ファストバックのみ)
(GTに対して)専用デザイン19インチアルミホイール、ダークホース専用エンブレムやリアスポイラー、ブラックのクワッドテールパイプなどをはじめとする専用ボディキット、専用カムシャフトと独自チューニングを備えたV8 5.0Lエンジン、オイルクーラーを追加で備えた専用TREMEC 6MTトランスミッションなどが装備などが装備
グレード構成(右ハンドル英国仕様)
- GT
19インチカーボナイズドグレーアルミホイール、GTボディキット(ブラックのドアフレームモールディング付き)、GTフロントグリル、GT専用エンブレム、クワッドテールパイプ、LEDヘッドライト、シーケンシャルインジゲーターLEDリアライト、マスタングロゴのウェルカムライティング付き電動格納ドアミラー、ヒーター/クーラー付き6ウェイ電動調整シート、12.4インチデジタルコックピット、FORD SYNC4+13.2インチタッチスクリーン(AppleCarPlay/AndroidAuto接続対応)、ワイヤレス充電パッド+USBポート、12スピーカーB&Oプレミアムサウンドシステム、電子式ドリフトハンドブレーキ、カスタマイズ可能なドライブモード、リアパーキングセンサー、バックカメラなどが装備 - DarkHorse(ファストバックのみ)
(GTに対して)専用デザイン19インチアルミホイールやリアスポイラーなどをはじめとするDarkHorse専用ボディキット、ブラックのクワッドテールパイプ、専用カムシャフトと独自チューニングを備えたV8 5.0Lエンジン、オイルクーラーを追加で備えた専用TREMEC 6MTトランスミッション、トルセンLSD、専用マグネライドサスペンションなどが装備
そのなかでもオススメは、左ハンドル欧州仕様のGTグレードに10ATの組み合わせです。これは大排気量V8エンジンのFRという今では稀有な存在となったマスタングを、2ペダルATでより多くのユーザーに味わって頂けるチョイスです。走りを楽しむだけでなく、余裕のあるトルクときめ細やかな変速の多段ATを活かしてグランドツーリングにも活躍してくれそうです。一方、サーキット走行などを楽しみ、マッスルカーとしてのマスタングを堪能されたいオーナーには専用トランスミッションを備えたDarkHorseの6MTもよいでしょう。
電動化やダウンサイジングをトレンドとする自動車業界のなかで、孤立奮闘しながらもピュアなクルマの楽しさを磨いてきたのが新しいマスタングです。全ての新車が電動化仕様になる前に、この一台を手に入れてみませんか。
- フォード マスタング Fastback GT 5.0 V8 Ti-VCT 10AT(左ハンドル欧州仕様)
- フォード マスタング Fastback DarkHorse 5.0 V8 Ti-VCT 6MT(左ハンドル欧州仕様)
- フォード マスタング Fastback GT 5.0 V8 Ti-VCT 6MT(右ハンドル英国仕様)
- フォード マスタング Convertible GT 5.0 V8 Ti-VCT 10AT(右ハンドル英国仕様)
ほかにも抜群の開放感を感じられるコンパーチブルや、GT/DarkHorseそれぞれにMT/ATの組み合わせも並行輸入できますのでお気軽にお問い合わせください。そしてマスタング最強の激辛仕様「マスタングGTD」についてもまだ詳細が発表されておりませんが、こちらについてもご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
(€1=155円/£1=183円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€62,900)\12,277,000
(現地値引き交渉前価格:€72,500)\13,958,000
(現地値引き交渉前価格:£55,585)\12,807,000
(現地値引き交渉前価格:£61,085)\13,942,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。