最近では新たな架装ベースとして欧州からフィアット デュカトが待望の正規導入開始など、日本でもさらなる盛り上がりを見せているキャンピングカー市場。国産バンベースだけではなく選択肢が広がりはじめましたが、まだまだ日本に導入されない欧州キャンピングカーは多くあります。
そのなかで国産メーカーから期待の新モデルが欧州市場でデビューしました。今回は日産のメーカー純正キャンパー、プリマスター・シーサイド(NISSAN Primaster Seaside)を解説。概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
日産 プリマスター・シーサイドとは
プリマスター・シーサイドは日産の全長5mクラスの中型LCV、プリマスターをベースに架装されたメーカー純正キャンピングカーです。ボディサイズは全長:5,080mm×全幅:1,956mm×全高:2,040mmと国産車では幅以外はトヨタ ハイエースのスーパーロングベースのキャンピングカーよりもコンパクトなサイズとなります。
このプリマスターに対して、2022年に派生モデルとして追加されたのがキャンピングカー仕様のプリマスター・シーサイドです。今回のキャンパー化は日産単独のプロジェクトではなくパートナーとしてドイツのデスレフ社が選ばれました。デスレフ(Dethleffs)はキャンピングカーを扱うビルダーで90年以上に渡る歴史があり、欧州の各種LCVのキャンパー化を手掛けるプロ集団です。今回は共同開発だけでなく、架装も担当しています。
このコラボレーションにより、デスレフがもつ長年のノウハウを生かした高品質なキャンピングカーをメーカー純正として欧州日産の保障およびサービス体制で購入できることになりました。
プリマスター・シーサイドは品質と機能性を念頭に置いてゼロから再設計され、「快適な室内空間」「便利なテクノロジー」「環境に優しい旅のために効率的なエンジンの提供」を実現しているとメーカーはアピールしています。
これに加えて兄弟車であるルノー トラフィックも近いタイミングでメーカー純正キャンピングカーとなる「トラフィック・スペースノマド」を発表していますが、こちらはフランスのピロット社(pilote)が手掛けており、プリマスター・シーサイドとは別のキャンピングカーになります。
デスレフ社は日本でもキャンピングカーを展開しておりますが、日本の代理店や日本の日産ディーラーではプリマスター・シーサイドは現在販売されておりません。
日産 プリマスター・シーサイド コンセプト紹介動画(約1分15秒)
ココがスゴイ!日産 プリマスター・シーサイド
日産 プリマスター・シーサイドを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- 国産メーカーの純正キャンピングカー
- キャンパー架装の老舗ドイツ・デスレフ社が手掛けた一台
- 一体型ルーフベッド付きポップアップルーフを装備
- 6人の乗車、4人の就寝が可能
- キッチンをはじめとする本格的なキャンパー装備
スタイリングとインテリア
- ベース車のシルエットを大きく変えずにキャンパー化
- 日本で乗るのに大きすぎないL1H1ボディがベース
- 高品質でモダンなコックピット
- さまざまなシートアレンジが可能なインテリア
ノーマルモデルと比べてエクステリアでいちばんの違いはポップアップルーフです。就寝可能なベッドおよび最大240kgの耐荷重性能を備えるほか、ポップアップルーフ化されても全高が約2mに抑えられており、同様のルーフを架装した国産キャンピングカーと比べても低めに抑えられているのがポイントです。ボディタイプもプリマスターでは一番コンパクトなL1H1ボディ(ノーマルホイールベース/ノーマルルーフ)をベースにしているため、日本で乗るのに大きすぎないボディサイズに、ベース車のシルエットを大きく変えずにキャンパー化されているため、一般的なミニバンとして違和感なく普段使いもできそうです。
ボディカラーはホワイトから鮮やかなレッド系カラーまで5色が設定されるほか、各所にシーサイドおよびキャンパー化を手掛けたデスレフ社のロゴも入ります。
インテリアについて、インストルメントパネルなどはベース車のプリマスターに準じたものになります。フェイスリフトに合わせてインフォテインメントシステムのタッチスクリーンがより見やすい場所に移動したほか、各所の質感が向上したモダンなものにアップデートされました。シートはフロントから2+2+2人の配列の3列6人乗りとなります。フロントシートは折り畳み式テーブルに合わせて回転対座してラウンジのような使い方ができるほか、2列目以降のシートは個別に簡単に取り外しできるため、さまざまなシートアレンジが可能です。一例として2列目、3列目の片側を取り外せば車内に就寝可能な4人分の乗車スペースと、自転車、サーフボード、スキー板などの長尺アイテムも同時に積み込むことが可能です。
快適な車中泊を実現するキャンパー装備
プリマスター・シーサイドには老舗キャンピングカービルダーのデスレフがもつ長年の知見を生かしたキャンパーアイテムが装備されています。
就寝空間については、ポップアップルーフ側に二人分(約1.89m×1.25m)と室内側も二人分(約2.00m×1.25m)のベッドスペースが用意されており、大人四人が就寝可能です。室内側のベッドには高品質なスプリングを採用したコールドフォームマットレスで構成されているほか、使い方に合わせて取り外しも可能です。
室内側の装備については、ルーフ側にはUSBコネクタが装備されており、スマートフォンの充電やUSB機器の電源として利用可能です。ほかにも専用スピーカーがルーフ側に内蔵しているため、旅先でモバイルシアターとしても活躍してくれそうです。車体側にはフロントシートを回転対座することで4人で囲める折り畳み式のダイニングテーブルをはじめ、車体左側には簡易キッチンが装備されており、二口のガスコンロ、ステンレスシンク、容量36Lの冷蔵庫が配置されます。キッチンは掃除がしやすいよう加工がされるのに加えてガラスカバーが設置されており、使わないときは汚れないように配慮されています。車体後方にはキャビネットと収納コンパートメントが装備されています。ガスおよび水タンクのインフラもここに一体化して格納されています。
オプションでも多くのアイテムが用意されており、折り畳み式アームを備えたオーニングや、屋外で使用するシャワーやルーフラック、左右スライドウィンドウ用のベンチレーショングリルや、テールゲート/スライドドア用モスキートネットなどキャンプで即戦力となるアイテムが選択可能です。
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ディーゼルのみの設定。
- ディーゼル
2.0L 直4 ディーゼル dCi150 150PS (110kw)/350Nm
2.0L 直4 ディーゼル dCi170 170PS (125kw)/380Nm
組み合わせるパワートレインはすべて2.0L直4ディーゼルとなり、150PS(dCi150)/170PS(dCi170)の2種類のチューニングが設定されています。全車に可変ジオメトリーターボを採用しハイパワーと大きなトルクを提供する一方、AdBlueの使用と各所をブラッシュアップすることで環境性能を高めて、全てのユニットで最新のEuro6d-Full規制をパスしています。燃費性能はハイパワーなdCi170の欧州複合で11.3km/Lです。
駆動方式はFF。トランスミッションはdci150/170共に6MTと2ペダル6速EDCが設定されています。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】5,080×1,956×2,040 mm(ミラー部分を含む)
【ホイールベース】3,098mm 【トレッド】前/後:- / -mm
【車両重量】 2,440kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント横置き 気筒休止機構付
【総排気量】1,997cc 【直径×内径】 -×-mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】170ps(125kw)/3500rpm 【最大トルク】380Nm/1500rpm
【燃料容量】80L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】6EDC
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)コイルスプリング
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ディスク
【タイヤ】(前後)215/65R16
●パフォーマンス
【最高速度】-km/h 【0-100km/h加速】-秒
【燃費】約11.3km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2022モデル:€73,770
歴史とトリビア
日産 プリマスター・シーサイド関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- 架装を担当するデスレフ社は90年以上の歴史がある欧州老舗ビルダー
- メーカー純正キャンパーのため欧州日産のディーラー網で購入・メンテナンス可能
- 現時点(2022年12月現在)では左ハンドル欧州仕様のみ設定
- 兄弟車のルノー トラフィック・スペースノマドとは別のビルダーが架装
ライバル
欧州市場では長年根強いニーズのあるキャンピングカーですが、新たに市場に参入したプリマスター・シーサイドのライバルとして、キング・オブ・ヨーロピアンキャンパーとも称されるフォルクスワーゲン T6.1カリフォルニアを挙げます。正規輸入はありませんが、日本でも関心を示されるお客様が多く、ウィズトレーディングでも多くの並行輸入実績があります。ほかにもライバルにはデスレフ同様、欧州キャンパーの老舗ビルダーのひとつであるウェストファリアがキャンパー架装を手掛けたメルセデスベンツ マルコポーロや、フォード トランジット・カスタム ナゲットなどがあります。
- フォルクスワーゲン T6.1カリフォルニア
- メルセデスベンツ マルコポーロ
- フォード トランジット・カスタム ナゲット
- ルノー トラフィック・スペースノマド
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
フェイスリフトにより各所がアップデートされたプリマスターに対して老舗ビルダーがキャンパー架装したプリマスター・シーサイドは、キャンピングカーの需要がより高まっている日本でも関心を集めると予想されます。しかし、ベース車のプリマスター自体が日本には導入されていないため、プリマスター・シーサイドが日本に正規導入される可能性は残念ながら低いと予想されます。そのため、いち早く確実に手に入れるなら並行輸入がおすすめです。プリマスター・シーサイドのグレード構成は以下の通りです。現在は左ハンドル欧州仕様のみの展開で、L1H1ボディのベースモデルに対してキャンパー架装を組み合わせる構成になっているため、ベースモデルのパワーユニットの選択肢以外はモノグレードとなります。
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)
- SEASIDE BY DETHLEFFS
16インチスチールホイール+フルホイールキャップ、フルLEDヘッドライト、8インチタッチスクリーン、NissanConnect(AppleCarPlay/AndroidAuto接続対応)、マニュアルエアコン、クルーズコントロール、360度インテリジェントエッジプロテクション、ポップアップルーフ、上下ベッド、運転席/助手席回転機構、簡易キッチン、コンプレッサークーラー、2kwヒーター、オーク材調フロア、ルーフ一体型スピーカー、230Vアウトレット電源などが装備
プリマスター・シーサイドのラインナップはパワーユニット以外はモノグレードになりますが、そのなかでも170PSのdCi170に6速EDCの組み合わせをオススメします。これはキャンパー架装により車両重量が増えても余裕のあるdCi170のパワーユニットに、イージードライビングの2ペダルデュアルクラッチトランスミッションの組み合わせは、普段使いから長距離の旅行まで、運転がしやすく快適に使えるチョイスです。
老舗ビルダーが架装し、欧州キャンピングカーであっても国産メーカーの安心感で乗れるのはプリマスター・シーサイドの大きな強みです。国産バンをベースにしたキャンピングカーとはひと味違う欧州仕込みのキャンピングカーで旅に出てみませんか。
- 日産 プリマスター・シーサイド BY DETHLEFFS L1H1 dCi170 6EDC(左ハンドル欧州仕様)
- 日産 プリマスター・シーサイド BY DETHLEFFS L1H1 dCi150 6MT(左ハンドル欧州仕様)
ほかにも多くの取り扱い実績のあるT6.1カリフォルニアや、ライバル車種も並行輸入可能です。ライバル車種の解説記事や自動車系Youtuberのウナ丼さんが解説された動画もありますので合わせてご参照ください。
(€1=140円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€73,770)\12,965,000
(現地値引き交渉前価格:€69,950)\12,361,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。