スペインの自動車メーカー「セアト」から独立したクプラ。情熱とクールさの両面を持ち合わせたハイパフォーマンスモデルをリリースするブランドとして欧州現地でも着実に認知されつつあるようです。
今回はクプラブランドのなかでも一番長い歴史があり基幹モデルとなるクプラ レオン(CUPRA Leon)を解説。日本未導入ブランドのハイパフォーマンスモデルを概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
クプラ レオンとは
ベースとなったセアト レオンについては別途詳細な解説がありますのでご参照ください。
クプラ レオンはクプラブランドのなかで最も長い歴史があるモデルになります。ブランド独立以前に遡ること約20年、初代セアト レオンに設定されたハイパフォーマンス仕様に「クプラ」の名前が付けられましたのがはじまりです。レオンにはスポーティモデルのFRがありますが、これよりもさらに出力の高いユニットを組み合わせたレオン・クプラおよびクプラRは、セアトブランドのなかでホットなモデルとして市場で好評を得ました。その結果、2代目レオン以降もクプラ仕様の設定が続きました。そのなかでも3代目に設定されたレオン・クプラ280はニュルブルクリンクで当時のFF車最速タイムを叩き出し話題となっています。
レオン・クプラに転機が訪れたのが2018年、クプラはセアトのハイパフォーマンスモデル専門ブランドとして独立して新たにスタートすることになりました。その後レオンは2020年に4代目モデルにフルモデルチェンジしましたが、このモデルをベースにしたハイパフォーマンスモデルは従来の「セアト レオン・クプラ」ではなく、クプラブランドのモデルとして「クプラ レオン」となり、現在販売されています。クプラ レオンは同ブランドのなかでも基幹車種なだけでなく、象徴的な存在のモデルとも言えるでしょう。
プラットフォームは現在販売されているフォルクスワーゲン ゴルフの8代目モデルと同様にMQBモジュラープラットフォームを採用し、ゴルフGTIおよびゴルフRはプラットフォームを共有する兄弟車となります。
クプラ レオンは、クプラの基幹モデルとして高度に進化したパワートレインやダイナミックなシャーシ技術などで卓越したドライビングエクスペリエンスの提供します。メーカーは「パフォーマンス」「快適性」「実用性」全てに妥協せず高いレベルで実現しているとコメントしています。
日本市場にはベース車のレオンを含めてクプラブランドのモデルが正規導入された実績はありません。
クプラ レオン コマーシャル動画(約30秒)
ココがスゴイ!クプラ レオン
クプラ レオンを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- ライフスタイルに合わせて2種類のボディタイプを設定
- コンベンショナルな純ガソリンユニットはさらに洗練
- クプラレオン初のプラグインハイブリッドのラインナップ
- 310PS仕様の最強ユニットはスポーツツアラーのみに設定
- クプラで最も速く安全なモデル
スタイリングとインテリア
- ボディは絞っても室内空間は拡大
- エレガントさと凄みの両方を感じるエクステリア
- スポーツマインドを昂らせるインテリア
- 従来モデルと比べて快適性の向上
クプラ レオンのボディタイプは2種類が設定されており、5ドアハッチバックボディと、リアオーバーハングを拡張して広いラゲッジスペースを備えるスポーツツアラー(英国ではエステート)があります。ボディサイズは従来モデルに対して全幅および全高が抑えられ引き締まった一方、ホイールベースを拡大することで後席をはじめ室内空間の居住性が向上しました。
エクステリアは、クールでサイバーな雰囲気のクプラのエンブレムを中心に精悍なフルLED(一部仕様はLEDマトリックスを採用)ヘッドライトや大型エアインテークが印象的なフロントから、専用サイドスカートを装備したサイドを経て、近年のセアトが積極的に採用するcoast-to-coastのLEDリアライト、専用リアスポイラー、4本(一部仕様は2本)のエキゾーストやディフューザーなどが目を引くリアセクションまで続きます。さらにフロントグリルフレームやエクステリアミラーをはじめとする各所に効率的に配置されたダーククロームメッキのパーツや専用マットカラーのボディカラーを組み合わせなどはレオン本来がもつのエレガントさとCUPRAブランドのハイパフォーマンスモデルとしての凄みの両方を感じることができます。
機能的にもベースモデルと比較してフロントアクスルが25mm、リアが20mm低く設定され重心が低くなるのに加えて、空力性能に関しても各所に手が入ることで8%向上し、走行安定性の向上と質の高い走りを提供します。
インテリアは、基本的なインストルメントパネルの形状などはベース車のレオンに準じたものになる一方、ダークアルミニウムでブラッシュアップされるほか、各所にはクプラブランドをイメージさせるカッパーカラーの差し色が入るなどハイパフォーマンスモデルとして洗練されたものに仕上がっています。
今回のモデルチェンジで進化したポイントのひとつにライティングがありますが、シチュエーションに合わせてアンビエントライトのカラーリングの設定や、足元にクプラロゴを投影するウェルカムライティングはドライバーが乗り込む瞬間からスポーツマインドを昂らせます。
シートはスポーティな専用バケットシートを採用しています。ロゴの入ったクールでスポーティなデザインのこのシートは、仕様によりレザー仕様も選択可能です。
デジタル面においても大きく進化しました。新たに採用されたデジタルコックピットにはスピードをはじめとする一般的な情報のほかにクプラ独自に実装されたスポーツビューが用意されています。回転数/パワー/トルク/ターボブースト圧/Gメーターなどスポーツドライビングに必要な情報が表示できるだけでなく、ドライバーに合わせて表示項目をカスタマイズ可能です。インフォテイメントシステムは最新のFullLinkを採用しています。高精細なRetinaタッチディスプレイを組み合わせたこのシステムはAppleCarPlay/AndroidAutoのワイヤレス接続に対応しています。
これらインテリアのポイントはパフォーマンスだけではありません。従来モデルと比較して全ての席で乗員スペースを拡大しています。合わせてスポーツツアラーではラゲッジが30L拡大されており使い勝手も向上しています。
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ガソリンとハイブリッド(48Vマイルドハイブリッド/プラグインハイブリッド)の設定です。
- ガソリン
1.5L 直4ターボ TSIEVO 150PS(110kw)/250Nm
2.0L 直4ターボ TSI 190PS(140kw)/320Nm
2.0L 直4ターボ TSI 245PS(180kw)/370Nm
2.0L 直4ターボ TSI 300PS(221kw)/400Nm
2.0L 直4ターボ TSI 310PS(228kw)/400Nm - ハイブリッド(マイルドハイブリッド)
1.5L 直4 48Vマイルドハイブリッド eTSI 150PS(110kw)/250Nm - ハイブリッド(プラグインハイブリッド)
1.4L 直4+電気モーター e-HYBRID 204PS(150kw)/250Nm
1.4L 直4+電気モーター e-HYBRID 245PS(180kw)/250Nm
今回のモデルチェンジでは電動化が進められ、モデル初となるハイブリッド仕様が追加となりました。一方、欧州でハイパフォーマンスモデルも電動化が進むなか、コンベンショナルな純ガソリンユニットがあるのもポイントです。ガソリンユニットは、ベースモデルのレオンにも搭載される1.5LのTSIEVOユニットから、2.0LのTSIユニットは4種類のチューニングが設定されており、これらは兄弟車のゴルフGTIやゴルフRに設定されるものに近いユニットです。スポーツツアラーのみに設定される最強仕様は310PSの出力を誇ります。燃費性能はTSI 300PS仕様の欧州複合で13.3km/Lです。
ハイブリッドは48VのマイルドハイブリッドとなるeTSIとプラグインハイブリッドのe-HYBRIDは2種類の出力が設定されています。(204PS仕様は左ハンドル欧州仕様のみ)
駆動方式はFFを基本にスポーツツアラーの最強版となる310PS仕様にAWDの4Driveが設定されています。トランスミッションは基本的に2ペダルのパドルシフト付き7速DSG(e-HYBRIDは6速DSG)のほか、1.5LのTSIEVOのみコンベンショナルな6速MTも選択可能です。
走行性能とハンドリング
サスペンションはクプラが手掛けた専用のスポーツサスペンションを採用し、フロント:マクファーソンストラット、リアは仕様によりセミリジットもしくはハイパワー仕様にはマルチリンクが設定されています。
走りを楽しむハイパフォーマンスモデルとして、シャーシやハンドリングを専用チューニングが施されるほか、2.0L TSIの245PS/300PS仕様には電子制御リミテッドスリップデフ(VAQ)をはじめ、最強版の310PS仕様にはドライバーや路面状況に合わせて4輪に適切な出力制御を行うAWDシステムの4Driveが設定されるほか、どのタイミングでも最大限の敏捷性を発揮するプログレッシブ・ステアリング・システムや、路面の変化に対して瞬時に最適なセッティングを行うダイナミック・シャーシ・コントロール(DCC)など数々のアイテムが用意されています。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,398×1,799×1,444 mm(ミラー部分を含まず)
【ホイールベース】2,689mm 【トレッド】前/後:1,554 / 1,520mm
【車両重量】 1,500kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント横置き
【総排気量】1,984cc 【直径×内径】 82.5×92.8mm 【圧縮比】9.3:1
【最高出力】300ps(221kw)/5,300-6,500rpm 【最大トルク】400Nm/2,000-5,200rpm
【燃料容量】40L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】7DSG
【サスペンション】(前)マクファーソン・ストラット / (後)マルチリンク
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ベンチレーテッドディスク
【タイヤ】(前後)235/35R19
●パフォーマンス
【最高速度】250km/h 【0-100km/h加速】5.7秒
【燃費】約13.3km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2022モデル:€48,815
歴史とトリビア
クプラ レオン関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- レオンはクプラの名前を初めて掲げたモデル
- 現行モデルはクプラブランドに移行
- かつてニュルブルクリンクでFF車最速タイムを記録した実績もあり
- クプラブランドの基幹車種を担うモデル
- プラットフォームを共有する兄弟車にはゴルフGTI/ゴルフRがあり
ライバル
Cセグメントのハイパフォーマンスモデルとしてクプラ レオンのライバルは、兄弟車となるフォルクスワーゲン ゴルフGTI/ゴルフRのほか、欧州ブランドには多くのライバルが存在します。国産メーカーもホンダ シビックタイプRや、新たにトヨタ GRカローラも加わり今なおホットな市場と言えるでしょう。
- フォルクスワーゲン ゴルフGTI/ゴルフR
- メルセデスベンツ AMG A45/A35 4matic
- フォード フォーカスST/RS
- ルノー メガーヌ R.S.
- ホンダ シビックタイプR
- トヨタ GRカローラ
- ヒュンダイ i30N
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
同じプラットフォームを採用したハイパフォーマンスモデルでも、ドイツのフォルクスワーゲンとはまたひと味違うクプラ レオン。ベース車のレオンを含めてクプラブランドのモデルが日本に正規導入された実績がないため、クプラ レオンが正規導入される可能性は残念ながら低いでしょう。そのため確実に手に入れるなら並行輸入がおすすめです。レオンのグレード構成は以下の通りです。現在左ハンドル欧州仕様および右ハンドル英国仕様共に展開されています。
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)
- CUPRA Leon
18インチブラック/シルバーアルミホイール、ダークアルミニウムミラー、CUPRAスポーツバケットシート、3ゾーンオートエアコン、バーチャルコックピット、12インチタッチスクリーン(一部仕様を除く)、CUPRAドライブプロファイル、フルLEDパッケージ、キーレスゴーなどが装備 - VZ
(CUPRA leonに対して)19インチブラック/シルバーアルミホイール、CUPRA SuperSportマルチファンクションヒーテッドステアリングホイール(CUPRAモードセレクター付き)、ドライビングアシストパッケージXLなどが装備 - VZ CUP
(VZに対して)19インチブラック/カッパーアルミホイール、CUPRA VZパッケージ(専用リアスポイラー/サイドスカート/ダッシュボード/CUPRA SuperSportフロントバケットシート(レザー))などが装備
グレード構成(右ハンドル英国仕様)
- V1
18インチブラック/シルバーアルミホイール、LEDヘッドライト/テールランプ、ダークティンテッドリアウインドウ、専用スポーツシート、CUPRAスポーツペダル、デジタルコックピット、12インチタッチスクリーン、FullLink(AppleCarPlay/AndroidAuto対応)、CUPRAスポーツダンパー、ブラックブレーキキャリパー、CUPRAドライブプロファイルなどが装備 - VZ1
(VZに対して)CUPRAレザーフラットボトムヒーテッドステアリングホイール(パドルシフト付き)などが装備 - VZ2
(VZ1に対して)19インチブラック/シルバーアルミホイール、CUPRAダイナミック&コンフォートパック(車速感応式パワーステアリング/DCC(ダイナミックシャーシコントロール))、アダプティブクルーズコントロール、CUPRAセーフティ&ドライビングパック(XL)などが装備 - VZ3
(VZ2に対して)19インチエアロダイナミクスマシニングブラック/シルバーアルミホイール、マトリクスLEDヘッドライト、ダイナミックヘッドライト・レンジコントロール、専用レザースポーツシート、フロントシートヒーター、ワイヤレススマートフォン充電などが装備
クプラブランドのなかでも基幹車種とも言えるクプラ レオンですが、そのなかでもオススメとして2つ挙げます。ひとつは5ドアハッチバックの左ハンドル欧州仕様となるVZ CUPグレードに2.0L TSIの300PS仕様と7速DSGの組み合わせです。これは初代となるセアト レオン・クプラから続き、かつてはニュルブルクリンクでFF車最速の称号を得た歴史を継承するハイパフォーマンスなFFホットハッチバックとしてのチョイスです。もうひとつはワゴンボディとなるエステートの右ハンドル英国仕様 VZ3グレードに2.0L TSIの310PS仕様と7速DSG、そしてAWDの4Driveの組み合わせです。これはクプラ レオンのなかでも最強仕様となるユニットに、広いラゲッジで荷物も多く載せられるワゴンボディと日本でも運転のしやすい右ハンドルの組み合わせは、「パワー」「ユーティリティ」「運転のしやすさ」全てを叶える全部乗せとも言える組み合わせで、全てにおいて妥協をしないユーザーにぜひオススメしたいチョイスです。
欧州ハイパフォーマンスモデルも電動化が進むなか、残り少なくなりつつあるピュアな内燃機関の仕様が選べるのはクプラ レオンの大きな魅力のひとつです。日本では正規で手に入らない魅惑のハイパフォーマンスブランドであるクプラ、知る人ぞ知るこの一台で走りを楽しんでみませんか。
- クプラ レオン VZ CUP 2.0TSI 300PS 7DSG(左ハンドル欧州仕様)
- クプラ レオン・エステート VZ3 2.0TSI 310PS 4Drive 7DSG(右ハンドル英国仕様)
- クプラ レオン 1.5TSIEVO 150PS 6MT(左ハンドル欧州仕様)
このほか、左ハンドル欧州仕様のスポーツツアラーや、ピュアな走りを楽しみたい方には1.5L TSIEVOの6MT仕様も並行輸入可能ですので、お気軽にお問合せください。
合わせてベース車となるセアト レオンも並行輸入可能です。以前にウィズトレーディング(ウィズカーズ)でも納車したセアト レオンを自動車系Youtuberで日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員のウナ丼さんが解説された動画もありますので合わせてご参照ください。
(€1=138/£1=158円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€48,815)\8,787,000
(現地値引き交渉前価格:£43,595)\9,056,000
(現地値引き交渉前価格:€32,620)\6,255,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
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