スペイン発の新生ハイパフォーマンスブランドとして市場に参入したクプラですが、新たなハイパフォーマンス像の提案として内燃機関だけでなくBEVなどの電動化モデルも積極的にリリースしてラインナップを拡充させています。
そのなかでもクプラではじめてセアトにベース車を持たないモデルとしてデビューしたフォーメンターは、日本に正規導入されずともお客様からの関心が高く、ウィズトレーディングでも多くの取り扱い実績があります。このたびデビューから5年が経過したタイミングでフェイスリフトが行われ、さらなる進化を遂げました。
今回はクプラのハイパフォーマンスSUV「フォーメンター(CUPRA Formentor)」を解説。フェイスリフトされた新型モデルの内燃機関仕様を中心に概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
クプラ フォーメンターとは
フォーメンターはクプラのCセグメント級にあたるクーペSUVとなります。ボディサイズは全長:4,451mm×全幅:1,839mm(ミラー部分を含まず)×全高:1,528 mmと国産車ではレクサス UXに近いサイズ感です。
フォーメンターは2019年、クプラブランドではじめてセアトにベースを持たないハイパフォーマンス仕様専用モデルとしてデビューしました。ジュネーブモーターショーでコンセプトモデルが発表されたのち、市販モデルは2020年に販売開始されています。プラットフォームはフォルクスワーゲンのMQBevoプラットフォームを採用し、ゴルフはじめセアト レオンなどとも共有します。デビューから少し遅れて追加されたVZ5は、アウディ RSQ3などにも搭載される直列5気筒2.5L 390PSユニットを採用した、最強の激辛モデルとして市場でもインパクトを与えました。VZはスペイン語で「速い」を意味する「veloz」からネーミングされたものでクプラ各モデルのハイスペック仕様に設定されています。市場投入後は高評価を受けて好調な販売実績を記録した結果、現在はクプラのなかでベストセラーモデルになりました。
- 従来モデルに設定されていた最強モデルのフォーメンターVZ5
- 新型モデルと同時期にデビューしたテラマール
2024年にはフェイスリフトが行われ、これが現在販売されているモデルとなります。同時期にデビューしたテラマールなどに共通する次世代クプラの意匠を取り込んだエクステリアをはじめ、インテリアやパワートレインまで幅広くアップデートが行われました。今回のフェイスリフトにあたり「クプラのブランドを強化し、さらに前進させるためにリリースされた一台である」とメーカーはコメントしています。クプラのSUVとしてフォーメンターとテラマールはボディサイズが近いですが、フォーメンターはクーペSUVとしてよりパーソナルでハイパフォーマンスなモデルという立ち位置として住み分けがされているようです。
クプラ フォーメンターコンセプト動画(約1分30秒)
ココがスゴイ!クプラ フォーメンター
クプラ フォーメンターを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- クプラの新デザイン言語を採用してアップデート
- 2.0L TSI仕様のさらなる出力向上
- ジャパンブランドの高品質アイテムを新採用し走りの質が向上
- シャーシとエンジンのよりスポーティなセッティング
- アップデートされたインフォテインメントシステム
スタイリングとインテリア
- よりエモーショナルなエクステリアに進化
- 美しさを保ちながらダイナミックなプロポーション
- 質感が高くスポーティなインテリア
- 新たなブランドで新設計されたハイエンドオーディオシステム
今回のフェイスリフトでエクステリアは、テラマールなどクプラ最新モデルに共通した意匠にアップデートされました。クプラブランドのアイデンティティである三つのトライアングルを組み合わせたマトリクスLEDヘッドライトをはじめ、新たにボンネットに組み込まれたクプラエンブレムや、特徴的なシャークノーズのフロントエンドはテクニカルな洗練さを演出する一方、大型のフロントグリルは力強い印象を与えます。シルエットの重心を後ろ側におき、ボンネットの長さを強調したサイドは普遍的な美しさを保ちながら、効果的に入れられたエッジはダイナミックなプロポーションを表現しています。リアも一直線に繋がるテールライトにクプラロゴもライティングされるように取り込まれました。
これらクプラの新たなデザイン言語のDNAを体現することで、よりエモーショナルなエクステリアに進化しています。
- クプラ フォーメンター(リア)
- クプラ フォーメンター(サイド)
- 三つのトライアングルが印象的なLEDヘッドライト
- クプラロゴもライティングされるように取り込まれました
インテリアは基本デザインを従来モデルから踏襲しつつアップデートが行われました。各所の素材を変更することで質感が向上し、新たにダッシュボードの表面には細かくエンボス加工された3Dパラメトリックパターンを採用することで、視覚だけでなく触覚でも特別感を感じられるようになっています。エクステリア同様にインテリアにもカッパーカラー指し色がエアベントを中心に効果的に入れられており、クプラのハイパフォーマンスモデルであることを静かに主張します。シートトリムは仕様によって複数設定されています。そのなかでも上位仕様に設定される「CUP」スポーツバケットシートは、人間工学に基づいて設計されています。より低い着座感でスポーティなポジションを実現するほか、超高機能素材と再生マイクロファイバーを採用しており、環境にやさしく高機能なシートに仕上がっています。
デジタル面のアップデートもポイントのひとつです。インフォテインメントシステムのタッチスクリーンは12.9インチの大画面に拡大され、ソフトウェアには改良されたアプリバーや、ウィジェットなどを新たに採用することでより使いやすいユーザーインターフェースになりました。サウンドシステムは新たな12スピーカー/390Wのハイエンドオーディオシステムが設定されました。従来モデルのBeatsAudioに代わり、ドイツのハーノバーを拠点とするSennheiser(ゼンハイザー・モビリティ)が長年の知見と実績に基づいて設計したこのシステムは、純粋なゼンハイザーサウンドを実現していると言われています。
- フォーメンターのインテリア
- 環境にやさしく高機能な「CUP」スポーツバケットシート
- 触覚でも特別感を感じられる3Dパラメトリックパターン
- Sennheiserが新設計したハイエンドオーディオシステムを採用
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ガソリン、ディーゼル、ハイブリッド(48Vマイルドハイブリッド/プラグインハイブリッド)の設定です。
- ガソリン
1.5L 直4 ターボ TSI 150PS (110kw)/250Nm
2.0L 直4 ターボ TSI 265PS (195kw)/370Nm
2.0L 直4 ターボ TSI 333PS (245kw)/420Nm - ガソリン(48Vマイルドハイブリッド)
1.5L 直4 ターボ+電気モーター eTSI 150PS(110kw)/250Nm - ディーゼル
2.0L 直4 ターボ TDI 150PS (110kw)/340Nm
ガソリンのTSIは全て直列4気筒ターボになります。ベーシックな1.5L 150PSをはじめ、2.0Lは265PS(従来は245PS)と333PS(同310PS)の2種類が設定されており、それぞれ今回のフェイスリフトで出力が向上しました。ディーゼルのTDIは直列4気筒ターボ 2.0L 150PS仕様の1種類となります。ほかにも新たに設定されたガソリンエンジンに48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた1.5LのeTSIおよびプラグインハイブリッドとなるe-HYBRIDの電動化ユニットも設定されています。
今回のフェイスリフトで注目はTSIの333PS仕様です。クプラのエンジニアによってレーストラック向けに調整されたこのユニットは、現時点(2025年9月現在)で最もホットなものになります。燃費性能は欧州複合で11.4km/Lです。
駆動方式はFFに加え、一部仕様にAWDの4Driveが設定されています。トランスミッションは全車2ペダルDSGが設定され、ガソリン1.5L TSI仕様にのみコンベンショナルな6MTが選択可能です。
走行性能とハンドリング
サスペンションはフロント:マクファーソンストラット、リア:マルチリンクを採用しています。クプラの知見を活かしてスプリングとダンパーレートの精密な調整と最適な重量配分を行い、高い快適性と力強いドライビングダイナミクスを実現しているとメーカーはコメントしています。新たにシャーシの調整機能が追加され、DCC(ダイナミック シャーシ コントロール)のスライダーコントロールを用いてドライバーが希望する設定を正確に選択することが可能になりました。今回のフェイスリフトでは最もハイパフォーマンスな333PS仕様にAkebonoブレーキが採用されました。日本の曙ブレーキが手掛けるジャパンメイドの高い信頼性と、抜群の制動能力から近年クプラでは積極的に採用されている逸品で、走りの質の向上に一役買っています。
AWDの4Driveは、基本的にフォルクスワーゲンの4Motionに準じたシステムとなります。ステアリング角、速度、車両のヨー角などさまざまな情報を常にモニタリングしてリアルタイムで正確な駆動力を配分します。これにより路面状況を問わず高い次元の走りを提供します。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,451×1,839×1,528 mm
【ホイールベース】2,680mm 【トレッド】前/後:1,585 / 1,559mm
【車両重量 1,644kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント横置き
【総排気量】1,984cc 【直径×内径】 82.5×92.8mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】333ps(245kw)/5600-6500rpm 【最大トルク】420Nm/2100-5500rpm
【燃料容量】55L
●駆動系
【駆動方式】AWD 【トランスミッション】7DSG
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)マルチリンク
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ベンチレーテッドディスク
【タイヤ】(前後)245/40R19
●パフォーマンス
【最高速度】250km/h 【0-100km/h加速】4.8秒
【燃費】約11.4km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2025モデル:€57,040
歴史とトリビア
クプラ フォーメンター関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- スペイン・マヨルカ島にある岬の名前からネーミング
- ハイスペック仕様のVZはスペイン語の「veloz(速い)」からネーミング
- クプラで最も販売台数が多く年間12万台以上の販売実績(2023年)
- 2021年度レッドドット・プロダクトデザイン賞を受賞
- 従来モデルには390PSを出力するフォーメンターVZ5がラインナップ
- 2019年に公開されたコンセプトモデル
- フォーメンターVZ5に準じたユニットを搭載したアウディ RSQ3
ライバル
ハイパフォーマンスクーペSUVのフォーメンターのライバルは、欧州に存在するプレミアムブランドを中心としたモデルとなります。そのなかでも近しいライバルとしてBMW X2 M35iを挙げます。BMWならではの走りの楽しさとクーペSUVとしての美しさを両立したこのモデルは手強いライバルとなりそうです。
- BMW X2 M35i
- メルセデス・ベンツ GLA35 4MATIC
- BMW X2 M35i
- メルセデス・ベンツ GLA35 4MATIC
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
クプラブランドではじめて独自設計となったフォーメンターですが、お客様からも高い要望がある一方、日本ではクプラブランドが展開されていないため、日本に正規導入された実績はありません。新型モデルもフォルクスワーゲングループ内で競合する車種が既に展開されているため、正規導入される可能性は今後も残念ながら低いと予想されます。そのため、確実に手に入れるなら引き続き並行輸入がおすすめです。フォーメンターのグレード構成は以下の通りです。現在左ハンドル欧州仕様、右ハンドル英国仕様共に設定されています。
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)
- FORMENTOR
18インチアルミホイール、フルLEDパッケージ(フルLEDヘッドライト/リアライトなど)、電動格納ヒーテッドドアミラー、CUPRAスポーツシート、スポーツマルチファンクションステアリングホイール、3ゾーンオートエアコン、12.9インチタッチスクリーン、ワイヤレスフルリンクコネクティビティ、センターコンソール内ワイヤレス充電、CUPRAドライブプロファイル、パーキングアシストなどが装備 - VZ
(FORMENTORに対して)19インチブラック/カッパーアルミホイール、ジェスチャ機能付き電動テールゲート、シートヒーター付きフロントCUPRAスポーツシート(中央部にアストロブルーなどのアクセント入り)、運転席メモリー機能、スマートアンビエントライト、盗難警報装置、バックカメラなどが装備 - VZ EXTREME
(VZに対して)プロジェクション機能付きHDマトリクスLEDヘッドライト、ウェルカムセレモニー機能、ダーククローム装飾、CUPRA「CUP」スポーツバケットシート、メモリー機能付き電動調整式運転席、インテリジェントドライブパッケージ、Sennheiserサウンドシステム、フロント/リアAkebonoブレーキシステム(TSI 333PS仕様)、Bremboブレーキシステム(TSI 265PS仕様)などが装備 - VZ EXTREME BLACK EDITION
(VZ EXTREMEに対して)19インチマットブラックアルミホイール、CUPRAペダル&フットレスト、カメラベースの前方/対向車の認識およびハイビーム遮断機能などが装備
グレード構成(右ハンドル英国仕様)
- V1
18インチアルミホイール、LEDヘッドライト/リアライト、インテリアアンビエントライティング、カッパーステッチのスポーツシート、マルチファンクションレザーステアリング、デジタルコックピット、12.9インチタッチスクリーン、ワイヤレススマートフォン接続、ワイヤレス充電パッド、電気式パーキングブレーキ、フロント/リアパーキングセンサー、ドライブプロファイル選択などが装備 - V2
(V1に対して)19インチブラック/シルバーアルミホイール、運転席メモリー機能付き電動調整シート(ランバーサポート付き)、フロントシートヒーター、スマートラップアラウンドインテリアライトなどが装備 - V3
(V2に対して)19インチブラック/カッパーアルミホイール、ヘッドレストにCUPRAロゴ入りムーンスレートメタリックレザーシートなどが装備 - VZ1
(V1に対して)19インチブラック/シルバーアルミホイール、高解像度可変配光LEDヘッドライト(シグネチャー&セレモニー機能付き)、ヘッドレストにCUPRAロゴ入りダイナミックバケットシート(電動調整/運転席メモリー機能/ランバーサポート付き)、フロントシートヒーター、ダイナミック・シャーシ・コントロール、スポーツサスペンション、リアビューカメラなどが装備 - VZ2
(VZ1に対して)19インチスポーツブラック/シルバーアルミホイール、ヘッドレストにCUPRAロゴ入りムーンスレートメタリックレザーシート、助手席側メモリー機能、トップビューカメラ、インテリジェントパークアシストなどが装備 - VZ3
(VZ2に対して)19インチブラック/カッパーアルミホイール、ヘッドレストにCUPRAロゴ入りCUPRA「CUP」スポーツバケットシート、Sennheiserサウンドシステム、フロント/リアAkebonoブレーキシステム(TSI 333PS仕様)、Bremboブレーキシステム(TSI 265PS仕様)などが装備
フォーメンターのオススメは、左ハンドル欧州仕様のVZに2.0L TSI 333PS仕様の4Drive(AWD)および7速DSGの組み合わせです。これは新型フォーメンターのなかで最も高出力で安定した走りを提供し、今回のフェイスリフトで進化したポイントを存分に感じられるチョイスです。フォーメンターには複数のパワーユニットや駆動方式の設定がありますので、敢えてFF仕様のハイパフォーマンスを求められるなら2.0L TSI 265PS仕様や、マニュアルトランスミッションを求められるなら1.5L TSIに6MTなど、こだわりの選択をするのもよいでしょう。
ハイパフォーマンスモデルも電動化が進む欧州市場で、フォーメンターのようにピュアな内燃機関が選べるのは稀有な存在になりつつあります。フェイスリフトで新たなクプラのハイパフォーマンス像を明確に取り込み進化した、新型モデルをいち早く現地からお取り寄せして楽しんでみませんか。
- クプラ フォーメンター VZ 2.0TSI 333PS 4Drive DSG(左ハンドル欧州仕様)
- クプラ フォーメンター VZ 2.0TSI 265PS DSG(左ハンドル欧州仕様)
- クプラ フォーメンター VZ3 2.0TSI 333PS 4Drive DSG(右ハンドル英国仕様)
- クプラ フォーメンター V2 1.5TSI 150PS 6MT(右ハンドル英国仕様)
合わせて既に生産は終了しておりますが、激辛の最強モデルと言える直列5気筒 2.5L 390PSのVZ5をはじめ、従来モデルをご希望のユーザーには、欧州現地から程度のよい物件をお探しいたますのでお気軽にお問い合わせください。従来モデルは別途解説記事がありますのでご参照ください。

(€1=160/£1=190円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€57,040)\12,426,000
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海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。
画像と動画
- 頭上の開放感を演出するガラスルーフも選択可能
- 大画面タッチスクリーンは12.9インチに拡大
- 高解像度のデジタルクラスターが設定
- 333PS仕様に設定されるAkebonoブレーキ
- 左ハンドル欧州仕様に設定される特別仕様車のVZ EXTREME BLACK EDITION
- VZ EXTREME BLACK EDITIONには19インチマットブラックホイールが装備