2018年にフルモデルチェンジした欧州Cセグメントのベストセラー、フォード フォーカス(Ford Focus)に2019年6月、スポーツモデル「フォーカスST Mk4(Forcus ST Mk4)」が追加設定されました。欧州では大注目のフォーカスST Mk4を解説。標準モデルとの違いをはじめ、概要・スペック・価格等、並行輸入で乗るための情報をご紹介します。
※この記事はニューモデルに関する情報(推測を含む)を掲載しています。追加・修正情報が入り次第、順次更新予定です。
●2019-08-06:ワゴンモデルと価格情報、パフォーマンスパックオプションの詳細を追加しました。
フォード フォーカスST Mk4とは
王者フォルクスワーゲン ゴルフを筆頭に欧州市場で強豪がひしめくCセグメントクラス。なかでもゴルフと共にベンチマークカーとして双璧を成す存在であり、世界的なベストセラーと言われるのがフォード フォーカスです。
2018年にフルモデルチェンジし、Mk4(4代目モデル)になってもデビュー直後から好調なセールスを記録しているようです。2019年6月、そのフォーカス Mk4に待望のスポーツモデルとなる「ST」(Sports Technologyの略)が追加されました。
STは歴代フォーカスに設定されており、先代、Mk3のSTは250PSの2.0Lターボエンジンを搭載したモデルでしたが、Mk4はRS Mk3譲りの280PS、2.3Lターボエンジンを採用してきました。ボディタイプは先代と同じく5ドアハッチバックとエステート(ステーションワゴン)が用意されます。
ココがスゴイ!新型フォード フォーカスST Mk4
新型フォード フォーカスST Mk4を語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- フォーカスではRSに次ぐスポーツモデル、開発はフォードパフォーマンス!
- 新アーキテクチャのC2プラットフォームを採用
- ボディタイプは5ドアハッチバックとエステートが設定
- RSと同排気量になったパワーユニットは、0-100km/h加速 6秒以内
- 各領域のレスポンスを上げる数々のテクノロジーを投入し、走りの質を向上
STは、フォーカスのなかでもRSに次ぐスポーツモデルであり、スポーツモデル開発部門の「フォードパフォーマンス」が開発を担当しています。
フォード フォーカスST 紹介動画(約2分10秒)
スタイリングとインテリア
- 先代MK3のシャープなラインからマッシブな印象へ進化
- 標準モデルとの差異は敢えて少く落ち着いた雰囲気に
- 控えめな主張しすぎないスポイラー、静かな迫力のツインエキゾースト
- フロントシートは専用設計。定番のレカロ製
- ステアリングも専用設計のスポーツステアリング
- インフォテインメントシステムは最新のSYNC3
エクステリアのポイントは、Mk3がニュー・デザイン・ランゲージを採用したシャープなラインであったのに対して、新型Mk4はグラマラスともマッシブともいえる造形のボディラインが印象的です。
STは派手なエアロパーツなどを備えておらず、一見、標準モデルとの差異があまりないように感じますが、ST専用のフロントグリル、大径ホイールとブレーキ、リアスポイラーやディフューザー付の左右出しマフラーなど、静かにハイパフォーマンスであることを主張する仕立てになっています。
ボディカラーは下記の全8色。ホイールは18インチがシルバー・マグネタイトの2色、19インチはマグネタイトのみ用意されるようです。
インテリアはブラックを基調とし、各所にSTのロゴが配置されています。STの装備として、専用設計のフロントシートはお馴染みのレカロ製。ほかにも専用設計のスポーツ・ステアリングホイールや、アルミ製シフトノブなどが奢られ、オーナーのスポーツマインドを刺激します。
インフォテインメントシステムはフォード最新のSYNC3を装備。大画面8.0インチディスプレイを中心としたこのシステムは、AppleCarPlayやAndroidAutoなど、スマートフォンのミラーリング機能に対応しています。
オーディオにはフォードの定番になっている、Bang & Olufsen(B&O)のオーディオシステム搭載車も設定。走りだけではだけでなく、音の良さでもオーナーを満足させてくれることでしょう。
快速スポーツワゴン、フォーカスST エステート
ワゴンボディのエステートの画像も公開され始めました。ハッチバック譲りのハンドリングを持ち、広大な荷室空間を必要とする方には魅力的な選択肢ではないでしょうか。
サイズは全長4668×全幅1825×全高1492mmで通常時で575L、リアシートを倒せば最大1620Lの室内空間を利用できます。
搭載されるエンジンと燃費
エンジンはガソリン、ディーゼルそれぞれ1種類が設定されています。
- ガソリン
2.3L 直4ターボ EcoBoost 280PS(206kw)/420Nm 6MT/7AT - ディーゼル
2.0L 直4ターボ EcoBlue 190PS(139kw)/400Mn 6MT/7AT
ガソリンは2.3LのEcoBoost。フォーカスRS Mk3やマスタングに搭載されているエンジンと基本的には共通で、ST向けにリチューニングしたもの。パワーは控えめながら、「レスポンシブパワーデリバリー」とフォードが謳う、レスポンスの良さがこのユニットの特徴です。
そのための施策の一つとして、給排気システムに独自のアンチラグテクノロジーを採用。スーパーカー「フォードGT」向けに開発されたこの技術は、アクセルオフ時にスロットルを開いたままにし、ターボからの空気の流れの逆転を軽減、コンプレッサの回転速度の維持により過給圧の立ち上がりを速めることを可能にしたもので、パワーレスポンスの向上に寄与しています。
ディーゼルは、フォードの最新ユニットEcoBlue。従来モデルのDuratorqと比べてパワー・トルク共にアップし、歴代フォーカスに搭載されたディーゼルユニットのなかで最も高性能なユニットです。
燃費はWLTP基準で、ガソリン 2.3L EcoBoostが約12.7km/L、ディーゼル 2.0L EcoBlueが約20.8km/Lとなっています。
駆動方式はFFで、トランスミッションは6MTと7AT※1が設定されます。ガソリンHB車の6MTには回転数を合わせてギアチェンジをアシストするレブマッチングテクノロジーを搭載※2でき、7ATも素早いギアチェンジを実現した新開発のオートマチックトランスミッションが採用されています。
※1:新型7ATは2019年7月現在、まだ販売されていません。
※2:オプションのパフォーマンスパックによる追加機能です。
走行性能とハンドリング
ドライバーを飽きさせない走り・ハンドリングには定評のあるフォーカス。標準モデルでも高い評価を得ていますが「走りに振ったST」ではいくつかの特別装備が与えられています。
まず、電子式LSDのeLSDをフォードのFF車で初めて装備、アンダーステアを大幅に軽減しました。また、路面状況に合わせて最適なセッティングに切替可能な3つ(ノーマル・スリッピー、スポーツ)のドライブモードを全車に標準搭載。パワステはフィエスタSTと同様にクイックレシオの電動式が組み合わされます。
さらに、ガソリンHBモデルには、CCD(Continuous Controlled Damping)と呼ばれるダンピングコントロール機能のある可変制御ダンパーが標準装備され、ディーゼルモデルには、コーナリング時のアンダーステアを抑えるトルクベクトリングコントロールが搭載されています。
気になる「Performance Pack」(HB車専用オプション)の内容も明らかになりました。走りを追求するオーナーにはこのパックオプションの選択がオススメです。
仕様(価格) | 装備内容 |
---|---|
ガソリン(£250) | トラックモードの追加 ローンチコントロール(6MT) シフトインジケーター(6MT) レブマッチングテクノロジー(6MT) マルチカラーアンビエントライト |
ディーゼル(£800) | CCD可変制御ダンパーの追加装着 トラックモードの追加 シフトインジケーター(6MT) マルチカラーアンビエントライト |
これらのテクノロジーの採用により、フォーカスSTが持つ走りの質はさらに高いものへと進化しています。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4388×1825×1458mm
【ホイールベース】2700mm 【トレッド】前/後:1567 / 1556mm
【車両重量】1508kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒直噴ターボ DOHC16V フロント横置
【総排気量】2261cc 【直径×内径】87.6×94.0mm 【圧縮比】10.0
【最高出力】280ps(206kw)/5500rpm 【最大トルク】420Nm/3000-4000rpm
【燃料容量】52L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】6MT
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)マルチリンク
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ディスク
【タイヤ】(前後)235/40R18 or 235/35R19 (Michelin Pilot Sport 4S)
●パフォーマンス
【最高速度】250km/h 【0-100km/h加速】5.7秒
【燃費】約12.7km/L(新欧州複合基準)
【価格】£31,995(英国仕様)
歴史とトリビア
フォーカスST関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- 初代フォーカスは1999年の欧州カーオブザイヤーと2000年の北米カーオブザイヤーを受賞したベストセラーカー
- STグレードは初代フォーカスから設定され、Mk1とMk2は日本に正規導入された
- 歴代フォーカスは優れたハンドリングでゴルフと双璧を成すベンチマークカー
- Cセグメントホットハッチは激戦区の市場。開発の主戦場はニュルブルクリンクに
- 生産はドイツ・Saarlouis工場。この工場にフォードは6億ユーロを投資
ライバル
フォーカスSTが属するCセグメントホットハッチは激戦区。かつてルノー メガーヌRSが火をつけたニュルブルクリンクでのラップタイム戦争はより熾烈なものとなっています。現在はホンダ シビックタイプRがレコードホルダーとなっていますが、ブランドとして独立したクプラ(レオン)をはじめ、各社のライバルたちが王者の座を虎視眈々と狙っています。
- フォルクスワーゲン ゴルフGTI / ゴルフR
- アウディ S3 / RS3
- ルノー メガーヌRS
- メルセデスベンツ A35 AMG 4MATIC
- クプラ レオン
- ヒュンダイ i30N
- ホンダ シビックタイプR
並行輸入するなら。オススメのグレードと発売時期・価格情報
かつてはフォーカスST(Mk1とMk2)は日本に正規導入されていましたが、フォードが日本市場から撤退した現在、フォードが再上陸し、フォーカスST Mk4が正規導入される可能性は残念ながらほとんど無いでしょう。現時点では並行輸入で手に入れるしかありません。
新型フォーカスST Mk4では、従来のST-1からST-3といった仕様分類はなされずに、単一仕様になります。オプションとしてはパノラミックグラスルーフ(開閉可£995)、ブラインドスポット感知システム(£400)、ヘッドアップディスプレイ(£400)、ハンズフリーテールゲート(£450)、スマホ等のワイヤレスチャージ(£100)等があります。
オススメは、やはり3ペダルのホットハッチ。フォーカスST 5ドアハッチバックにガソリン 2.3L EcoBoostと6MTの組み合わせをでしょう。走りとユーティリティの両立を希望される方にはエステートがオススメです。
※新型7ATは2019年7月現在、まだ販売されていません。
- フォード フォーカスST Mk4 5Dr 2.3L EcoBoost 6MT
- フォード フォーカスST Mk4 エステート 2.3L EcoBoost 6MT
今後デビューする次期型フォーカスは、どれも電動化されたパワーユニットになると言われています。そのため、Mk4は純内燃機関最後のフォーカスSTとなる可能性もあるため、興味がある方はぜて手に入れて頂きたい一台です。
そのほかの情報については下記リンクより公式サイトをご参照ください。
(£1=135円時・値引き交渉前価格)
(値引き交渉前現地価格:£31,995)\5,850,000
(値引き交渉前現地価格:£33,095)\5,998,000
ディーゼル車をご希望の方へ
参考乗出し価格が掲載されていない場合には、別途お見積りいたしますのでお問合せ下さい。
なお、ディーゼル車を取り巻く環境は年々厳しくなっています。ディーゼルエンジン搭載車をご希望の場合には以下の記事もご覧ください。
画像と動画
フォード フォーカスST プロモーションムービー(約1分25秒)