日本でも人気のシトロエン ベルランゴをはじめとする兄弟車が欧州では続々とフェイスリフトされていますが、各車のバン仕様も同時に行われています。
プジョー リフターのバン仕様に相当するパートナー/パルトネール(PEUGEOT Partner)もフェイスリフトで各所がアップデートされました。
今回はプジョーの小型LCV「パートナー」のフェイスリフトされた新型モデルの内燃機関仕様を中心に解説。概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
プジョー 新型パートナーとは
パートナーは、プジョーの小型LCVです。ボディサイズは全長:4,403mm×全幅:1,848mm×全高:1,880 mm(ミラー部分を含まず)と、国産車では日産 NV200バネットやトヨタ タウンエースと比べると一回り大きいサイズとなります。
初代モデルのデビューは1996年、プジョー最小のLCVとしてデビューしました。多くの部分をシトロエン ベルランゴと共用しており、Aピラーから荷室までをシームレスに繋いだルーフラインを採用しました。従来多くの欧州小型LCVが採用していた車体後半を箱型の荷室にしたフルゴネット型と比べて、スタイリッシュでより乗用車に近い雰囲気になるほか、ドライバーの頭上空間の拡大にも寄与しました。2008年にデビューした2代目モデルは、シトロエン ネモなどの兄弟車となるビッパーが新たにプジョー最小LCVの役割を担うことになり、パートナーのボディサイズは拡大されました。初代および2代目モデルは、貨物用途のバン仕様と乗用用途のMPV仕様共にパートナーとして展開されました。市場からも高評価を得ており兄弟車のベルランゴと共に好調なセールスを記録しています。
3代目モデルは2018年のジュネーブショーでデビューしました。フルモデルチェンジ前に弟分となるビッパーの販売が終了したため、再びプジョー最小LCVの役割をに担うことになりました。貨物用途のバン仕様は引き続きパートナーとして展開される一方、乗用用途のMPV仕様はリフターとして新たに独立することになりました。プジョーが提唱するPEUGEOT i-Cockpitコンセプトの適用や、新世代ディーゼルユニットの採用ほか使い勝手の良さなどが市場で評価され、デビュー直後の2019年インターナショナル・バン・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。兄弟車には初代以降多くの部分を共有するシトロエン ベルランゴをはじめ、トヨタ プロエースシティ、新たにステランティス入りしたフィアット ドブロ、オペル/ボクスホール コンボと5兄弟になりました。
2023年にはベースを共有する兄弟車やプジョーLCVファミリーのボクサー、エキスパートと同時期にフェイスリフトが行われ、エクステリアやインテリアをはじめデジタル面など広範囲に渡り改良されました。メーカーは「プロフェッショナルに向けて独自で自信に満ちたデザイン、新しいテクノロジー、日常生活を豊かにする快適性と効率化を実現している」とコメントしています。貨物用途のバン仕様と、貨客混在のダブルキャビン(英国仕様はクルーバン)が設定されており、このフェイスリフトされた新型モデルは2024年に販売開始されました。
乗用仕様のリフターが初めて日本に正規導入された一方、バン仕様のパートナーは初代以降、日本市場に正規導入された実績はありません。
ココがスゴイ!プジョー 新型パートナー
プジョー 新型パートナーを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- よりスタイリッシュでより快適にアップデート
- パネルバン/ダブルキャビンの設定
- 乗用仕様(リフターの欧州仕様)にない内燃機関仕様のラインナップ
- 17種類の運転支援システムを採用
- PEUGEOT i-CockpitにAI機能を統合
スタイリングとインテリア
- 最新プジョーのデザインを取り込みアップデート
- 2種類のボディタイプを設定
- 人間工学に沿い質感が向上したインテリア
- デジタル面も大きくアップデート
ボディタイプは従来モデル同様、標準ホイールベースとなる全長4,401mmのL1(Short)とロングホイールベースとなる全長4,751mmのL2(Long)の2種類がラインナップされています。
エクステリアは今回のフェイスリフトでフロントセクションが中心に変更されました。近年プジョーが採用する新しさとクラシックさが共存したデザイン処理が取り込まれ、「”time”and living in the moment.」のコンセプトを元にアップデートされたプジョーの盾型新ロゴを組み込んだフロントグリルのほか、新デザインのバンパー、一部仕様はLEDとなるヘッドライトには3本の爪が入った独特なデザインのものが採用されました。リアは従来のブルーライオンの代わりに「PEUGEOT」のメーカー名エンブレムが大型化されています。スライドドアは基本的にはスチールパネルの片側スライドドアが装備され、オプションで両側スライドドアも選択可能です。(ダブルキャビン仕様はガラスウインドウ入りが装備)バックドアは欧州LCVならではの観音開きフルスチールバックドアが標準装備され、オプションでガラスウィンドウ入りの観音開きバックドアなどが選択可能です。
インテリアはより人間工学に沿い高い品質のものにアップデートされました。Peugeot i-Cockpitのコンセプトを適用した特徴的な小径ステアリングと、メータークラスターを高い位置に配置した視野性の高いレイアウトは継承しつつ、新設計されたインストルメントパネルは拡大されたタッチスクリーンをドライバーから見やすい位置に統合しました。兄弟車のシトロエン ベルランゴやトヨタ プロエースシティなどが基本的にインストルメントパネルのデザインを共有するなか、パートナーは独自のものになります。
シートは長距離長時間乗車するLCVとして疲れづらいシートが備わるほか、シート表皮も見直され、高い耐久性をもちつつエレガントな生地が採用されました。シート配列はバン仕様はフロント1列で、助手席1人掛けの2人乗りのほか、助手席2人掛けベンチシートを備えた3人乗りも選択可能です。Multi-flexと呼ばれるこのベンチシートは中央席を折りたたむとシートバックテーブルがあり、モバイルオフィスとしても使えそうです。ダブルキャビン仕様は乗用仕様のリフターのように2列5人乗りが設定されています。
デジタル面も大幅にアップデートされ、ドライバーが必要な情報を選択してカスタマイズできるデジタルクラスターを初採用したほか、10インチタッチスクリーンに組み合わされるインフォテインメントシステムは、新たにAI機能のChatGPTが統合されました。加えて今回のフェイスリフトではスマートフォン接続(AppleCarPlay/AndroidAuto)もワイヤレス接続対応になりました。
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ガソリン、ディーゼルそれぞれが設定。
- ガソリン
1.2L 直3ターボ PureTech110 110PS(81kw)/205Nm - ディーゼル
1.5L 直4ターボ BlueHDi100 102PS(75kw)/250Nm
1.5L 直4ターボ BlueHDi130 130PS(96kw)/300Nm
乗用仕様となるリフターの欧州仕様がBEVのみになった一方、バン仕様のパートナーには内燃機関仕様がラインナップされています。ガソリンは1.2L 直3ターボのPureTech110が設定されています。日本にもステランティスのモデルで導入されているコンパクトさと低燃費を両立した定評のあるユニットで、燃費性能は新欧州複合で14.9km/Lです。ディーゼルは1.5L 直4ターボのBlueHDiに102PSと130PSの2種類のチューニングが設定されています。
駆動方式はFFで、トランスミッションは6速MTを中心にBlueHDiの130PS仕様に8速ATのEAT8が設定されます。従来モデルはダイヤル式のセレクターが採用されていましたが、パドルシフトが組み合わされるトグルスイッチ式に変更されました。
積載量と荷室空間
新型パートナーの荷室に関するスペックは以下の通りです。標準ホイールベースのL1、ロングホイールベースのL2のボディタイプの差は、ほぼそのまま荷室空間の差となります(バン仕様)。乗員と荷室の間にはフルスチールのバルクヘッドが設定され、一部が貫通することで長尺物の積み込みが可能です(バン仕様)。どちらのボディタイプでもユーロパレットをそのまま2つ積載できる空間が備わっています。
ボディタイプ | L1(Short) | L2(Long) | L2(ダブルキャビン) |
---|---|---|---|
最大荷室長(mm) | 1,817~3,090 | 2,167~3,440 | 1,450~3,050 |
最大荷室幅(mm) (カッコ内は両側スライドドア仕様) |
1,630(1,527) | ← | ← |
ホイールアーチ間荷室幅(mm) | 1,229 | ← | ← |
最大積載容量(立方メートル) | 3.3~3.8 | 3.9~4.4 | 3.5~4.0 |
最大積載量(kg) | 982~1,059 | 927~953 | 840 |
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,403×1,848×1,880 mm(ミラー部分を含まず)
【ホイールベース】2,785mm 【トレッド】前/後:1,548 / 1,568mm
【車両重量】 -kg
●エンジン
【構成】水冷直列3気筒ターボ DOHC12V フロント横置き
【総排気量】1,199cc 【直径×内径】 75.0×-90.5mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】110ps(81kw)/5,500rpm 【最大トルク】205Nm/1,750rpm
【燃料容量】60L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】6MT
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)ウィッシュボーン
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ディスク
【タイヤ】(前後)195/65R15
●パフォーマンス
【最高速度】172km/h 【0-100km/h加速】12.6秒
【燃費】約14.9km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2024モデル:€23,919
歴史とトリビア
プジョー 新型パートナー関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- 内燃機関のほかBEV仕様もラインナップ
- 欧州をはじめオーストラリアなどでも展開
- 3代目モデルで乗用仕様はリフターとして独立
- シトロエン ベルランゴをはじめ現在は5兄弟に
- 南米向けなどにはフィアット フィオリーノ(南米版)の兄弟車を展開
ライバル
新型パートナーが属する欧州小型LCVは、シトロエン ベルランゴをはじめとする兄弟車をはじめ、国産メーカーなどもラインナップするライバルの多い市場です。そのなかでも近しいライバルとして日本でも人気のルノー カングーのバン仕様を挙げます。
- ルノー カングー・バン/エクスプレス
- フォルクスワーゲン キャディ・バン
- メルセデス・ベンツ シタン
- フォード トランジット・コネクト
- シトロエン ベルランゴ・バン
- トヨタ プロエースシティ
- 日産 タウンスター・バン
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
はじめて日本に導入された乗用仕様のリフターが人気である一方、バン仕様のパートナーが正規導入された実績はありません。現時点(2024年7月現在)でステランティスが展開する各ブランドで小型LCVのバン仕様が導入されていないため、今後もパートナーが正規導入される可能性は残念ながら低いと予想されます。そのため、確実に手に入れるなら引き続き並行輸入がおすすめです。新型パートナーのグレード構成は以下の通りです。左ハンドル欧州仕様/右ハンドル英国仕様共に、貨物用途のバン仕様と、貨客混合のダブルキャビン(英国仕様はクルーバン)がラインナップされております。
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)
現時点(2024年7月時点)で左ハンドル欧州仕様はモノグレードとなり、各種オプションが選択できるようになっております。
- PARTNER
15インチスチールホイール(ダブルキャビンは16インチ)+センターキャップ、無塗装フロント/リアバンパー&サイドプロテクションモールディング、電動調整ヒーテッドドアミラー、180度開閉観音開きバックドア、片側スライドドア(ダブルキャビンはガラスウィンドウ付き)、フルスチールバルクヘッド、マニュアルエアコン、オーバーヘッド収納、2列目シート(ダブルキャビンのみ)、Bluetooth/USB接続対応デジタルラジオなどが装備
グレード構成(右ハンドル英国仕様)
- PROFESSIONAL
16インチスチールホイール+センターキャップ、180度開閉観音開きバックドア、片側スライドドア(Short)/両側スライドドア(Long)、電動調整ヒーテッドドアミラー、衣類フック付きフルバルクヘッド、運転席6ウェイ調整+ランバーサポート、パワーウィンドウ、マニュアルエアコン、オーバーヘッド収納、ダッシュボード12Vアクセサリーソケット、ラジオ+Bluetooth&USB接続、2スピーカー、スマートフォンステーション、クルーズコントロール、リアパーキングセンサーなどが装備 - ASPHALT
(PROFESSIONALに対して)16インチスチールホイール+フルホイールキャップ、カラードフロント/リアバンパー、デイタイムランニングライト内蔵LEDヘッドライト、電動格納式ヒーテッドドアミラー、Multi-flex モジュール式折りたたみ助手席ベンチシート、電気式パーキングブレーキ、10インチデジタルクラスター、10インチタッチスクリーン、2スピーカー+2ツイーター、ステアリングコントローラー、ダイナミックサラウンドビューなどが装備 - クルーバン・PROFESSIONAL(クルーバンはモノグレード)
16インチスチールホイール+センターキャップ、180度開閉観音開きバックドア、ガラスウィンドウ付き片側スライドドア(Short)/両側スライドドア(Long)、ショートアンテナ、2人掛け助手席ベンチシート、運転席6ウェイ調整+ランバーサポート、2列目ベンチシート、マニュアルエアコン、オーバーヘッド収納、ダッシュボード12Vアクセサリーソケット、ラジオ+Bluetooth&USB接続、スマートフォンステーション、ハイビームアシスト、クルーズコントロール、リアパーキングセンサーなどが装備
新型パートナーのオススメは、左ハンドルのL1ボディに、ガソリンPureTech110と6MTの組み合わせです。欧州LCVのなかではコンパクトでも、たっぷり積めるL1ボディに、左ハンドル欧州仕様は現時点でモノグレードですが、日本で乗るのに必須のエアコンをはじめバンモデルのなかでは標準装備が充実しています。これに燃費もよく軽やかな回転感覚が魅力のPureTech110と6MTの組み合わせは、お仕事に活用しつつも運転も楽しめるチョイスです。一方、家族や仲間を乗せ、レジャーアイテムが濡れたり汚れたりしても気にせず荷室にがっつり積むギア的な使い方として2列シートのダブルキャビンもよさそうです。
たくさん積めて、長距離長時間でもしっかり走れる欧州LCVのパートナーは、フェイスリフトでさらに完成度が高まり魅力が増しました。実用一辺倒になりがちな国産商用バンとはひと味違うこの一台をお好みの仕様で欧州からお取り寄せしてみませんか。
- プジョー 新型パートナー パネルバン L1 1.2 PureTech110 6MT(左ハンドル欧州仕様)
- プジョー 新型パートナー ダブルキャビン L2 1.5 BlueHDi130 EAT8(左ハンドル欧州仕様)
- プジョー 新型パートナー PROFESSIONAL L1 1.5 BlueHDi130 EAT8(右ハンドル英国仕様)
ほかにも右ハンドル欧州仕様のほか、2ペダル8AT仕様などについても並行輸入可能ですのでお気軽にお問い合わせください。
(€1=160円時/£1=190円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€23,919)\5,537,000
(現地値引き交渉前価格:€32,130)\7,296,000
(現地値引き交渉前価格:£29,130)\7,751,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。