長年ルノー カングーがベストセラーを続けていた欧州小型LCV市場ですが、2018年にPSAがシトロエン ベルランゴ/プジョー リフターをフルモデルチェンジしたのを皮切りに、トヨタもプロエース シティ・ヴァーソ、グループPSA(現ステランティス)入りしたオペル/ボクスホールはコンボ・ライフを兄弟車入りさせて気が付けば4兄弟に。
また、フォルクスワーゲンは17年ぶりにキャディをフルモデルチェンジ。そして2021年には満を持してルノー カングーがフルモデルチェンジ。欧州では市場がヒートアップしています。そこでカングーの兄弟車の”あのモデル”も後を追ってフルモデルチェンジされました。
今回はメルセデス・ベンツの小型LCV「シタン」をベースにしたMPV、乗用モデルのシタン・ツアラー(MercedesBenz Citan Tourer)の2021年にフルモデルチェンジした新型モデルを解説。概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
メルセデス・ベンツ シタン・ツアラーとは
シタン・ツアラーは、メルセデス・ベンツの小型LCVをベースにしたMPVモデルです。従来モデルは複数のホイールベース仕様がラインナップされていましたが現時点ではノーマルホイールベース仕様のみの展開で、今後ロングホイールベース仕様なども追加される可能性がありそうです。ボディサイズは全長:4,498mm×全幅:1,859mm×全高:1,832 mm(ミラー部分を含まず)と、国産車と比較すると全長は5ナンバーサイズミニバン(日産 セレナやトヨタ ノア兄弟)なと比べると若干短い一方、幅は1クラス以上広くなっています。今回のフルモデルチェンジでボディサイズは拡大されており、ライバルのベルランゴ兄弟に近くなりました。
初代モデルは2012年、かつて日本にも導入されたAクラスのプラットフォームを使用したバネオの後継的な車種としてデビューしました。ダイムラーがルノー日産アライアンス(当時)と業務提携したことから生まれた2台目カングーをベースにした兄弟モデルで、エクステリアの各所やインテリアはメルセデスが専用設計したものになりました。この大きなスリーポインテッドスターを掲げた小型LCVは日本に導入されませんでしたが。気になったユーザーも多くウィズトレーディングでも多くの問い合わせおよび並行輸入実績があり、動画でも紹介されています。
現在販売されているのは2021年にフルモデルチェンジしたカングーの後を追ってフルモデルチェンジした2代目モデル。プラットフォームは3代目カングーと共用され、従来のBセグメント級プラットフォームからCセグメント向けのCMF-Cプラットフォームにランクアップされました。生産もカングーと同じくフランス・モブージュの工場で行われます。メルセデス・ベンツのLCVとしては「スプリンター」「Vito」に次ぐ末っ子的な存在で、商用モデルのパネルバンとなるシタンのほかに、今回紹介する乗用モデルのシタン・ツアラーがあります。これに加えてプラットフォームを共有し、より豪華な「Tクラス」が2022年追加予定と言われています。
メーカーはシタン・ツアラーを「メルセデス・ベンツのモデルとして胸を張れる作りの良さと質感」「Vクラスよりもファミリー向けなMPV」とアピールする一方、新型シタンはメルセデス・ベンツのLCVでは最後の内燃機関モデルであることを発表しました。シタンのピュアEV仕様としてeシタンが追加されるほか、今後のメルセデス・ベンツのLCVはEVにシフトするようです。
メルセデス・ベンツ シタン コンセプト紹介動画(約1分40秒)
ココがスゴイ!メルセデス・ベンツ シタン・ツアラー
メルセデス・ベンツ シタン・ツアラーを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- メルセデスブランドに合わせて兄弟車と差別化
- コンパクトなボディに余裕の室内空間と高い積載性
- 最新のターボユニットにアップデート
- メルセデスLCV最後の内燃機関モデル
- エクステリア、インテリア、走りまでメルセデス流にチューニング
スタイリングとインテリア
- 最新のデザイン哲学「センシュアル・ピュリティ」を導入
- 一目でメルセデスと分かるエクステリア
- 専用設計インテリアで兄弟車と差別化
- メルセデスの最新インフォテイメントシステム「MBUX」を採用
従来モデルは複数のホイールベースのボディが設定されていたシタン・ツアラーですが、現時点では標準ホイールベース仕様からの販売で、3列シート仕様なども現在は設定されていません。今回のフルモデルチェンジでは、ベースとなるカングーとより明確な差別化が行われました。ポイントはメルセデスの最新デザイン哲学「センシュアル・ピュリティ」(官能的純粋)の導入。筋肉質なショルダー部分と、ボリュームのある印象的なホイールアーチなどをはじめとするエクステリアは小型LCVではめずらしい造形です。もちろんグリル中央に大きく構えたスリーポインテッドスターは、シタンがメルセデス・ベンツの一員であることをしっかりと主張しています。
シタン・ツアラーは乗用向けモデルとしてリアウィンドウおよびウィンドウ付きテールゲートを標準装備。引き続き採用される両側スライドドアは最大615mmの広い開口部が用意され、バックドアは跳ね上げ式、フロントドアは90度まできっちりと開き、高い乗降性を提供します。
インテリアは今回のフルモデルチェンジで室内スペースをさらに拡大。より余裕のある空間が提供され、ユーロパレットをそのまま飲み込むLCV譲りのラゲッジスペースも継承しています。
インテリアのポイントは、水平のラインを基調にした飛行機の翼の形からインスピレーションを得たダッシュボード。水平ラインが横切るのと同時にメーターパネルや各種コントロール部分などのコンポーネントが連続で配置されることで、視覚的にも広々とした空間を演出します。ほかにはこちらも飛行機のエンジンのような吹き出し口などのパーツもシタン専用設計です。これらは過剰な装飾はありませんがカングーの面影はなく、上級LCVのスプリンターや乗用モデルに共通したもので、メルセデス・ベンツのモデルとしてしっかりと兄弟車と差別化。現地メディアはこのインテリアを「完全にメルセデスである」と評価しています。
使い勝手ももちろん考えられており、シートバックテーブルや、分割で折りたためる後席シートのほか、メーターパネル上部の小物入れ、多くのUSBインターフェースなど細かいところまで気配りがされています。
そしてもうひとつのポイントは最新のインフォテイメントの採用。7インチタッチスクリーンを中心としたこのシステムは、最新のMBUXが組み込まれています。仕様によっては「Hiメルセデス」で呼び出せる音声アシスタントが使用可能なほか、スマートフォンのワイヤレスチャージャーも備えています。
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ガソリンとディーゼルの設定。
- ガソリン
1.3L 直4 ターボ 110 M200 102PS (75kw)/200Nm
1.3L 直4 ターボ 113 M200 131PS (96kw)/240Nm
- ディーゼル
1.5L 直4 ターボ 110CDI OM608 95PS (70kw)/260Nm
今回のモデルチェンジで採用された全てのユニットに共通するのが「高効率」と「低摩耗性」。ガソリンは従来モデルの1.2Lから最新のM200と呼ばれる1.3Lユニットにリプレイスされ、2種類のチューニングが設定されています。これはルノーではTCe100/130(H5H)に相当するもので、アライアンス内の多くのモデルで採用されています。電子制御式ブースト圧コントロールを備えたターボチャージャーやアライアンス内の日産 GT-Rの技術を応用した摩擦低減コーディングを施したピストンの採用することで高効率と低摩耗性を実現。燃費性能はハイパワーな113仕様の欧州複合で15.3km/Lです。ディーゼルはOM608と呼ばれる1.5Lが1種類が設定されてます。これはルノーではdCi95(K9K)に相当するもので可変ジオメトリーターボ、水冷式インタークーラー、ハイテクスチール製ピストンを採用しこちらも高効率と低摩耗性を実現することで、高い環境性能と低燃費性能を両立しています。
駆動方式はFFで、トランスミッションは現時点で6MTのみの設定。今後まだ時期は未定ですが、従来モデルより多段化された7速デュアルクラッチトランスミッション仕様が追加予定であるようです。
走行性能とハンドリング
サスペンションはフロント:マクファーソン・ストラット、リア:トーションビームを採用。今回のフルモデルチェンジで開発チームが重視したのが「乗り心地」「走行性能」「安全性」のバランス。これらを総合してメルセデス・ベンツのモデルとしてブランドに相応しい走行特性を実現することであったようです。基本構成はベースとなるカングーと同じですが、シタン・ツアラーの場合、メルセデス・ベンツ独自のスプリングレートに調整されたスプリング、減衰力を適切にチューニングされたショックアブソーバーやスタビライザーなどの専用装備のほか、バンより積載量が少ない状態で最適化するなど快適性を重視した設定などメルセデスのDNAはしっかりと継承されています。
安全性に関しても新世代のCクラスやSクラスにも搭載されるアクティブ・レーン・キーピング・アシストを新たに採用。先進の運転支援機能にアップデートされました。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,498×1,859×1,832 mm(ミラー部分を含まず)
【ホイールベース】2,716mm 【トレッド】前/後:1,585 / 1,606mm
【車両重量 -kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント横置き 気筒休止機構付
【総排気量】1,333cc 【直径×内径】 -×-mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】131ps(96kw)/5000rpm 【最大トルク】240Nm/1600rpm
【燃料容量】54L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】6MT
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)トーションビーム
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ドラム
【タイヤ】(前後)-/-R-
●パフォーマンス
【最高速度】-km/h 【0-100km/h加速】-秒
【燃費】約15.3km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2021モデル:€29,738
歴史とトリビア
メルセデス・ベンツ シタン・ツアラー関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- メルセデス・ベンツのLCVラインナップでは末っ子的なモデル
- 日本にも導入されたバネオの実質的後継車種
- 2種類のボディタイプが設定
- 初代モデルには複数のホイールベースがあったが、カングー同様現時点では1種類
- プラットフォームを共有するTクラスが2022年追加予定
- 兄弟車となる日産 タウンスターも間もなく発売予定
ライバル
冒頭の通り、長年カングーがベストセラーを続けていた欧州小型LCVは、ベルランゴが4兄弟になり、キャディ、カングーと立て続けにフルモデルチェンジしてより熾烈でライバルが多い市場になっています。シタン・ツアラーのほかにもカングーの兄弟車として間もなく日産 タウンスターも発売予定です。(2021年11月現在)
- シトロエン ベルランゴ
- プジョー リフター
- トヨタ プロエース シティ・ヴァーソ
- オペル/ボクスホール コンボ・ライフ
- フォルクスワーゲン キャディ
- フォード トルネオコネクト
- ルノー カングー
- 日産 タウンスター
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
日本でも知る人ぞ知る存在であるシタン。前任モデルのバネオは正規導入されましたが、シタンは今まで正規導入された実績はありません。日本市場ではカングーが大人気な一方、他社との競合を考慮するとシタンが導入される可能性は、現時点で残念ながらあまり高くないと予想されます。そのため、新型シタン・ツアラーを確実に手に入れるなら並行輸入が確実な方法です。
シタン・ツアラーのグレード構成は以下の通りです。乗用モデルは現時点で左ハンドル欧州仕様からの展開となっています。
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)
- BASE
15インチスチールホイール+センターキャップ、電気式補助ヒーター、マルチファンクションステアリング、ヒーター付きエクステリアミラー、フロントパワーウィンドウ、ブラインドスポット・アシスト、アクティブ・レーン・キーピング・アシストなどが装備(エアコンはオプション) - PRO
(BASEに対して)15インチダブルスポークアルミホイール、ルーフレール、マニュアルエアコン、収納付きアームレスト、LEDインテリア照明、助手席12Vソケット、カラードドアハンドルとレールカバー、収納付きアームレストなどが装備
欧州左ハンドル市場から発売になったシタン・ツアラーですが、そのなかでも現時点でおすすめは左ハンドル欧州仕様のPROグレードにガソリン113仕様と6MTの組み合わせ。これは新型シタン・ツアラーのなかでも日本で乗るのに必須のエアコンをはじめ、充実装備のPROグレードに最もパワフルなガソリン113(131PS)仕様のチョイスです。現時点でまだ日本に導入されていない新型カングーは今後何らかしらの仕様が正規導入され、おそらく人気を得ることでしょう。カングーと似ているようで独自の世界観をもつシタン・ツアラー、ひと味違う欧州小型LCVベースMPVの選択肢として選んでみませんか?
- メルセデス・ベンツ シタン・ツアラー PRO 113 Standard Manual(左ハンドル欧州仕様)
- メルセデス・ベンツ シタン・ツアラー BASE 110 Standard Manual(左ハンドル欧州仕様)
ほかにもベーシックグレードのBASEや、ガソリン110仕様、パネルバン仕様のシタンも並行輸入できます。現時点で設定されていない右ハンドル英国仕様や、2ペダルEDC仕様をご希望するお客様も発売開始次第並行輸入できますので、お気軽にお問い合わせください。
(€1=130円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€29,738)\5,528,000⇒新発売特価(お問い合わせください。)
(現地値引き交渉前価格:€27,788)\5,236,000⇒新発売特価(お問い合わせください。)
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。