多くの日本人にとって馴染みがないであろう、ルーマニアの「ダチア(Dacia)」という自動車メーカー。日本には今まで一度も正規輸入されたことがありません。
でも、ルノーグループの一員で、日産車とメカニズムの共通した車種もあると聞けば、親しみがわくのではないでしょうか。
ダチア ドッカーとは?
ダチア ドッカー(Dacia Dokker)がどんなクルマか見ていきましょう。
・ルノー・日産の技術を流用してリーズナブルに
・商用モデルと乗用モデルの2本立て
・日本で乗るのにちょうどよいサイズ
・安全装備はケチらず十分
ドッカーはダチア初の“ルドスパス”
ドッカーはダチア初のLCV(小型商用車)として2012年に発売されました。乗用版はカングーと同じ“ルドスパス”(=商用車をルーツにもつ多目的乗用車)と呼ばれるジャンルのモデルです。
生産はルノーのモロッコ工場で行われ、ロシアではルノー・ドッカー、南米ではルノー・カングーとしても販売されています。
ルノー・日産の技術を流用しコストダウン
車体のベースとなるのは、ダチア M0プラットフォーム(Dacia M0 platform)。これは日産 マーチ(K13)やADバンが使用する日産・Bプラットフォームから派生したものです。
エンジンは1.3Lターボと1.6Lのガソリン、1.5Lのディーゼルで、1.6LにはLPGを使用できるバージョンも用意されています。すベてルノー・日産で実績のあるエンジンです。
商用車のドッカー・エクスプレス、クロスオーバーのステップウェイ
ドッカーには乗用車の「ドッカー」と、商用車の「ドッカー・エクスプレス」が用意されています。
乗用タイプは5人乗り。リーズナブルなモデルは樹脂むき出しのバンパーですが、上級モデルの「コンフォート」と、SUV風クロスオーバーモデル「ステップウェイ」はボディ同色です。
商用タイプは2人乗りのパネルバンで、上級モデルの「コンフォート」は後席ドアに窓ガラスが入ります。なお、乗用・商用モデルともに、最廉価グレードは左後席ドアがありません。
カングー1より大きく、カングー2より細長い
カングー1(1997〜2007)・カングー2(2007〜)とドッカーのサイズを比べると、ドッカーはカングー1とカングー2の中間にあたるサイズ感であることがわかります。
全長 | 全福 | 全高 | |
---|---|---|---|
カングー1 | 4,035mm | 1,675mm | 1,810mm |
ドッカー | 4,363mm | 1,751mm | 1,814mm |
カングー2 | 4,215mm | 1,830mm | 1,845mm |
真上から見ると、カングー1よりひと回り大きく、カングー2よりも細長いカタチです。現代の車としては十分狭い1,751mmという全幅は、日々の扱いやすさに繋がります。
カングー2のデビュー当時、日本車でいえばアルファードと同等となる広い全幅に、多くのカングーファンが衝撃を受けました。カングー1に乗っていた方なら、ドッカーのサイズ感は親しみやすいでしょう。
ダチア ドッカー のメカニズム
ダチアのクルマは、すでにルノーで実績のあるメカニズムのみを組み合わせて作られている、といっても過言ではありません。
エンジン
ドッカーのエンジンは以下の5つで、変速機はすべてマニュアルです。
燃料 | 排気量 | エンジン形式 | 最高出力/最大トルク | 変速機 | |
---|---|---|---|---|---|
SCe 110 | ガソリン | 1,598cc | 直列4気筒NA | 109ps/150Nm | 5MT |
SCe 110 LPG | LPG | 1,598cc | 直列4気筒NA | 107ps/145Nm | 5MT |
TCe 130 GPF | ガソリン | 1,332cc | 直列4気筒ターボ | 131ps/240Nm | 6MT |
dci 75 | 軽油 | 1,461cc | 直列4気筒ターボ | 75ps/200Nm | 6MT |
dci 95 | 軽油 | 1,461cc | 直列4気筒ターボ | 95ps/220Nm | 6MT |
1.6Lのガソリンエンジンは、日産 ADバンやNV200と同じH4M(=HR16DE)。このエンジンは、基本的に交換の必要のないタイミングチェーン式です。
※2021年1月現在、赤字のエンジンのみのラインアップです。
シャシー・サスペンション・ブレーキ
ドッカーは、日産・Bプラットフォームの派生版であるダチアM0プラットフォームを使用。これは、同じダチアのサンデロやロガンと共通で、全車FFです。
サスペンンションとブレーキは以下のとおりFFの実用車としてごく標準的な設計です。
サスペンション | ブレーキ | |
---|---|---|
フロント | マクファーソン・ストラット | ディスク |
リア | トーションビーム | ドラム |
安全性能
最もリーズナブルなグレードにはエアコンすらついていないドッカーですが、安全装備は現代の基本を押さえており、グレードによる差もありません。
全車標準装備
- 運転席&助手席エアバッグ
- 前席サイドエアバッグ
- 横滑り防止装置(ヒルスタートアシスト付き)
- タイヤ空気圧監視システム
- ISO-FIX対応シート(助手席&センターを除く後部座席)
- 後席ヘッドレスト×3
ダチア ドッカーの魅力
ダチア ドッカーには、かつてフランスの実用車が持っていた空気感が残っています。
あの頃のフランス車を彷彿とさせる「必要十分」さ
かつてのフランスの実用車は、豪華装備もなければエンジンも実用一点張りの地味なものばかりでした。
でも、長時間の走行が苦にならない快適な乗り心地や、正確なハンドリングなど、「移動のための道具」というクルマの本質に忠実に作られていたのです。
ドッカーには、シトロエンAXやプジョー504のような長大なストロークのサスペンションも、ルノー5(サンク)のように驚くほど大ぶりでふかふかのシートもありません。それに、初代トゥインゴのような歴史に残る名車というわけでもないでしょう。
豪華でも便利でもないけれど、自動車の基本がある
でも、ドッカーのハードプラスチック全開のインテリアや、むき出しのバッグドアヒンジなんかを見ていると「でもまぁ、これで十分だよな」って思えてきます。
実績ある技術を組み合わせて新興国向けにリーズナブルにクルマを提供するのがダチアの使命。その中で生まれたドッカーには、自動車の基本に立ち返ったシンプルさがあります。
今の日本では、こんな乗用車は手に入らなくなりました。右も左も、豪華で便利で家電のようになったクルマばかり。そんなクルマに飽きてしまった人にぜひおすすめしたい、自動車らしい自動車です。
ダチア ドッカーに日本で乗るには
では、日本に正規輸入されていないダチア ドッカーに乗るにはどうしたらよいのでしょうか?
日本にダチアのディーラーはないので輸入が必要
ダチアは日本に正規輸入されていないため、例えばメルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンのような正規ディーラーが存在しません。
そのため、日本でダチア車に乗る場合は「個人的に輸入を行う」か「並行輸入を行なっている業者から購入」する必要があります。
With Carsではダチア ドッカーの並行輸入を承っています
もし、日本でダチア ドッカーに乗りたくなったら、With Carsに一度ご相談ください。ヨーロッパで販売されているグレード・好みのオプションを組み合わせて日本に輸入します。
保証についての詳しい内容はこちら
With Carsがおすすめするドッカーはこんな仕様
今の日本の乗用車ではまず選べない「黒い樹脂バンパー」のグレードを選ぶのが、欧州の実用車っぽくて素敵です。せっかくドッカーに乗るなら、ぜひ選びましょう。
もっともリーズナブルな「Access」は左側後席のドアがないため日本では不便。ひとつ上の「Essential」に、エアコン(€600)とコンフォートパッケージ(チルトステアリング+運転席ハイトアジャスター €150)を追加するのがベターです。
昨今ディーゼルの排ガス検査が大変高額なこともあり、エンジンは1.6Lのガソリンがおすすめです。黒子に徹するエンジンは、古きよきフランス車の伝統でもあります。
それに、日産ADバンやNV200と同じエンジンと思えば、マイナーな欧州車に乗る不安も軽減しますよね。トランスミッションは自動的に5MTになります。
(1ユーロ=120円時・値引き交渉前価格)
(値引き交渉前現地価格:€10,600)\2,511,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。
ディーゼル車をご希望の方へ
参考乗出し価格が掲載されていない場合には、別途お見積りいたしますのでお問合せ下さい。
なお、ディーゼル車を取り巻く環境は年々厳しくなっています。ディーゼルエンジン搭載車をご希望の場合には以下の記事もご覧ください。