日本でも最近トヨタ ハイラックスが再導入され、復活の兆しが見えつつあるピックアップトラック市場。欧州ではメルセデス・ベンツなどが参入するなど、より活況を見せています。そんな欧州市場で長年愛されるピックアップトラックが三菱にはあります。今回は最近フェイスリフトされ、より商品性が向上したと言われている三菱 L200(MITSUBISHI L200)を解説。欧州で評価されつつも日本未導入ピックアップトラックの概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報をご紹介します。
三菱 L200とは
三菱 L200は、三菱の1トンクラスのミドルサイズピックアップトラックです。欧州ではL200ですが、タイをはじめアジアやオセアニア地域などではトライトン(TRITON)の名前で販売されています。ボディサイズは全長:5,300mm×全幅:1,815mm×全高:1,795mmと、日本で販売されているトヨタ ハイラックスに近く、かつて日本で販売されていたトライトンより若干大きくなっています。
現在販売されているモデルは、2015年にデビューした5代目モデルのフェイスリフト版で2018年にタイで発表されました。「究極のスポーツ・ユーティリティ・トラック」というコンセプトを掲げ、「ダイナミックシールド」デザインを導入したこのモデルは2400箇所以上の改良・変更が加えられ、エンジンを刷新するなど、フェイスリフトとは思えない程の変化となる力の入れようです。
欧州仕様は2019年のジュネーブモーターショーで発表され同年に販売開始。英国ではこのフェイスリフト版を「Series6(6代目)」としてプロモーションしています。生産はタイで行われ、欧州仕様も含め全てここから輸出されます。
L200の歴代モデルは、日本でも「フォルテ」、「ストラーダ」、「トライトン」の名前で販売されていました。4代目モデルはタイからの輸入車としての導入です。日本国内ではハイラックスの販売が途絶えていた時代も販売されていましたが、以降のモデルは2019年9月現在正規導入されていません。
ココがスゴイ!三菱 L200
新型 三菱 L200を語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- 三菱の新アイデンティティである「ダイナミックシールド」デザインを採用
- 高い環境性能の新2.2L クリーンディーゼルエンジンを搭載
- 2種類の4WDシステムを設定
- 先進の安全システムを新たに装備
- 2019年のベストピックアップを受賞
三菱 L200 CM動画(約50秒)
スタイリングとインテリア
- ダイナミックシールドを取り込み力強くシャープな印象に進化
- クラブキャブとダブルキャブの2種類のボディタイプを設定
- 乗用モデル並の質感高いインテリア
- インフォテインメントシステムがさらに進化
今回のフェイスリフトでの最大のトピックはデザインでしょう。最近の三菱車に共通する「ダイナミックシールド」を採用し、より力強くシャープな印象に進化しました。これはいわゆる「デリカフェイス」と言えばわかりやすいでしょうか。日本で新型デリカD:5が発表された際は賛否両論、大きな話題になりましたが、その後のeK X(クロス)やマイナーチェンジ版RVRでは違和感なく消化され、L200ではよりデザインへの取り込みに慣れてきているように感じます。今回はフロントセクションの変更だけでなく、ホイールアーチの拡大などにも手が入っています。
ボディタイプは2種類、2ドアのクラブキャブと4ドアのダブルキャブが設定されます。
インテリアはピックアップトラックとは思えない質感の高さが魅力です。インパネのデザインは従来モデルを継承していますが、手触りのよいソフトパッドを多用しているのに加え、日本仕様のアウトランダーPHEVや新型デリカD:5と同デザインのレザーステアリングの採用も寄与しています。
シートトリムはファブリックをはじめフルレザーも設定されます。上級仕様のBARBARIANはロゴ入りの専用品になります。これらのインテリアの質感および品質は乗用車に近いもの。メーカーでは初代L200から続くコンセプトである「サルーンのような快適性」とアピールしています。
インフォテインメントシステムは7インチのタッチスクリーンを採用。今回のフェイスリフトでフルタッチ端末に進化しました。ミラーリング対応でスマートフォンとの親和性が高いだけでなく、インパネ下部には充電やミラーリング用のUSBポートのほかにHDMI入力端子も装備(一部グレードを除く)、タブレットやデジタルカメラを接続して動画の確認も可能です。
搭載されるエンジンと燃費
搭載されるエンジンは新型 2.2L クリーンディーゼルのみの設定。
- クリーンディーゼル
2.2L 直4 MIVECターボ DI-D 4N14 150PS(110kw)/400Nm
フェイスリフトにあたり全車従来の2.4Lディーゼルから2.2Lに変更されました。可変バルブタイミング機構「MIVEC」を備えた4N14と呼ばれるこのユニットは、最新のデリカD:5に搭載されるものに近く、オールアルミ製でディーゼルエンジンとしては軽量な部類に入ります。
DPFに加えAdBlueを使用した尿素SCRシステムを採用することでクリーンな排気ガス性能も実現、Euro6d-Tempをクリアしています。燃費はNEDOで15.8km/L(MT仕様、AT仕様は15.3km/L)。
駆動方式は全車AWD。トランスミッションは6MTに加え、新たにスポーツモード付き6ATが設定。スポーツモデルはパドルシフトと合わせてマニュアルライクなスポーティな走りが可能であるとメーカーは謳っています。
走行性能とハンドリング
サスペンションはフロントにウィッシュボーン、リアにリーフリジットを採用、ピックアップトラックではコンベンショナルな組み合わせです。
L200のトピックとして2種類の4WDシステムの設定とオフロードモードの搭載があります。
「スーパーセレクト4WD-II」はパジェロにも採用されている本格派4WD車向けのもの。パワー、トランスミッション、ブレーキ等を統合制御する、次の4つの走行モードを走りながら切り換えることを可能としたシステムです。
- 後輪駆動(2H):燃費や騒音の悪化を抑える
- センターデフ付フルタイム4WD(4H):一般路からアイスバーンまで幅広く対応
- 直結4WD(4HLc):砂地や深い雪道など悪路の走破向け
- ローギア直結4WD(4LLc):岩場や泥ねい地の走破や、スタック時の脱出用
「イージーセレクト4WD」は「スーパーセレクト4WD-II」の簡易版ともいえるもの。直結4WD(4HLc)を除く3つの走行モードを路面状況に応じて容易に切り替えが可能です。
一つの車種に2種類のシステムを設定するのはライバルと比較しても稀ですが、これら4WDに対する思い入れは、ジープやパジェロなど、長年「ヨンク」と向かい合ってきた三菱ならではのこだわり言えるでしょう。ヒルディセントコントロール等ももちろん標準搭載。
また、リアダンパーの大容量化、フロントブレーキの大型化も行われています。
安全性も高く、先進安全システムとして歩行者検知機能付き衝突被害軽減ブレーキの「FCM」や後方車両検出システムの「BSW/LCA」に加え、エンジン出力とブレーキを制御して牽引時の安定性を向上する「TSA」も装備されています。
AUTOCAR誌の日本版でL200 Barbarian Xの試乗レポートが公開されています。”成功が予見できる優れた仕上がり”との総合評価を得ています。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】5,305×1,815×1,780 mm
【ホイールベース】3,000mm 【トレッド】前/後:1,520 / 1,515mm
【車両重量】2,035kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒直噴ターボ DOHC16V MIVEC フロント横置
【総排気量】2,268cc 【直径×内径】86.0×97.6mm 【圧縮比】14.4:1
【最高出力】150ps(110kw)/3500rpm 【最大トルク】400Nm/2000rpm
【燃料容量】75L
●駆動系
【駆動方式】AWD 【トランスミッション】6AT
【サスペンション】(前)ウィッシュボーン / (後)リーフリジット
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ドラム
【タイヤ】(前後)265/60R18
●パフォーマンス
【最高速度】約171km/h 【0-100km/h加速】-秒
【燃費】約15.3km/L(新欧州複合基準)
【価格】英国仕様 2019モデル:£38,577
コンセプトモデル トライトン アブソルート(Triton Absolute)
新型L200/トライトンを語るうえで忘れてはならないのが、2019年春のバンコクモーターショーで公開されたコンセプトモデル「トライトン アブソルート」です。
一言で言ってしまえば、L200/トライトンのパフォーマンスとヘビーデューティーさを前面に打ち出したカスタマイズモデルです。主な改修ポイントは以下の通り。
- サスペンションの換装により車高を50mmアップ
- ワイドトレッド化とオーバーフェンダーにより大型タイヤを装着
- 前後バンパーにはレッドのアクセントを施したアンダーガードを装備
- ボディサイドにもプロテクターを装着
- テールゲートも「MITSUBISHI」ロゴを主体にした専用品
- ルーフ部にはLEDライトとグラブバーを装備
今のところはコンセプトモデルですが、ぜひ、特別仕様車として発売してもらいたいモデルです。カスタマイズの方向性を決める際の参考にもなるでしょう。
歴史とトリビア
L200関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
初代モデルは1978年、乗用車ギャランなどのコンポーネントを使用したピックアップトラックとしてデビューしました。その生い立ち故にデザインも乗用車ライクなもの。丸目(前期)もしくは角目(後期)4灯のヘッドライトを配したデザインは当時のベストセラーだったギャラン・シグマやラムダを彷彿させるスタイリッシュさです。乗り味も従来の無骨なイメージのピックアップと比べ洗練された乗用車的なもので、日本ではフォルテの名前で販売されています。その後、ダブルキャブや三菱が得意とする4WD仕様などをラインナップに追加し、市場でも高評価を得ていきます。実際に欧州ではL200が最も販売台数の多い三菱車になることもあるようです。
- 今回のフェイスリフトモデルはL200デビュー40周年のタイミングで発表
- 全仕向地のL200をタイの工場で生産
- 一部仕向地にはシンプルなシングルキャブもあり
- フェイスリフト前モデルにはTopGearマガジンとコラボレーションしたモデルも
- 4代目モデルまでは日本でも販売されていた
ライバル
1トンクラスのピックアップトラックとして欧州には多くのライバルが存在します。三菱がグループ入りしたルノー日産アライアンスのなかにも日産 NP300ナバラ、ルノー アラスカン、メルセデス・ベンツ Xクラスがありますが、三菱は安易にL200をこれらの兄弟車にはせず、敢えてこのタイミングでフェイスリフトさせたことは、欧州市場で長年愛されていることに対する三菱のプライドなのかも知れません。最も近しいライバルとしては欧州メーカーよりも、驚異の耐久性を誇る「トヨタ ハイラックス」と、トラック開発に長けた「いすゞ D-MAX」ではないでしょうか。
- トヨタ ハイラックス
- いすゞ D-MAX
- 日産 NP300ナバラ
- ルノー アラスカン
- メルセデス・ベンツ Xクラス
- フォード レンジャー
- フォルクスワーゲン アマロック
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
4代目モデル(トライトン)までは日本市場に正規導入されていましたが、5代目モデルは今のところ正規で導入された実績はありません。冒頭の通り、トヨタ ハイラックスが好調ですが、後を追って導入されるかは不明です。そのため手に入れるためには並行輸入が確実な方法です。
英国仕様のL200のグレード構成は以下の通り。
- ベーシックで唯一クラブキャブが選べる「4Life」
- スーパーセレクト4WD-IIが設定されスマートフォン対応装備が付く「Warrior」
- Warriorのレザーシート仕様といえる「Warrior Lather」
- 上級グレードの「Barbarian」
- 360度パーキングカメラなどが装備される最上級グレードの「Barabarian X」
そのなかでもオススメはBarbarian Xの6AT仕様。三菱が培った高い悪路走破性とタフさを持ちながらも、上質で快適なドライバー空間が両立するこの組み合わせは、三菱が掲げた「究極のスポーツ・ユーティリティ・トラック」を具体化したチョイスです。
追加:欧州仕様左ハンドル
ベースグレードから、『BASIS』、『Spirit』、『PLUS』、『TOP』と、ダブルキャブは4グレード用意されます。
- 三菱 L200 2.2 Barbarian X Auto
- 三菱 L200 2.2 4Life Manual
ほかにも、6MTが選べるBarbarianや、シンプル&ベーシックなクラブキャブの4Lifeなども並行輸入できますので、お気軽にお問い合わせください。
(£1=150円時・値引き交渉前価格)
(現地価格:£32,540)\6,816,000
(現地価格:£22,955)\5,187,000
ディーゼル車をご希望の方へ
参考乗出し価格が掲載されていない場合には、別途お見積りいたしますのでお問合せ下さい。
なお、ディーゼル車を取り巻く環境は年々厳しくなっています。ディーゼルエンジン搭載車をご希望の場合には以下の記事もご覧ください。
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。