欧州で販売されるピックアップトラックは、LCVやMPVなどと共にウィズトレーディング(ウィズカーズ)ではお客様からのお問い合わせがとても多いジャンルのひとつです。日本ではトヨタ ハイラックスのみが販売されていますが、日本未導入の魅力的なピックアップトラックが欧州メーカーおよび国産メーカー問わずラインナップされています。そのなかでも、かつて新しいジャンルを切り開いた注目の一台がフルモデルチェンジしました。
今回はフォルクスワーゲンのピックアップトラックであるアマロック(VOLKSWAGEN Amarok)の新型モデルを解説。概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
フォルクスワーゲン アマロックとは
アマロックはフォルクスワーゲンの商用車部門であるフォルクスワーゲン・コマーシャル・ヴィークルズが手掛けたミドルサイズピックアップトラックです。ボディサイズは全長:5,390mm×全幅:1,910mm×全高:1,884 mm(ミラー部分を含まず)と国産車ではトヨタ ハイラックスに近く、欧州で販売されるピックアップトラックとしては標準的なサイズです。
アマロックの初代モデルは2010年にデビューしました。これはデビューに先立ち2008年に公開された「フォルクスワーゲン ピックアップ・コンセプト」の市販化にあたるもので、ピックアップトラックとしては1990年代後半まで販売されていたタロ(TARO)以来13年ぶりの復活となりました。タロはトヨタ ハイラックスのOEM車種でしたが、アマロックはフォルクスワーゲン独自開発のモデルとなりました。同社が得意とする乗用車的な質感の高さや、ハイパワーなV6レイアウトを採用したマルチシリンダーエンジンのラインナップなどで「プレミアムなピックアップトラック」として新たなジャンルを切り開き、追ってメルセデス・ベンツまでフォロワー(Xクラス 現在は生産終了)をラインナップすることになりました。初代モデルは世界の多くの地域および10年以上の長期に渡り販売されるベストセラーとなった結果、83万台以上のセールスを記録しました。
現在販売されているのは2代目モデルです。2022年にはフルモデルチェンジを行い、2023年に販売開始となりました。実に12年ぶりとなったフルモデルチェンジの大きなトピックとして、先立って行われたフォルクスワーゲンとフォードによる商用車開発の提携が挙げられます。これによりアマロックとフォード レンジャーは兄弟車として開発されることになりましたが、従来モデルのフォルクスワーゲンがもつ質感の高さと、フォードが長年積み重ねてきたピックアップトラックに対するノウハウの両方を手に入れることができました。開発は主にドイツとオーストラリアで行われ、先代モデル同様に欧州だけでなく、オセアニア、中東、アフリカなど多くの地域で販売される予定です。
新型モデルは「No matter what(どんなところでも/どんなことがあっても)」をスローガンに開発され、プロモーションなどでも使われています。新しいドライバーズアシスタントシステム、高効率のパワーユニットとAWDシステム、フォルクスワーゲンの明確なデザインDNAなど「世界で最もバランスが取れたピックアップトラックである」とメーカーはコメントしています。
日本市場には従来モデルも含めアマロックが正規導入された実績はありません。
フォルクスワーゲン アマロック PanAmericaコンセプト紹介動画(約30秒)
ココがスゴイ!フォルクスワーゲン アマロック
フォルクスワーゲン アマロックを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- フォルクスワーゲンの高品質さを継承
- 新たにフォードがもつピックアップトラックのノウハウを融合
- 引き続きV6マルチシリンダーディーゼルユニットを設定
- 全車AWDを標準装備
- 従来モデルと比較して走破性が向上
スタイリングとインテリア
- フォルクスワーゲンのDNAが色濃く反映されたエクステリア
- 選べる2つのトップスタイル
- 人間工学に基づいて設計されたインテリア
- デジタル面が従来モデルから大きくアップデート
欧州市場のボディタイプは現時点でダブルキャブのみのラインナップになり、ボディサイズは従来モデルと比べて全長が拡大されています。
エクステリアのデザインは全体的に直線的で、水平に走るバーが印象的なラジエターグリルなどで構成されるフロントセクションは従来モデルやT6.1トランスポーターなどフォルクスワーゲンのDNAが色濃く残されています。今回のフルモデルチェンジでは一部グレードに初となるIQ.LIGHT LEDマトリクスヘッドライトが採用されました。サイドは最大21インチのアルミホイールが収まるホイールアーチに沿って強化される樹脂パネルと直線的に入れられたフェンダーのラインがアクセントになっています。リアはテールゲートに大きなフォルクスワーゲンのロゴの配置とエンボス加工された「AMAROK」のネーミングがインパクトを与え、一部仕様ではクロームメッキ処理されたリアバンパーが花を添えます。
新型アマロックのトップモデルとしてメーカーは2種類の仕様を用意しました。効果的にクロームメッキ処理されたパーツを配置し、質実剛健ななかにもスマートで高品質さが光る「Avanture」と、対照的に各所のエクステリアパーツとアルミホイールをブラックアウトし、オールテレーンタイヤを履きこなしてピックアップとしてのタフさを前面に押し出す「PanAmericana」があり、ひと目で分かる違いを提案しています。
カーゴスペースは長さ1,544mm×幅1,244mmが確保されており、リアホイールアーチ間も1,206mmあるため、ユーロパレットがそのまま積み込むことが可能です。
今回のフルモデルチェンジで全長およびホイールベースの拡大に合わせて室内空間も広がり、主に後席の快適性が大きく向上しました。縦型の大型タッチスクリーンを中心としたインストルメントパネルをはじめ、質感高いインテリアは使い勝手も考えて設計されており収納も豊富です。ダッシュボード上の大きな収納棚や、助手席側には2つのグローブボックスをはじめ、ワイヤレス充電機能付き(一部仕様はオプション)センターコンソールや下部にはタブレットサイズも格納が可能なコンパートメントなど、仕様により合計20ものスペースが用意されています。そのほか、長距離長時間座っても疲れづらいシートの採用や、エアコンやインフォテイメントシステムに対して確実な操作ができるように敢えてロータリースイッチを用いるなど、フォルクスワーゲンの商用車プロダクトとして人間工学に基づいた設計がされていることはアマロックの美点のひとつです。
インフォテイメントシステムをはじめとするデジタル面も今回のフルモデルチェンジで大きくアップデートされました。全車標準装備となったタッチスクリーンは最大12インチの大画面が組み合わされます。新たに採用されたデジタルコックピットも最大12.3インチの大画面です。ほかにも上級グレードには最大640WとなるHarmanKardonが手掛けたオーディオシステムが組み合わされます。オーディオシステムについて兄弟車となるレンジャーはB&O(Bang&Olufsen)のシステムを採用しており、それぞれ異なるブランドを選択してることが興味深いです。
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ディーゼルの設定です。
- ディーゼル
2.0L 直4ターボ TDI 170PS(125kw)/405Nm
2.0L 直4ツインターボ TDI 205PS(151kw)/500Nm
3.0L V6ターボ TDI 240PS(177kw)/600Nm
現時点で設定されるのは全てディーゼルのTDIユニットなります。2.0L直4はシングルターボの170PS仕様とツインターボの205PS仕様が設定されています。2.0Lのツインターボ仕様でも十分な高出力ですが、注目は3.0LのV6ターボです。最近ではライバルでもダウンサイジングされるユニットが多いなか、従来モデルに引き続き設定されました。マルチシリンダーならではの滑らかな回転感覚と600Nmの強大なトルクを味わえるこのユニットは車重の重いピックアップトラックでも余裕のある動力性能と強力な牽引能力をもたらします。燃費性能は欧州複合で9.7km/Lです。
駆動方式は全車AWDとなる4Motionが設定され、トランスミッションは一部の仕様にコンベンショナルな6MTが設定されるほか、新たに電気式パーキングブレーキと共に採用された新開発のe-shifterを備える2ペダルの10ATが設定されています。
走行性能とハンドリング
サスペンションはフロント:ダブルウィッシュボーン、リア:リーフスプリングの組み合わせです。従来モデルと比べてフロントオーバーハングが短くなったことで、アプローチアングルが拡大され走破性が向上しました。
AWDシステムは6MT仕様に組み合わされるコンベンショナルなパートタイム式AWDのほか、オートマチック仕様には新開発のフルタイム式AWDが設定されています。これに合わせて最大6種類のドライビングプロファイルが用意されており、オンロードから滑りやすく過酷なオフロードまでさまざまな路面状況で安定した走りを提供します。
さらに今回のフルモデルチェンジではドライバーズアシスタント機能もアップデートされました。アダプティブクルーズコントロールをはじめ、最大20ものシステムがドライバーに対して提供されます。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】5,390×1,910×1,884 mm(ミラー部分を除く)
【ホイールベース】3,270mm 【トレッド】前/後:1,620 / 1,620mm
【車両重量】 2,365kg
●エンジン
【構成】水冷V型6気筒ターボ DOHC24V フロント縦置き
【総排気量】2,993cc 【直径×内径】 -×-mm 【圧縮比】16.0:1
【最高出力】240ps(177kw)/-rpm 【最大トルク】600Nm/-rpm
【燃料容量】80L
●駆動系
【駆動方式】AWD 【トランスミッション】10AT
【サスペンション】(前)ダブルウィッシュボーン / (後)リーフスプリング
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ベンチレーテッドディスク
【タイヤ】(前後)255/65R18
●パフォーマンス
【最高速度】180km/h 【0-100km/h加速】8.8秒
【燃費】約9.7km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2023モデル:€69,009
歴史とトリビア
フォルクスワーゲン アマロック関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- 初代モデルデビューに先立ちフォルクスワーゲン ピックアップ・コンセプトを発表
- ハイラックスのOEM車種であったTARO以来のピックアップトラック
- プレミアムピックアップトラックという新たなジャンルを開拓
- 初代モデルは世界83万台以上の販売実績
- 一部市場にはガソリンターボユニットも設定される予定
ライバル
欧州でも根強い需要のあるピックアップトラックですが、ライバルとして新たに兄弟車となったフォード レンジャーのほか、トヨタ ハイラックスやいすゞ D-MAXなど国産ブランドのモデルも長年大きな支持を得ています。
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
10年以上ぶりのフルモデルチェンジにより一気に各所がアップデートされたアマロックですが、先代モデルも含め日本に正規導入された実績はありません。ほかにも現時点ではフォルクスワーゲンの商用車プロダクトのモデルが導入されていないため、今後も正規で導入される可能性は残念がら低いと予想されます。そのため、確実に手に入れるなら引き続き並行輸入がおすすめです。アマロックのグレード構成は以下の通りです。当初は左ハンドル欧州仕様から発売開始されましたが、右ハンドル英国仕様の販売も始まり、現在は左右ハンドルどちらも選択可能です。(2023年9月追記)
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)
- Amarok
16インチスチールホイール+センターキャップ、無塗装樹脂バンパー、LEDヘッドライト、電動格納ドアミラー、8インチデジタルコックピット、10.1インチタッチスクリーン、マルチファンクションステアリング、マニュアルエアコン、リアパーキングエイド、リアカメラなどが装備 - Life
(Amarokに対して)17インチアルミホイール、カラードバンパー、LEDフォグランプ、アンビエントライティング機能付きヒーテッドドアミラー、リアプライバシーガラス、レインセンサー付きワイパー、電動パーキングブレーキなどが装備 - Style
(Lifeに対して)18インチアルミホイール、”IQ.Light”LEDマトリクスヘッドライト、クロームメッキ処理のリアバンパー、12.3インチデジタルコックピット、運転席/助手席パワーシート、12インチタッチスクリーン、ワイヤレス充電、フロント/リアパーキングアシストなどが装備 - PanAmerica
(Styleに対して)18インチ専用アルミホイール+オールテレーンタイヤ、LEDテールライト、X-Designボディ同色フロントバンパー、レザーシート、12インチタッチスクリーン、HarmanKardonプレミアムサウンドシステム、クルーズコントロール、リアデフロックなどが装備 - Aventure
(Styleに対して)20インチアルミホイール、LEDテールライト、X-Designボディ同色フロントバンパー、クロームメッキ処理されたブラックリアバンパー、クロームメッキのドアハウジングおよびドアハンドル、12インチタッチスクリーン、HarmanKardonプレミアムサウンドシステム、クルーズコントロール、リアデフロックなどが装備
グレード構成(右ハンドル英国仕様)
- Life
(Amarokに対して)17インチアルミホイール、LEDヘッドライト、カラードバンパー、マッドフラップ、レザーマルチファンクションステアリングホイール、Lifeファブリックシート、マニュアルエアコン、8インチデジタルコックピット、10インチタッチスクリーン、アダプティブクルーズコントロール、リアビューカメラ、電動パーキングブレーキなどが装備 - Style
(Lifeに対して)18インチアルミホイール、”IQ.Light”LEDマトリクスヘッドライト、グリルやサイドステップなどのクローム処理、10ウェイ(助手席は8ウェイ)電動調整フロントシート、アンビエントライティング、デュアルゾーンオートエアコン、12インチデジタルコックピット、12インチスクリーン、360度カメラ、パーキングアシストパックなどが装備 - PanAmerica
(Styleに対して)18インチブラックアルミホイール、X-Designボディ同色フロントバンパー、マットブラックスライリングバー、レザーシート、10ウェイ電動調整助手席シート、HarmanKardonプレミアムサウンドシステム、コンフォートサスペンションシステム、リアデフロックなどが装備 - Aventure
(Styleに対して)21インチアルミホイール、X-Designボディ同色フロントバンパー、クロームメッキのエクステリアミラー/ドアハンドル、レザーシート、10ウェイ電動調整助手席シート、ヒーテッドステアリングホイール、HarmanKardonプレミアムサウンドシステム、コンフォートサスペンションシステムなどが装備
多くのグレードがある新型アマロックですが、今回はオススメとして2つを挙げます。ひとつはPanAmericaグレードに3.0L V6と10ATの組み合わせです。これは最もハイパワーなV6 TDIユニットに、トップモデルのなかでも力強いエクステリアが印象的なPanAmericaグレードは見た目も性能も最強のタフで力強いピックアップとしてのチョイスです。もう一つはLifeグレードに2.0L TDIと10ATの組み合わせです。ピックアップトラックとして必要な装備をもち控えめながらも高品質なLifeグレードに十分な出力のツインターボTDIは、フォルクスワーゲンの商用車プロダクトとして長く付き合える最高のプロツールとしてのチョイスです。今回のフルモデルチェンジでフォルクスワーゲンの上質さとフォードのピックアップトラックのノウハウが融合し、大きく進化した新型アマロックはお仕事にもレジャーにも活躍してくれそうな一台です。プレミアムピックアップトラックというジャンルを切り開いたアマロックの第2章をオーナー自ら刻んでみませんか。
- フォルクスワーゲン アマロック PanAmerica 3.0TDI 240PS 10AT(左ハンドル欧州仕様)
- フォルクスワーゲン アマロック Life 2.0TDI 205PS 10AT(左ハンドル欧州仕様)
ほかにも右ハンドル英国仕様をはじめ、Aventureグレードからシンプルなグレードまで各グレードや、運転を積極的に楽しまれるユーザーには6MT仕様も並行輸入可能ですので合わせてお気軽にお問合せください。
(€1=140/£1=160円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€69,009)\12,224,000
(現地値引き交渉前価格:€54,809)\9,978,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。