「とうとうこのブランドまで参入するか!?」。この一台を知った時、きっとこういう風に思った方も多いのではないでしょうか?活況を見せている欧州のミドルサイズピックアップトラック市場。不動の信頼性を誇るトヨタ ハイラックスや、欧州で長年愛される三菱 L200など日本勢も健闘しています。そんな市場に満を持して参入したのがメルセデス・ベンツです。今回は同ブランド初となるピックアップトラック、メルセデス・ベンツ Xクラス(Mercedes-Benz X-Class)を解説。概要・スペック・価格・特別仕様車や並行輸入で乗るための情報をご紹介します。
メルセデスベンツ Xクラスとは
メルセデス・ベンツ Xクラスはルノー アラスカン、日産 NP300ナバラと主要コンポーネントを共有するピックアップトラックです。外装はXクラス専用のものが与えられ、内装は同社のサルーンを思わせる高いプレミアム性を持つことが特徴です。
全長:5,340×全幅:1,920mm×全高:1,839mmと欧州市場で販売されるピックアップトラックとしては平均的なサイズ。エンジンは2.3Lのディーゼルターボを搭載、2018年のジュネーブモーターショーではハイパワーなV6エンジンを搭載した上級グレード「X350d」が発表され、ラインナップに追加されています。
かつてはヘビーデューティ一本槍のモデルが好まれる傾向があったピックアップトラック市場。しかし、上質な乗り心地や質感の高さを武器にフォルクスワーゲンが2010年に投入したアマロックがこの潮流を変えます。後発ながらも「プレミアムなピックアップトラック」という新たな市場を開拓しました。さらには既存のライバル車や北米専用車も続々と乗用車的な高級志向にシフトしたのです。
この流れのなかで市場がメルセデス・ベンツに対してラインナップを求めるのも自然な成り行きだったと考えられます。2016年にコンセプトXクラスとしてデビュー、翌年欧州市場で販売開始されました。要望があったとはいえ、メルセデス・ベンツがXクラスで参入することに驚かれた人も多かったようです。ちなみにXクラスはメルセデス・ベンツだけでなく、プレミアムブランド初のミドルサイズピックアップトラックと言われています。
Xクラスの開発にはルノー日産アライアンスとの提携が生かされており、世界各地で長年販売されていて実績のある日産 NP300ナバラ(かつてのダットサントラック)のノウハウが数多く投入されています。
ココがスゴイ!Xクラス
メルセデス・ベンツ Xクラスを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- キーワードは「洗練」、全体的に高い洗練性が魅力
- ピックアップトラックになってもしっかり「メルセデス」であること
- プレミアム性と堅牢性の両立
- ハイパワーユニットも選択可能
- メルセデス・ベンツブランドに相応しい高い安全性
スタイリングとインテリア
- ボディタイプはダブルキャブのみの設定
- 筋肉質な強みが印象的なデザイン
- ピックアップトラックでは異例の高い質感を持つインテリア
- 乗用ユースでも余裕の室内空間
ボディタイプはダブルキャブのみで、ベースとなったNP300ナバラにあるシングルキャブは設定されていません。エクステリアでまず目に入るフロントグリルに二本の太いクロームが走る意匠は、メルセデスの乗用モデルに通じるもの。デザインは全体を立体的でグラマラスなラインで描きつつ、要所を引き締めるサイドラインの処理は、筋肉質な強みを持った印象を与え、タフなイメージのピックアップに合ったものと言えるでしょう。
外装の各パネルは兄弟車と共有するものはなく、全て専用のものが使われています。装備ではフロントバンパーはグレードによりカラードとマッドブラックが設定。ほかにもラゲッジを守るトノカバーやキャノピーなどを各種用意(カタログ参照)。ボディカラーはピックアップトラックとしては豊富な9色が設定されています。
インテリアは、流石メルセデス・ベンツのブランド名を背負うだけあって、ピックアップトラックとしては異例の高い質感。シートだけでなくインテリアトリムにもATTICOレザーを使用したり、最新メルセデス各モデルに共通する航空機のプラペラをモチーフにしたエアアウトレットを採用したインパネなど、乗った瞬間このクルマがピックアップトラックであることを忘れてしまいそうです。
シートはファブリックと、ARTICOレザー/DINAMICAマイクロファイバーシートがグレードに合わせて設定。オプションではブラック/ブラウンのレザーシートも選択可能です。室内空間も広く5人フル乗車でも余裕のある居住性です。インフォテイメントシステムは標準で7インチ(オプションで8インチ)のタッチパネルを備えたMercedes meを採用。ボイスコントロールにも対応しています。
搭載されるエンジンと燃費
搭載されるエンジンは以下の3機種。全てディーゼルです。
- ディーゼル
2.3L 直4ディーゼル ターボ 163PS(120kw)/403Nm 6MT X220d
2.3L 直4ディーゼル ツインターボ 190PS(140kw)/403Nm 6MT/7AT X250d
3.0L V6ディーゼル ターボ 258PS(190kw)/550Nm 7G-TRONIC Plus X350d
2.3L 直4ディーゼルはルノー製のもので、シングルターボと大小2機のターボチャージャーを備えたツインターボの2種類。それぞれX220d/X250dとなります。この2.3Lエンジンは日産 NV350キャラバンにも積まれるYD25エンジンをベースに開発されたもの。ルノーではM9T、日産ではYS23と呼ばれるユニットです。
注目は3.0LのV6。比較的珍しいマルチシリンダーディーゼルとなるこのユニットはメルセデスの多くのモデルに搭載され定評のある自社製の「OM642」。258PSの出力はピックアップトラックの中ではかなりハイパワーな部類に入ります。燃費は新欧州複合基準で約11.8-11.9km/L。
駆動方式は全車フルタイムAWDの4MATIC(英国仕様)。トランスミッションは、X220d/X250dに6MT。2ペダルはX250dに7速AT、X350dにはパドルシフト付きの7速の7G-TRONIC Plusが設定されています。
走行性能とハンドリング
Xクラスの足回りは、ベース車と同じく屈強なラダーフレームを採用しつつも、サスペンションはフロントにダブルウィッシュボーン、リアはマルチリンクが奢られています。
リーフスプリングを採用するライバルと比べて、大幅に乗り心地が良く積載時も空荷時も安定した走りを提供します。現地メディアではこのリアサスペンションを「洗練された素晴らしい仕上がりである」と評価しています。オンロードの乗り味だけでなく、オフロードの走破性も折り紙つき。さらにオプションでデフロックも選択可能です。
最大牽引重量は最大3.5トンと大きく、この値はいすゞD-MAXと並ぶトップクラス。ボートやキャンピングトレーラーなどの大きいものも牽引可能で、レジャーの相棒としても活躍してくれるでしょう。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】5,340×1,920×1,819 mm
【ホイールベース】3,150mm 【トレッド】前/後:1,632 / 1,632mm
【車両重量】2,330kg
●エンジン
【構成】水冷V型6気筒 DOHC24Vディーゼル フロント縦置き
【総排気量】2,987cc 【直径×内径】83×92mm 【圧縮比】15.5:1
【最高出力】258ps(190kw)/3400rpm 【最大トルク】550Nm/1400-3200rpm
【燃料容量】73L
●駆動系
【駆動方式】AWD 【トランスミッション】7G-TRONIC Plus
【サスペンション】(前)ダブルウィッシュボーン / (後)マルチリンク
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ディスク
【タイヤ】(前後)255/65R17
●パフォーマンス
【最高速度】203km/h 【0-100km/h加速】7.9秒
【燃費】約11.8-11.9km/L(新欧州複合基準)
【価格】英国仕様 2019モデル:£47,412
歴史とトリビア
メルセデス・ベンツ Xクラス関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- 市販モデルはアフリカ・ケープタウンで発表
- 兄弟モデルにはNV300ナバラ以外にルノー アラスカンもあり
- メーカーはトヨタハイラックスとフォードレンジャーをターゲットにしていると発言
- メルセデス・ベンツを得意とするドイツのチューナー「BRABUS」仕様もあり
ライバル
近年は各メーカーがラインナップに加えつつあるミドルサイズピックアップトラックですが、真っ向からライバルとなるのは、洗練されたピックアップトラックとしての先駆者であるフォルクスワーゲン アマロック。ほかにもメーカー自身がターゲットとしている驚異の耐久性を誇るトヨタ ハイラックスやスポーツトラックとしてのラプターが加わったフォード レンジャーなどがあります。
- フォルクスワーゲン アマロック
- トヨタ ハイラックス
- フォード レンジャー
- いすゞ D-MAX
- 三菱 L200
- 日産 NP300ナバラ
- ルノー アラスカン
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
通常グレードは2種類。17インチアルミやバンパー下部をヘビーデューティな用途でも傷が目立ちにくいマッドブラックにしたベースグレードとなるPROGRESSIVE Lineと、各所にクロームのラインが入り、LEDヘッドライトやレザートリムなどが装備される上級グレードのPOWER Lineがあります。
オススメはX350d 4MATICのPOWER Line。メルセデス・ベンツとして十分なラグジュアリー感を持ったPOWER Lineとクラスきってのハイパワーなユニットとの組み合わせになります。これはオンロードからオフロードまで道を選ばないプレミアムモデルとしてのチョイスです。
- メルセデス・ベンツ X350d 4MATIC 7G-TRONIC Plus POWER Line
- メルセデス・ベンツ X220d 4MATIC 6MT PROGRESSIVE Line
タフギアとして使い倒したい方にはPROGRESSIVE Lineを、3ペダルのMTで操りたい方には直4のX220d/X250dも並行輸入できますので、お気軽にお問い合わせください。
(£1=135円時・値引き交渉前価格)
(値引き交渉前現地価格:£47,412)\8,583,000
(値引き交渉前現地価格:£35,238)\6,732,000
ディーゼル車をご希望の方へ
参考乗出し価格が掲載されていない場合には、別途お見積りいたしますのでお問合せ下さい。
なお、ディーゼル車を取り巻く環境は年々厳しくなっています。ディーゼルエンジン搭載車をご希望の場合には以下の記事もご覧ください。
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。
画像と動画
Xクラスの特別限定車・特別仕様車
X250d ELEMENT(英国仕様)
Xクラスには2019年7月現在、特別限定車のELEMENTが販売されています。これはノーマルモデルと比べてスポーティさとラグジュアリーさを兼ね備えたもの。X250dをベースに専用装備として19インチマルチスポークアルミホイールやリアのスタイルを引き締めるスポーツバー、そしてリアフェンダーにはELEMENTロゴのグラフィックが配置されています。通常グレードに加え、このELEMENTも並行輸入できますので、お気軽にお問い合わせください。
X350d 4MATIC Power Edition 1(オーストラリア仕様?)
2019年7月にオーストラリアで発売予定(販売地域の詳細は不明)の特別仕様車が「X350d 4MATIC Power Edition 1」です。X350d 4MATIC Powerをベースにマットブラックのグリル、エンブレム、サイドステップ、19インチホイールを装備、専用デカールを配した全身ブラック仕立てのモデル。スタイルバーとハードトノカバーを含め細かな部分までブラック仕上げになっています。
公開されたのはカバラブラック仕様ですが、「ベーリングホワイト」「ロックグレー」の3色が設定されるようです。価格は約62,000US$(約87,500AU$)と言われています。精悍な仕様なので英国・欧州のラインナップにも加えてもらいたいモデルです。