全長5mを超える欧州フルサイズLCV(ライト・コマーシャル・ヴィークル:商用車)は欧州では乗用車メーカーや商用車専門メーカーもラインナップするジャンルである一方、日本では国産商用バンに相当するものはなく、欧州メーカーでも現時点ではフィアット デュカトのみが正規導入されている状態です。
そのなかで、長年現地で高い評価を得ている国産メーカーのモデルが14年ぶりにフルモデルチェンジを行い、大きな進化を遂げました。
今回は日産のLCV「新型インタースター(NISSAN Interstar)」を解説。商用仕様となるパネルバンの内燃機関仕様を中心に概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
日産 新型インタースターとは
新型インタースターは日産の全長5mを超えるフルサイズLCVです。ボディサイズは最もコンパクトな(2024年9月現在)L2H2仕様で全長:5,685mm×全高:2,498mm×全幅:2,222mm (ミラー折り畳み時)と、プリマスターやタウンスターと続く日産LCVファミリーのなかで最も大きなサイズとなります。国産車ではトヨタ ハイエースや日産 キャラバンと比べて明らかに大きく、唯一このジャンルで正規導入されているフィアット デュカトに近いサイズです。
初代モデルは1999年にデビューしました。当時日産がルノーと提携したことによりベースにはルノー マスター(2代目)が選ばれ、多くの部分を共有する兄弟車となりました。この関係は今回の新型モデルまで続いており、歴代モデルはマスターと近いタイミングでフルモデルチェンジされています。効率を優先するLCVのなかでも丸みを帯びた親しみのあるデザインが特徴で、2000年の東京モーターショーでは「X-Cargo」として右ハンドルモデルが参考出品されましたが、残念ながら日本で市販されることはありませんでした。
2010年にフルモデルチェンジした2代目モデルは、ネーミングが当時の日産LCVラインナップに合わせて「NV400」になりましたが、2021年に日産LCVファミリーの末っ子となるタウンスターのデビューに合わせて再びインタースターの名前に戻されています。初代同様に10年以上のロングライフモデルとなりましたが、日本市場に正規導入されることはありませんでした。唯一の例外として東京消防庁がBEV仕様を日本初のゼロエミッション救急車として導入した実績があります。
2023年には3代目モデルにフルモデルチェンジされ、2024年から欧州の各市場で順次発売開始されています。14年ぶりに刷新された新型モデルは当初からBEV仕様の「インタースターe」のラインナップをはじめ、エクステリアからパワーユニットまで幅広く再設計することで各所が大きくアップデートされました。メーカーは新型モデルを日産のLCVとして「よりよく働き、よりよく生きるをコンセプトに最先端の製品となるように設計された」とコメントしています。
日産 新型インタースター 紹介動画(約2分20秒)
ココがスゴイ!日産 新型インタースター
日産 新型インタースターを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- 欧州で日産最大のLCVモデル
- 最新の排気ガス規制をクリアしダウンサイジングされたユニットを採用
- シームレスな加速が可能な大トルク対応9速ATを新採用
- クラストップレベルの積載性能を実現
- 最新のEuroNCAPで最高評価を受けた高い安全性
スタイリングとインテリア
- デジタルVモーションを取り込み存在感が増したエクステリア
- クラス最高の空力性能を実現
- 乗用車のような高い質感のインテリア
- LCVとしての使い勝手がより向上
新型インタースターのボディタイプは、現時点(2024年9月現在)で全長5,865mmのL2、6,315mmのL3の2種類のホイールベースと、全高2,498mmのH2と2,756mmのH3(L3ボディのみ)の2種類のルーフが設定されており、使い方や積載する貨物に合わせて選択が可能です。
今回のフルモデルチェンジでは、縦方向に大型化され車名ロゴが入るフロントグリルと、C字型に囲ったヘッドライトおよびデイタイムランニングライトなどで構成されるフロントセクションの厚みが増しました。これは新世代の日産車が採用するデジタルVモーションを取り込んでいる一方、サイズもジャンルも違いますが、高級ミニバンであるかつてのエルグランド(2代目モデル)を彷彿させ、新しさと懐かしさがうまく融合しているようにも感じられます。比較的に大人しい印象であった従来モデルから一変、力強く堂々とした存在感は新型モデルがもつ魅力のひとつです。従来モデルから拡大されたリアスライドドアと最大270度まで開く観音開きバックドア、リデザインされた縦型LEDリアランプなど兄弟車のルノー マスターとエクステリアを共有する部分も多いですが、それぞれブランドのイメージに合わせてうまく作り分けがされていると言えそうです。
ほかにも、空力を意識して各所のパーツを新設計した結果、クラストップレベルの空力性能を実現しました。これは走行時の安定性や燃費性能向上などに寄与しています。
インテリアは、新たに人間工学を基にドライバーを重視した設計が行われました。ハンドルの角度はより垂直に近づけられ、乗用車に近いポジションに改善されたほか、質感が向上した新設計のインストルメントパネルはタッチスクリーンをドライバーが見やすいように角度をつけて配置されました。もちろん業務用途での使い勝手も十分に考えられています。乗用車と比べて乗り降り回数が格段に多いLCVとして、耐久性が高く上質なシートカバーの採用や、オーバーヘッドコンソールやシート下の大容量ボックスなど10か所以上/80Lの収納スペース、モバイルオフィスとしても使えそうな中央シートバックのワークスペースユニットなど多くのアイテムが用意されています。シート配列は全ての席が独立した1列3人掛けが設定されており、余裕のある横幅を生かしてフル乗車でも快適な移動が可能です。
デジタル面については、ディーゼル仕様に3.5インチのTFTインフォメーションディスプレイが設定されるほか、AppleCarPlay/AndroidAuto接続に対応したインフォテインメントシステムには従来モデルから拡大された10インチタッチスクリーンが組み合わされます。ほかにもアクセスしやすい場所に配置されたワイヤレス充電パッドに装備されるUSBポートはType-Cにアップデートされました。
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、内燃機関はディーゼルが設定されるほか、インタースターeとしてBEV仕様もラインナップされています。
- ディーゼル
2.0L 直4ターボ dCi105 105PS(77kw)/330Nm
2.0L 直4ターボ dCi130 130PS(96kw)/350Nm
2.0L 直4ターボ dCi150 150PS(110kw)/360Nm
2.0L 直4ターボ dCi170 170PS(125kw)/380Nm
設定されるのは従来モデルの2.3Lからダウンサイジングされ、全て最新の欧州排気ガス規制であるEuro7をいち早くクリアした2.0LディーゼルのdCiユニットに統一されました。105PS(dCi105)、130PS(dCi130)、150PS(dCi150)、170PS(dCi170)の4種類のチューニングが設定されており、燃費性能はdCi150の欧州複合で13.3km/Lです。従来モデルのdCi150仕様と比べて約10%の向上に加えてクラストップレベルの性能を実現しました。
駆動方式はFFで、トランスミッションは6速MTのほか、2ペダル仕様は新開発の大トルク対応9速ATが新採用され、ギアセレクターがハンドルコラムに移動されています。シングルクラッチAMTのQS(クイックシフト)であった従来モデルから一変、スムーズな変速でシームレスな加速が可能になったのに加えて、多段化により燃費性能の向上にも寄与しています。
積載量と荷室空間
新型インタースターの荷室に関するスペックは以下の通りです。同じボディタイプでも各項目のスペックに幅があるのは、車両重量などの仕様により異なるためです。パネルバンには荷室との間に強固なフルスチールのバルクヘッドが装備されます。
今回のフルモデルチェンジで幅が40mm拡大されたスライドドアは1.3m以上開き、フォークリフトでもアクセスがしやすくなったほか、約100mm拡大された積載エリアはボクシーなボディと合わせてより多く、効率的な荷物の積み込みが可能になりました。最大積載量は最大で約2トンとなり従来モデルと比べて大幅に向上しています。
ボディタイプ | L2H2 | L3H2 | L3H3 |
---|---|---|---|
最大荷室長(mm) | 3,225 | 3,855 | ← |
最大荷室幅(mm) | 1,789 | ← | ← |
ホイールアーチ間荷室幅(mm) | 1,380 | ← | ← |
最大積載容量(立方メートル) | 10.8 | 13.0 | 14.8 |
最大積載量(kg) | 1,247~1,934 | 1,175~1,862 | 現時点で未公開(※) |
※2024年9月現在 |
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】5,685×2,498×2,222 mm(ミラー折り畳み時)
【ホイールベース】3,385mm 【トレッド】前/後:1,760 / 1,730mm
【車両重量】 -kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント横置き
【総排気量】-cc 【直径×内径】 -×-mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】130ps(96kw)/-rpm 【最大トルク】350Nm/-rpm
【燃料容量】-L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】6MT
【サスペンション】(前)- / (後)-
【ブレーキ】(前)- / (後)-
【タイヤ】(前後)205/75R16
●パフォーマンス
【最高速度】165km/h 【0-100km/h加速】-秒
【燃費】約-km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2024モデル:£41,256
歴史とトリビア
日産 新型インタースター関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- 歴代モデルがルノーマスターの兄弟モデル
- 2代目モデルは当初「NV400」の名前で販売
- さまざまな用途の車両ベースとして架装が可能
- 東京モーターショーにX-Cargoの名前で参考出品
- 先代モデル(NV400)のBEV仕様が東京都の救急車として採用
ライバル
新型インタースターが属する欧州で最も大きいフルサイズLCVのクラスは、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲンなど馴染みのある乗用車メーカー以外にも、まず日本ではお目にかかれないフォルクスワーゲングループのMANやイヴェコなど欧州商用車専門ブランドもラインナップしています。そのなかでも近しいライバルとしてトヨタ プロエースマックスを挙げます。トヨタ初の欧州フルサイズLCVとして満を持して市場参入したこの一台は、同じ国産メーカーのモデルとして手強いライバルとなりそうです。
- ルノー マスター
- トヨタ プロエースマックス
- フォード トランジット
- メルセデスベンツ スプリンター
- フォルクスワーゲン クラフター
- フィアット デュカト
- MAN TGE
- イヴェコ デイリー
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
国産商用バンでは代わりとなるものがない欧州フルサイズLCVの新型インタースターですが、歴代モデルをメーカーが正規で導入した実績がないため、今後も正規で導入される可能性は残念ながら低いと思われます。
これより、確実に手に入れるなら並行輸入がおすすめです。新型インタースター・パネルバンのグレード構成は以下の通りです。パネルバン仕様は右ハンドル英国仕様、左ハンドル欧州仕様共に設定されておりますが、現時点(2024年9月現在)では左ハンドル仕様のグレード構成はまだ発表されておりません。
グレード構成(右ハンドル英国仕様)
- Acenta
16インチスチールホイール+ハーフキャップ、電動調整ヒーテッドドアミラー、LEDデイタイムランニングライト、LEDロービーム、コーナリング機能付きフロントフォグランプ、助手席側スライドドア、180度開く観音開きバックドア、フルスチールバルクヘッド、3.5インチTFTクラスター、フロントワンタッチパワーウィンドウ、マニュアルエアコン、10インチタッチスクリーン+AppleCarPlay/AndroidAuto接続対応、リアパーキングセンサー、インテリジェントスピードアシスト、3ボタンキーなどが装備 - Tekna
(Acentaに対して)16インチスチールホイール+フルホイールキャップ、270度開く観音開きバックドア、ヒーター付きフロントガラス、運転席高さ調整(ランバーサポート付き)、運転席アームレスト、Teknaシートトリム、オートエアコン、リアビューカメラ、荷室12Vアクセサリーソケットなどが装備
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)
新型インタースターにはボディやパワーユニットなど多くの組み合わせがありますが、そのなかでもオススメは右ハンドル英国仕様のAcentaグレード、L2H2ボディにdCi130と6MTの組み合わせです。Acentaはベーシックグレードですが、日本で乗るのに必須のエアコンや、AppleCarPlay/AndroidAuto接続が可能なタッチスクリーンなどをはじめ、バン仕様のモデルのなかでは装備が充実しています。現時点では一番コンパクトとなるL2H2ボディに日本でも運転しやすい右ハンドルを選択し、クリーンな排気ガスに低燃費なdCi130と6MTの組み合わせたこの仕様は、大幅に進化した新型モデルのなかでも比較的にリーズナブルに味わえるチョイスです。さらに快適な仕様をご希望なら上位グレードのTeknaにオートマチック限定免許で乗れる2ペダル9ATとdCi150の組み合わせもよいでしょう。これはお仕事の相棒だけではなく、大きいカーゴスペースを生かして趣味のトランスポーターやキャンパー、バンライフのベースとしてセルフビルドなど多様な用途にも活躍してくれそうです。
14年ぶりににフルモデルチェンジされた新型インタースター。欧州フルサイズLCVを国産メーカーで味わえる最新の一台をいち早くお取り寄せしてみませんか。
- 日産 新型インタースター パネルバン Acenta L2H2 2.0 dCi130 6MT(右ハンドル英国仕様)
- 日産 新型インタースター パネルバン Tekna L2H2 2.0 dCi150 9AT(右ハンドル英国仕様)
ほかにもボディサイズがさらに大きいL3やH3のボディをはじめ、ハイパワーなdCi170仕様も並行輸入できますのでお気軽にお問い合わせください。合わせて左ハンドル欧州仕様をご希望の方は現時点(2024年9月現在)ではまだグレードの情報はありませんが、公開され次第並行輸入できると思われますのでこちらもお気軽にお問い合わせください。
(£1=180円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:£41,256)\9,943,000
(現地値引き交渉前価格:£46,296)\10,967,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。