欧州では各社がラインナップする中型LCV。アライアンスをうまく生かしてベース車を共有しつつも、メーカーそれぞれのカラーを出してうまく差別化されているのが興味深いです。そんな欧州中型LCVのなかでも長年愛されている一台がアップデートされ、さらに完成度が上がりました。
今回はルノーの欧州中型LCV、トラフィック（RENAULT Trafic）の2021年にフェイスリフトした最新仕様の乗用モデルを中心に解説。概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
ルノー トラフィックとは
ルノー トラフィック
ルノー トラフィックは、ルノーの全長5mクラスの中型LCVモデルです。ボディサイズは全長：5,080mm×全幅：1,956mm×全高：1,973 mm（ショートホイールベース仕様）と、国産車ではハイエースワゴンやNV350キャラバンワゴンの標準仕様より少し大きく、トヨタ ハイエース／日産 NV350キャラバンのワイドボディや、トヨタ グランエースに近いサイズです。絶対的なサイズは大きめですがショートホイールベース仕様ならほぼ5mのため、日本でもコインパーキングなどのインフラで困ることも少ないでしょう。
1981年にエスタフェの後継として初代モデルがデビューしたトラフィックですが、現在販売されているのは3代目モデル。2014年にフルモデルチェンジしたのち、フェイスリフトや2ペダルのEDC仕様の追加などを経て2021年にフェイスリフト。内外装をはじめとする各所がブラッシュアップされて完成度が高まりました。
兄弟車にはアライアンス内の日産 NV300をはじめ、豪州市場には三菱 エクスプレスとして供給開始されました。ほかにはアライアンス外のフィアット タレントも兄弟車になります。
バリエーションにはパネルバンをはじめとするバン仕様と、今回紹介する乗用仕様がラインナップ。英国仕様では「Passenger」、左ハンドル欧州仕様では「Kombi」とネーミングで販売されています。
ココがスゴイ！ルノー トラフィック
ルノー トラフィックを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- エクステリア／インテリアをはじめ各所がブラッシュアップ
- 環境性能も向上し最新のEuro6D-Full規制をクリア
- 2ペダル派には嬉しいEDCを引き続き採用
- 日本のミニバンではなかなか選べない9人乗り仕様の設定
- VIPも満足のSpaceClass仕様も設定
スタイリングとインテリア
- フロントエンドのデザインを一新。よりシャープな造形に
- 2種類のホイールベースを設定
- 実用性と快適性を高いバランスで両立
- 樹脂素材のアップデートと各部のクローム処理でプレミアム感を演出
トラフィックのボディタイプは、全長：5,080mmのショートホイールベースと、5,480mmのロングホイールベースの2種類が引き続き設定されます。
エクステリアはベースを従来モデルと共有しつつも全般的にアップデート。特にフロントエンドデザインが一新されました。最近のルノー車に共通するCシェイプライトシグネチャーを構成する新デザインのクロームインサートされたフルLEDヘッドライトやフロントグリルの採用でよりシャープな造形に進化しています。今回のアップデートではデザインだけでなく、使い勝手についても手が入り、30%拡大された新採用のドアミラーは運転のしやすさと安全性の向上に寄与します。
-
- ルノートラフィック（フロント：ショートホイールベース仕様）
-
- ルノートラフィック（サイド：ロングホイールベース仕様）
-
- 新採用のクロームインサートされたフルLEDヘッドライト
-
- 新デザインのフロントグリル
インテリアは新デザインのインパネデザインをはじめとしたフルワイド・ホリゾンタル・トリムを採用。キャビンの幅と広さをより感じられるようにリデザインされています。従来モデルよりも乗用車的な要素が拡大され、各部の樹脂素材の見直しのほかスポットでクロームメッキ処理パーツを追加するなどで質感が向上。新たなプレミアム感を演出しています。さらに今回のアップデートでは、ステアリングホイールとシフトノブも新デザインのものが採用されています。
一方、実用LCVとしての使い勝手の良さもしっかりと作り込まれており、各部の収納スペースを増やすことでフロントシート周りで84Lの容量を確保。全体のラゲッジスペースの容量も従来モデルと比べて拡大しました。
シートは最大でフロントから3+3+3人の組み合わせとなる9人乗りが設定（一部グレードは2+3+3部人の8人乗り）。長時間の乗車でもドライバーに負担を掛けないLCVとしてのシートのよさを継承するほか、全てのシートがほぼ同寸で9人全員が快適に移動できる空間を提供します。
インフォテイメントシステムもアップデート。新採用の8インチタッチスクリーンを備えたEASYLINKはAppleCarPlay/AndroidAutoなどのスマートフォンコネクト機能のほかに、オプションでワイヤレスチャージャーも選択可能です。
-
- トラフィックのインテリア
-
- 3人掛け9人乗り仕様のフロントシート
-
- 9シーター全て同寸のものが用意されます
-
- 新採用の8インチタッチスクリーンを備えたEASYLINK
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ディーゼルのみの設定。
- ディーゼル
2.0L 直4 ディーゼル dCi110 110PS （81kw）/320Nm
2.0L 直4 ディーゼル dCi150 150PS （110kw）/350Nm
2.0L 直4 ディーゼル dCi170 170PS （125kw）/380Nm
トラフィックに組み合わせるパワートレインは、2.0L 直4ディーゼルに110PS/150PS/170PSの3種類のチューニングが用意されています。従来モデルから引き続きAdBlueの使用に加え、各所をブラッシュアップすることで環境性能も向上し、最新のEuro6d-Full規制をクリアしています。
駆動方式はFF。トランスミッションは6速MTを中心に、dCi150と170には2ペダルデュアルクラッチトランスミッションとなる6速EDCが引続き設定。最もハイパワーなdCi170はEDCのみの設定ですが0-100km/hが約10.6秒と四角四面なフォルムのLCVとしては出色の俊足ぶりを誇ります。
走行性能とハンドリング
サスペンションはフロント：マクファーソンストラット、リア：コイルスプリングの組み合わせは従来モデルから継承。欧州LCVならではの長距離走行の得意さを生かした多人数でのグランドツーリング性能の高さは魅力のひとつです。
ほかにも今回アップデートされたのが安全性。アダプティブ・クルーズ・コントロールと衝突被害低減ブレーキを中心とした最新の運転支援システムの採用のほかに、エアバッグも助手席側2名分を保護できるように最適化されました。
多人数でのグランドツーリング性能の高さは魅力
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】5,480×1,956×1,973 mm
【ホイールベース】3,498mm 【トレッド】前/後：- / -mm
【車両重量 2,235kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント横置き 気筒休止機構付
【総排気量】1,997cc 【直径×内径】 -×-mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】170ps（125kw）/3500rpm 【最大トルク】380Nm/1500rpm
【燃料容量】80L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】6EDC
【サスペンション】（前）マクファーソンストラット / （後）コイルスプリング
【ブレーキ】（前）ベンチレーテッドディスク / （後）ディスク
【タイヤ】（前後）215/65R16
●パフォーマンス
【最高速度】184km/h 【0-100km/h加速】10.6秒
【燃費】約13.3km/L（新欧州複合基準）【価格】欧州仕様 2021モデル：€44,702
歴史とトリビア
ルノー トラフィック関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- 初代デビューから40周年を迎えたベストセラーLCV
- 1981年デビューの初代モデルは20年以上に渡り販売されたロングセラー
- 世界50カ国で200万台以上の販売実績
- 三菱にも三菱 エクスプレスとして豪州市場に投入開始
- 兄弟車の日産 NV300もほぼ同じタイミングでフェイスリフト
-
- 兄弟車に加わった三菱 エクスプレス（豪州仕様）
-
- 同時期にフェイスリフトした日産 新型NV300
ライバル
欧州中型LCVは冒頭の通り各メーカーがラインアップしており、トラフィックの兄弟車以外にもグループPSA（現ステランティス）のシトロエン スペースツアラーをはじめとする兄弟車をはじめ、日本でも多くのファンがいるフォルクスワーゲン T6.1カラベルや、フォードの老舗LCVブランド、トランジットの乗用版となるトルネオ・カスタムなど強敵揃いです。
- 日産 NV300
- シトロエン スペースツアラー
- プジョー トラベラー
- トヨタ プロエース・ヴァーソ
- フォルクスワーゲン T6.1カラベル
- フォード トルネオ・カスタム
- メルセデスベンツ Vクラス
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
ルノーは日本でも大人気な小型LCVのカングーが導入される一方、トラフィックを含む中型以上のLCVが正規で導入された実績はありません。ルノーは日本では比較的にコンパクトモデルやスポーティなキャラクターのモデルを中心にした戦略のため、今後トラフィックが導入される可能性は残念ながら低そうです。そのため確実に手に入れるなら並行輸入が確実な方法です。
トラフィックの乗用モデルは、右ハンドル仕様は「Passenger」、左ハンドル欧州仕様は「Kombi」の名前で展開されショートホイールベースとロングホイールベースがそれぞれ設定されています。グレード構成は以下の通りです。
グレード構成（左ハンドル欧州仕様：Kombi）
- Start/GrandStart
右側スライドドア、LEDヘッドライト、スピードリミッタ付きクルーズ・コントロールなどが装備（エアコンはオプション） - Life/GrandLife
（Startに対して）カラードバンパー、フロントエアコン、3ウェイ調整可能なコンフォート運転席／助手席シート（センターアームレスト付き）、キーカードハンズフリー、フォグランプなどが装備 - SpaceClass/GrandSpaceClass
（Lifeに対して）17インチアルミホイール、電動格納ドアミラー、リアパーキングエイド、オートエアコン、レザーステアリング、EASYLINKなどが装備
グレード構成（右ハンドル英国仕様：Passenger）
- Business SWB/LWB
左側スライドドア、LEDヘッドライト、フロントパワーウィンドウ、ヒーテッドドアミラー、ティンテッドガラスなどが装備（エアコンはオプション） - Sport SWB/LWB
（Businessに対して）17インチアルミホイール、カラードバンパー、クロームグリル、レザーステアリング、マニュアルエアコン、スピードリミッタ付きクルーズ・コントロールなどが装備
左右ハンドル、ホイールベースの長短選べるトラフィックですが、そのなかでもおすすめは、左ハンドルのGrandLifeにdCi170とEDCの組み合わせです。これは9人フル乗車でも余裕の大容量ラゲッジスペースが確保されるロングホイールベース仕様に、最もハイパワーなdCi170と2ペダルのEDCの組み合わせ。9人フル乗車でも快適に移動できる多人数対応のグランドツアラーとしてのチョイスです。
今回のアップデートでよりLCVだけではなくミニバンとしても完成度がアップし完熟の域に達したトラフィック。たくさんのレジャーアイテムを積みたいオーナーや大家族のオーナー、大切なお客様の送迎するオーナーなどに自信を持ってオススメできる一台です。
- ルノー トラフィック Kombi GrandLife 2.0 Blue dCi170 EDC（左ハンドル欧州仕様）
- ルノー トラフィック Passenger Business SWB 2.0 Blue dCi110 Manual（右ハンドル英国仕様）
ミニバンとしても完成度がアップ 完熟の域に達しました
ほかにも右ハンドル英国仕様やショートホイールベース、MT仕様、そしてVIPの方も満足して頂けそうな最上級仕様の「SpaceClass」も並行輸入可能ですのでお気軽にお問合せください。
（£1＝150円／€1＝130円時・現地値引き交渉前）
（現地値引き交渉前価格：€44,702）\7,938,000⇒発売記念特価(お問い合わせください。)
（現地値引き交渉前価格：£30,640）\6,536,000⇒発売記念特価(お問い合わせください。)
掲載価格について（為替差益、現地ディスカウント還元！）
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。
画像と動画
-
- ルノートラフィック（フロント：ショートホイールベース仕様）
-
- ルノートラフィック（リア：ショートホイールベース仕様）
-
- ルノー トラフィック（リア）
-
- 新デザインのシフトノブ
-
- ルノー トラフィック（SpaceClass仕様）
-
- SpaceClass仕様のインテリア
