これは「セダンなのか?」「ファストバックなのか?」それとも「SUVなのか?」このクルマを見てこう思う方は多いかも知れません。
コンサバティブな従来モデルから一転、2020年にクロスオーバー要素を取り込んだモデルチェンジを敢行し世間を驚かせたシトロエン C4に新たな派生モデルが追加になりました。このモデルは冒頭のように大きく変わったC4以上に個性的で稀有な一台であるようです。
今回はシトロエンがリリースしたC4の派生モデル「C4X」(Citroen C4X)を解説。日本未導入のブランニューモデルは一体どんなクルマであるのか、内燃機関モデルのC4Xを中心に概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
シトロエン C4Xとは
C4XはCセグメント級のボディサイズをもつ5ドアハッチバック「シトロエン C4」をベースにした派生モデルで、ボディタイプとしては独立したトランクをもつ4ドアセダンになります。ボディサイズは全長:4,600mm×全幅:1,834mm×全高1,515 mm(ミラー部分を含まず)と国産車ではマツダ 3・セダンやトヨタ カローラ・セダンに近いサイズです。
現在販売されているモデルは初代モデルに相当するもので、3代目C4を4ドアセダン化した派生モデルとして2022年にデビューし同年販売開始となりました。C4よりも上級な位置づけでフラッグシップのC5Xとの間を埋める役割を担っています。従来モデルのC4にもセダン仕様があり中国をはじめ限られた市場のみの展開でしたが、C4Xは欧州でも展開されています。プラットフォームはステランティスのCMPプラットフォームを採用し、生産はスペイン、マドリードの工場で行われています。
4ドアセダン化を手掛けたのは、ベースとなるC4のデザインを担当したアレクサンドル・マルバル氏ではなく、現在シトロエンのデザイン責任者を務めるピエール・ルクレ氏 (Pierre Leclercq) で、責任者に就任後初のモデルとなりました。ホイールベースやリアドアを変更せずに違和感なくオーバーハングを拡大してデザインを成立させる必要があるなど、多くの制約がある難易度の高い仕事でしたが、4ドアセダンとしてうまく差別化を成し遂げたのは、BMWをはじめ数多くのメーカーで指揮を取ってきた同氏の手腕と言えるでしょう。
流麗なボディラインを描きながらもクロスオーバー要素をより濃くしたC4Xをメーカーは「ファストバックのエレガントなシルエット」と「SUVのモダンさ」、「4ドアセダンの時代を超越した洗練性」を融合した一台であるとアピールしています。4ドアセダンをベースにクロスオーバー化する手法は、かつてアメリカのAMC イーグルのセダンやスバル アウトバックのセダン(日本未導入)などがありましたが、欧州車では稀有な存在です。
ラインナップとしてガソリン/ディーゼルエンジンを搭載したC4Xと、EVのe-C4Xが展開されるのはC4と同じ構成ですが、C4Xは一部仕向け地にラインアップされ、EVが比較的に普及しつつあると判断された市場にはe-C4Xのみ投入する戦略のようです。日本市場には既にC4は導入されていますが、C4X/e-C4X共に現時点(2023年8月現在)ではまだ導入されておりません。
シトロエン C4X/e-C4X 紹介動画(動画の車種はe-C4X)(約1分30秒)
ココがスゴイ!シトロエン C4X
シトロエン C4Xを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- ハッチバックやSUVに代わるシトロエンからの提案
- フォーマルとアバンギャルドが融合したユニークなデザイン
- 静かで広々とした室内空間
- ガソリン/ディーゼル/EVと幅広いパワーユニットを用意
- アドバンスドコンフォートプログラムの適用した快適性
スタイリングとインテリア
- セダン化されても美しいフォルムを描くエクステリア
- 全長の拡大はラゲッジ容量の拡大に割り当て
- 4ドアセダンであるからこその静かさと使い勝手の両立
- 上位車種と同じ最新のインフォテイメントシステムを採用
エクステリアの最大ポイントは、やはり新たにアドオンされたトランクと言えるでしょう。ボディサイズは基本的に全長以外はC4に準じており、ホイールベースも同一で、拡大された全長はトランク部分に費やされています。
ボディタイプは一見、5ドアのファストバックのように見えますが、トランクはキャビンから独立しており正式に4ドアセダンとなります。かつて欧州ハッチバックをセダン化したモデルはトランクを背負ったようなフォルムになりがちでしたが、基本的にC4と共通する意匠のフロントセクションをはじめ、フロントガラスからトランクリッドまでシームレスに繋がり、最後は控えめなスポイラーでフィニッシュする美しいフォルムをもつセダンに仕上がっています。
一方、大経のホイールやサイド下部の特徴的なエアバンプなどC4カクタス以降の新生シトロエンに共通するクロスオーバー要素も込められており、セダンのフォーマルな美しさとクロスオーバーの力強さを両立しています。
ほかにも空力性能が高く、Cd値は0.29をマーク。空力特性の良さは燃費性能の向上だけでなく、EV仕様では最大航続距離の長さにも効果的に作用します。
インテリアで目を引く大型のタッチスクリーンを中心としたインストルメントパネルはC4と基本的に共有し、シトロエンのアバンギャルドなイメージに沿ったものに仕上がっています。インテリアトリムにはファブリックもしくはフェイクレザーに対して仕様に合わせたカラーが組み合わされます。
シートは余裕のあるサイズで掛け心地のよいアドバンスドコンフォートシートが設定されています。低反発素材の専用高密度フォームをC4と比べて厚く組み込むことで最適な快適性を提供し、特に長距離のグランドツーリングでは力を発揮します。
C4Xでは独立したトランクが追加されたことで荷室容量が拡大し、最大510Lのスペースが用意され使い勝手が向上しました。ほかにもキャビン部分とトランクが明確に分けられたため、遮音性などの快適性が向上したのも大きなポイントです。後席シートは倒すことができるため4ドアセダンでも大きな荷物も運べます、さらに一部仕様に設定されるフラップ付きリアアームレストはトランクスルーとなり、リアシートに二人座ったまま、スキー板のような長尺物を積み込むことが可能です。
インフォテイメントシステムは上級車種のC5Xに準じた最新システムを採用しました。大画面の10インチタッチスクリーンが組み合わされ、AppleCarPlay/AndroidAutoを用いたスマートフォン連携も可能です。ドライバーの目の前にあるフルデジタルメーターはタッチスクリーンと比べて小さ目なサイズですが、必要な情報を分かりやすくレイアウトしており視野性の向上に一役買っています。
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ガソリンとディーゼルの設定です。
- ガソリン
1.2L 直3ターボ PureTech100 101PS(74kw)/205Nm
1.2L 直3ターボ PureTech130 131PS(96kw)/230Nm - ディーゼル
1.5L 直4ターボ BlueHDi130 131PS(96kw)/300Nm
C4Xにはガソリンとディーゼルのほか、これとは別に電気モーターを搭載したEVのe-C4Xがラインナップされています。ガソリンは1.2L直3ターボに101PSのPureTech100と131PSのPureTech130の2種類のチューニングが設定されています。どちらも日本にプジョー 208やシトロエン C3エアクロスなどで導入されている実績があるもので、欧州現地ではエンジン・オブ・ザ・イヤーを複数年受賞している定評のあるユニットです。ディーゼルは1.5L直4ターボのBlueHDiの1種類で、こちらもステランティスの多くの車種に設定されて日本に導入されている実績があります。燃費性能はPureTech100の6MT仕様の欧州複合で18.8km/Lです。
駆動方式はFFで、トランスミッションはシトロエンの多くの車種に設定され評判の高い8速ATのEAT8を中心に、PureTech100には6速MTも設定されています。
走行性能とハンドリング
サスペンションはベースとなるC4に準じており、PHCと呼ばれる「Progressive Hydraulic Cushion」を備えたものが設定されています。通常のサスペンションにおけるバンプラバーに代わりセカンダリーハイドローリックダンパーと呼ばれる油圧装置を装備しており、路面からの急激な大入力を緩和させる役割をもっています。現地メディアでは「しなやさかさと剛性の高さが両立している」と評されています。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,600×1,834×1,515 mm(ミラー部分を含まず)
【ホイールベース】2,670mm 【トレッド】前/後:1,545 / 1,545mm
【車両重量】1,690 kg
●エンジン
【構成】水冷直列3気筒ターボ DOHC12V フロント横置き
【総排気量】1,199cc 【直径×内径】 75×90.5mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】101ps(74kw)/5,500rpm 【最大トルク】205Nm/1,750rpm
【燃料容量】50L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】6MT
【サスペンション】(前)PHC / (後)トーションビーム
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ディスク
【タイヤ】(前後)195/60R18
●パフォーマンス
【最高速度】184km/h 【0-100km/h加速】11.6秒
【燃費】約18.8km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2023モデル:€25,010
歴史とトリビア
シトロエン C4X関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- 全長以外は基本的にC4に沿ったサイズ
- 異なるルーフラインでもリアドアまでC4と共通化
- ピエール・ルクレ氏がシトロエンでデザインを手掛けた最初のモデル
- クロスオーバー要素をもつセダンとして欧州では稀有な存在
ライバル
C4Xのようにクロスオーバー要素をもつ4ドアセダンは欧州では稀有な存在であり、直接的なライバルは不在と言えそうです。Cセグメント級のモデルをベースにしたセダンとしてはメルセデス・ベンツ Aクラスセダンをはじめ、プレミアムブランドを中心にいくつかりますので強いて言えばこれらがライバルとなりそうです。もしくはジャンルは違いますがCセグメント級のクーペSUVのほうがライバルとしては近いのかも知れません。
- メルセデス・ベンツ Aクラスセダン
- BMW 2シリーズグランクーペ
- アウディ A3セダン
- マツダ3 セダン
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
C4をベースにした派生モデルのC4Xですが、現時点では日本市場へ正規導入のアナウンスはされておりません。C4およびC5X共に日本市場に導入され、プラットフォームを共有する兄弟車の多くが日本に導入されているため、将来的にC4X/e-C4Xが正規導入される可能性もありそうです。しかし、欧州市場で展開されるC4X全ての仕様が導入される訳ではないと予想されますし、そもそも現時点(2023年8月現在)の英国のようにEV仕様のみでC4Xは導入しない選択をするかもしれません。そのため希望の仕様をいち早く確実に手に入れるなら並行輸入がおすすめです。C4Xのグレード構成は以下の通りです。ガソリン/ディーゼル仕様となるC4Xは現時点で左ハンドル欧州仕様のみの展開で、右ハンドル英国仕様は設定されておりません。
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)
- Feel
“AeroTech”18インチスチールホイール、ブラック塗装ドアミラーハウジング+ヒーテッド電動調整ミラー、2ゾーンオートエアコン、ランバーサポート、10インチタッチスクリーン(AppleCarPlay/AndroidAuto接続対応)、6スピーカー、シトロエン・アドバンスドコンフォートサスペンション、アクティブレーンキープアシスト、電動パーキングブレーキ、リアパーキングエイドなどが装備 - FeelPack
(Feelに対して)”Aeroblade”18インチグレーアルミホイール、LEDヘッドライト、ボディ同色ドアハンドル、グレーファブリック/ブラックフェイクレザーインテリア、イルミネーテッド5.5インチデジタルインストルメントクラスター、リアビューカメラなどが装備 - Shine
(FeelPackに対して)”Aeroblade”18インチ光沢仕上げアルミホイール、ブラックフェイクレザー/メトロポリタングレーインテリア、ヘッドアップディスプレイ、シトロエンスマートパッドサポート、アクティブクルーズコントロール、バックカメラ付きフロント/リアパーキングアシスト、ブラインドスポットアシスト、キーレスシステムなどが装備
C4Xのオススメは、左ハンドル欧州仕様のFeelグレードにPureTech110と6MTの組み合わせです。Feelグレードはベーシックな仕様ながらもオートエアコンやスマートフォン接続対応のインフォテイメントシステムなど標準装備が充実しているのが魅力ですが、一番のポイントはC4Xで唯一マニュアルトランスミッションが設定されるPureTech100を組み合わせ可能なことです。電動化モデルが増えつつある昨今、欧州でも少なくなる傾向のあるマニュアルトランスミッションの設定は今や貴重な存在です。日本市場におけるシトロエンの現ラインナップから考えると6MT仕様が導入される可能性は少ないと予想されます。
欧州も含めこれから先はどのようなパワーユニットのクルマが主流になるのかはまだ分かりません。そのなかで、美しくクロスオーバー要素を含んだ4ドアセダンという稀有なC4Xをマニュアルトランスミッション仕様の新車で味わうのは今だからこそできる贅沢ではないでしょうか。今なら残されているこの選択肢でいち早く欧州現地からお取り寄せしてみませんか。
- シトロエン C4X Feel 1.2 PureTech100 6MT(左ハンドル欧州仕様)
- シトロエン C4X Shine 1.2 PureTech130 EAT8(左ハンドル欧州仕様)
(€1=150円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€25,010)\5,389,000
(現地値引き交渉前価格:€32,210)\6,570,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。