長年ルノー カングーの一強状態が続いていた日本市場での欧州MPVですが、シトロエン ベルランゴとプジョー リフター兄弟が導入されてから勢力図に変化が生まれました。最近では待望のロング仕様が追加されより勢いを増すなか、カングーも待望の新型モデルが間もなく導入予定と言われています。(2023年2月現在)そのため、今後はこの争いがより熾烈になることが予想されます。一方、欧州には日本未導入の魅力的なMPVがまだ多くあります。そんなまだ日本に上陸したことのない一台が新たに生まれ変わりました。
今回はフォードのLCVベースのMPVである「トルネオ・コネクト」(FORD Tourneo Connect)の新型モデルを解説。日本未導入MPVの概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
フォード トルネオ・コネクトとは
トルネオ・コネクトはフォードの小型LCVをベースにしたMPVモデルです。ボディサイズは全長:4,500mm×全幅:1,855mm×全高:1,833 mm(SWB仕様の場合。ミラー部分を含まず)と国産車では全幅以外は日産 NV200バネットに近く、間もなく日本に導入予定(2023年2月現在)の新型カングーもほぼ近いサイズだと言われています。
トルネオ・コネクトのルーツはフィエスタなどのフルゴネット仕様(ボディ後半を荷室にした貨物車)の後継車種である「トランジット・コネクト」に対してリアシートやリアウィンドウなどを装備した乗用仕様になります。2002年に初代モデルがデビューしたのち、現在販売されているモデルは3代目モデルで2022年にフルモデルチェンジしました。これは2020年にフォードがフォルクスワーゲンと商用車の開発で提携してから初めてリリースされたモデルとなり、フォードの新世代トルネオシリーズの第一弾となるモデルでもあります。プラットフォームも従来のトランジット系のものからフォルクスワーゲンのMQBプラットフォームに変わり、フォルクスワーゲン キャディの兄弟車となりました。メーカーは新型トルネオ・コネクトを「スタイリッシュで実用的、かつ柔軟なMPVである」とコメントしています。
日本市場にはフォード自体が現時点でインポーター事業から撤退しておりますが、撤退以前もトルネオ・コネクトが正規導入された実績はありません。
フォード トルネオ・コネクト コンセプト紹介動画(約1分40秒)
ココがスゴイ!フォード トルネオ・コネクト
フォード トルネオ・コネクトを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- SWB仕様でも3列シート7人乗りが選択可能
- トルネオ・コネクト初となるAWD仕様の設定
- 19種類の高度な運転支援技術を設定
- 一部のライバルでは選べない純内燃機関仕様が選択可能
- MPVとしてより乗用車的な快適性の向上
スタイリングとインテリア
- 2種類のボディタイプが設定
- 「SUVをインスパイア」「レーシーでスポーティ」異なる世界観を提案
- フレキシブルで実用的なキャビン
- スマートなデジタルコックピットを新採用
トルネオ・コネクトのボディタイプは2種類用意されており、全長:4,500mm(Sportグレード)のSWB仕様となるトルネオ・コネクトと、全長:4,853mm(同)のLWB仕様となるグランド トルネオ・コネクトが設定されています。全体的なフォルムは兄弟車のキャディに近い雰囲気ですが、ヘッドライトと一体感のある大きなグリルを備えたフロントセクションは最新のフォーカスや、間もなく発売予定(2023年2月現在)と言われている新型トルネオ・カスタムにも共通した雰囲気に仕上がっており、キャディとの差別化がされている印象です。サイドはリア両側スライドドアを採用しており、狭いところでも乗り降り可能です。リアセクションはキャディでもポイントのひとつであった大きなリアガラスパネルの採用をはじめフロントと比較すると差異は少なく、すっきりとしたデザインになっています。
エクステリアの世界観は3種類用意されています。スタイリッシュなMPVとしてベースとなる「Titanium」に対して、メタリックエフェクトのスキッドプレート、ホイールアーチやバンパー回りのモールディングなどクロスオーバー的な要素を含んだ「Active」はメーカー自身もフォードのSUVをインスパイアしたとコメントしています。一方、17インチマットアルミホイール、車体前後を貫くレーシーなストライプををはじめ、専用スポーツフロントバンパーやフロントドアスカッフプレートなどの専用アイテムでドレスアップされた「SPORT」はMPVでもスポーティな雰囲気な一台に仕上がっており、ユーザーの好みに合わせて選択可能です。
インテリアはLCVベースのMPVの美点として室内空間が広く、2列目以降の頭上にもかなりのスペースがあり子供がそのまま立てるぐらいです。
エクステリアと比較してインテリアはキャディとの差異は少なく、インストルメントパネルのデザインなどは基本的に近いものになります。今回のフルモデルチェンジでフォルクスワーゲンとの提携によりインテリア各所の質感が上がったことはポイントのひとつです。
シートは2列5人乗りおよび3列7人乗りが選択可能です。LWB仕様だけではなく、フル乗車でのラゲッジはミニマムなものになりますがSWB仕様でも7人乗りが選択可能です。2列目および3列目シートは倒したり取り外したりとフレキシブルに使うことが可能で、最大1,913mm(グランド トルネオ・コネクトは2,265mm)のラゲッジスペースが確保できるほか、助手席シートはフラットに折り畳み可能なため、さらに長尺のレジャーアイテムなども積み込めます。
デジタル面も今回のフルモデルチェンジで大きく進化しました。10.25インチの大画面となるスマートな新デジタルメータークラスターの採用や、ナビゲーションやオーディオ、エアコンの操作が可能で従来モデルより大型化されたタッチスクリーンが全車に装備されています。
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ガソリンとディーゼルの設定です。
- ガソリン
1.5L 直4ターボ EcoBoost 114PS(84kw)/220Nm - ディーゼル
2.0L 直4ターボ EcoBlue 102PS(75kw)/280Nm(左ハンドル欧州仕様のみに設定)
2.0L 直4ターボ EcoBlue 122PS(90kw)/320Nm
ガソリンユニットは、1.5L直4のEcoBoostユニットが設定されています。トルネオ・コネクトでは初となるライトサイジングターボとなるこのユニットは、従来モデルの直3 1.0LのEcoBoostユニットと比較して排気量に余裕を持たせることで高い動力性能とクリーンな環境性能を実現しています。燃費性能は欧州複合で17.5km/Lです。ディーゼルは2.0L直4のEcoBlueに102PSと122PSの2種類が設定されていますが、102PS仕様は左ハンドル欧州仕様にのみ設定されています。
これらはフォルクスワーゲン系のTSIEvoやTDIに準じたユニットになりますが、ライバルとなる欧州LCVベースのMPVモデルが、電気自動車仕様のみのラインナップに整理されるものがある一方、純内燃機関仕様が選択できるのはトルネオ・コネクトの強みです。
駆動方式は全車FFを中心に一部仕様に初設定となるAWD仕様があります。トランスミッションは6速MTを中心に、ガソリンEcoBoostと、ディーゼルEcoBlueの122PS仕様には2ペダル7速デュアルクラッチトランスミッションとなるPowerShiftが設定されています。
走行性能とハンドリング
サスペンションはフロント:マクファーソンストラット、リア:トーションビームを採用しています。プラットフォームが従来のトランジット系のものからフォルクスワーゲンの乗用系モジュラープラットフォームのMQBに変わったことで、乗り味も乗用車的なものになり快適性が向上しました。これに加えて初設定となるAWD仕様はフォルクスワーゲンの4Motionに準じたシステムとなり、降雪地や路面状況の悪いところでも安定した走りを提供しオールラウンドに活躍してくれそうです。
安全性も高く、最新のEuroNCAPで最高評価となる5つ星を獲得したほか、衝突被害軽減ブレーキ(プリクラッシュアシスト付き)やレーンキーピングサポート付きクローズコントロールなど最大19ものドライバーアシスタントテクノロジーを設定し、ドライバーに快適で安全なドライビングをサポートします。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,853×1,855×1,833 mm
【ホイールベース】2,970mm 【トレッド】前/後:- / -mm
【車両重量】 -kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒自然吸気 DOHC16Vターボ フロント横置 気筒休止機構付
【総排気量】1,498cc 【直径×内径】-×-mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】114ps(84kw)/4500-6000rpm 【最大トルク】220Nm/1750-3000rpm
【燃料容量】50L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】7AT
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)トーションビーム
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ディスク
【タイヤ】(前後)215/55R17
●パフォーマンス
【最高速度】182km/h 【0-100km/h加速】12.4秒
【燃費】約17.5km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2023モデル:€37,330
歴史とトリビア
フォード トルネオ・コネクト関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- LCVであるトランジット・コネクトの乗用版
- フォルクスワーゲンと商用車開発提携後に初リリースとなったモデル
- 新世代トルネオ第一弾
- 現時点では欧州市場のみ3代目に移行
- フォルクスワーゲンの乗用車系プラットフォームを採用
ライバル
日本にも間もなく登場するルノー カングーを筆頭に、7人乗りロング仕様が追加されたシトロエン ベルランゴ/プジョー リフターなどをはじめ、欧州には多くのライバルがあります。国産メーカーではトヨタ プロエースシティ・ヴァーソと日産 タウンスターがライバルと言えるでしょう。
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
日本でも盛り上がりを見せてる欧州LCVベースのMPVモデルですが、フォード自体が日本でインポーター事業から撤退しているため、新型トルネオ・カスタムが新たに日本へ正規導入される可能性は残念ながら低いでしょう。そのため確実に手に入れるなら並行輸入がおすすめです。トルネオ・コネクトのグレード構成は以下の通りです。現在左ハンドル欧州仕様および右ハンドル英国仕様共にSWB仕様/LWB仕様の両方が設定されています。
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)(トルネオ・コネクト/グランド トルネオ・コネクト共に)
- Titanium
16インチアルミホイール、左右スライドドア、フォグランプ、シルバールーフラック、4スポークレザーマルチファンクションステアリングホイール、マニュアルエアコン、デイナイトセンサー付きヘッドランプアシストなどが装備 - Active
(Titaniumに対して)17インチアルミホイール、クロスオーバーボディキット(Active)、ディスポーザブルホルダーなどが装備 - Sport
(Titaniumに対して)17インチマットアルミホイール、クロスオーバーボディキット(Sport)、LEDヘッドライト/リアライト、10.25インチデジタルクラスターなどが装備
グレード構成(右ハンドル英国仕様)(トルネオ・コネクト/グランド トルネオ・コネクト共に)
- Titanium
16インチアルミホイール、クロームインサート付きフロントバンパー、シルバールーフラック、ボディ同色ドア/リアゲートドアハンドル、ヒーテッドミラー、運転席/助手席シートヒーター、電子インナーミラー、キーレスエントリーなどが装備 - Active
(Titaniumに対して)17インチアルミホイール、カラードバンパー&スキッドプレート、2列目3列目オーバーヘッドカーテシランプ、ディスポーザブルホルダーなどが装備 - Sport
(Titaniumに対して)17インチマットアルミホイール、Sport専用スポーツフロントバンパー、フロントドアスカッフプレート、LEDヘッドライト/リアライト、オートハイヘッドライト、メタリックデザインフットペダル、10.25インチデジタルクラスターなどが装備
新世代トルネオの第一弾としてリリースされたトルネオ・コネクトにはグレードやボディタイプ、パワーユニットと多くの組み合わせがありますが、今回はそのなかでもオススメとして2つ提案します。ひとつは左ハンドル欧州仕様のグランド トルネオ・コネクトにSPORTグレードとガソリンEcoBoost、2ペダルPowerShiftの組み合わせです。これは兄弟車のキャディにはない、MPVでもフォードのSTやRSモデルが持つレーシーでスポーティな雰囲気をイメージさせるSportグレードに、フル乗車でも多くのアイテムを積み込めるLWD仕様のボディと、軽快な回転感と低燃費が魅力のEcoBoostエンジンに2ペダルのトランスミッションを組み合わせており、レジャーなどのアイテムを満載しアクティブさのなかにもスポーツマインドを忘れないオーナーに向けてのチョイスです。もうひとつは左ハンドル欧州仕様のトルネオ・コネクトにTitaniumグレードと同様にEcoBoostと2ペダルPowerShiftの組み合わせです。これは使い勝手のよいボディサイズにMPVとして基本機能をしっかり押さえた誰にでもオススメできる万能なチョイスです。
欧州LCVベースのMPVには日本に上陸していない魅力的なモデルがまだまだあります。新たに乗用MPVとしての快適性が大きく向上したトルネオ・コネクトでアクティブな毎日を送ってみませんか。
- フォード グランド トルネオ・コネクト Sport 1.5 EcoBoost 7AT(左ハンドル欧州仕様)
- フォード トルネオ・コネクト Titanium 1.5 EcoBoost 7AT(左ハンドル欧州仕様)
- フォード トルネオ・コネクト Titanium 1.5 EcoBoost 6MT(右ハンドル英国仕様)
ほかにもActiveグレードをはじめ、右ハンドル英国仕様や、走りを積極的に楽しみたいユーザーには6MT仕様なども並行輸入可能ですので、お気軽にお問合せください。
(€1=138/£1=158円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€37,330)\6,891,000
(現地値引き交渉前価格:€32,270)\6,181,000
(現地値引き交渉前価格:£28,409)\6,240,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。