日本仕様も発表になり早速話題となっている新型ルノー カングーですが、欧州現地にはバン仕様のほか兄弟車も多くあります。ウィズカーズでは既に日産版の兄弟車「タウンスター」の乗用仕様にあたるタウンスター・コンビを解説していますが、欧州にはバン仕様もあり既に現地で展開されています。これに加えて魅力的なバンのロングホイールベース仕様が新たに追加されました。
今回は日産のLCV「タウンスター・バン(NISSAN Townstar Van)」を解説。そのなかでも商用・貨物用途のガソリンエンジン仕様を中心に概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
日産 タウンスター・バンとは
タウンスター・バンは、日産の小型LCVです。ボディサイズは全長:4,486(4,910)mm×全幅:1,860mm×全高:1,864(1,854)mm(ミラー部分を含まず(カッコ内はL2仕様))と、国産車では日産 NV200バネットやトヨタ タウンエースと比べると一回り大きく、ロングホイールベース(LWB)となるL2仕様は全長5mに近くなり、ワンクラス上の欧州中型LCVに迫るサイズです。
タウンスターは2021年、日産の事業戦略「Nissan NEXT」に基づき新たに市場へ投入されたモデルです。フランス・モブージュの工場で生産されるルノー カングーの兄弟車で、カングーが3代目モデルにフルモデルチェンジした直後のタイミングでのデビューとなりました。プラットフォームはアライアンスで共有するCMF-Cプラットフォームを採用し、カングーのほかメルセデス・ベンツ シタンやTクラスも兄弟車になります。
現在販売されているのはタウンスターとしては初代モデルの扱いになりますが、歴代カングーには日産版の兄弟車が存在し、初代モデルにはキュビスター(Kubistar)、2代目モデルにはNV250がありました。そのため、タウンスターはNV250の実質的な後継車種という扱いになります。
バン仕様はショートホイールベース(SWB)のL1仕様から販売開始され、2023年にカングーのLWB仕様が追加されたタイミングでタウンスターにもL2(LWB)仕様が追加となりました。メーカーはデビュー当初に「人間工学に基づいたデザインと、独自技術の提供、2つの効率的なパワートレインソリューションを用意した一台である」とコメントしていましたが、L2仕様追加の際には「荷室容量を拡大し、中型LCVに匹敵する全長を実現したL2ボディは小型LCVの概念を再定義し新しい体験と多様性を提供している」と新たにコメントしています。
タウンスターは、前任のNV250を含めてカングーの兄弟車となる日産版のモデルが正規で導入された実績はありません。
ココがスゴイ!日産 タウンスター・バン
日産 タウンスター・バンを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- 欧州中型LCVに匹敵する全長のL2仕様が追加
- ユーロパレットをそのまま積み込めるスライドドア開口部(L2仕様)
- ガソリンエンジンとEVの両方をラインナップ
- 「和」のテイストを取り入れたデザイン
- プラットフォームを共有化し品質と機能性を追求
スタイリングとインテリア
- エクステリアパーツを共有しつつも日産版として差別化
- 従来モデルより違和感なくLWB化
- 従来モデルより大幅に質感が向上したインテリア
- 使い勝手を考えられたアイテムが各所に配置
タウンスター・バンのボディタイプは、SWB仕様となる全長4,486mmのL1に加え、新たに追加されたLWB仕様となる全長4,910mmのL2の2種類があります。前任モデルであるNV250のLWB仕様はスライドドアとリアホイールアーチ間の延長部分が若干間延びをしたような雰囲気でしたが、タウンスターは違和感なくLWB化がされているように感じます。これはホールベースの延長だけでなく、同時にリアスライドドアもワイド化されたことが効果を発揮しているようです。
エクステリアはリアウィンドウがスチールになるのとバックドアが欧州LCVならではとなる60:40の観音開きが標準になる以外は基本的にコンビと同様です。日産の新ブランドロゴを欧州で初採用したVモーショングリルを中心にシャープでダイナミックなデザイン処理は、リーフやアリアなど日産の最新モデルに通じるものを感じます。ベースとなるカングーとエクステリアパーツの多くを共有している一方、フロントグリルに日本の古来からある格子模様を採用するなど和のテイストを取り込むことで、複数メーカーに兄弟車があるなかでもうまく差別化がされていると言えそうです。
インテリアはインストルメントパネルをはじめ乗用仕様のコンビに準じた直線を基調としたクリーンなデザインです。これはベースとなるカングーとも共有しています。
カングーと同様に従来モデルと比べて大幅に質感が向上したのはインテリアのポイントのひとつです。もうひとつは使い勝手の向上です。A4サイズのタブレットなどが収納可能なダッシュボード上部をはじめ、メーターパネル上部や頭上部分など運転席回りに便利な収納スペースが増やされたほか、使わないときはすっきりと収納できる備え付けのスマートフォンホルダーなどの便利アイテムが簡単に手が届くところにあります。これらは人間工学に基づき配置されており、モバイルオフィスとしても快適にお仕事ができそうです。
バン仕様のシート配列は2列目以降を排した1列となり、長尺物を積み込める可倒式の助手席を備えた2人乗りや、今後オプションで助手席を2人掛けベンチシートにした3人乗り仕様が追加予定(2023年10月現在)とアナウンスされています。
インフォテインメントシステムは、最大8インチのタッチスクリーンが組み合わされたAppleCarPlay/AndroidAuto接続対応のものが設定されるほか、スマーフォンや業務用タブレットなどが充電できるUSBポートや、ワイヤレス充電なども仕様によって用意されています。
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ガソリンおよび電気モーターの設定です。
- ガソリン
1.3L 直4 ターボ DIG-T 130PS(96kw)/240Nm
エンジン仕様で設定されているのは1.3Lガソリンの1種類のみで、兄弟車に設定されているディーゼルユニットは設定されていません。DIG-Tと呼ばれる直4ガソリンターボは、ルノーではTCe130に相当するユニットで、ルノーのほかメルセデス・ベンツやダチアなど多くのモデルに採用されるアライアンス最新のダウンサイジングターボユニットです。低燃費とクリーンな環境性能が魅力で燃費性能は欧州複合で14.9km/L(L1仕様)と、最新のEuro6D-Full規制をパスしています。
これに加えて電気モーターを組み合わせたBEV仕様がラインナップされています。
駆動方式はFFで、トランスミッションは6速MTのみ設定です。
積載量と荷室空間
タウンスター・バンの荷室に関するスペックは以下の通りです。SWBのL1、LWBのL2のボディタイプの差は、ほぼそのまま荷室空間の差となっています。乗員と荷室の間にはフルスチールのバルクヘッドが設定されるほか、可倒式の助手席側を貫通することで長尺物の積み込みが可能な仕様も用意されています。どちらのボディタイプでもユーロパレットを2つ分積載できる空間があり、さらにL2仕様はスライドドアの開口部がL1仕様の615mmから831mmに拡大されたことでスライドドアからもユーロパレットが積み込める広い開口部を実現しています。
ボディタイプ | L1(SWB) | L2(LWB) |
---|---|---|
最大荷室長(mm)(K) | 1,810 | 2,230 |
最大荷室幅(mm)(L) | 1,570 | ← |
ホイールアーチ間荷室幅(mm) | 1,248 | ← |
最大積載容量(立方メートル) | 3.3 | 4.3 |
最大積載量(kg) | 689 | 770 |
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,910×1,860×1,854 mm(ミラー部分を含まず)
【ホイールベース】3,100mm 【トレッド】前/後:- / -mm
【車両重量】 1,500kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント横置き
【総排気量】1,333cc 【直径×内径】 75.2×81.3mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】130ps(96kw)/5,000rpm 【最大トルク】240Nm/1,600rpm
【燃料容量】54L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】6MT
【サスペンション】(前)- / (後)-
【ブレーキ】(前)- / (後)-
【タイヤ】(前後)205/60R916
●パフォーマンス
【最高速度】182km/h 【0-100km/h加速】-秒
【燃費】約-km/L(新欧州複合基準)【価格】英国仕様 2023モデル:£29,220
歴史とトリビア
日産 タウンスター・バン関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- 歴代カングーそれぞれに日産版の設定があり
- NV250/eNV200の後継車種的なポジション
- 日産の新ブランドロゴを欧州初採用
- タウンスターの投入に合わせてLCVラインナップの名称変更
ライバル
タウンスター・バンが属する欧州小型LCVはフルモデルチェンジしたカングーやメルセデス・ベンツ シタンの兄弟車以外に日本でも人気のシトロエン ベルランゴ/プジョー リフター/フィアット ドブロなどステランティスの兄弟車にも現地ではバン仕様が展開されいます。ライバルが多いこのジャンルですが、そのなかでも近しいライバルとして国産メーカーでベルランゴの兄弟車となるトヨタ プロエースシティを挙げます。
- ルノー カングー・バン/エクスプレス
- メルセデス・ベンツ シタン
- トヨタ プロエースシティ
- シトロエン ベルランゴ・バン
- プジョー パルトネール
- フィアット ドブロ・バン
- フォルクスワーゲン キャディ・バン
- フォード トランジット・コネクト
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
世界的に見てもカングーが人気の日本市場ですが、タウンスターをはじめ歴代カングーの日産版が正規導入された実績はありません。日本市場においてはコンパクトなNV200バネットとキャブオーバーで荷室空間を最大限確保したキャラバンがそれぞれラインナップされているため、今後タウンスターが新たに導入される可能性は低いと予想されます。そのため、確実に手に入れるなら並行輸入がおすすめです。タウンスター・バンのグレード構成は以下の通りです。右ハンドル英国仕様はL1とL2両仕様が販売中で、左ハンドル欧州仕様は現時点(2023年10月現在)でL1仕様のみの販売です。L2仕様も今後発売予定のようですが、BEVのみかガソリン仕様もあるのかはアナウンスされておりません。
グレード構成(右ハンドル英国仕様)
- VISIA
16インチスチールホイール+フルホイールカバー、LEDヘッドライト、両側スライドドア(L2仕様)、観音開きバックドア(180度開閉)、電動調整ヒーテッドドアミラー、運転席高さ調整、一人掛け助手席、マニュアルエアコン、パワーウィンドウ、荷室12Vソケット、4.2インチカラードライバーインフォメーションシステム、全幅タイプバルクヘッド、リモートセントラルロック、タイヤ空気圧モニター、イモビライザーなどが装備 - ACENTA
(VISIAに対して)LEDフロントフォグライト、両側スライドドア(L1仕様)、
電動格納ドアミラー、運転席側ワンタッチパワーウィンドウ、荷室LED照明、オートエアコン、8インチタッチスクリーン(AppleCarPlay/AndroidAuto対応)クルーズコントロール、リアパーキングセンサーなどが装備 - TEKNA
(ACENTAに対して)ボディ同色フロントおよびリアバンパー(L1仕様)/サイドドアハンドル/サイドドアレール、スマートフォンホルダー、キーレスエントリー、フロント&リアパーキングセンサー、リアカメラなどが装備 - TEKNA+
(TEKNAに対して)16インチアルミホイール、グロスブラックドアミラー、レザーステアリングホイール、インテリジェントパークアシスト、ブラインドスポットアシスト、360度アラウンドビューモニターなどが装備
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)
- VISIA
15インチスチールホイール、LEDヘッドライト、片側スライドドア、観音開きバックドア(180度開閉)、電動調整ヒーテッドドアミラー、マニュアルエアコン、荷室12Vソケット、4.2インチカラードライバーインフォメーションシステム、リモートセントラルロックなどが装備 - ACENTA
(VISIAに対して)16インチスチールホイール+フルホイールカバー、運転席高さ調整、荷室LEDライト、スピードリミッター付きクルーズコントロール、リアパーキングエイドなどが装備 - N-CONNECTA
(ACENTAに対して)フォグランプ、電動格納ドアミラー、運転席ランバーサポート、助手席高さ調整、運転席ワンタッチパワーウィンドウ、荷室LED照明、レザールックのステアリングホイール、スマートフォンホルダー、8インチタッチスクリーン(AppleCarPlay/AndroidAuto対応)、ブラインドスポット警告、カラーリアビューカメラ、i-Key付きセントラルロックなどが装備
日本に導入されていないタウンスター・バンですが、そのなかでもオススメは右ハンドル英国仕様、L2ボディのTEKNAグレードにガソリンDIG-Tと6MTの組み合わせです。日本でも乗りやすい右ハンドルに荷室スペースの広いL2仕様のボディと、AppleCarPlay/AndroidAuto接続に対応したインフォテイメントシステムをはじめ標準装備が充実したTEKNAグレードに燃費もよく走りも楽しめるガソリンDIG-TとMTの組み合わせは、快適なお仕事の相棒にも広い荷室を生かして趣味のトランスポーターにも活躍してくれそうなチョイスです。商用バンとしてみれば荷室を最大限に取れるキャブオーバータイプの右に出るものはないかも知れません。しかし、国産メーカーで欧州仕込みのLCVを味わえるタウンスター・バンは実用一辺倒の商用バンとはひと味違った選択肢として魅力を持った一台です。日本未導入のタウンスターを好みの仕様で欧州からお取り寄せしてみませんか。
- 日産 タウンスター・バン TEKNA L2 1.3 DIG-T130 Manual(右ハンドル英国仕様)
- 日産 タウンスター・バン VISIA L1 1.3 DIG-T130 Manual(左ハンドル欧州仕様)
ほかにも左ハンドル欧州仕様のほか、L1仕様やベーシックグレードについても並行輸入可能ですのでお気軽にお問い合わせください。合わせて乗用仕様のタウンスター・コンビについても並行輸入可能ですので、こちらも合わせてお問合せください。
(€1=150円時/£1=175円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:£29,220)\6,879,000
(現地値引き交渉前価格:€25,382)\5,351,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。