世界的にもメーカー同士つながりが再編されるなか、この流れに沿って欧州LCVもベース車を共有するいくつかのグループに分かれつつあります。そのグループのひとつとなるルノーのLCVがアップデートされプロツールとして磨きが掛かりました。
今回紹介するのはルノーのミドルクラスLCV、トラフィックのなかでも商用仕様のパネルバンを中心に概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
ルノー トラフィック・バンとは
トラフィック・バンはルノーの全長5m級モデルとなるミドルクラスLCVです。ボディサイズは全長:5,080mm×全幅:1,956mm×全高:1,971mm(ショートホイールベースのL1H1仕様の場合。ミラー部分を含まず)と国産バンではトヨタ ハイエースや、日産 キャラバンの標準ボディより大きく、スーパーロングに近いサイズです。
初代モデルは1981年、ルノーの商用車であるエスタフェの後継車種としてデビューしました。初代モデルは20年以上のロングセラーとなったのち、フランスの高速鉄道を彷彿させる印象的なデザインを採用した2001年デビューの2代目を経て、2014年には3代目にフルモデルチェンジしました。
その後、フェイスリフトや2ペダルのEDC仕様の追加などされた後、2021年には現在販売される仕様となる2回目のフェイスリフトが実施されました。ここでは内外装およびパワーユニットまで広範囲でアップデートされており、より完成度が高まりました。
生産はフランス・サンドゥヴィルの工場にて行われ、兄弟車にはトラフィックと同じ時期にフェイリフトされた日産 プリマスターと豪州市場に三菱 エクスプレスが展開されています。かつては兄弟車としてフィアット タレントがありましたが、フィアットがステランティスの一員となった結果、ミドルクラスのLCVはフィアット スクード/ウリッセの名前が復活しシトロエン ジャンピー(ディスパッチ)の兄弟車になりました。
バリエーションには商用用途をメインにするパネルバンのほか、貨客混在のダブルキャビン(英国仕様ではクルーバン)、送迎や乗用用途のコンビ、そして架装ベースのキャブシャーシも設定されています。
日本市場に対しては、トラフィックの各仕様をはじめ、兄弟車の日産 プリマスターを含めて正規で導入された実績はありません。
ルノー トラフィック・バン紹介動画(約30秒)
ココがスゴイ!ルノー トラフィック・バン
ルノー トラフィック・バンを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- 職人さんやフリートユースのニーズを満たすプロスペックな一台
- 乗用車に匹敵する快適性
- 最新の環境基準に適合したパワーユニットにアップデート
- 最新のインフォテイメントシステムにアップデート
- 新たな運転支援システム(ADAS)を採用
スタイリングとインテリア
- ボディタイプは2種類のホイールベースと2種類の全高が設定
- シャープな造形にシフトしたフロントセクション
- 乗用車に匹敵する質感にアップグレードされたインテリア
- モバイルオフィスとしても使える数々のアイテムを装備
トラフィック・バンのボディタイプは、全長5,080mmの標準ホイールベース(SWB)仕様の「L1」と、全長5,480mmのロングホイールベース(LWB)仕様の「L2」の2種類のホイールベースに対して、標準ルーフの「H1」と、コンビなどには設定のないハイルーフの「H2」の2種類のルーフがあり、合計4種類が設定されています。
エクステリアにおいて今回のフェイスリフトで最も変わったのがフロントセクションです。従来モデルは大きめなサイズのヘッドライトに丸みを帯びた造形で比較的に癒し系の雰囲気であったのに対して、新型モデルは従来より薄型になったフルLEDライトの採用や、フロントバンパーおよびグリルのデザインが一新され、シャープさが印象的な造形にシフトしました。リアドアは運転席側のスライドドアが標準で設定されていますが、グレードにより両側スライドドアも選択可能です。貨物仕様のパネルバンはフルスチール、貨客混在のダブルキャビンはガラスウィンドウ付きのものが組み合わされます。バックドアはコンビと違い、観音開きが標準で設定されています。
インテリアは今回のフェイスリフトでインストメントパネルが一新されました。ドアパネルに向けて水平方向に伸びる造形は視覚的に車内のスペースを広く感じさせる効果があるほか、インフォテイメントシステムのタッチスクリーンの位置も従来モデルと比較して視野性の高い場所に再配置されました。ほかにもドアパネルやギアシフトノブなどのデザインも見直されており「乗用車に匹敵する質感にアップデートされた」とメーカーはコメントしています。
シートは欧州LCVとして長距離長時間座り続けても疲れづらいものが装備されるほか、乗用用途のコンビにはない装備として「モバイルオフィス」があります。3人掛けフロントシート中央席背もたれを倒すと出現するノートパソコンを使うのに十分なスペースに加え、A4サイズの書類をクリッピングできる回転式スタンドなどの装備が組み合わされます。ほかにも収納は多く、助手席ベンチシート下をはじめとする各所にスペースが用意されており、長時間を過ごす車内で快適に仕事ができる環境が用意されています。
シート配列はパネルバンは1列目のみが標準で、助手席1人掛けと、2人掛けのベンチシートが選択可能です。ダブルキャビンは2列目シートも設定されます。
インフォテイメントシステムは最新世代のEASYLINKにアップデートされました。新たに8インチのタッチスクリーンが組み合わされ、AppleCarPlay/AndroidAutoなどのスマートフォン接続機能を備えるほか、3つのUSBポートやオプションで最大15Wのワイヤレス充電も選択可能です。
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ディーゼルのみの設定です。
- ディーゼル
2.0L 直4ターボ dCi110 110PS(81kw)/300Nm
2.0L 直4ターボ dCi130 130PS(96kw)/320Nm
2.0L 直4ターボ dCi150 150PS(110kw)/350Nm
2.0L 直4ターボ dCi170 170PS(125kw)/380Nm
設定されるのは全て2.0Lのディーゼルとなり、チューニングの違いで4種類が設定されています。今回のフェイスリフトではパワー/トルク共に向上するだけでなく環境性能も向上しており、全ての仕様でEuro6d-Full規制をパスしています。燃費性能はdCi150・6EDC仕様の欧州複合で14.0km/Lです。
駆動方式は全車FFで、トランスミッションは6速MTを中心にdCi150とdCi170仕様に2ペダルのデュアルクラッチトランスミッションとなる6速EDCが設定されています。
積載量と荷室空間
トラフィック・バンの荷室に関するスペックは以下の通りです。最大荷室長は長尺物を載せる際に貫通できるバルクヘッドなどにより、国産バンのスーパーロングを上回るサイズを備えるほか、ロングホイールベースのL2仕様では欧州でもクラス最大級となる4,150mmを実現しています。最大積載量に対してお仕事の用途や積み込む荷物に合わせてボディタイプが選択可能です。
ボディタイプ | L1H1 | L1H2 | L2H1 | L2H2 |
---|---|---|---|---|
最大荷室長(mm) | 3,750 | ← | 4,150 | ← |
最大荷室幅(mm) | 1,662 | ← | ← | ← |
ホイールアーチ間荷室幅(mm) | 1,268 | ← | ← | ← |
最大積載容量(立方メートル) | 5.8 | 7.7 | 6.7 | 8.9 |
最大積載量(kg) | 1,017 | 1,089 | 1,251 | 1,086 |
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】5,080×1,956×1,971 mm(ミラー部分を含まず)
【ホイールベース】3,098m 【トレッド】前/後:- / -mm
【車両重量】 1,783kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント縦置き 気筒休止機構付
【総排気量】1,997cc 【直径×内径】 -×-mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】150ps(110kw)/3,500rpm 【最大トルク】350Nm/1,500rpm
【燃料容量】-L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】6EDC
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)コイルスプリング
【ブレーキ】(前)- / (後)-
【タイヤ】(前後)215/65R16
●パフォーマンス
【最高速度】176km/h 【0-100km/h加速】11.6秒
【燃費】約14.0km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2022モデル:€43,518(オプションのマニュアルエアコン込み)
歴史とトリビア
ルノー トラフィック・バン関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- 1981年デビューの初代モデルは20年以上に渡り販売されたロングセラー
- 初代モデルデビュー以来世界50か国以上で220万台の販売実績
- 三菱にも三菱 エクスプレスとして豪州市場で展開
- 兄弟車の日産 プリマスターもほぼ同じタイミングでフェイスリフト
ライバル
トラフィック・バンが属する全長5mクラスの欧州ミドルクラスLCVは、各メーカーがラインナップするホットな市場のひとつですが、最近ではアライアンスごとにベースモデルが共通化されており、さながら欧州自動車メーカーに対する関係の縮図が見えるように感じます。そのなかでも近しいライバルは、ステランティス発足により兄弟車が多く増えたシトロエン ジャンピー(ディスパッチ)をはじめとする兄弟モデルではないでしょうか。ほかにも老舗LCVブランドのトランジット・カスタムや、ウィズトレーディングでも多くの引き合いがあるフォルクスワーゲン T6.1トランスポーターなどこのクラスは強豪揃いです。
- シトロエン ジャンピー/ディスパッチ
- プジョー エキスパート
- トヨタ プロエース
- オペル/ボクスホール ヴィヴァーロ
- フィアット スクード
- 日産 プリマスター
- フォルクスワーゲン T6.1トランスポーター
- フォード トランジット・カスタム
- メルセデスベンツ ヴィトー
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
日本においてルノーブランドの屋台骨と言っても過言ではない小型LCVのカングーが大人気な一方、ミドルクラスLCVのトラフィックはバン仕様/乗用仕様共に日本市場に正規で導入された実績はありません。ほかのメーカーを見渡しても現在ミドルクラスLCVを正規で導入しているモデルはないため、今後もトラフィックが正規導入される可能性は残念ながら低いと予想されます。そのため、確実に手に入れるなら並行輸入がおすすめです。トラフィック・バンのグレード構成は以下の通りです。左ハンドル欧州仕様、右ハンドル英国仕様共に設定されています。貨客混在仕様については、左ハンドル欧州仕様は「ダブルキャビン」、右ハンドル英国仕様は「クルーバン」(LWBのL2仕様のみ設定)となります。
グレード構成(左ハンドル欧州仕様・パネルバン)
- Ecoline
16インチスチールホイール、フロントパワーウィンドウ、ウィンドウなし観音開きスチールバックドア、LEDヘッドライト/デイタイムランニングライト、ヒーター付きドアミラー、3.5インチTFTディスプレイなどが装備(エアコンはオプションでも設定なし) - Basis
(Ecolineに対して)二人掛け助手席ベンチシート、助手席側ウィンドウなしスライドドア、ハーフハイトラゲッジコンパートメントなどが装備(エアコンはオプション) - Komfort
(Basisに対して)3ウェイ調整コンフォート運転席シート、ランバーサポート、アームレスト、インパルス機能付き運転席パワーウィンドウ、キーカード型キーレス、ラゲッジ内12Vソケット、クルーズコントロールなどが装備(エアコンはオプション)
グレード構成(右ハンドル英国仕様・パネルバン)
- Business
16インチスチールホイール、電動格納ミラー、フルスチールバルクヘッド、3.5インチTFTディスプレイ、アームレスト、運転席側ワンタッチ機能付きパワーウィンドウなどが装備(エアコンはオプションでも設定なし) - Business+
(Businessに対して)花粉フィルター付きマニュアルエアコン、モバイルオフィス(ノートPCステーション、取り外し可能なA4クリップボード付き折り畳み式助手席)、カラードバンパー/ドアミラー/サイドモール、8インチタッチスクリーン、リアパーキングセンサーなどが装備 - Sport
(Business+に対して)17インチアルミホイール、プレミアムフェイクレザーステアリング、ロードスルー機能を備えたフルスチールバルクヘッド、オートワイパーなどが装備 - Sport+
(Sportに対して)Sport+専用17インチアルミホイール、カラードバンパー/ドアミラー/サイドモール、ラゲッジ内12Vソケットなどが装備
グレード構成(左ハンドル欧州仕様・ダブルキャビン)
- Komfort
16インチスチールホイール、両側スライドドア、ハーフハイトコンパートメント、パワーウィンドウ、3ウェイ調整コンフォート運転席シート、ランバーサポート、アームレスト、ラゲッジ内12Vソケット、カード型キーレスなどが装備(エアコンはオプション)
グレード構成(右ハンドル欧州仕様・クルーバン・LWB仕様のみ)
- Business
16インチスチールホイール、LEDヘッドライト/デイタイムランニングライト、観音開きバックドア、ラゲッジ内12Vソケット、運転席側ワンタッチ機能付きパワーウィンドウ(エアコンはオプション) - Business+
(Businessに対して)リアパーキングセンサー、盗難防止スペアホイールホルダー付きスペアタイヤ、花粉フィルター付きマニュアルエアコン、8インチタッチスクリーン、助手席側スライドドアなどが装備 - Sport
(Business+に対して)17インチアルミホイール、プレミアムフェイクレザーステアリング、ティンテッドガラス、オートワイパーなどが装備 - Sport+
(Sportに対して)Sport+専用17インチアルミホイール、カラードバンパー/ドアミラー/サイドモールなどが装備
ルノーのミドルクラスLCVとなるトラフィックですが、そのなかでもおすすめは、左ハンドル欧州仕様のL1H1仕様のKomfortにdCi150ユニットと6EDCの組み合わせを挙げます。これは国産バンにも近いサイズで日本でも乗りやすいL1H1ボディに装備が充実したKomfortグレードを選択し、パワーに余裕のあるdCi150ユニットとオートマチック限定免許でも運転できる2ペダル、EDCの組み合わせです。これは欧州現地のプロユースでも活躍できる仕様としてのチョイスですが、標準ではエアコンが装備されていないため、日本で乗るにはオプションで追加するのをおすすめします。お仕事はもちろんのこと、趣味のトランスポーターとしても活躍してくれるでしょう。
さらに人を乗せたい方には2列目シートを備えたダブルキャビンを選んでみるのもいかがでしょうか。
「積載性」「走り」「長距離長時間低疲労性能」どれを取っても国産バンとはひと味違うプロ御用達のツールとして、欧州の空気をそのまま感じられるトラフィック・バンを仕事の相棒に選んでみませんか。
- ルノー トラフィック・バン Komfort L1H1 dCi150 EDC+マニュアルエアコン(左ハンドル欧州仕様)
- ルノー トラフィック・バン Business+ L1H1 dCi130 Manual(右ハンドル英国仕様)
- ルノー トラフィック・ダブルキャビン Komfort L1H1 dCi170 EDC+マニュアルエアコン(左ハンドル欧州仕様)
ほかにも右ハンドル英国仕様をはじめ、ロングホイールベースのL2仕様や、より積載性の高いハイルーフのH2仕様、2列目が必要な方にはダブルキャビンなど設定される多くの仕様がお客様のニーズに合わせて各種並行輸入可能ですのでお気軽にお問い合わせください。合わせて乗用仕様のトラフィック・コンビについても並行輸入できますのでお気軽にお問合せください。
(€1=138/£1=162円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€43,518)\8,120,000
(現地値引き交渉前価格:£35,700)\7,819,000
(現地値引き交渉前価格:€48,278)\8,871,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。