かつては欧州の多くのメーカーがラインナップしていた「シティーカー」とも呼ばれるAセグメントクラスのコンパクトカー。道幅の狭い旧市街が今なお残る欧州ではニーズにあった存在で長年多くの支持を得てきました。しかし、最近ではAセグメントのガソリンモデルはラインナップから落ちたり、現在販売されていても後継モデルはないと噂されるモデルがいくつもあります。
そのなかで初代から一貫してAセグメントとしてラインナップされてきたあのモデルが、セグメントを守りつつも新たにクロスオーバー化されました。
今回はトヨタのコンパクトクロスオーバー、「アイゴクロス(アイゴX)(TOYOTA AygoX)」を解説。概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
トヨタ アイゴクロス(アイゴX)とは
アイゴクロスは、冒頭の通りトヨタのAセグメントクラスのコンパクトカーです。ボディサイズは全長:3,700mm×全幅:1,740mm×全高:1,525mmと日本でも販売されるヤリスよりも小さい弟分的なポジションです。欧州では販売されていないパッソよりも大きく、国産車ではスズキ イグニスに近いサイズです。
アイゴの初代モデルのデビューは2005年、ヤリスよりもコンパクトなボトムレンジを担う欧州トヨタ初のAセグメントシティーカーとしてデビューしました。ヤリスとは違い欧州専売モデルであり、トピックは欧州コンパクトカーの知見のあるプジョー/シトロエンとの共同開発されたモデルであることです。そのため兄弟車にはプジョー 107/シトロエン C1がありました。アイゴおよび兄弟車は好調なセールスを記録したことから、トヨタとグループPSA(当時)のジョイントベンチャーは2代目アイゴのほか、未導入ながらも日本のユーザーからも関心の高いプロエースシティまで続いています。
しかしその後、グループPSAはFCAと提携しステランティスへ。プジョーとシトロエンはコストや環境基準の厳格化を理由にAセグメントのガソリン車から撤退すると報道されました。
現在ラインナップされているのは2021年に発表された3代目モデル。2021年初頭に発表されたコンセプトモデル「アイゴXプロローグ」のモチーフを実体化したモデルで、2022年上半期からデリバリー開始と発表されています。3代目はPSAが兄弟車開発から手を引いたため、はじめてトヨタ単独で開発されたモデルになりました。今回のフルモデルチェンジではAセグメントは死守しつつもクロスオーバー化され、ネーミングもアイゴから「アイゴクロス」(アイゴX)に変更。カローラやヤリスのクロスオーバーモデルの末っ子的なポジションとなりました。従来モデルは3ドア仕様もありましたが、今回はじめて5ドアに一本化。生産は従来モデル同様にチェコで生産され、プラットフォームは、トヨタ単独開発になったことにより、トヨタが推し進める新世代のTNGA GA-Bプラットフォームを採用。これはヤリスおよびヤリスクロスと共有したものになります。
トヨタのなかで最も若いユーザーをターゲットとしたモデルであり、従来モデルと比較してより個性を主張するアイゴクロスは「走っていても止まっていても自己表現をアピールするツール」であるとメーカーはコメントしています。
初代モデルデビュー以来、アイゴは一貫して日本には導入されておらず、アイゴクロスも現時点では日本導入に関する発表はありません。
トヨタ アイゴクロス コマーシャル動画(約30秒)
ココがスゴイ!トヨタ アイゴクロス
トヨタ アイゴクロスを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- Aセグメントクラスを死守しつつクロスオーバー化
- コンセプトモデルからの高い再現度
- Aセグメントクロスオーバー初となるキャンバストップルーフの採用
- 待望の2ぺダルCVTを初採用
- TNGAプラットフォームを採用し軽量化と高剛性化を実現
スタイリングとインテリア
- よりワイドに力強い印象を与えるエクステリア
- 印象的なバイトーンルーフは継続採用
- 着座位置が高くなり運転しやすくなったインテリア
- スマートフォンコネクテッド機能も大きく進化
アイゴクロスのエクステリアでまず目を引くのはやはりデザイン。翼のような躍動感のあるフロントグリル周りはトヨタのデザインコンセプトのひとつキーンルックをさらに進化。2本のライトパイプで構成されたフルLEDのデイタイムランニングライトとターニングライトをはじめ、サイドはZ字型の躍動感のあるラインが入るのほか、ウェッジシェイプのルーフラインが印象的。各所をブラックアウトされたパーツはクロスオーバー要素を盛り込みつつも、先代モデルでも印象的であったX字型のデザインアクセントを持ったリアはアイゴクロスにも継承されています。これらの個性的なデザインは全体的にコンセプトモデルである「アイゴXプロローグ」のモチーフを市販化にあたり最大限盛り込めたと評価できるでしょう。
ボディサイズは従来モデルより全長が長くなった一方、幅が広がったことで力強い安定感のある印象を与えるほか、車高が上がり、ホイールも17インチ(最大18インチ)と大径化されたことでクロスオーバー化されています。クロスオーバー化されても全高は1,550mm以下に抑えられているので一般的な立体駐車場に入ることもポイントです。ルーフ回りは従来モデル同様バイトーンルーフが設定されるほか、Aセグメントクロスオーバー初のキャンバストップルーフが設定されています。
インテリアは、従来モデルから「ポップでありながらクール」というコンセプトは継承。ブラックをベースにダッシュボードやセンターコンソールなどの各所にボディカラーに合わせたパートカラーを入れることでアウトドアアイテム的な要素も加えています。シートはファブリックのほか、ハーフレザーも設定。シートトリムをよく見ると、アイゴクロスの「X字型」のテクスチャが埋め込まれています。
今回のフルモデルチェンジでは地上最低高が上がったことや着座位置が最適化され55mmアイポイントが上げられたことに加え、Aピラーの角度が起こされたことにより、見晴らしがよくなり運転しやすくなりました。合わせてボディサイズが拡大されたことにより、シート間隔の余裕が増えたほか、ラゲッジスペースも従来モデルから35%容量が拡大されています。
コネクテッド機能も合わせて進化。最大9インチのタッチスクリーンが設定されるインフォテイメントシステムは、AppleCarPlay/AndroidAutoでスマートフォン接続できるほか、Toyota Smart Connectによりワイヤレスでも接続可能。合わせて非接触充電も選択でき、若いユーザーにとって必須のスマートフォンとの親和性も高めています。ほかにも従来モデルに続きJBLとコラボレートしたプレミアムオーディオを設定。新たにアイゴクロスに合わせて専用スピーカーやアンプ、ウーファーなど最適化されています。
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ガソリンが設定。
- ガソリン
1.0L 直3 自然吸気 VVT-i 1KR-FE 72PS(53kw)/93Nm
設定されるのは直3 1.0Lのガソリンの1種類。1KR-FEと呼ばれる可変バルブタイミング機構のVVT-iを採用した自然吸気ユニットは従来モデルから引き続き設定。兄貴分となるヤリスの1.0Lモデルや、日本ではパッソにも搭載されるもので、最新の欧州環境基準をクリアしながら高い信頼性を実現しています。燃費性能はCVT仕様の欧州複合で20.8km/Lです。
駆動方式はFF。そしてポイントはトランスミッション。コンベンショナルな5MTのほか、パドルシフト付きのCVT(S-CVT)が設定。CVTの採用は歴代アイゴで初となり、従来モデルに採用されていたシングルクラッチAMTのx-Shiftと比較して日本のユーザーでも違和感のないものに進化しました。
走行性能とハンドリング
サスペンションはフロント:マクファーソン・ストラット、リア:トーションビームを採用。今回のフルモデルチェンジではプラットフォームを一新し、トヨタの新世代プラットフォームのTNGAを採用することで、軽量化しつつも剛性が向上。1トン前後の軽い車重と車高が上がり大径のホイールが組み合わせれても優れた乗り心地とコントローラブルな走りを実現しています。
これに加えて従来モデルよりも20cm以上も全長が拡大された一方、ホイールベースの延長は抑えられたことでクラス最小の回転半径を実現し、日本の狭い路地でも力を発揮しそうです。
安全装備についてはToyota-Safety-Senseを全ての仕様で標準装備。単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせたこのシステムは歩行者やサイクリストを検知する最新のものです。
日本のパッソはダイハツが開発したシステムをベースとしているため、Aセグメントモデルでこのシステムの採用は初となります。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】3,700×1,740×1,525 mm(ミラー部分を含まず)
【ホイールベース】2,430mm 【トレッド】前/後:1,540 / 1,520mm
【車両重量 940kg
●エンジン
【構成】水冷直列3気筒自然吸気 DOHC12V フロント横置き 気筒休止機構付
【総排気量】998cc 【直径×内径】 71.0× 84.0mm 【圧縮比】11.8:1
【最高出力】72ps(53kw)/6,000rpm 【最大トルク】93Nm/4,400rpm
【燃料容量】-L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】CVT
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)トーションビーム
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ドラム
【タイヤ】(前後) 175/60R18
●パフォーマンス
【最高速度】150km/h 【0-100km/h加速】15.5秒
【燃費】約20.8km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2022モデル:€22,750
歴史とトリビア
トヨタ アイゴクロス関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- アイゴクロスはトヨタが独自で開発したモデル
- 初代モデルから一貫してチェコの工場で生産
- コンセプトカー「アイゴXプロローグ」を市販モデル化
- Toyota European Design and Development (ED2)でデザイン
- ボディカラーは刺激的なスパイスからインスパイア
ライバル
欧州市場でラインナップが減りつつあるAセグメントのガソリンモデル。そのなかでも近しいライバルはクロスオーバー要素を持ったコンパクトモデルとしてフィアット パンダとスズキ イグニスを挙げます。
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
トヨタが単独で開発したAセグメントクロスオーバー。未来的で個性的なエクステリアのアイゴクロスは、ヤリスクロスに続き日本でも大きな支持を得られそうに思われます。しかし、日本ではAセグメントのパッソや、ヤリスクロスより小型のクロスオーバーとしてライズがあるなど、既存モデルとの競合を考慮すると残念ながら日本市場へ導入の可能性は低いと思われます。そのため、確実に手に入れるなら並行輸入がおすすめです。
アイゴクロスは現時点(2022年2月上旬)ではまだ発売開始されておらず予約受付中の状態ですが、左ハンドル欧州仕様、右ハンドル英国仕様ともにラインナップされることが発表されています。アイゴクロスのグレード構成は以下の通りです。左ハンドル欧州仕様、右ハンドル英国仕様ともに通常グレードおよび発売記念限定グレードがラインナップされています。(2022年2月追記)
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)
- Aygo X
17インチスチールホイール、Toyota-Safety-Sense、アダプティブクルーズコントロール、4.2インチマルチインフォディスプレイ、マニュアルエアコン、フロントパワーウィンドウなどが装備 - Play
(Aygo Xに対して)7インチタッチスクリーン、AppleCarPlay/AndroidAuto接続機能、レザーステアリング&ギアノブなどが装備 - Pulse
(Playに対して)17インチアルミホイール、バイトーンカラー、プライバシーガラス、8インチタッチスクリーン、シートヒーターなどが装備 - Explore
(Pulseに対して)18インチアルミホイール、BiLEDヘッドライト、LEDテールライト、9インチタッチスクリーン、フロント&リアパーキングセンサー、レザーコンビシートなどが装備 - Limited(発売記念限定車)
(Exproleに対して)Limited専用18インチアルミホイール、Limited専用エクステリア(フロントグリル、リアバンパーなど)、JBLサウンドシステムなどが装備 - LimitedAir(発売記念限定車)
(Limitedに対して)キャンバストップルーフを装備
グレード構成(右ハンドル英国仕様)
- PURE
17インチアルミホイール、7インチタッチスクリーン、AppleCarPlay/AndroidAuto接続機能、エアコン、Toyota-Safety-Sense、リアカメラなどが装備 - EDGE
(PUREに対して)18インチアルミホイール、フロントフォグライト、バイトーンメタリックペイント、プライバシーガラス、8インチタッチスクリーン、Toyota-Smart-Connect、オートエアコンなどが装備 - EXCLUSIVE
(EDGEに対して)LEDヘッドライト、9インチタッチスクリーン、ワイヤレスチャージャー、イルミネーションエントリー、スマートエントリー、フロント/リアパーキングセンサーなどが装備 - LIMITED EDITION(発売記念限定車)
(EXCLUSIVEに対して)18インチマットブラックアルミホイール、専用レザーコンビシート、フロントヒーテッドシート、キャンバスルーフなどが装備
Aセグメントクラスを死守しつつもクロスオーバーに生まれ変わったアイゴクロス。おすすめについては、デビュー直後しか選べない発売記念限定車のLimited系はマットブラックのアルミホイールに専用エクステリアを備えて、小さいながらも通常モデルよりもさらにクロスオーバーとしてのタフな要素がプラスされており魅力的です。これにクラス唯一となるキャンバストップルーフの選択もよいでしょう。トランスミッションは日本のユーザーにも違和感ないものに進化したCVT仕様をおすすめします。コンパクトながらも強く個性を主張する欧州生まれのこの一台。先代モデルの紹介でも近いフレーズを使いましたがアイゴクロスはさながら「欧州発 オフかわいいトヨタ最小プチトヨタ」。いち早く取り寄せてみませんか?
・トヨタ アイゴクロス Limited 1.0 VVT-i S-CVT(左ハンドル欧州仕様)
・トヨタ アイゴクロス Pulse 1.0 VVT-i S-CVT(左ハンドル欧州仕様)
・トヨタ アイゴクロス PURE 1.0 VVT-i Manual(右ハンドル英国仕様)
ほかにも左ハンドルの通常グレードをはじめ、積極的に運転を楽しむ5MT仕様や、右ハンドル英国仕様も並行輸入できますので、お気軽にお問い合わせください。
(€1=130/£1=155円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€22,750)\4,373,000)⇒新発売特価(お問合せ下さい。)
(現地値引き交渉前価格:€19,090)\3,938,000)⇒新発売特価(お問合せ下さい。)
(現地値引き交渉前価格:£14,795)\3,732,000)⇒新発売特価(お問合せ下さい。)
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。