日本のルノーブランドで最も販売台数が多いのが「カングー」。長年日本でこのジャンルはカングーの一人勝ち状態が続いていましたが、PSAがシトロエン ベルランゴ/プジョー リフターを引っ提げてとうとう日本に上陸。はじめて勢力図が変わりつつあります。
そんな中、カングーが欧州で満を持してフルモデルチェンジしました。果たして新型モデルはどのように変化したのか?多くの声が寄せられるように一回りコンパクトなエクスプレスが日本には導入されるのか?今回はルノーの欧州LCVベースのMPV、カングー(RENAULT Kangoo)の2021年に欧州でフルモデルチェンジした新型モデルを解説。概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
ルノー カングーとは
ルノーカングーは、ルノーの小型LCVをベースにしたMPVモデルです。新型乗用モデルのボディサイズは全長:4,486mm×全幅:1,919mm×全高:1,838 mm(ミラー部分を含まず)と、国産車と比較すると全長は日産 セレナやトヨタ ノア兄弟よりも若干短いですが、幅はアルファードよりも大きめなサイズとなり、従来モデルと比べると長さ/幅ともにサイズアップされました。これは日本に導入されるベルランゴ/リフター(ショートボディ4,403㎜)に近いサイズです。
初代モデルのデビューは1997年。サンクをフルゴネット化したようなエキスプレスの後継モデルとしてデビュー。欧州LCVとしての使い勝手の良さと、ファニーなデザインから現地で大きな支持を得ました。日本市場には2002年に初投入され、日本でもたちまち人気モデルになりました。2代目モデルは2007年のデビュー。日本で5ナンバーサイズに収まっていた初代モデルから一転、ボディサイズは大きくなりましたが人気は衰えず。日本では最も販売台数が多いルノー車の地位を確立すると共に、乗用モデルのカングーが最も多く販売される市場となりました。モデル途中でデュアルクラッチトランスミッションの「EDC」が採用されたのは、2ペダルモデルが人気の日本市場をメーカーが重視した結果と言えるでしょう。ユーザーとのコミュニケーションも積極的で、輸入車の単一車種ではめずらしいイベント「カングージャンボリー」が毎回大盛況であることがカングーが日本で愛され、メーカーとユーザーの絆が強いことが伺われます。
現在欧州で販売されているのは、2021年にフルモデルチェンジした3代目モデル。新型もバン仕様と乗用モデルがラインナップ。今回のモデルチェンジでは従来モデルよりボディサイズが大きくなったカングーと、従来モデルより幅が狭い一回りコンパクトなエクスプレス(現時点でバン仕様のみ)が新たにラインナップされています。生産はフランス、モーブージュの工場にて生産され、乗用モデルは左ハンドル仕様から展開されています。(2022年4月現在)。新型モデルの特に乗用モデルのポイントは「質感向上」。従来モデルの商用用途が色濃いものから、乗用用途のキャラクターにシフトし、乗用車としてのエレガントさと快適さの向上が実現しているとメーカーはアピールしています。
日本市場には3代目モデルの導入に関しては正式にアナウンスはされておらず、導入時期やどのような仕様が選択されたかなどはまだ明らかになっておりません。
ルノー カングー コマーシャル動画(約45秒)
ココがスゴイ!ルノー カングー
ルノー カングーを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- 商用用途から乗用用途のキャラクターにシフト
- 乗用車としての快適性および質感向上
- スマートフォン接続に対応したインフォテイメントシステムを初採用
- 最新の安全システムを採用
- 従来モデルに引き続き2ペダルEDC仕様を設定
スタイリングとインテリア
- 癒やし系のデザインからスタイリッシュなデザインにシフト
- 乗用MPVとして洗練されたエクステリアに進化
- インテリアの各パーツの質感が大幅に向上
- 使い勝手の良さは継承。ラゲッジスペースはさらに拡大
カングーのボディタイプは、乗用モデル(左ハンドル欧州仕様)の場合、従来モデルより一回り大きいボディをベースにしたモデルがベースになりますが、従来モデルに設定されてた3列シートロングホイールベースのグランカングーに相当するモデルは現時点では設定されておりません。
今回のモデルチェンジでは大きくデザインの方向性が変更。比較的におっとりした動物的な癒やし系デザインの従来モデルから、シャープでハンサムな乗用車的なものに。水平方向に伸びるリブを持つボンネットをはじめ、垂直方向のフロントエンドや強調されたショルダー、特徴的なC-ShapeシグネチャーのLEDヘッドライトなど、最新のメガーヌやクリオなどと共通性のあるものに進化しました。ボディラインも各ピラーが連続的なラインでつながるワンモーション的なものになり、商用バン的なものから乗用車的なシルエットになりました。メーカーは「バンの派生モデルとなる立体的なフォーマットを壊してプライベートカーの世界に近づけた」とアピールしています。
ほかにも「ベイ・ウィンドウ(出窓)エフェクト」を狙ったサイドウィンドウのブラック処理や、バンパー、ドアハンドルなどのカラードパーツ、各所のクロームパーツのインサートなどより質感が向上しています。従来のカングーがもつLCV的な道具感は魅力ではありましたが、新型は乗用MPVとして進化しました。
使い勝手の良さは一貫して考慮されており、90度まで開くフロントドアをはじめ、後席アクセス性の向上に寄与する幅615mmの大型左右リアスライドドア、工具を使わずに縦/横に配置可能なルーフバーなどが装備されています。
新型カングーのインテリアは、ダークカラーのブラッシュウッドを配置したダッシュボードや、エアコンのアウトレットなどのクロームインサート、断熱材の最適化やガラスの厚さを11%厚くすることで防音性能を向上させるなどエクステリア同様、大幅に質感が向上し上質な方向にシフトしています。
一方、使い勝手の良さはしっかりと継承。フォールドダウン可能なリアベンチシートおよび簡単に収納できる助手席を採用することで、ラゲッジ容量はフル乗車で775L、全てを倒せば最大3500Lと従来モデルを上回る巨大なスペースが出現します。収納スペースは歴代モデルに設定される19.4Lのオーバーヘッドコンソールをはじめ、運転席まわりからアクセスできる場所に合計49L分のスペースが確保されています。シートはLCV譲りの疲れづらいもの。リアシートは左右座席にISOFIXアタッチメントを備えており、2脚のチャイルドシートを設置しても真ん中に大人が余裕をもって座れるフルサイズのシートが設定されているため、子育て真っ最中のファミリーにも優しい作りとなっています。
インフォテイメントシステムは今回のモデルチェンジで進化したポイントのひとつ。8インチタッチスクリーンを中心とした最新のEASYLINKはカングー初となるスマートフォン接続機能が備わります。ほかにもUSBポートはタッチスクリーンのインタフェースにひとつ、センターコンソールの後ろに2箇所用意されています。
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ガソリンとディーゼルの設定。
- ガソリン
1.3L 直4 ターボ TCe100 100PS (75kw)/200Nm
1.3L 直4 ターボ TCe130 130PS (96kw)/240Nm
- ディーゼル
1.5L 直4 ターボ Blue dCi95 95PS (70kw)/260Nm
1.5L 直4 ターボ Blue dCi115 115PS (85kw)/270Nm
現時点で乗用仕様のカングーに設定されるのは、ガソリンとディーゼル。ガソリンは従来モデルの1.2Lから最新の1.3Lユニットにリプレイスされ、2種類のチューニングが設定されています。アライアンス内の多くのモデルで採用されるこの新世代ダウンサイジングターボユニットは、ライバルが3気筒に移行しつつあるなか、4気筒ならではのなめらかな回転感覚が魅力のユニット。環境性能も高く最新の排気ガス規制Euro6D-Fullをパスし、燃費性能はTCe100仕様の欧州複合で15.8km/Lです。ディーゼルは1.5L Blue dCiターボに2種類のチューニングが設定されています。これに加え、2022年にはピュアEV仕様が加わるとメーカーはアナウンスしています。
駆動方式はFFで、トランスミッションは6MTを中心に、TCe130とdCi115に待望の2ペダル7EDCが追加になりました。(2022年4月追記)
走行性能とハンドリング
サスペンションはフロント:マクファーソン・ストラット、リア:トーションビームを採用。長距離長時間の乗車でも疲れづらい欧州LCVの美点と、もっちりとしたルノーならではの乗り味は受け継いでいると言われ、静粛性の向上などと合わせてドライバーだけでなく乗員全員が快適に移動できるグランドツーリング性能の高さは新型カングーの魅力のひとつです。
今回のモデルチェンジでは安全性能もアップデート。歩行者検知機能付きアクティブ・エマージェンシーブレーキやアクティブ・レーンキープアシストをはじめとする最新システムが採用されました。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,486×1,919×1,838 mm(ミラー部分を含まず)
【ホイールベース】2,716mm 【トレッド】前/後:1,584 / 1,596mm
【車両重量 1,550kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント横置き 気筒休止機構付
【総排気量】1,333cc 【直径×内径】 -×-mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】100ps(75kw)/4500rpm 【最大トルク】200Nm/1500rpm
【燃料容量】54L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】6MT
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)トーションビーム
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ドラム
【タイヤ】(前後)205/60R16
●パフォーマンス
【最高速度】168km/h 【0-100km/h加速】14.7秒
【燃費】約15.8km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2021モデル:€25,350
歴史とトリビア
ルノー カングー関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- 日本市場は乗用モデルのカングーが最も販売台数が多い市場
- 従来モデルは、日産やメルセデス・ベンツにも兄弟車を展開
- 2種類のボディタイプが設定
- バン仕様にはBピラーレス仕様も設定
- 兄弟車と予想されるメルセデスベンツ仕様も今後追加予定
- 日本市場への導入について詳細はまだ未定
ライバル
欧州小型LCVをベースとしたMPVはカングー以外にもPSAグループのベルランゴの兄弟車をはじめ、多くのライバルが存在する欧州でもホットな市場のひとつです。そのため欧州でもベストセラーであるカングーのモデルチェンジ動向には世間からの注目が集まっていました。
- シトロエン ベルランゴ
- プジョー リフター
- トヨタ プロエース シティ・ヴァーソ
- フォルクスワーゲン キャディ
- フォード トルネオコネクト
- フィアット ドブロ
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
日本でも大人気のカングー。2代目モデル最後の限定車としてdCiディーゼルモデルが導入され、10年以上に及ぶモデルライフを有終の美で締め括ろうとしています。今後は次期モデルとして何らかしらの仕様が正規導入されるのはほぼ確実だと思われますが、日本仕様としてどのような仕様が正規導入されるか現在発表されておりません。そのため、欧州で新型となったカングーと同じ仕様をいち早く確実に手に入れるなら並行輸入が確実な方法です。
カングーのグレード構成は以下の通りです。乗用モデルは現時点で左ハンドル欧州仕様からの展開となっています。(2022年4月追記)左ハンドル欧州仕様の最新グレード体系を追記しました
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)(2021年デビュー時)
- EDITION ONE
16インチスチールホイール+フルホイールキャップ、リア両側スライドドア、4.2インチインフォメーションディスプレイ、リアパーキングエイドなどが装備(エアコンはオプション) - INTENS
(EDITION ONEに対して)17インチアルミホイール、ルーフレール、EASYLINK8インチタッチスクリーン、スマートフォンコネクテッド機能などが装備
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)(2022年4月現在)
- Equilibre
16インチアルミホイール、フルLEDヘッドライト、LEDデイタイムランニングライト、フロントパワーウィンドウ、マニュアルエアコン、歩行者検知機能付きブレーキアシスト、リアパーキングセンサーなどが装備 - Techno
(Equilibreに対して)17インチアルミホイール、ルーフラックおよびルーフレール、2ゾーンオートエアコン、後席エアコンアウトレット、ヒーテッドミラー、リアプライバシーガラスなどが装備
欧州市場で発売開始になったカングーですが、そのなかでも現時点のおすすめは、左ハンドル欧州仕様のEquilibreにガソリンTCe100と6MTの組み合わせです。Equilibreは、16インチアルミホイールやフルLEDヘッドライトなどをはじめ、ベーシックグレードであっても装備は充実しているのに加え、大幅に上がった質感は全車共通です。これにドライビングを楽しめる6MTは、新型カングーをリーズナブルに積極的に楽しむオーナーに向けたチョイスです。
今後日本にもいずれかの仕様が正規導入されるであろうカングーですが、この仕様と同じ組み合わせが選択できるとは限りません。フルモデルチェンジで一気に質感が上がり進化した新型はさながら「大人カングー」とも言える一台。いち早く手に入れたいお客様、一足先に本場欧州からお取り寄せしてみるのもいかがでしょうか?
- ルノー カングー Equilibre 1.3 TCe100 Manual(左ハンドル欧州仕様)
- ルノー カングー Techno 1.3 TCe130 Manual(左ハンドル欧州仕様)
(€1=135円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€25,350)\4,930,000⇒新発売記念特価(お問い合わせください!)
(現地値引き交渉前価格:€28,450)\5,380,000⇒新発売記念特価(お問い合わせください!)
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。