日本では500やパンダなど”カワイイ”&”コンパクト”なクルマをリリースしているイメージのあるフィアットですが、それだけではありません。
近年ではBtoBベースですが日本市場に正規導入開始されたデュガトをはじめ、欧州現地では商用向けLCVモデルもラインナップされています。そんな「はたらくフィアット」のなかでも日本未導入の一台がフェイスリフトで各所がアップデートされました。
今回はフィアットのミドルサイズLCV「スクード(FIAT Scudo)」をフェイスリフトされた新型モデルの内燃機関仕様を中心に解説。概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
フィアット スクードとは
スクードはフィアットの全長5mクラスとなる欧州ミドルサイズLCVです。ボディサイズはコンパクトなStandard(左ハンドル欧州仕様はL2)ボディで全長:4,981mm×全幅:1,924mm×全高:1,904 mm(ミラー部分を除く)と国産バンではトヨタ ハイエースや、日産 キャラバンの標準ボディよりも大きく、スーパーロングに近いサイズ感です。
スクードの初代モデルは1995年にデビューしました。デュカトのショートボディ版として販売されていたタレントの実質的な後継を担う一方、ボディサイズが一回りコンパクトになりシトロエン ジャンピーとベースを共用する兄弟車となりました。シトロエンとは当時フィアットがウリッセで参加していた乗用MPVを開発する「ユーロバン」プロジェクトでの協業実績があり、LCVの分野でもこの関係が生かされました。
- フィアット スクード(初代モデル:1995年)
- ユーロバンプロジェクトで開発されたフィアット ウリッセ(1994年)
2007年にデビューした2代目モデルも同様にジャンピーの兄弟車となりましたが、2016年にルノー トラフィックをベースにしてタレントが復活することで生産終了となりました。タレントと入れ替わりで一旦は欧州市場から姿を消したスクードですが、その後フィアットがグループPSAと共にステランティスを発足し、2022年には再びスクードの名前が復活しました。ベースとなるモデルもシトロエン ジャンピーに戻され、プジョー エキスパートやトヨタ プロエースをはじめ、兄弟車は6ブランドからリリースされています。
- ルノートラフィックをベースにした2代目フィアット タレント(2016年)
- ステランティス発足により復活した3代目スクード(2022年)
紆余曲折の歴史を経てきたスクードですが、現在販売されてるのは2024年にフェイスリフトが行われたモデルとなります。ドブロやデュカトに共通したエクステリアにアップデートされたほか、インテリアやデジタル面も含めた広範囲に渡る改良となりました。メーカーは「刷新されたデザイン」「改善された効率」「最先端の接続性」「より洗練された運転補助機能」によりプロフェッショナルに向けてさらに進歩した一台であるとコメントしています。販売はフィアットのなかでも500やパンダなどとは別系統となるLCV専門のフィアット プロフェッショナルブランドで行われており、貨物用のパネルバンと貨客混在のクルーキャブ(左ハンドル欧州仕様はマルチキャブ)がラインナップされています。
欧州では長年好調なセールス実績のあるスクードですが、初代モデル以降現在まで日本に正規導入された実績はありません。
ココがスゴイ!フィアット スクード
フィアット スクードを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- コンパクトなボディに広い室内空間
- 最大約1,400kg/6.6立方メートルの高い積載性
- 充実したアクティブ/パッシブセーフティ機能
- 貨客混在のクルーキャブ(マルチキャブ)も選択可能
- スポーティなS-DESIGN仕様も仕向け地により今後追加予定
スタイリングとインテリア
- 使い方に合わせて選べる2つのボディタイプ
- 新世代フィアットLCVファミリーのデザインを採用
- 快適でストレスのない運転空間を提供
- デジタル面も大幅にアップデート
ボディタイプは、標準ボディとなる全長4,981mmのStandard(左ハンドル欧州仕様はL2)とロングボディとなる全長5,331mmのMaxi(同L3)の2種類がラインナップされています。どちらもホイールベースは同じでリアオーバーハングの差となります。
エクステリアは2024年のフェイスリフトでフロントセクションを中心にアップデートされました。新設計のフルLEDライトの採用をはじめ、フロントグリルを強調した従来モデルから一変、日本にも導入されているドブロにも共通するグリルレスのような意匠にアップデートされました。近いタイミングでデュカトも同じようなフェイスリフトを行っており、これが今後のフィアットLCVファミリーに共通したデザイン処理になるようです。スライドドアはパネルバンはフルスチール、クルーキャブは窓付きのものが仕様により片側もしくは両側に設定されています。フィアットのロゴが大きく入るバックドアは欧州LCVのアイコンのひとつとも言える観音開きが組み合わされます。
このほか、今後仕向け地によりS-DESIGN仕様が追加されることがアナウンスされています(2025年4月現在)専用のアルミホイールのほか、ボンネットをはじめボディ各所に入るグラデーションストライプなどスポーティな装いに仕上がった魅力的な一台です。
- フィアット スクード(Maxiボディ)
- フィアット スクード(リア)
- 貨客混在のクルーキャブ仕様は窓付きスライドドアが組み合わされます
- フェイスリフトでグリルレスのようなデザインになりました
インテリアも今回のフェイスリフトで各所がアップデートされました。新設計のインストルメントパネルは直線を基調としたものになり、ハンドルの形状も新設計のものになりました。使い勝手の面でもダッシュボード上部とセンターコンソールの容量が拡大されたほか、独特なデザインのカップホルダーはスマートフォンを直立した状態で配置できます。中央席を倒して使えるテーブルはパソコンやタブレットなどの業務端末を使ったり、食事をとるのにも役立ちそうです。これらのインテリア装備に対してメーカーは快適でストレスのない運転空間を提供しているとアピールしています。
シート配列はパネルバンは助手席二人掛けベンチシートを採用した1列3人乗りとなります。(左ハンドル欧州仕様のEASYPROグレードは助手席シングルシートの2人乗り)疲れづらいシートが快適な座席位置になるように配置されており、クルーキャブではさらに3人掛けの2列目が追加されて6人乗りになります。
インフォテインメントシステムには、最大10インチに拡大されたタッチスクリーンが組み合わされ、AppleCarPlay/AndroidAutoでの接続でスマートフォン連携にも対応しています。さらにデジタルメータークラスターも新たに採用されてデジタル面も大幅にアップデートされました。
- スクードのインテリア
- パネルバンは助手席2名掛けの3人乗りとなります
- 新たにデジタルメータークラスターを装備
- オフィスのような快適な室内空間を提供します
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ディーゼルのほかBEV仕様のE-スクードが設定されています。
- ディーゼル
1.5L 直4ターボ 120 MujtiJet3 120PS(88kw)/300Nm
2.0L 直4ターボ 145 MultiJet3 144PS(106kw)/370Nm
2.0L 直4ターボ 180 MujtiJet3 177PS(130kw)/400Nm
内燃機関仕様は全てMultiJet3ディーゼルです。ステランティスのBlueHDiに相当するユニットで直4の1.5Lと、2.0Lは144PSと177PSの2種類が設定されています。燃費性能は2.0L 144PS仕様の欧州複合で13.5km/Lです。
駆動方式はFFで、トランスミッションは6MTを中心に、2.0L仕様には滑らかな変速に定評のある8ATが設定されており、セレクターが従来のダイヤル式からボタン式にアップデートされました。
積載量と荷室空間
スクードの荷室に関するスペックは以下の通りです。ボディサイズはライバルと比べてコンパクトな一方、最大積載量は仕様により異なりますが、約1,400キロというスペックはトップレベルになります。乗員スペースと荷室の間には強固なバルクヘッドが備わるほか、ロードスルーバルクヘッド装着車ではバルクヘッドを貫通させることで荷室空間をさらに拡大できます。これにより最大3.6m(Maxi仕様は4.0m)の長尺物も積載可能です。
ボディタイプ | Stadard | Maxi | Standard(クルーキャブ) | Maxi(クルーキャブ) |
---|---|---|---|---|
最大荷室長(mm) ※カッコ内はロードスルーバルクヘッド装備車 |
2,512(3,674) | 2,862(4,024) | 2,107 | 2,365 |
最大荷室幅(mm) | 1,636 | ← | ← | ← |
ホイールアーチ間荷室幅(mm) | 1,258 | ← | ← | ← |
最大積載容量(立方メートル) ※カッコ内はロードスルーバルクヘッド装備車 |
5.3(5.8) | 6.1(6.6) | 3.2 | 4.0 |
最大積載量(kg) | 1,173~1,384 | 1,121~1,335 | 1,242 | 1,172 |
- コンパクトなボディでもたっぷり積める荷室空間
- 観音開きバックドアど開口部の大きいスライドドアを採用し積み込みのしやすさも魅力です
- ロードスルーバルクヘッドにより長尺物も積載可能です
- ユーロパレットがそのまま積み込むことができます
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,981×1,924×1,904 mm(ミラー部分を含まず)
【ホイールベース】3,275mm 【トレッド】前/後:1,627 / 1,600mm
【車両重量】 -kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント横置き
【総排気量】1,997cc 【直径×内径】 – ×-mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】144ps(106kw)/-rpm 【最大トルク】370Nm/1,750rpm
【燃料容量】69L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】8AT
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)トーションビーム
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ディスク
【タイヤ】(前後)215/55R16
●パフォーマンス
【最高速度】182km/h 【0-100km/h加速】-秒
【燃費】約13.5km/L(新欧州複合基準)【価格】英国仕様 2025モデル:£31,625
歴史とトリビア
フィアット スクード関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- フィアットのLCVとしてデュカトとドブロの間を担うモデル
- フィアット タレントの実質的後継モデル
- 初代モデル以降シトロエン ジャンピー/ディスパッチがベース
- フィアットのほかシトロエン、プジョー、トヨタ、オペル、ボクスホールと多くの兄弟車が展開
- ミドルサイズLCVのタレントが復活したことで一時欧州市場で名前が消滅
- 前任モデルにあたるタレント(初代モデル)
- 兄弟車となるシトロエン ジャンピー/ディスパッチ
ライバル
全長5mクラスの欧州ミドルサイズLCVは、兄弟車のシトロエン ジャンピー/ディスパッチをはじめ、各社がラインナップするライバルが多い市場です。そのなかでも最も近しいライバルとしてルノー トラフィックを挙げます。一時はタレントとしてベースを共有するモデルでしたが、スクードが復活したいま好敵手となっています。
- ルノー トラフィック
- フォルクスワーゲン 新型トランスポーター
- フォード トランジット・カスタム
- メルセデス・ベンツ ヴィトー
- シトロエン ジャンピー/ディスパッチ
- トヨタ プロエース
- ルノー トラフィック
- フォルクスワーゲン 新型トランスポーター
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
長年欧州で好調なセールス実績のあるスクードですが、初代モデル以降現在まで日本に正規導入された実績はありません。近年スクードより大きいデュカトが正規導入開始されましたが、キャンピングカーなどの架装ベースとしてのBtoB販売がメインであることや、兄弟車が日本に正規導入されていないことを考えると今後もスクードが日本に正規導入される可能性は残念ながら低いと予想されます。そのため、確実に手に入れるなら引き続き並行輸入がおすすめです。新型スクードのグレード構成は以下の通りです。右ハンドル英国仕様/左ハンドル欧州仕様共に設定されています。
グレード構成(右ハンドル英国仕様)
- SCUDE
16インチスチールホイール+ハーフキャップ、両側スライドドア、観音開きバックドア、ブラックのフロント/リアバンパー、電動調整ヒーテッドドアミラー、衣類フック付きフルスチールバルクヘッド、ワンタッチ機能付きフロントパワーウィンドウ、シート下収納を備えた2人掛けベンチシート、冷蔵グローブボックス付きマニュアルエアコン、10インチデジタルメータークラスター、10インチタッチスクリーン、U-Connect、ハイビームアシスト、リアパーキングセンサー、リモートドアロックなどが装備 - PRIMO
(SCUDEに対して)17インチスチールホイール+フルホイールキャップ、ボディ同色フロント/リアバンパー、フォグランプ、電動格納ヒーテッドドアミラー、デイタイムランニングライト内蔵エコLEDヘッドライト、ロードスルーバルクヘッド、シート下収納を備えた中央席バックレストテーブル付き2人掛けベンチシート、デジタルインナーミラー、フロント/リアパーキングアシスト、ダイナミックアラウンドビューなどが装備 - クルーキャブ
クルーキャブは各グレードに設定されており、窓付き両側スライドドア、ガラス入りフルバルクヘッド、3人掛け2列目シートなどが装備
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)
- STANDARD(L2のみ)/LANG(L3のみ)
(STANDARDとLANGの装備は同等)16インチスチールホイール+ハーフキャップ、助手席側スライドドア、観音開きバックドア、電動調整ヒーテッドドアミラー、フルスチールバルクヘッド、高さ調整可能な運転席シート、シート下収納を備えた2人掛けベンチシート、マニュアルエアコン、デジタルメータークラスター、5インチモノクロタッチスクリーン、セントラルロック、リアパーキングエイドなどが装備 - EASYPRO(L2のみ)
(STANDARDに対して)アームレストを備えた助手席シングルシートが装備 - マルチキャブ/フレックスキャブ
L2ボディのSTANDARD、L3ボディのLANGに設定されており、窓付きスライドドア、2列目アームレストおよびISO-FIX付き3人掛けシート(マルチキャブ)、シート下部分を荷室として拡大可能な2列目3人掛けシート(フレックスキャブ)、2列目後方パーティショングリル(フレックスキャブ)などが装備
スクードのオススメは、右ハンドル英国仕様パネルバンのStandardボディ、SCUDEグレードに2.0L 145 MultiJet3ディーゼルと8ATの組み合わせです。基本的なアイテムを装備したSCUDEグレードに、大きすぎないStandardボディと右ハンドル、オートマチック限定免許でも運転できる8ATは、日本でも乗りやすく欧州LCVを幅広いユーザーに味わっていただけるチョイスです。ほかにもチームでの業務や、荷室スペースにレジャーアイテムをがっつり積んで家族で楽しむような用途なら2列6人乗りのクルーキャブの選択もよいでしょう。
日本に導入されているデュガトよりもコンパクトで、たっぷり積めるスクードは、実用車作りに長けたフィアットのカワイイだけではない真面目な一面を感じられる一台です。長距離長時間乗車するお仕事の相棒として、フェイスリフトで各所が進化した最新モデルをお取り寄せしてみませんか。
- フィアット スクード パネルバン Standard SCUDE 2.0 145 MultiJet3 144PS 8AT(右ハンドル英国仕様)
- フィアット スクード パネルバン Standard SCUDE 1.5 120 MultiJet3 120PS 6MT(右ハンドル英国仕様)
- フィアット スクード クルーキャブ Standard SCUDE 2.0 145 MultiJet3 144PS 6MT(右ハンドル英国仕様)
ほかにも左ハンドル欧州仕様のほか、さらに広い荷室をご希望のユーザーにはMaxi(L3)ボディや、低燃費の1.5L 120 MultiJet3ディーゼル、最もパワフルな180 Multijet3ディーゼル、積極的に運転を楽しめる6MT仕様なども並行輸入可能ですのでお気軽にお問い合わせください。
(€1=155円時/£1=185円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:£31,625)\8,574,000
(現地値引き交渉前価格:£28,825)\7,990,000
(現地値引き交渉前価格:£32,825)\8,824,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。
画像と動画
- フィアット スクード(Standardボディ)
- フィアット スクード(Maxiボディ)
- フィアット スクード(サイド:Maxiボディ)
- ロードスルーバルクヘッドと跳ね上げ可能な助手席が組み合わされます
- スマートフォンのワイヤレス充電パッドも設定されています
- 今後仕向け地により追加予定のスクード S-DESIGN