全長5mクラスの欧州LCVベースをしたMPVは、日本に正規導入されていないモデルが多数を占めますが、ウィズカーズ(ウィズトレーディング)でもお客様の問い合わせおよび並行輸入実績の多いジャンルのひとつです。そのなかでも老舗LCVブランドのMPVモデルが久々のフルモデルチェンジを行い大きく進化を遂げました。
今回はフォードのLCVベースのMPVとなるフォード トルネオ・カスタム(FORD Tourneo Custom)の新型モデルをディーゼル仕様を中心に解説。概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
フォード トルネオ・カスタムとは
トルネオ・カスタムはフォードの全長5mクラスのミドルクラスLCVとなる「トランジット・カスタム」をベースにしたMPVモデルです。ボディサイズは全長:5,050mm×全幅:2,032mm×全高:2,040mm(L1ボディ:ミラー部分を含まず)と、国産車ではラージクラスミニバンのトヨタ アルファードよりも大きく、グランエースに近いサイズとなります。
初代モデルのデビューは2012年、フォードが長年ラインナップし欧州LCVの代表車種とも言われるフルサイズLCV「トランジット」の弟分としてデビューした「トランジット・カスタム」を乗用仕様にしたMPV版となります。このトランジット/トルネオ・カスタムは10年以上販売されたロングセラーモデルとなりましたが、2013年のバン・オブ・ザ・イヤーの受賞をはじめ、ロングモデルライフの間にはレンジエクステンダーを搭載したPHEV仕様の追加や、ウェストファリアが手掛けたメーカー純正キャンパーのトランジット・カスタム・ナゲットのラインナップなど商品力向上を続けた結果、好調なセールスを記録しました。
現在販売されている2代目モデルはLCVのトランジット・カスタムと同時に2022年にフルモデルチェンジされました。今回のフルモデルチェンジのトピックとして、同ブランド初となるBEV仕様の「E-トルネオ・カスタム」のラインナップのほか、フォードがフォルクスワーゲンと商用車開発で提携されたことにより、まだ公式なアナウンスはありませんが、このトランジット/トルネオ・カスタムとフォルクスワーゲンの次期型トランスポーターがプラットフォームを共有するのではないかと現地メディアでは報じられています。生産はトルコにあるフォード・オトサンの工場に行われ、2023年はじめには設定されるパワートレーンのうち、ディーゼル仕様から販売開始、同年半ばにはデリバリー開始予定とアナウンスされています。
日本市場にはトルネオ・カスタムを含むトランジットファミリーのモデルが正規導入された実績はありません。
フォード トルネオ・カスタム紹介動画(約55秒)
ココがスゴイ!フォード トルネオ・カスタム
フォード トルネオ・カスタムを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- プラットフォーム最適化により各種性能向上や室内空間の拡大
- 最新世代ディーゼルユニットと高効率な8速ATを新採用
- トルネオ・カスタム初となるBEV仕様の設定
- 路面状況を問わず快適な移動が可能なAWD仕様を設定
- クロスオーバー要素をもつActive仕様が新たに追加
スタイリングとインテリア
- シャープでエッジの立った表現力豊かな造形
- L1ボディ(320L1)とL2ボディ(320L2)選べる2つのボディ
- 高品質な素材を採用したプレミアムな室内空間
- フレキシブルなシートや便利なギミックを備えたステアリング
ボディタイプは標準ボディ(SWB)となる全長5,050mmのL1と、ロングボディ(LWB)となる全長5,450mmのL2の2種類が設定されており、普段使いの乗車人数とラゲッジ空間のニーズに合わせて選ぶことができます。
デザインは、従来モデルの雰囲気を継承しつつも、最新のフォーカスなどに通じるものに進化しました。よりシャープにエッジの立った表現力豊かな造形は、メーカーは「彫刻的」と例えており、合わせてフロントとリアの視覚的な幅を拡大することで安定感のある印象を与えています。一方、プラットフォームの最適化により全仕様の全高が2mを切り、広い室内空間を確保しつつも低い全高を実現しています。これは前面投影面積を少なくすることで空気抵抗を減らして燃費性能や高速走行時の安定性向上にも寄与しています。
ほかにもクラス最高レベルの開口部をもつスライドドア/リアドアや、ガラス面処理加工により車内の温度を上げず快適に抜群の開放感を味わえるパノラマガラスルーフなど多くのポイントがあります。
今回のフルモデルチェンジでインテリアのポイントは「プレミアム」。優れたクラフトマンシップと高品質な素材を採用し、スタイリッシュでプレミアムなキャビンに仕上がっているとメーカーはアピールしています。
しかし、ただプレミアムなだけではありません。欧州LCVをベースとすることで使い勝手もよく考えられています。シート配列は8名を基本にディーゼル仕様は最大9人乗りが設定されています。2列目のシート側にシートベルトを内蔵することで可能になった回転対座や、2列目/3列目にトラックマウント式リアシートを採用し、各リアシートを独立して動かしたり持ち上げたりして乗車人数や長尺のアイテム積み込みなどに合わせて柔軟に組み合わせることが可能です。
もうひとつトピックは新開発のコラムを持つステアリングです。下部を四角くすることで乗り降りをしやすくするだけでなく、停車時に傾斜させることでノートパソコンやタブレットが使えるデバイスホルダーや、フラットに倒すことでテーブルにしても使えるギミックが搭載されています。ほかにも助手席エアバッグをインストルメントパネルからルーフに移したことで、A4サイズのノートパソコンが収納できる容量の大きな収納が新たに用意されました。
インフォテイメントシステムは、従来モデルより拡大された13インチスクリーンに、最新のFORD SYNC4システムが組み合わされます。オーディオもプレミアム性が高まった新型トルネオ・カスタムに相応しいBang&Olufsenが手掛けたものが一部仕様に設定されています。リアコンパートメントに設置されたサブウーファーと14スピーカーを備えたこのサウンドシステムはトルネオ・カスタムを快適なリスニング空間に変貌させます。
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ディーゼル、PHEV、BEVの設定です。
- ディーゼル
2.0L 直4ターボ EcoBlue 136PS(100kw)/360Nm
2.0L 直4ターボ EcoBlue 150PS(110kw)/360Nm
2.0L 直4ターボ EcoBlue 170PS(125kw)/390Nm
ディーゼルは、全て最新世代のEcoBlueディーゼルユニットが採用されました。2.0L直4に136PS、150PS、170PSの3つの出力が設定されており、燃費性能は最もハイパワーな170PS仕様の欧州複合で12.3km/Lです。
現時点(2023年4月)ではディーゼルユニットからの販売開始されていますが、レンジエクステンダー式であった従来モデルから2.5L自然吸気ガソリンに電気モーターを組み合わせた最新システムにアップデートされたPHEVと、BEV仕様のE-トルネオ・カスタムが追って発売される予定です。
駆動方式はFFを基本に、新たにAWDが一部仕様に設定されています。トランミッションは従来モデルから多段化された高効率の8速ATと、一部仕様にはコンベンショナルな6MTも設定されています。ほかにもポイントとして牽引性能の高さがあります。EcoBlueディーゼル仕様は最大2.5トンの牽引能力があるため、ボートなどのレジャーアイテムの牽引にも力を発揮します。
走行性能とハンドリング
今回のフルモデルチェンジでは新開発の独立したリアサスペンションや最適化されたシャーシアーキテクチャにより、従来モデルと比べてさらに向上したハンドリング性能と乗員全員が感じられる洗練した乗り心地を実現しています。
これに加えて新たに採用したAWDシステムもポイントです。電子制御カップリングを介して20ms以内という素早いレスポンスでトルクを配分するこのシステムは、路面状況の悪いところや悪天候下でのグランドツーリングでも安定した走りを提供します。
安全機能についても大きくアップデートされました。レーンセンターキーピング機能や衝突被害軽減ブレーキを含むインテリジェントアダプティブクルーズコントロールなどフォードの最新運転支援システムを採用するほか、車両の周囲全方向を提供する360度カメラも選択可能です。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】5,050×2,032×2,040 mm(ミラー部分を含まず)
【ホイールベース】3,100mm 【トレッド】前/後:1,730 / 1,724mm
【車両重量】 2,436kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント横置き
【総排気量】1,996cc 【直径×内径】 -×-mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】170ps(125kw)/-rpm 【最大トルク】390Nm/-rpm
【燃料容量】-L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】8AT
【サスペンション】(前)- / (後)-
【ブレーキ】(前)- / (後)-
【タイヤ】(前後)-
●パフォーマンス
【最高速度】-km/h 【0-100km/h加速】-秒
【燃費】約12.3km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2023モデル:€58,488
歴史とトリビア
フォード トランジット/トルネオ・カスタム関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- フルサイズLCVとなるトランジットの弟分的なポジション
- 初代モデルは10年以上販売されたベストセラー
- 欧州でバン・オブ・ザ・イヤーを受賞
- 初代モデルはメーカー純正架装のキャンピングカー仕様もあり
- 初代モデルにはレーシーなエクステリアの仕様も設定
ライバル
トルネオ・コネクトが属する全長5mクラスの中型LCVをベースとしたMPVは、ウィズトレーディングで取り扱い実績のあるルノー トラフィックや日産 プリマスターをはじめ多くのメーカーがそれぞれ個性のあるモデルをラインナップしています。
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
従来モデルからプレミアム性が高まった新型トルネオ・カスタムですが、フォードが日本のインポーター事業から撤退した現在、新たに正規で導入される可能性は残念ながら低いと予想されます。そのため、確実に手に入れるなら並行輸入がおすすめです。トルネオ・カスタムのグレード構成は以下の通りです。現在左ハンドル欧州仕様および右ハンドル英国仕様共に設定されています。
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)
- Trend
スパークシルバーの16インチアルミホイール、LEDヘッドライト、フロントオートエアコン、13インチマルチファンクションディスプレイ+FORD SYNC4システム、フォード・キーフリーシステム、パークパイロット、バックアップカメラなどが装備 - Titanium
(Trendに対して)プレミアムカーボナイズド17インチアルミホイール、ボディ同色カラーバンパー、ヒーテッドドアミラー、断熱ガラス、2列目サイドウィンドウ、運転席/助手席シートヒーター、4方向に調節可能な助手席などが装備
グレード構成(右ハンドル英国仕様)
- Zetec
16インチアルミホイール、両側スライドドア、ボディ同色ミラー、オートハイヘッドランプ、オートエアコン、LEDロードコンパートメントランプ、13インチタッチスクリーン+FORD SYNC4システム、衝突被害軽減機能付きアダプティブクルーズコントロール、リアビューカメラ、キーレスエントリーなどが装備 - Titanium
(Zetecに対して)17インチツインスポークアルミホイール、ボディ同色カラーバンパー、プライバシーガラス、Titaniumコンフォートシート、リアオートエアコン、ドライバーアシスタントパックなどが装備 - Titanium Luxe
(Titaniumに対して)パノラマルーフ、2列目個別動作ヒーテッドパワーシート、B&Oオーディオシステム(14スピーカー)、ワイヤレス充電などが装備 - Active
(Titaniumに対して)17インチアルミホイール、ACTIVE仕様専用エクステリア(ブラックカラーのバンパーやホイールアーチなど)、LEDテールライト、両側パワースライドドア、Titaniumコンフォートシート+助手席シングルシート、3ゾーンオートエアコン、ピクニックライトなどが装備 - Titanium X
(Zetecに対して)19インチアルミホイール、マトリクスLEDヘッドライト、LEDテールライト、ウィンドウモールのクローム処理、両側パワースライドドア、Titanium6ウェイパワーシート、3ゾーンオートエアコン、ピクニックライト、360度カメラ付きアクティブパークアシストなどが装備 - Titanium X Luxe
(Titaniumに対して)パノラマルーフ、2列目個別動作ヒーテッドパワーシート、B&Oオーディオシステム(14スピーカー)、ワイヤレス充電などが装備
新型トルネオ・カスタムのオススメは左ハンドル欧州仕様L1ボディのTitaniumグレードにEcoBule 170PSのFF仕様と8ATの組み合わせです。これはプレミアムな装備が充実したTitaniumグレードに日本乗るのに取り回しがしやすいL1ボディとフル乗車の高速走行でも余裕のあるハイパワーな170PS仕様と2ペダルの8ATは、質感が上がった新型トルネオ・カスタムの進化を最も実感できるチョイスです。欧州LCVの老舗ブランドであるトランジットの堅牢性を継承しながら品質を上げてプレミアムワゴン化した新型トルネオ・カスタムは多人数のグランドツーリングから、レジャーアイテムを満載して牽引までできる多用途な一台です。国産ラージミニバンとはひと味違う選択肢として、現地からお取り寄せしてみませんか。
- フォード トルネオ・カスタム 320L1 FWD Titanium 2.0 EcoBlue 170PS 8AT(左ハンドル欧州仕様)
- フォード トルネオ・カスタム 320L1 FWD Zetec 2.0 EcoBlue 136PS 6MT(右ハンドル英国仕様)
ほかにも右ハンドル英国仕様をはじめ、AWD仕様やクロスオーバー要素をもつActive仕様、ベーシックなパワーユニットのほか、MPVでも運転を積極的に楽しまれたいユーザーには6MT仕様も並行輸入できますので、お気軽にお問合せください。
(€1=140/£1=160円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€58,488)\10,687,000
(現地値引き交渉前価格:£53,436)\11,182,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。
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