ルノーのLCV(小型商用車)「トラフィック(Trafic)」の乗用モデルが、「トラフィック パッセンジャー(Trafic Passenger)」。
残念ながら日本には正規輸入されたことがありませんが、欧州で販売されている「日産 NV300」の兄弟車でもあり、日本メーカーに縁のあるクルマです。
今回は日本未導入、3+3+3の9名乗りのシート配列を持つ「ルノー トラフィック パッセンジャー」を詳しく解説します。
ルノー トラフィック パッセンジャーとは?
ルノー トラフィック パッセンジャーがどんなクルマなのかを見ていきましょう。
概要:商用車をベースとした乗用モデル、8~9人乗り
ルノー トラフィック パッセンジャー(Renault Trafic Passenger)は、商用車のトラフィックをベースにした8~9人乗りの乗用モデルです。
英国ではパッセンジャーという名前ですが、ドイツやフランスではコンビ(Combi)と呼ばれています。また、プラットフォーム/ボディを共用する兄弟車に、日産・NV300、フィアット・タレントがあります。
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エクステリア・ボディサイズ
ルノー トラフィック パッセンジャーの、エクステリア・ボディサイズの解説と、ライバル車とのサイズ比較をします。
エクステリア:商用モデルと共通、グレードにより樹脂パーツの塗装/無塗装あり
エクステリアデザインは、商用モデルのトラフィックと基本的に同じです。ルノーの他モデルと共通の、ローレンス・ヴァン・デン・アッカー率いる、一連の”現代ルノーのデザイン”です。
なお、バックドアはテールゲート式と観音開きから選択できます(観音開きは無償OP)。また、グレードによって、バンパーなどの樹脂パーツの塗装/無塗装が異なります。
上級モデル「SpaceClass」はシックな専用エクステリア
トラフィック パッセンジャーの上級モデル「スペースクラス(SpaceClass)」には、クロームグリルや、17インチアルミホイールなど、専用のエクステリアパーツが奢られています。
オプションで、対面での会議もできる回転シート&大型のテーブルを装備するなど、VIPの送迎用途に対応するモデルです。
ボディサイズ:ホイールベースの異なる、全長5m/5.4mのふたつのバージョン
ルノー トラフィック パッセンジャーには、サイズの異なるふたつのバージョンが用意されています。
全幅と全高は共通で、全長とホイールベース(W/B)が異なります。SWB(Short Wheel Base)、LWB(Long Wheel Base)ともに、堂々としたサイズです。
全長 | W/B | 全幅 | 全高 | |
---|---|---|---|---|
SWB | 4,999mm | 3,098mm | 1,956mm | 1,971mm |
LWB | 5,399mm | 3,498mm | 1,956mm | 1,971mm |
サイズ比較:トルネオカスタム、トラベラー、T6、さらにVクラスと同等のサイズ
直接的なライバルは、フォード トランジット カスタムと、PSA/トヨタ勢の5兄弟(プジョー・トラベラー、シトロエン・スペースツアラー、オペル・ザフィーラ ライフ、ヴォクスホール・ヴィヴァーロ ライフ、トヨタ・プロエースヴァーソ)です。
また、価格帯は異なりますが、VW T6とメルセデス・ベンツ Vクラスもサイズは同等です。さらに、日本で販売されているトヨタ・グランエースも同クラスとなります。
トラフィックのLWBは、このクラスでもっともサイズの大きいモデルのひとつです。全長とホイールベースは、V-クラスのエクストラロングを超えてクラスNo.1です。
全長 | W/B | 全幅 | 全高 | |
---|---|---|---|---|
トラフィック SWB | 4,999mm | 3,098mm | 1,956mm | 1,971mm |
トラフィック LWB | 5,399mm | 3,498mm | 1,956mm | 1,971mm |
トルネオカスタム | 4,972mm | 2,933mm | 1,986mm | 1,979mm |
トルネオカスタム long | 5,339mm | 3,300mm | 1,986mm | 1,977mm |
トラベラー std. | 4,956mm | 3,275mm | 1,920mm | 1,890mm |
T6 | 4,904mm | 3,000mm | 1,904mm | 1,950mm |
Vクラス | 4,905mm | 3,200mm | 1,930mm | 1,930mm |
Vクラス long | 5,150mm | 3,200mm | 1,930mm | 1,930mm |
Vクラス Ex-long | 5,370mm | 3,430mm | 1,930mm | 1,930mm |
グランエース | 5,300mm | 3,210mm | 1,970mm | 1,990mm |
グレード構成:販売国で異なるグレード構成、「SpaceClass」は共通
英国仕様のトラフィック パッセンジャーには、ベーシックな「Business」(無塗装バンパー)、装備が充実した「Sport」、上級モデルの「SpaceClass」の3つのグレードがあります。
ドイツ仕様も同じく3グレード構成で、基本の「Start」、快適装備を追加した「Life」、そして「SpaceClass」となっています。無塗装バンパー仕様はありません。
乗車定員はすべてのグレードで、3+3+3の9人乗りが基本ですが、ドイツ仕様のSpaceClassのみ、オプションの”シグネチャパッケージ”を選択すると、3+2+3の8人乗りとなります。
インテリア・快適装備
ルノー トラフィック パッセンジャーのインテリア・快適装備を見ていきましょう。
インパネ/フロントシート:操作系を手元に集中させた扱いやすい配置、デザインは乗用車的
前席は、余裕ある全幅を生かした3人乗りです。足元の広さを犠牲にしないインパネシフト式で、シフトノブ/セレクターはドライバーの手元に近いところに設置されます。
幅がかなり広いことを除けば、インパネのデザインは乗用車的です。2DINのナビ/オーディオスペースと、エアコンパネは一箇所に集約され、操作性を向上させています。
インテリア/リアシート:幅の広さを生かした空間で、9人が快適に移動できる
トラフィック パッセンジャーの2列目&3列目シートは、基本的に3人掛けです。全席ほぼ同じシートサイズなのが欧州車らしい点です。
多彩なアレンジはできず、大きなラゲッジスペースが欲しい場合は、シートを取り外して車外に保管することになります。
ドイツ仕様の「SpaceClass」にオプション設定されている、”シグネチャパッケージ”は、2列目シートが独立した2座の回転式シートになり、2列目と3列目を対面させられます。
快適装備:電動ミラー&前席PWは標準、リアエアコンはオプションで装着可能
英国仕様の場合、電動調整式のドアミラー、前席のパワーウィンドウ、荷室のパーセルシェルフ(目隠し)、助手席シート下のストレージは、全グレードに標準で装備されます。
日本で乗る場合に必須のエアコンは、「Business」ではヒーターと空気循環のみ、「Sport」はフロントのエアコンのみ、リアマニュアルエアコンはそれぞれオプションで装着可能です。
なお、「SpaceClass」には、フロントのクライメートコントロールと、リアマニュアルエアコンが標準装備されます。
パワートレイン・環境性能
ルノー トラフィック パッセンジャーのエンジン・トランスミッション・環境性能を見ていきましょう。
エンジン:全車2.0Lディーゼルターボエンジンを搭載
トラフィック パッセンジャーのエンジンは、商用モデルのトラフィックと同じです。1997cc 直列4気筒 16V ディーゼルターボ1機種のみで、出力が異なる3つのバージョンがあります。
最高出力 | 最大トルク | |
---|---|---|
dci120 | 120ps/3,705rpm | 320Nm/1,500rpm |
dci145 | 145ps/3,500rpm | 350Nm/1,500rpm |
dci170 | 170ps/3,500rpm | 380Nm/1,500rpm |
トランスミッション/駆動方式:6速のMTとEDCを用意、全車FF
トランスミッションは、6速MTと、ゲトラク製の6速デュアル・クラッチ・トランスミッション”EDC(Efficient Dual Clutch)”を用意しています。なお、駆動方式は全車FFです。
エンジン/グレード/トランスミッションの組み合わせは以下の表をご覧ください。
Business | Sport | SpaceClass | |
---|---|---|---|
dci120 | MT | MT | ー |
dci145 | AT/MT | MT | MT |
dci170 | ー | AT | AT |
環境性能:AdBlueを採用、全車スタート&ストップシステムを装備
トラフィック パッセンジャーは、全車EURO6に対応した優れた環境性能を誇りますが、そのためにAdBlue(尿素水)を使用します。AdBlueタンクは20Lで、消費量は使用環境により異なります。
燃費は、WLTPの”combined cycle”で47.1~46.3/mpg(mile per galon)、変換すると19.68~20.02km/L(dci145 EDC6の場合)という好燃費です。
これらを実現するために、全車スタート&ストップシステムとECOモードを備えます。なお、燃料タンクは80Lです。
安全装備:先進装備はないが、基本的なものは備えている
トラフィック パッセンジャーには、自動ブレーキなど、先進のアクティブセーフティシステムは用意されていません。また、フロントのサイド&カーテンエアバッグもオプション設定です。
全車に標準装備されるのは、トラクションコントロールシステム、ヒルスタートアシスト、運転席/助手席エアバッグ、タイヤ空気圧監視システム、ISOFIX対応シートなどです。
オートライト・オートワイパーや、リアパーキングセンサー、クルーズコントロールは、グレードにより標準装備/オプション設定が異なります。
おすすめのグレード/構成
WithCarsがおすすめする、ルノー トラフィック パッセンジャーの仕様と、その理由を紹介します。
全長約5mのSWBなら、日本の駐車場にも対応できる
トラフィック パッセンジャーには、全長約5mのSWBと、約5.4mのLWBがありますが、おすすめはSWBモデルです。
SWBなら全長約4.95mのアルファード/ヴェルファイアと大差なく、日本のスーパーの駐車場や、コインパーキングにも停められます。
LWBは駐車できる場所が限られますから、特別な事情がないのであればSWBをおすすめします。
おすすめは”Business dci145 6EDC”
英国仕様のもっともベーシックなBusinessグレードがおすすめです。理由はふたつあります。
ひとつは、上位グレードとの差を、ほぼすべてオプションで埋められるため無駄がないのです。たとえば、前後席エアコンは£1,590、フロントサイド&カーテンエアバッグは£528で装着できます。(ボディ同色バンパーにも£360で変更可能です。)
もうひとつの理由は、取り外しが困難なインフォテイメントシステムが装着されないことです。2DINのスペースに、日本製のナビやオーディオを装着することも可能です。(加工が必要です)
(1ポンド=140円時・値引き交渉前価格)
(値引き交渉前現地価格:£36,736・前後エアコン装着)\6,374,000
日本でトラフィック・パッセンジャーに乗るには
ルノー トラフィック パッセンジャーに日本で乗るための方法を解説します。
トラフィック パッセンジャーは正規輸入されていないため、現地から輸入する必要がある
ルノー トラフィック パッセンジャーは、日本に正規輸入されていません。ルノーの正規ディーラーでは購入できないクルマです。
そのため、日本で乗る場合には「個人的に輸入を行う」か「並行輸入を行なっている業者から購入する」必要があります。
With Carsでは、欧州からクルマを輸入・販売しています
この記事で紹介した『トラフィック パッセンジャー』に興味をお持ちになられたら、ぜひWith Carsにご相談ください。
イギリス、もしくはドイツ仕様の新車・中古車を、日本へ輸入いたします。
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