ファミリーユースからショーファードリブンまで日本では幅広いニーズのある大型ミニバンですが、欧州ではこれらより大きくグランドツーリング性能が高いラージサイズMPVが多くのメーカーからリリースされています。そのなかでも国産メーカーで味わえるモデルがフェイスリフトでさらなる進化を遂げました。
今回はトヨタのラージサイズMPV「プロエース・ヴァーソ(TOYOTA Proace Verso)」を解説。フェイスリフトされた新型モデルの内燃機関仕様を中心に解説。概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
トヨタ 新型プロエース・ヴァーソとは
プロエース・ヴァーソはトヨタの全長5mクラスとなるLCVをベースにしたMPVモデルです。ボディサイズはコンパクトなL1ボディで全長:4,983mm×全幅:1,920mm×全高:1,890 mm(ミラー部分を除く)と全長こそ同社のアルファードに近いサイズですが、全幅などは一回り大きく、グランエースに近いサイズ感になります。
初代モデルは2013年、欧州トヨタのラインナップでは最大サイズとなるLCV/MPVとしてデビューしました。プロエースと名付けられたこのモデルは、シトロエン ジャンピーの兄弟車であり、日本ではかつてグランビアなどとして販売されていた欧州版ハイエースの実質的な後継モデルとなります。ジャンピーがベースに選ばれたのは、当時トヨタが小型車のアイゴでPSAグループ(現在のステランティス)と協業していた実績からと思われます。バン仕様はプロエース、乗用MPV仕様にはヴァーソのサブネームが付けられ展開されました。
2016年にデビューした2代目モデルでは、トヨタとグループPSA(当時)の共同開発となりました。開発当初からトヨタが関わることで、おもてなしの心を感じる各種快適装備など日本のミニバンづくりのノウハウが生かされた一台に仕上がりました。兄弟車にはシトロエン スペースツアラーのほか、プジョー トラベラーなどがあります。
2023年には欧州フルサイズLCVとなるプロエースマックスがデビューし、同じタイミングでプロエースもフェイスリフトが行われました。新世代トヨタLCVに共通したエクステリアにアップデートされたほか、インテリアやデジタル面も含めて広範囲に渡る改良となりました。メーカーは「刷新されたデザイン」「最新のテクノロジー」「優れた実用性」を実現したとコメントしています。従来モデル同様にバン仕様はプロエース、乗用MPV仕様はプロエース・ヴァーソとして展開され、2024年に販売開始されています。
欧州では好調な販売実績を上げているプロエース・ヴァーソですが、初代モデル以降現在まで日本に正規導入された実績はありません。
ココがスゴイ!トヨタ 新型プロエース・ヴァーソ
トヨタ 新型プロエース・ヴァーソを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- 新世代プロエースファミリーに準じたエクステリアを採用
- 国産ミニバンにない9人乗り仕様も選択可能
- EVのほか内燃機関も設定
- シビアコンディションでも安定した走りを提供する足回り
- 安全性と運転支援機能の大幅な向上
スタイリングとインテリア
- すっきりとした力強いラインで存在感が増したエクステリア
- 用途に合わせて選べるボディタイプ
- 人間工学に基づいてデザインされたインテリア
- 多彩なシートアレンジで長尺アイテムも積み込み可能
ボディタイプは従来モデル同様、標準ボディとなる全長4,983mmのL1とロングボディとなる全長5,333mmのL2の2種類がラインナップされています。どちらもホイールベースは同じでリアオーバーハングの差となります。
エクステリアは、今回のフェイスリフトでフロントセクションが中心に変更されました。フロントアッパーグリルを廃したデザインはすっきりと洗練されたものである一方、大型のフロントロアーグリルは力強い印象を与えており、従来モデルよりも存在感が増しています。これは新世代トヨタLCVに共通した意匠で、弟分のプロエースシティ・ヴァーソも同様の変更が行われました。リアドアは両側スライドドアが装備され(Flowグレードのみ片側)、上位グレードには手が塞がっているときにも開けられるフットセンサー付き電動スライドドアが助手席側に設定されています。バックドアは、狭いところでも荷物が出し入れできるガラスハッチ付きの跳ね上げ式が設定されるほか、バン仕様のような観音開きバックドアの仕様も用意されています。
インテリアはフェイスリフトで人間工学に基づいたものにアップデートされました。新設計のインストルメントパネルは直線を基調としたものになり、大型化されたタッチスクリーンはドライバーから見やすい位置に配置されました。メーターパネルには新たにデジタルインストルメントクラスターが組み込まれ、ステアリングも新たな2スポークのフラットボトムタイプになりました。LCV譲りのユーティリティ性の高さも継承しており、室内の各所に収納スペースが設けられるほか、多彩なシートアレンジを組み合わせることで自転車やサーフボードなど最大3.5mの長尺物をそのまま積み込めます。
シート配列はフロントから3人+3人+3人の9人乗りをはじめ、フロント2人乗りの2人+3人+3人の8人乗り、2列目も2人乗りの2人+2人+3人の7人乗りが設定されています。フロント3人掛けの9人乗りは国産ミニバンでは選べないほか、7人乗り仕様には回転対座が可能な2列目キャプテンシートとライティングテーブルが配置されており、フルレザーインテリアと合わせてエクゼクティブにも満足して頂けるラウンジのような空間を提供します。
さらに兄弟車のカタログモデルにはない、車いすのユーザーに対応した福祉車両が選べるのもポイントです。車体後部にスロープが装備されており、2列5人乗りシートの後ろに車いすのまま乗り込むことが可能です。
インフォテインメントシステムは、10インチに拡大および高解像度化されたタッチスクリーンが組み合わされ、スマートフォンとはAppleCarPlay/AndroidAutoのワイヤレス接続に対応しています。各種デバイスの充電などに使われるUSBポートはType-Cにアップデートされました。
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ディーゼルのほかBEV仕様が設定されています。
- ディーゼル
2.0L 直4ターボ D4-D 144PS(106kw)/370Nm
2.0L 直4ターボ D4-D 177PS(130kw)/400Nm
兄弟モデルのMPV仕様がBEVのみになるなか、プロエース・ヴァーソでは内燃機関仕様も選べます。設定されるのは全て2.0L直4のD4-Dディーゼルで、ステランティスのBlueHDiに相当するユニットです。これに144PSと177PSの2種類のチューニングが設定されており、燃費性能は177PS仕様の欧州複合で13.7km/Lです。
駆動方式はFFで、トランスミッションは144PS仕様に6MT、177PS仕様には滑らかな変速に定評のある8ATが設定されており、セレクターが従来のダイヤル式からボタン式にアップデートされました。
走行性能とハンドリング
サスペンションはフロント:マクファーソンストラット、リア:ウィッシュボーンが採用されています。基本的な構成は従来モデルから継承しますが、フル乗車やレジャーアイテム満載での高速走行のようなシビアコンディションでも、安定した走りができるように作りこまれてまれているのは、国産ミニバンに対しての優位点のひとつでしょう。
安全機能や運転支援機能も大きく向上しており、歩行者保護のためにフロントバンパーの形状を再設計したほか、歩行者検知機能付き衝突被害軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロール、自動ハイビーム機能などが新たに標準装備化されています。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,983×1,920×1,890 mm(ミラー部分を含まず)
【ホイールベース】3,275mm 【トレッド】前/後:1,627 / 1,600mm
【車両重量】 -kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント横置き
【総排気量】1,997cc 【直径×内径】 – × -mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】177ps(130kw)/-rpm 【最大トルク】400Nm/2,000rpm
【燃料容量】69L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】8AT
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)ウィッシュボーン
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ディスク
【タイヤ】(前後)225/55R17
●パフォーマンス
【最高速度】-km/h 【0-100km/h加速】-秒
【燃費】約13.7km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2024モデル:€57,680
歴史とトリビア
トヨタ 新型プロエース・ヴァーソ関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- 欧州版ハイエースの実質的な後継車種
- 2代目モデルはグループPSAと共同開発
- 兄弟車にはシトロエン スペースツアラーをはじめ多くのモデルがあり
- 乗用MPV仕様はヴァーソのサブネームが付与
- 新型モデルはBEV仕様も同時にデビュー
ライバル
全長5mクラスの欧州LCVをベースにしたMPVは、シトロエン スペースツアラーをはじめとする兄弟車以外にも各社がラインナップするライバルが多い市場です。そのなかでも最も近しいライバルとして国産メーカーで内燃機関仕様も選べる日産 プリマスターを挙げます。
- 日産 プリマスター
- フォルクスワーゲン 新型カラベル
- フォード トルネオ・カスタム
- ルノー トラフィック
- シトロエン スペースツアラー
- プジョー トラベラー
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
日本未導入ながらユーザーからの関心が高いプロエース・ヴァーソですが、歴代モデルが日本に正規導入された実績はありません。トヨタは日本で既に多くのミニバンをラインナップしており、ボディサイズの近いグランエースと重複する部分もあるため、今後もプロエース・ヴァーソが日本に正規導入される可能性は残念ながら低いと予想されます。そのため、確実に手に入れるなら引き続き並行輸入がおすすめです。新型プロエース・ヴァーソのグレード構成は以下の通りです。現時点(2024年10月現在)では、内燃機関仕様は左ハンドル欧州仕様のみに設定されており、右ハンドル英国仕様はEV仕様のプロエース・ヴァーソEVのみとなります。
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)
- Flow
16インチスチールホイール、デイタイムランニングライト、片側スライドドア、観音開きバックドア、9シーター、2列目折り畳み式ベンチシート、3列目ベンチシート、フロントオートエアコン、後席用フレッシュエアシステム、集中ドアロック、リアパーキングセンサー、衝突被害軽減ブレーキ、ドライバーアテンションアシストなどが装備 - Comfort
(Flowに対して)17インチスチールホイール+フルホイールキャップ、両側スライドドア、ガラスハッチ付きバックドア、60:40分割折りたたみ可能な2列目/3列目シート、運転席/助手席シートヒーターおよびアームレスト、一人掛け助手席シート(8人乗り仕様)、ヒーター付きレザーステアリングホイール、自動調光インナーミラーなどが装備 - Club
(Comfortに対して)17インチアルミホイール、LEDヘッドライト&デイタイムランニングライト、カラードバンパー&サイドプロテクター、折り畳み可能な助手席シート、折りたたみ式フロントシートバックテーブル、ラゲッジコンパーネントカバー、ワイヤレス充電パッド、クルーズコントロール、電動パーキングブレーキ、180度リアカメラ、スマートキーシステムなどが装備 - Team-Deutschland
(Clubに対して)10インチ高解像度タッチスクリーン、ToyotaProTouch&Goシステムなどが装備 - Executive
(Team-Deutschlandに対して)助手席側フットセンサー付き電動スライドドア、SkyViewパノラマガラスルーフ、8シーターレザーシート、電動で高さ調整可能なフロントシート、助手席ランバーサポート、Webasto製補助ヒーターシステム、HiFiサウンドシステムなどが装備 - Lounge
(Executive対して)プライバシーガラス、ウェルカムライトステップ、7シーターレザーシート、回転可能な2列目キャプテンシート、折りたたみ式ライティングテーブル、LED読書灯、盗難防止システムなどが装備 - 福祉車両(車いす対応)
ComfortとTeam-Deutschlandグレードに設定されており、5人乗りシート、車いす用スロープ、右側ステップ、2列目シートの追加のクラブハンドルなどが装備
新型プロエース・ヴァーソのオススメは、左ハンドル欧州仕様のL1ボディ、Team-Deutschlandグレードに177PSと8ATの組み合わせです。全長5mを切る日本でも比較的に乗りやすいL1ボディに、Team-Deutschlandは装備が充実しており欧州現地でも人気のグレードです。これにパワフルな177PS仕様と8ATは長距離走行でも快適に移動ができ、欧州ラージサイズMPVのグランドツーリング性能の高さを実感できるチョイスです。一方、運転を積極的に楽しみたいユーザーには144PS仕様と6MTの組み合わせもよいでしょう。
日本には多くのミニバンがラインナップされていますが、欧州仕込みの走りを国産メーカーで味わえるプロエース・ヴァーソはひと味違う存在です。フェイスリフトでさらに完成度が高まったこの一台をいち早く欧州現地からお取り寄せして手に入れてみませんか。
- トヨタ 新型プロエース・ヴァーソ Team Deutschland L1 8人乗り 2.0 D4-D 177PS 8AT(左ハンドル欧州仕様)
- トヨタ 新型プロエース・ヴァーソ Comfort L1 8人乗り 2.0 D4-D 144PS 6MT(左ハンドル欧州仕様)
より大容量のラゲッジスペースをお求めのユーザーにはL2ボディをはじめ、エクゼクティブも満足して頂けるようなLoungeグレードや、観音開きバックドアが選べるシンプルなFlowグレードなども並行輸入できますのでお気軽にお問合せください。
合わせて車いす対応の福祉車両仕様も並行輸入できますので、こちらもお気軽にお問合せください。
(€1=155/£1=190円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€57,680)\11,857,000
(現地値引き交渉前価格:€50,635)\10,614,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。