ローコストを武器に市場へのインパクトを与えてきたダチア。近年はただローコストなだけでなく質感を上げ、アライアンス内のルノーや日産にはないモデルをリリースする独自のポジションを確立しつつあります。
ダチアが新たにリリースしたブランニューモデルも、一見既にありそうにも感じますがライバルにはない新しいスタイルの一台であることが分かります。今回はダチアのクロスオーバー要素を含んだMPVの新モデル「ジョガー(DACIA Jogger)」を解説。概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
ダチア ジョガーとは
ジョガーは3列7シーター仕様をもつダチアのCセグメントクラスのMPVモデルです。ボディサイズは全長:4,547mm×全幅:1,784mm×全高1,691mmと、国産車ではトヨタ ノアや日産 セレナをはじめとする5ナンバーフルサイズミニバンと比較して全幅は5ナンバー枠を少し上回る一方、全長は短く日本でも扱いやすいサイズと言えるでしょう。
メーカーは、「エステートとしての使い勝手」「クロスオーバー的な無骨さ」「MPVとしての室内空間」全てを実現した「7シーターファミリーカーを再定義した多様性のある一台」であるとアピールしています。
プラットフォームはサンデロと同じく、アライアンス内の多くのモデルで採用されるモジュラープラットフォーム「CMF-B」をベースにしていますが、独自のリアモジュールを採用することで、プラットフォームを共有する車種よりも一回り大きいCセグメントクラスとなります。名前のジョガー(Jogger)は、SUVのダスター(Duster)ど同様「er」で終わるネーミングがされており、ダチアの各モデルとの共通性を表しています。
欧州では発表後、仕向け地により順次発売開始になっていますが、日本市場にはダチアブランドを含めて導入されておりません。
ダチア ジョガー コンセプト紹介動画(約1分40秒)
ココがスゴイ!ダチア ジョガー
ダチア ジョガーを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- クロスオーバー要素を含んだ新ジャンルの3列7シーターMPV
- エステートの使い勝手・クロスオーバーの無骨さ・MPVの室内空間を実現
- 国産5ナンバーミニバンよりもコンパクトなサイズ
- ロングホイールベース化により3列シートを実現
- 全ての仕様に新世代ダウンサイジングターボユニットを設定
スタイリングとインテリア
- クロスオーバー用途を想像させるエクステリア
- 新世代ダチア車に準じたデザイン
- 質感高く7人が快適に移動できるインテリア
- 余裕あるサイズで多彩なアレンジが可能なシート
ジョガーのエクステリアは、従来モデルにあたるロッジーが比較的に温和で丸みを帯びた癒し系デザインであったのに対して、直線的でシャープな印象です。大胆でワイドなフロントグリルの両端には、新型サンデロやダスターと同じく最新ダチア車のアイデンティティになりつつあるY字型のLEDデイタイムランニングライトをはじめ、フェンダーやサイドモール部分などの各所をブラックアウトした樹脂パーツで装飾されており、ジョガーがクロスオーバー的な要素をもつことを主張しています。縦型のリアランプを採用したリアセクションは、ボルボのような立体的な造形が印象的です。リアドアはロッジーに引き続きヒンジドアですが、開口部の広いドアを採用し、3列目シートへのアクセス性を向上させています。
このほか、ルーフに備わるモジュラールーフレールは、進行方向に対して水平方向および垂直方向にも取り付け可能。ルノーが特許を取得している便利アイテムで、新型カングーにも同様のシステムが採用されています。
インテリアは前任モデルとなるロッジーよりもさらに質感が向上。コスト最優先であったかつてのダチアの面影はなく、華美な装飾はありませんが十分な質感を持ったものに仕上がっています。
シートはフロントから2人+3人+2人レイアウトの7人乗り。コンパクトなボディサイズでもホイールベースを長くすることで、この3列シートを成立させています。各シートサイズは余裕があり、7人が快適に移動することが可能です。シートアレンジは60種類以上の組み合わせが可能で、3列目を倒すと最大1819Lというエステートとして見ても大容量のラゲッジ空間が確保されています。
ジョガーをファミリーカーとして開発する過程で、ダチアは「家族の生活にはたくさんのアイテムが必要である」ことを理解したと語られています。これにより3列目を倒した場合、長いトランクフロア(最大1150mm)にはベビーカーや子供用自転車をそのまま積み込めることや、インテリアの各部に設定される合計24L分にも及ぶ数々の収納スペースなど、子育て世代にも嬉しいエッセンスを各所に盛り込むことができました。
インフォテイメントシステムは最大8インチのタッチスクリーンが設定。これにワイヤレスでスマートフォン接続(AppleCarPlay/AndroidAuto)ができるほか、ベーシックな仕様でもスマートフォンを備え付けのマウントに設置し専用アプリで接続することで、車両情報の取得や音楽再生、メーター内のスクリーンとも連携可能です、
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ガソリンとガソリン/LPGのバイフューエルが設定。
- ガソリン
1.0L 直3 ターボ TCe110 110PS(81kw)/200Nm
- バイフューエル(ガソリン/LPG)
1.0L 直3 ターボ TCe100 ECO-G 101PS(74kw)/170Nm
ジョガーではダチアの従来モデルに搭載されていた自然吸気(SCe)などに代わり、全車新世代ダウンサイジングターボとなる3気筒1.0Lを採用。アルミブロック採用による軽量化をはじめ、可変バルブタイミングや可変容量オイルポンプなどを採用することで、従来ユニットと比較して動力性能の向上と低燃費を実現しており、燃費性能は欧州複合で17.5km/L(TCe110仕様)です。環境性能も高く全てのユニットでEuro6d-Full規制をパスしています。
これに加えてダチアがローコストなエコユニットとして積極的に採用するLPGと併用可能なバイフューエルの「ECO-G」のほか、将来的には自然吸気エンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッドも導入予定とアナウンスされています。
駆動方式はFF、トランスミッションは全車6MTのみの設定。現時点では2ペダルのEDC仕様などのアナウンスはされておりません。
走行性能とハンドリング
サスペンションはフロント:マクファーソン・ストラット、リア:トーションビームを採用。このクラスではコンベンショナルな組み合わせですが、地上最低高は200mmと余裕を持って確保することで、アウトドアシーンでの走破性も高めていることがポイントです。
安全性能は時速5キロから日本の道路に設定された全ての最高速度までをカバーするエマージェンシー・ブレーキアシストのほか、同様に高速度域でも作動するブラインドスポット警告機能などが設定されています。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,547×1,784×1,691 mm(ミラー部分を含まず)
【ホイールベース】2,898mm 【トレッド】前/後:1,520 / 1,509mm
【車両重量 1,261kg
●エンジン
【構成】水冷直列3気筒ターボ DOHC12V フロント横置き 気筒休止機構付
【総排気量】999cc 【直径×内径】 -×-mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】110ps(81kw)/-rpm 【最大トルク】200Nm/-rpm
【燃料容量】50L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】6MT
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)トーションビーム
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ドラム
【タイヤ】(前後)205/60R16
●パフォーマンス
【最高速度】180km/h 【0-100km/h加速】11.2秒
【燃費】約17.5km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2022モデル:€17,990
歴史とトリビア
ダチア ジョガー関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- ダチアの3列シートMPV「ロッジー」の後継的な位置づけ
- 初代ロガンから派生した7シーター仕様の「ロガンMCV」に近いキャラクター
- 欧州左ハンドル仕様では2列5人乗りと3列7人乗りが選択可能
- 将来的にはハイブリッド仕様も追加予定
ライバル
欧州市場にも3列7シーターレイアウトのMPVは多くラインナップされていますが、SUVの3列シート仕様以外にクロスオーバー要素を押し出したMPVは少ないように感じます。その点でもジョガーは新たなジャンルの一台であると言えるでしょう。
- フォルクスワーゲン トゥーラン(ゴルフ トゥーラン)
- ルノー グランセニック
- シトロエン C4スペースツアラー
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
期待のニューモデルとして早速欧州で注目されているジョガー。3列シートMPVは日本でも需要がありそうですが、日本市場にはダチアブランドが展開されておりません。そのためジョガー含むダチア車が正規導入される可能性は、アライアンス内のルノーや日産との兼ね合いを考慮すると残念ながら低いと思われます。そのため、確実に手に入れるなら並行輸入がおすすめです。ジョガーのグレード構成は以下の通りです。左ハンドル欧州仕様、右ハンドル英国仕様共に設定されており、左ハンドル欧州仕様は2列5人乗りと3列7人乗りが選択できます。
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)(5人乗り/7人乗りが選択可能)
- ESSENTIAL
16インチスチールホイール+フルホイールキャップ、アクティブエマージェンシーブレーキアシストシステム(AEBS)、フォグランプ、メディアコントロール、ハイトコントロール対応運転席などが装備(エアコンはオプション) - COMFORT
(ESSENTIALに対して)8インチタッチスクリーン、花粉フィルター付きマニュアルエアコン、リアアコースティック、モジュラールーフレールなどが装備 - EXTREME
(COMFORTに対して)16インチブラックアルミホイール、オートエアコン、バックアップカメラ、キーカードハンズフリーなどが装備 - EXTREME+
(EXTREMEに対して)電動パーキングブレーキ、収納コンパートメント付きセンターコンソール、ヒーテッドフロントシートなどが装備
グレード構成(右ハンドル英国仕様)(全車7人乗り)
- ESSENTIAL
16インチスチールホイール+フルホイールキャップ、マニュアルエアコン、フロントパワーウィンドウ、メディアコントロール、クルーズコントロール、リアパーキングセンサーなどが装備 - COMFORT
(ESSENTIALに対して)フロント/リアパワーウィンドウ、8インチタッチスクリーン、フロント&リアセンサー、オートエアコン、キーレスエントリーなどが装備 - EXTREME SE
(COMFORTに対して)16インチブラックアルミホイール、EXTREMEインテリア、ヒーテッドフロントシートなどが装備
背の高いモデルが多い日本のミニバンとはまた異なるベクトルを提案するジョガーですが、そのなかでもおすすめは、左ハンドル欧州仕様のEXTREME(7人乗り仕様)にガソリンTCe110ユニットと6MTの組み合わせです。これはアウトドアアイテムを思わせるタフギア的なエクステリア仕様のEXTREMEグレードに、燃費もよくコンパクトな1.0LガソリンターボTCe110ユニットは、家族や仲間と多人数でアウトドアを楽しみ、マニュアルトランスミッションで走りも積極的に楽しむ、さまざまな方向にアクティブなユーザーに最適なチョイス。ダチアが「7シーターファミリーカーの再定義」と胸を張るこの一台。たくさんのレジャーアイテムを積み込んで毎日を楽しんでみませんか?
- ダチア ジョガー Extreme 1.0 TCe110 Manual 7人乗り(左ハンドル欧州仕様)
- ダチア ジョガー Comfort 1.0 TCe110 Manual 5人乗り(左ハンドル欧州仕様)
ほかにも右ハンドル英国仕様をはじめ、ダチアのプレーンな良さを楽しめるベーシックグレードや、より多くのレジャーアイテムを積み込めてエステート的な使い方を楽しめる左ハンドル5人乗り仕様なども並行輸入できますので、お気軽にお問い合わせください。
(€1=130円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€17,990)\3,774,000
(現地値引き交渉前価格:€16,190)\3,505,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。