キャンプなどのアウトドアや車中泊の人気から、日本でも需要が高まりつつあるキャンピングカーですが、休日を大事にする欧州では古くからキャンピングカーが市民権を得ており各社個性的なモデルをラインナップしています。そのなかでシトロエンが休日を楽しむ一台を携えて市場参入しました。
今回はシトロエンがリリースしたブランニューのキャンピングカー「ホリデイズ(CITROEN Holidays)」を解説。概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
シトロエン ホリデイズとは
ホリデイズはシトロエンの全長5mクラスの中型LCV「スペースツアラー」をベースに架装されたキャンピングカーです。ボディサイズは全長:4,983mm×全幅:2,010mm×全高:1,990mm(ミラー折り畳み時)と国産車ではトヨタ ハイエースのスーパーロングベースのキャンピングカーよりも少しコンパクトなサイズです。
スペースツアラーや前任モデルとなるジャンピーをベースにビルダーが独自に架装したキャンピングカーは既に存在していましたが、シトロエン初のメーカー純正キャンピングカーとして、2024年にシュトゥットガルトで開催されたCMT(アウトドア関連見本市イベント)で公開されました。前年に公開されたコンセプトカー「タイプ・ホリデイズ」の市販化モデルとされており、名前はスペースツアラーが付かない「ホリデイズ」になります。
開発協力および架装は、コンセプトカー同様に欧州有名ビルダーのひとつであるブラビア・モービル社が担当しています。創業から約20年と比較的に若いビルダーですが、立ち上げ以前は30年以上に渡り高級家具を製造してきた実績があります。このノウハウを生かした高品質さが現地では支持されており、メーカー自身もホリデイズを「キャンピングカーというよりも家具付きの車両」と表現しているぐらいです。メーカー純正キャンピングカーであるため、欧州のシトロエンディーラー網で販売およびサポートが受けられるのがメリットのひとつです。
日本にはキャンピングカー仕様も含めてシトロエンが欧州中型LCVベースのMPVを導入した実績はありません。
ココがスゴイ!シトロエン ホリデイズ
シトロエン ホリデイズを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- シトロエン初のメーカー純正キャンピングカー
- ポップアップルーフを装備し4人が余裕をもって就寝可能
- 木の温もりを大切にしたキャンパー架装
- 車外でも使えるキッチン装備
- 欧州有名ビルダーのキャンピングカーをシトロエンのディーラー網で販売
スタイリングとインテリア
- 新世代シトロエンに共通するモダンなデザイン
- 側面にキッチンなどを配置しても両側スライドドアを装備
- 質感高くエレガントなインテリア
- 快適な旅を提供するインテリア装備
ボディタイプはベッドスペースにもなるポップアップルーフを備えた全長4,983mmの1種類が設定されています。スペースツアラーのMボディがベースに選ばれているため、5mを切る全長と、ポップアップルーフを備えても全高2m以下のサイズを実現しており、この一台で普段使いもできそうです。
デザインは、H(アッシュ)バンのようなレトロ調であったタイプ・ホリデイズに対して、市販版は2023年にフェイスリフトした最新のスペースツアラーに準じています。コの字型に配置されたLEDの3セグメントライトシグネチャや、新しいシトロエンロゴを組み込みシェブロンのパターンが入れられたアッパーグリルなど、コンセプトカーのOLIから始まった新世代シトロエンのモダンな意匠を採用しており、新型ベルランゴなどにも共通性を感じます。リアドアには両側スライドドアが設定されているのがポイントです。キッチンなどを車体側面に配置するキャンピングカーの場合、片側スライドドアのみになるモデルがある一方、ホリデイズは側面に配置しつつも両側が開くように設計されています。ほかにも仕様により車外で寛ぐ際に役に立つ巻き上げ式オーニングも備わります。
運転席回りのインテリアは、エクステリア同様にスペースツアラーに準じています。大画面のタッチスクリーンを中心に配置したインストルメントパネルは、質感が高くエレガントなデザインである一方、豊富な収納が用意されるなど実用性も兼ね備えています。シート配列はフロント2名+リア2名の4人乗りとなります。フロントシートは回転対座が可能でテーブルを囲んで食事などができるほか、リアシートはベッドに変化するだけでなく、取り外しも可能でラゲッジスペースを拡大できます。
インフォテインメントシステムには10インチのタッチスクリーンが組み合わされ、スマートフォン連携としてAppleCarPlay/AndroidAutoのワイヤレス接続にも対応しています。
これらインテリアの装備は「居心地のよいインテリア、高めの運転席、快適な乗り心地などが組み合わされることで快適な旅を提供する」とメーカーはコメントしています。
快適な車中泊を実現するキャンパー装備
ホリデイズは旅を楽しむために数々のアイテムが用意されています。
就寝スペースについては、2列目ベンチシートが変形する室内側の幅1.15m×長さ1.9mのベッドに加えて、ポップアップルーフ側にはさらに大きい1.2m×1.95mのルーフベッドが用意され、合わせて大人4人が就寝可能です。ベッドにはカップ型のマットレスデザインを採用することでより快適な眠りを提供します。
室内側の装備としては車体側面にシンク、2口ガスコンロ、16Lの冷蔵庫を備えたキッチンと収納式テーブルが装備されるほか、車体後端に向けて食器棚などの収納スペースが配置されます。これら調度品の多くの部分に質感高い木目パネルが使われていますが、これらは長年の高級家具づくりを通して木の温もりを生かすことに長けたブラビア社のノウハウが発揮されていると言えるでしょう。キッチンとテーブルは取り外して屋外でも使用可能です。巻き上げ式オーニングと組み合わせることで自然を存分に満喫しながら食事ができるのは優位点のひとつです。水回りは上下水共に10Lのタンクが用意され、仕様により屋外で使用するシャワーも装備されます。
ほかにも車内の照明などをコントロールできるコントロールパネルが装備されるほか、寒いところでも快適に車中泊ができるようにWebasto製の追加暖房システムも用意されています。電源関連ではワイヤレス充電パットや、USBポートは車内にType-AとType-Cがそれぞれ配置され、ルーフ上で発電ができるソーラーパネルも装備可能です。
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ディーゼルのみの設定。
- ディーゼル
2.0L 直4ターボ BlueHDi145 145PS (106kw)/370Nm(左ハンドル欧州仕様のみ)
2.0L 直4ターボ BlueHDi180 177PS (130kw)/400Nm
設定されるのはどちらも2.0LターボのBlueHDiで145PSと177PSの2種類のチューニングがあります。ベース車に設定されるユニットのなかでもハイパワーな仕様が選ばれているのは、キャンパー架装による重量増への対応や高速走行時などの余裕のためと思われます。燃費性能はBlueHDi180の欧州複合で12.6km/Lです。
駆動方式はFFで、BlueHDi145に6MT(左ハンドル欧州仕様のみ)と、BlueHDi180に滑らかな変速に定評のあるEAT8が設定されています。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,983×2,010×1,990mm(ミラー折り畳み時)
【ホイールベース】3,275mm 【トレッド】前/後:- / -mm
【車両重量】 -kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント横置き
【総排気量】1,997cc 【直径×内径】 -×-mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】177ps(130kw)/-rpm 【最大トルク】400Nm/-rpm
【燃料容量】70L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】8AT
【サスペンション】(前)- / (後)-
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ディスク
【タイヤ】(前後)-
●パフォーマンス
【最高速度】170km/h 【0-100km/h加速】10.6秒
【燃費】約12.6km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2024モデル:€51,990
歴史とトリビア
シトロエン ホリデイズ関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- LCVベースのMPVとなるスペースツアラーがベース
- ネーミングにスペースツアラー付かないホリデイズに
- タイプ・ホリデイズの市販化モデルに相当
- 以前にもキャンピングカーのリップカールコンセプトなどを公開
- ブラビア・モービル社は長年高級家具づくりの実績あり
ライバル
欧州キャンピングカー市場に新規参入したホリデイズのライバルとして、フォルクスワーゲン T7カリフォルニアを挙げます。日本未導入ながらユーザーからの関心が高かったT6.1カリフォルニアの後継とも言われるT7カリフォルニアは、フォルクスワーゲン自身が架装する最新キャンパーとして手強いライバルとなりそうです。
- フォルクスワーゲン T7カリフォルニア
- ルノー トラフィック・スペースノマド
- メルセデスベンツ マルコポーロ
- フォード トランジット・カスタム ナゲット
- 日産 プリマスター・シーサイド
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
ブランニューのキャンピングカーとしてデビューしたホリデイズですが、全長5mクラスの欧州中型LCVおよび、これをベースにしたMPVが日本に正規導入された実績がないため、ホリデイズが正規で導入される可能性は残念ながら低いと予想されます。そのため、確実に手に入れるなら並行輸入がおすすめです。ホリデイズのグレード構成は以下の通りです。左ハンドル欧州仕様と右ハンドル英国仕様共に設定されており、どちらもモノグレードですが、左ハンドル欧州仕様はパッケージオプションで上級グレードに準じた仕様を構築できるようになっています。
グレード構成(左ハンドル欧州仕様)
- HOLIDAYS
17インチスチールホイール+フルホイールキャップ、両側スライドドア、電動調整ヒーテッドドアミラー、ポップアップルーフ、回転式フロントシート、2ゾーンオートエアコン+リアエアコン、10インチタッチスクリーン+AppleCarPlay/AndroidAutoワイヤレス接続対応、キッチン、冷蔵庫、折りたたみ式テーブル、一体型ロールブラインド、室内照明&コントロールパネル、リアパーキングエイドなどが装備。(HOLIDAYSをベースに17インチアルミホイールや取り外し可能なトイレ、屋外シャワーなどの装備がセットになったMAXパッケージが用意されています)
グレード構成(右ハンドル英国仕様)
- MAX
17インチアルミホイール、LEDヘッドライト/デイタイムランニングライト、ポップアップルーフ、ダークリアサイドウィンドウ、両側電動スライドドア、回転式フロントシート、ヒーター付きレザーステアリングホイール、オートエアコン、10インチタッチスクリーン+AppleCarPlay/AndroidAutoワイヤレス接続対応、8スピーカーサウンドシステム、取り外し可能なキッチンおよびトイレ、屋外シャワー、ルーフソーラーパネル、折りたたみ式テーブル、ブラインドスポットモニタリング、フロント&リアパーキングセンサー付き180度カメラなどが装備。
ホリデイズのオススメは、左ハンドル欧州仕様のHOLIDAYSグレードにBlueHDi180とEAT8の組み合わせです。左ハンドル欧州仕様のHOLIDAYSはベースグレードにあたり、英国仕様のMAXと比べるとホイールがスチールになることや、トイレやシャワーがオプションになりますが、そのぶんリーズナブルに手に入れられるのが魅力です。より多くの装備を望まれるならMAXパッケージを組み合わせたり、運転を積極的に楽しむユーザーには6MTが選べるBlueHDi145の選択もよいでしょう。
シトロエンがはじめてリリースしたメーカー純正キャンピングカーのホリデイズは、名前の通り”幸せな休日を楽しむ”一台となりそうです。この最新フレンチキャンパーをいち早く欧州現地からお取り寄せして旅に出てみませんか。
- シトロエン ホリデイズ HOLIDAYS M 2.0 BlueHDi180 EAT8(左ハンドル欧州仕様)
- シトロエン ホリデイズ MAX M 2.0 BlueHDi180 EAT8(右ハンドル英国仕様)
ウィズトレーディングではベースモデルとなるスペースツアラーや、フォルクスワーゲンT6.1カリフォルニアをはじめとする各種欧州キャンパーの並行輸入実績および取り扱いがありますので、ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
(€1=150円/£1=180円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€51,990)\10,605,000
(現地値引き交渉前価格:£53,985)\12,746,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。