チンクエチェント(500)の大ヒットにより日本でも見かける機会が増えたフィアット車。小型車中心の車種展開もあり「フィアット=カワイイ」のイメージが定着しましたが、フィアットの本質はこれだけでありません。今回は中核モデルであるフィアット ティーポ(FIAT Tipo)を解説。日本未導入Cセグメントの概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報をご紹介します。
フィアット ティーポとは
フィアット ティーポは同社のCセグメントモデルで5ドアハッチバック、ステーションワゴン、セダンの3つのボディタイプが用意されます。サイズはハッチバックで全長4,368mm×全幅1,792mm×全高1,495mmと国産車ではトヨタ カローラやスバル インプレッサに近いサイズです。
現在販売されているモデルは、2015年のトルコ イスタンブールモーターショーで「エーゲ(AEGE)」の名前で発表されました。プラットフォームは日本にも導入済みの500Xやジープ レネゲートにも使われる「GM Fiat Small Wide系」を採用、生産は同国トファシュの工場で行われています。
ティーポは欧州だけでなく、アフリカ、中東、中南米と広範囲での販売をカバーするグローバルカーであり、Bセグメント並の挑戦的なプライシングを掲げたことで好調なセールスを記録しています。
2019年にはハッチバックに内外装をスポーティに仕立てたティーポ スポーツが追加されました。
ココがスゴイ!フィアット ティーポ
フィアット ティーポを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- Bセグメント並のプライスを実現した高いコストパフォーマンス
- 用途に合わせて選べる3種類のボディタイプ
- 派手さはないがしっかりとした作り込み
- 自然な乗り味でロングツーリングもこなせる実力派
- デビュー以降全世界で40万台近く販売されたベストセラー
フィアット ティーポ紹介動画(約50秒)
スタイリングとインテリア
- シンプルな造形ながら凝縮感のある曲線を主体にしたエクステリア
- リーズナブルでも十分な質感のインテリア
- ライバルよりも広く使いやすいラゲッジスペース
- スポーツには専用パーツを装備
デザインはやや実用本位ともいえますが、シンプルな造形と美しい曲線を描くボディラインを持ち、凝縮感もある秀逸なもの。カワイイ路線とは対照的ながらベーシックなイタリアンデザインを感じ取ることができます。テールランプ周辺はなかなか凝った造形です。
追加になったスポーツには、リアスポイラーやリアディフューザーを囲むリアバンパーなど専用のアイテムが装備されます。
インテリアもエクステリア同様、曲線が印象的なインパネデザインを採用しています。各操作系の配置はオーソドックスにまとめられるものの、なかなか個性的なデザインといえます。リーズナブルな価格ながらチープな印象はなく、小型実用車作りに慣れたフィアットのノウハウが発揮され、十分な質感を備えています。
インフォテインメントシステムは最新のU-Connectを採用。タッチスクリーン(大小2種、写真は小型タイプ)はスマートフォンとのミラーリング・連携も可能です。
ラゲッジスペースは広く(ハッチバックで520L)、このクラスの上位にランクされるといっていいでしょう。さらにラゲッジを2段で収納を分割するなど使い勝手もよく考えられています。ワゴンボディならさらに広大な荷室空間を得ることができます。
搭載されるエンジンと燃費
搭載されるエンジンはガソリン2機種、ディーゼル1機種が設定されています。
- ガソリン
1.4L 直4 Fire 95PS(70kw)/127Nm
1.4L 直4ターボ T-Jet 120PS(88kw)/215Nm - ディーゼル
1.6L 直4ターボ MultiJetII 120PS(88kw)/320Nm
ガソリンはフィアットではお馴染み自然吸気のFireユニットと、途中から追加されたターボ付きのT-Jet。トランスミッションは6MTのみの設定です。燃費はWLTP複合基準で1.4L Fireが11.6-13.0km/L、T-Jetが12.3-13.2km/Lです。
ディーゼルはMultiJet IIの1.6Lのみ。トランスミッションは6MTと2ペダルとなるデュアルクラッチトランスミッションのDCTが設定されています。燃費はWLTP複合基準で17.2-18.2km/Lです。
走行性能とハンドリング
ティーポのサスペンションはCセグメントクラスでは一般的な、フロント:マクファーソンストラット、リア:トーションビーム。シャーシバランスがよく、ワインディングでもロールは少なめで自然なハンドリングとの評判です。突出した高性能さはありませんが、長距離クルーズも快適なため、欧州車として高いグランドツーリング性能を持っていると言われています。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,368×1,792×1,495 mm
【ホイールベース】2,638mm 【トレッド】前/後:1,542 / 1,543mm
【車両重量】1350kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント横置
【総排気量】1,368cc 【直径×内径】72.0×84.0mm 【圧縮比】9.8:1
【最高出力】120ps(88kw)/5000rpm 【最大トルク】215Nm/2500rpm
【燃料容量】45L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】6MT
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)トーションビーム
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ディスク
【タイヤ】(前後)205/40R18
●パフォーマンス
【最高速度】199km/h 【0-100km/h加速】9.9秒
【燃費】12.3-13.2km/L(WLTP複合基準)
【価格】英国仕様 2019モデル:£20,575
歴史とトリビア
ティーポの初代モデルはリトモの後継として1988年にデビュー。フォルクスワーゲン ゴルフをライバルとして、翌年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しましたが、結果的にゴルフを凌駕するまでには至りませんでした。しかし、テムプラやアルファロメオ 155、ランチア デドラなど兄弟車が多く、全体では多くの台数が出たと言えます。このティーポは日本にも正規導入されています。後継モデルはブラーボ/ブラーヴァになったため、現在販売されているモデルまで20年近くティーポの名前は一旦途絶えることになりました。
- ティーポの名前は日本語で「タイプ」を指すもの
- 生産国でもあるトルコのみ「エーゲ(Aege)」の名前のまま販売
- そのトルコでは、エーゲのワンメイクレース開催や、ラリーにも参戦
- イタリアでもティーポTCRでツーリングカーレースに参戦
- 中米市場ではダッジブランドで「ネオン」として販売
ライバル
このクラスのベンチマークであるゴルフをはじめ、各社がしのぎを削る欧州Cセグメント。そのなかでもアストラが近いキャラクターではないでしょうか。ボディをダウンサイジングしたり、カンパニーカーとしてフリートユースでも支持される真面目なキャラクターはティーポと共に、プレミアムな方向にシフトしつつあるCセグメントに対して一石を投じるスタンスに感じます。
- オペル/ボクスホール アストラ
- フォード フォーカス
- プジョー 308
- トヨタ カローラ
- 日産 パルサー
- ヒュンダイ i30
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
世界的にも好調なセールスを記録しているティーポですが、フィアットが日本市場ではチンクエチェントをイメージリーダーとした戦略を取っているため、正規導入される可能性は残念ながら低そうです。手に入れるには並行輸入が最も確実な方法でしょう。
グレード全体で6種類が設定(一部グレードが設定されないボディタイプあり)
- ベーシックグレードの「EASY」
- ブラックドアハンドル、専用ブラックアルミホイールなどが装備される「STREET」
- タッチスクリーンやリアパーキングセンサーなどを備えた充実装備の「EASY PLUS」
- 各所にクロームパーツが備えられる上級グレードの「LOUNGE」
- バイキセノンヘッドライトや18インチアルミホイールなどが装備される「S-DESIGN」
- そしてハッチバックのみに設定されるスポーティな専用パーツが装備される「SPORT」
そのなかでもオススメは、ハッチバックのSPORTかS-DESIGNの1.4L T-Jet搭載車。見映え・装備・動力性能のバランスが良く、派手すぎないスッキリしたまとまりならS-DESIGN、空力的付加物をお好みならSPORTでキマリです。ワゴンもS-DESIGNがイチオシですがカタログ落ちとなったのでLOUNGEがいいでしょう。
- フィアット ティーポ ハッチバック SPORT 1.4 T-Jet Manual
- フィアット ティーポ ステーションワゴン LOUNGE 1.4 T-Jet Manual
ほかにもセダン(左ハンドル仕様のみ)やハッチバック/ステーショワゴンのオススメ以外のグレードも並行輸入できますので、お気軽にお問い合わせください。
実用重視でリーズナブルなティーポは、日本人の多くがイメージする「カワイイ」フィアットではありませんが、長年に渡り小型実用車作りに長けたフィアットの本質を垣間見える一台。きっと「お値段以上の満足」が得られると思います。
(£1=135円時・値引き交渉前価格)
(値引き交渉前現地価格:£20,575)\4,187,000
(値引き交渉前現地価格:£19,225)\3,986,000
ディーゼル車をご希望の方へ
参考乗出し価格が掲載されていない場合には、別途お見積りいたしますのでお問合せ下さい。
なお、ディーゼル車を取り巻く環境は年々厳しくなっています。ディーゼルエンジン搭載車をご希望の場合には以下の記事もご覧ください。
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。