日本でも大人気のルノー カングー。乗用モデルだけでなく欧州ではバン仕様の方がメインと言える存在で、あらゆるお仕事のパートナーとして各地の街角に溶け込むカングーの姿を目にします。欧州小型LCVのベストセラーとして市場からはモデルチェンジの動向が注目されていましたが、新型のバン仕様は用途に合わせて選べる二本立てでの展開となりました。
今回はルノー カングーの2021年にフルモデルチェンジしたバン仕様(RENAULT Kangoo Van)と弟分となるエクスプレス(RENAULT Express)を合わせて解説。概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
ルノー カングー・バン/エクスプレスとは
ルノーカングー・バン/エクスプレスは、ルノーの小型LCVです。カングー・バンのボディサイズは従来モデルより大きくなり、全長:4,486mm×全幅:1,860mm×全高:1,808 mm(ミラー部分を含まず)と国産車では日産 NV200バネットより少し長く幅が広いサイズ。一方、エクスプレスのボディサイズは全長:4,393mm×全幅:1,775mm×全高:1,811 mm(ミラー部分を含まず)とカングーの従来モデルより全長は長いですが幅は狭く、NV200バネットにぼぼ近いサイズと言えるでしょう。
初代モデルのデビューは1997年。サンクをフルゴネット化したようなエクスプレスの後継モデルとしてデビュー。日本ではおしゃれな乗用車として人気のカングーですが、欧州でのメインは商用用途。使い勝手の良さからたちまち欧州小型LCVのなかで人気モデルとなりました。2代目モデルのデビューは2007年。初代モデルが日本で例えると5ナンバーサイズに収まったコンパクトさから一転、幅を中心に一回り以上大きくなりましたが、市場は好意的に迎え2代目モデルも人気に。冒頭の通り、バン仕様はあらゆるお仕事のパートナーとして愛される存在になりました。兄弟モデルは歴代存在し、初代には日産 キュビスター、2代目モデルには日産 NV250やメルセデス・ベンツ シタンがありました。
現在販売されているモデルは2021年にフルモデルチェンジされた3代目モデル。このフルモデルチェンジで従来モデルよりさらにボディサイズが大きくなった「カングー」と、従来モデルよりコンパクトにした弟分と言える「エクスプレス」の2本立てでラインナップ。カングーのバン仕様は、フランスでは「カングー・バン」、ドイツでは「カングーラピッドIII(RapidIII)」の名前で展開されています。一方、エクスプレスはサブネーム以外ではカングーの前任モデル以来の復活となりました。プラットフォームはCMF-Cプラットフォームを採用。生産はカングーはフランス・モブージュ、エクスプレスはモロッコ・タンジールとそれぞれ違う国/工場で生産されます。モデルチェンジにあたり、メーカーは新型モデルを「アスレチックでダイナミックなスタイルをもつ革新的なバン(カングー)」「実用的で効率的なバン(エクスプレス)」とアピールしています。
兄弟車として従来モデルに引き続きメルセデス・ベンツ シタンがあります。現時点では日産 NV250の後継は発表されていませんが、三菱版も含めて今後追加されると予想されます。
日本市場には乗用仕様も含めて3代目モデルの導入に関しては正式にアナウンスはされておらず、導入時期やどのような仕様が選択されるかなどはまだ明らかになっておりません。
ルノー カングー・バン コンセプト紹介動画(約2分)
ココがスゴイ!ルノー カングー・バン/エクスプレス
ルノー カングー・バン/エクスプレスを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- 幅の違う大小ボディタイプを用意
- 積み込みがしやすい機能性
- エントリーモデルでもクラス最高水準の積載スペース
- スマートフォンとの親和性向上
- 最新の安全デバイスを採用
スタイリングとインテリア
- 従来モデルよりワンランク上級に仕上がったエクステリア
- Bピラーをなくした「Open Sesame by Renault」を設定(カングー)
- ドライバーに対して最良の環境を提供するインテリア
- 歴代モデル最大の荷室容量
カングーバンのボディタイプは、現時点で標準ホイールベースから販売開始されており、今後ロングホイールベース仕様が追加になるとアナウンスされています。従来モデルには最もコンパクトなショートホイールベース仕様(日本には限定車として導入されたカングー・ビポップと同じボディ)がありましたが、新型には今のところアナウンスされていません。エクスプレスのボディタイプは標準ホイールベースのみです。
新型モデルのデザインは、従来モデルの比較的におっとりした癒やし系の雰囲気から一転、カングー/エクスプレス共にシャープな造形に。垂直方向のフロントエンドやフロントグリルとバンパーの間の配置されたクロームのトリムなど、ルノーのLCVとして兄貴分となるマスターやトラフィックに共通するものになり、従来モデルよりワンランク上級な仕上がりになってます。新たに採用された特徴的なC-ShapeシグネチャーのLEDヘッドライトは新世代ルノーに共通するアイコンですが、350mの投射距離を備えており、夜間の視認性を向上します。
ドアはリアドアは両側スライドドアで、バックドアは乗用モデルは跳ね上げ式が標準になりましたが、バン仕様は従来通り観音開きドアが標準です。今回のモデルチェンジで目玉の一つが「Open Sesame by Renault」(カングーのみ)と名付けられた助手席側のBピラーレスのボディ。これにより開口部の面積が従来モデルの2倍となります。
インテリアはワンランク上級になったエクステリア同様、モダンで洗練されたものに進化。ドアパネルと連続性を感じられる水平に展開されたダッシュボードは、基本的に乗用モデルと共通のデザインです。一方、LCVとしての役割は忘れていません。新設計の「Wrap-aroundシート」と名付けられたシートは、座り心地の改善だけでなく強化されたフォームおよびファブリックを組み合わせることで、従来モデルよりも耐久性が向上。フロントシートは乗用モデルにない3人掛けシートも設定。助手席は折りたたみフラットにできるだけでなく、2つのラッシングベルトの取り付け金具が用意されており、貨物の適切な固定が可能です。
これに加え、大事なのがドライバーに対する快適性。長距離および長時間を過ごすドライバーのために疲労が少ないシートをはじめ、ドライバーの体型に合わせてシートの高さと奥行き(奥行き±40mm、高さ±30mm:カングーの場合)およびランバーサポート調整できるだけでなく、新型ではステアリングの奥行きも調整(±25mm:カングーの場合)が可能になることで、より人間工学に基づいたドライビングポジションが設定可能になりました。ほかにも遮音材の使用量を増やすことや、ガラスの厚さを11%厚くすることで遮音性を向上。ドライバーの疲労軽減に寄与しています。収納スペースは歴代モデル同様多く19.4Lのオーバーヘッドコンソールをはじめ合計60L分(エクスプレスは48L)の容量を確保。ほかにもフロント中央シートを折りたたむとカップホルダー付きデスクにもなるためモバイルオフィスとして使用可能です。これらの装備はLCVとしてドライバーに対して最良の環境を提供します。
インフォテイメントシステムは8インチタッチスクリーンを組み合わせた最新のEASYLINKが設定。スマートフォンとの親和性は高く、ワイヤレス充電や、左右どちらにも設置可能な専用ホルダーのほか、USBソケットおよび12Vアクセサリーソケットは最大3か所に設定されています。(カングーの場合。エクスプレスの12Vアクセサリーソケットは最大4か所)
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ガソリンとディーゼルの設定。(●はカングーのみ、★はエクスプレスのみに設定)
- ガソリン
1.3L 直4 ターボ TCe100 100PS (75kw)/200Nm
1.3L 直4 ターボ TCe130 130PS (96kw)/240Nm●
- ディーゼル
1.5L 直4 ターボ Blue dCi75 75PS (55kw)/230Nm(エクスプレスは220Nm)
1.5L 直4 ターボ Blue dCi75 ECO-Leader 75PS (55kw)/220Nm★
1.5L 直4 ターボ Blue dCi95 95PS (70kw)/260Nm(エクスプレスは240Nm)
現時点でカングー・バン/エクスプレスに設定されるのは、ガソリンとディーゼル。ガソリンは従来モデルの1.2Lから最新の1.3Lユニットにリプレイスされ、2種類のチューニングが設定されています。(130PS仕様はカングーのみ)アライアンス内の多くのモデルで採用されるこの新世代ダウンサイジングターボユニットは環境性能も高く最新の排気ガス規制Euro6D-Fullをパスし、燃費性能はハイパワーなTCe130仕様の欧州複合で15.7km/Lです。ディーゼルは全て1.5Lに75PS仕様が2種類、95PS仕様が1種類の合計3種類のチューニングがあります。そのなかでもエクスプレスのみに設定されるdCi75 ECO-Leaderは高速走行時の燃料消費を抑える専用のセッティングが施されています。
駆動方式はFFで、トランスミッションは現時点で6MTのみの設定。今後まだ時期は未定ですが、従来モデルより多段化されたデュアルクラッチトランスミッションの7速EDC仕様が追加予定とアナウンスされています。
積載量と荷室空間
現時点(2021年9月)でカングーは標準ホイールベース仕様から発売開始されており、ロングホイールベース仕様は今後追加予定とされていますが、新型カングーの標準ホイールベース仕様とエクスプレスの積載性能は以下表の通りです。
ボディタイプ | カングー(RapidIII) | エクスプレス |
---|---|---|
最大荷室長(mm) | 3,053 | 2,360 |
最大荷室幅(mm) | 1,517 | 1,416 |
ホイールアーチ間荷室幅(mm) | 1,247 | 1,170 |
最大積載容量(立方メートル) | 3.9 | 3.7 |
最大積載量(kg) | 600~800 | 780 |
荷室容量はクラス最大級。最大積載能力は近いサイズの日産 NV200バネットが最大650kgであることを比較するとカングーおよびエクスプレスの積載性能の高さが伺われます。そのほか積み下ろしのしやすさのレベルは高く、Bピラーを廃した「Open Sesame by Renault」仕様のクラス最大となる1,446mmの大開口部のサイドアクセスや、ユーロパレットをそのまま積み込めるリア観音開きドアは90度から180度まで開きます。助手席ドアも90度までしっかり開くので各所から容易にアクセス可能です。
フロアは折りたたみ式の助手席と回転式パーティションにより(カングーの場合)、最長3mを超えるフラットな床を実現しています。一方、頭上に装備される「Easy Inside Rack」も長尺物の積載に力を発揮。ルーフラックに長尺物の積むのと比べて空力に影響を及ぼさないため、風切り音の低減や燃費性能に対しても好条件となります。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,486×1,860×1,808 mm(ミラー部分を含まず)
【ホイールベース】2,716mm 【トレッド】前/後:1,584 / 1,595mm
【車両重量 1,593kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント横置き 気筒休止機構付
【総排気量】1,333cc 【直径×内径】 -×-mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】130ps(96kw)/4500rpm 【最大トルク】240Nm/1600rpm
【燃料容量】54L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】6MT
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)トーションビーム
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ドラム
【タイヤ】(前後)195/65R15
●パフォーマンス
【最高速度】183km/h 【0-100km/h加速】11.8秒
【燃費】約14.9km/L(新欧州複合基準)【価格】欧州仕様 2021モデル:€24,573
歴史とトリビア
ルノー カングー・バン/エクスプレス関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- 初代カングーにバトンタッチ以来となるエクスプレスの名称復活
- カングーはフランス、エクスプレスはモロッコで生産
- 現時点(2021年9月)では左ハンドル欧州仕様から展開
- バン仕様にはBピラーレス仕様も設定
- ピュアEV仕様は今後追加予定
- 3代目モデルの兄弟車となる新型メルセデス・ベンツ シタンも発表
ライバル
欧州小型LCVは、ベストセラーと言われるカングー、兄弟車となる新型シタンバンのほかにもPSAグループのベルランゴバンやパルトネールをはじめとする兄弟車など、多くのライバルが存在します。
- メルセデス・ベンツ シタンバン
- シトロエン ベルランゴバン
- プジョー パルトネール
- トヨタ プロエース シティ
- フォルクスワーゲン キャディバン
- フォード トランジット・コネクト
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
日本でも大人気のカングー。乗用仕様は恐らく新型も何らかの仕様が導入されると予想されますが、一方バン仕様は歴代モデルでも導入された実績がないため、新型のバン仕様が導入される可能性は残念ながら低いと思われます。そのため、欧州で新型となったカングー・バン/エクスプレスを確実に手に入れるなら並行輸入が確実な方法です。
カングー・バン/エクスプレスのグレード構成は以下の通りです。両モデルともに現時点で左ハンドル欧州仕様からの展開となっています。
グレード構成(カングーRapidIII:左ハンドル欧州仕様)
- Edition One(Open Sesame by Renaultあり/なし)
15インチスチールホイール+ホイールキャップ、折り畳み可能な助手席、観音開きバックドア、回転式バリオパーティション、パワーウィンドウ、セントラルロックなどが装備(エアコンはオプションで選択可能) - Extra(Open Sesame by Renaultあり/なし)
(Edition Oneに対して)マニュアルエアコン、4.2インチインストメントパネルカラーディスプレイ、スピードリミッター付きクルーズコントロールなどが装備
グレード構成(エクスプレス:左ハンドル欧州仕様)
- Basis
ウィンドウ付きバルクヘッド、ウィンドウなし観音開きバックドア、ウィンドウなしリアスライドドア、パワーウィンドウ、ラジオ・リモートコントロール付きセントラルロックなどが装備(エアコンはオプションでも設定なし) - Extra
(Basisに対して)電動調整ヒーター付きミラー、高さ調整可能なドライバーズシート、コンパートメント部分のプラスチックフロア、12Vソケットなどが装備(エアコンはオプションで選択可能)
欧州市場で発売開始になったカングー・バン/エクスプレスですが、そのなかでも現時点のおすすめは、左ハンドル欧州仕様のカングーRapidIIIのOpen Sesame by Renault付きのExtraにガソリンTCe130と6MTの組み合わせです。新型カングー・バン/エクスプレスのなかでも機能を追求する一方、日本で使用するのに必須とも言えるエアコンをはじめ装備が充実したExtra仕様は、乗用カングーとはひとあじ違う、欧州現地のプロフェッショナルに愛される仕様を感じられるチョイスです。質感も使い勝手も上がった新型カングー、プロツールを満載して仕事にも、レジャーアイテムを満載して遊びにも頼れる相棒として選んでみるのもいかがでしょうか?
- ルノー カングーRapidIII Extra 1.3 TCe130 Manual(左ハンドル欧州仕様)
- ルノー エクスプレス Extra 1.3 TCe100 Manual(左ハンドル欧州仕様)
ほかにもベーシックグレードのEDITION ONEや、日本の道路事情にもマッチしたエクスプレスの各仕様も並行輸入できます。現時点で設定されていない右ハンドル英国仕様や、2ペダルEDC仕様をご希望するお客様も発売開始次第並行輸入できますので、お気軽にお問い合わせください。
(€1=130円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:€24,573)\4,723,000⇒新発売記念特価(お問い合わせください!)
(現地値引き交渉前価格:€18,909)\3,879,000⇒新発売記念特価(お問い合わせください!)
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。