全長5mクラスの中型LCV(小型商用車)は欧州市場でも激戦区。グループ毎に兄弟車も多くあり、各メーカーの立ち位置や提携関係など、自動車業界の「いま」が透けて見えます。今回はフェイスリフトでブラッシュアップされたルノー トラフィック(RENAULT Trafic)を解説。パネルバン仕様を中心に概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報をご紹介します。
ルノー トラフィックとは
ルノー トラフィックは、同社の中型LCVモデル。ボディサイズは、最もコンパクトなL1H1でも全長:4,999mm×全幅:1,956mm×全高:1,971mmと、国産車ではトヨタ ハイエースや日産 NV350キャラバンよりも全般的に大きく、ハイエース・グランドキャビンや最近発表された海外版ハイエースに近い堂々とした体躯です。
現在販売されているモデルは2014年にデビューした3代目モデルで、兄弟車には同じアライアンス内の日産 NV300(日本未導入)などがあります。デビューから5年が経過した2019年には、兄貴分となるマスターと同時に内外装のブラッシュアップを中心としたフェイスリフトが施されました。
バリエーションは今回紹介する貨物向けのパネルバンをはじめ、貨客混在のクルーバン、乗用や送迎用途向けのパッセンジャーの3つが設定されています。
ココがスゴイ!ルノー トラフィック
ルノー トラフィックを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- ロング/ハイト仕様も選べる2種類のホイールベースとルーフを設定
- モバイルオフィスとして活躍できる各種便利な装備
- 環境性能が向上した新パワーユニットにリニューアル
- 待望の2ペダル EDC仕様が初登場
- 安定した走りを提供する統合制御 Grip Xtendを標準装備
ルノー トラフィック コンセプト動画(約1分10秒)
スタイリングとインテリア
- クロームパーツが増えてより落ち着いた雰囲気に
- 新たに採用されたLED/デイタイムランニングライトが精悍さをプラス
- より乗用車ライクなインテリアに進化
- 使い勝手が考えられた多くの収納を用意
デザインは基本的にルノーの各モデルに通じるヴァンデンアッカーデザインに沿ったもの。これは3代目デビュー時から継承していますが、今回のフェイスリフトではリデザインされたフロントグリルやクロームパーツなどが増え、同社のフラッグシップ、タリスマンを彷彿とさせる落ち着いた雰囲気に進化しました。
ボディタイプはホイールベースとルーフの組み合わせで4種類の設定です。リアドアは片側スライドドアが標準でオプションで両側スライドドアにもできます。バックドアは観音開きを採用しており180度まできっちり開くのに加え、仕様によってはオプションで270度まで開けるタイプも選択可能です。
インテリアは、一部インパネデザインや素材が見直されることで質感が向上し、より乗用車ライクなものになっています。収納が多いのも魅力。シート下の大型収納をはじめ、各所に合計90L分のスペースを確保しています。
注目は「モバイルオフィス」と呼ばれるアイテム群。スマートフォンやタブレットのホルダーをはじめ、フロントセンターシートは倒すとテーブルになり、ノートパソコンやライティングに使用できます。さらにA4サイズのクリップボードも搭載しており、名前の通りトラフィックの車内をモバイルオフィスとしても機能させることが可能です。
パネルバンには必須のバルクヘッドはフルスチールのものに加え、一部が開き長尺物が積み込めるロードスルーバルクヘッドも用意されています。
搭載されるエンジンと燃費
搭載されるエンジンは2.0L 直4ターボディーゼル(3仕様)のみの設定。
-
- ディーゼル
2.0L 直4ターボディーゼル Energy dCi120 120PS(88kw)/320Nm
2.0L 直4ターボディーゼル Energy dCi145 145PS(107kw)/350Nm
2.0L 直4ターボディーゼル Energy dCi170 170PS(125kw)/380Nm
- ディーゼル
今回のフェイスリフトでリニューアルされたこれらのユニットは、従来の1.6Lから可変ジオメトリーターボ搭載の2.0Lにスープアップされました。排気量アップの分、全般的に余裕が出たのに加え、環境性能も向上して最新のEuro6Dをクリアしています。
燃費性能は現時点で公表されていませんが、従来モデルより改善されていると思われます。トピックとして、インフォテインメントシステムのR-Linkを通して省燃費走行をアシストするガイド機能もあります。
駆動方式は全車FF。トランスミッションは6MTを中心に、待望の2ペダル仕様となる6EDCがdCi145と170仕様に設定されました。
ボディタイプとグレード構成
ボディタイプは、ショートホイールベース(SWB)の「L1」と、ロングホイールベース(LWB)の「L2」。ルーフはノーマルルーフの「H1」とハイルーフの「H2」があり、それぞれが組合わせできるので、以下の4つのボディタイプが選択できます。
ボディタイプ | L1H1 | L1H2 | L2H1 | L2H2 |
---|---|---|---|---|
全長(mm) | 4,999 | 5,399 | 4,999 | 5,399 |
全幅(mm) | 1,956 | ← | ← | ← |
全高(mm) | 1,971 | 2,495 | 1,967 | 2,498 |
ホイールベース(mm) | 3,098 | ← | 3,498 | ← |
グレードはパネルバンの場合、「BUSINESS」「BUSINESS+」「SPORT」の3種類が設定
- BUSINESS
トラフィックのベースモデル。フルチールバルクヘッド、LEDヘッドライト、パワーウィンドウなどが標準装備ですが、エアコンが標準装備でないので注意が必要です - BUSINESS+
BUSINESSに対して、マニュアルエアコン、ロードスルー(貫通)バルクヘッド、モバイルオフィス、助手席下収納などを装備 - SPORT
17インチアルミホイールや、オートマチックライト&ワイパー、タッチスクリーンナビゲーション(ミラーリング機能付き)などを装備
積載性
各ボディタイプの積載性は以下の表のようになっています。
ボディタイプ | L1H1 | L1H2 | L2H1 | L2H2 |
---|---|---|---|---|
荷室長※(mm) | 3,750 | 4,150 | 3,750 | 4,150 |
室内高(mm) | 1,387 | 1,898 | 1,387 | 1,898 |
ホイールアーチ間(mm) | 1,268 | ← | ← | ← |
最大積載量(kg) | 1,198 | 1,130 | 1,256 | 1,161 |
※バルクヘッド貫通時の最大値
最も大柄なL2H2では荷室長4mオーバー、室内高約2mという大空間はライバルと比べても大きなアドバンテージになります。そして最大積載量は全ての仕様で1100kgを超えており、1000kg台のライバルと比較しても積載性は高いと言えます。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,999×1,956×1,971 mm
【ホイールベース】3,098mm 【トレッド】前/後:- / -mm
【車両重量】1,757-1,824kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント横置 気筒休止機構付
【総排気量】1,997cc 【直径×内径】-×-mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】120ps(88kw)/-rpm 【最大トルク】-Nm/-rpm
【燃料容量】80L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】6MT
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)トーションビーム
【ブレーキ】(前)ディスク / (後)ディスク
【タイヤ】(前後)215/60R17 / 215/60R17
●パフォーマンス
【最高速度】166km/h 【0-100km/h加速】13.9秒
【燃費】約-km/L(WLTP複合基準)
【価格】英国仕様 2019モデル:£25,500
歴史とトリビア
初代モデルのデビューは1980年。同年にデビューした上位車種のルノー マスターと共通性のあるボクシーなデザインが印象的なこのモデルは、市場でも好評を得て20年以上に渡り販売されるロングセラーになりました。
2001年にデビューした2代目モデルは、当時アライアンス入りしたばかりの日産も開発に加わりました。空力を意識しており、フランスの高速鉄道「TGV」のようなフロントの傾斜が印象的です。
ルノー F1のイメージを継承する特別仕様車 「Formula Edition」
3代目モデルはいくつか特別仕様車が設定されており、そのなかでもこれまでに何回か設定された「Formula Edition」は、名前の通りルノーF1のイメージを盛り込んだもの。LCVとは思えないようなスポーティでビビッドなこの仕様は、とりわけ特別感が高いです。現在は販売されていませんが、特別仕様車が設定されたタイミングならぜひ選びたい一台です。
ライバル
欧州LCVの老舗ブランド、フォード トランジットファミリーの一員であるトランジット カスタムをはじめ、欧州の中型LCVのは各社ラインナップされています。そのなかでも兄弟車以外で最も近いライバルは、シトロエン ディスパッチをはじめとするPSAの各モデルではないでしょうか。これらは兄弟車も多くこのクラスではトラフィックらと対抗する一大勢力と言えます。
- シトロエン ディスパッチ
- プジョー エキスパート
- トヨタ プロエース
- フォード トランジットカスタム
- フォルクスワーゲン T6
- 日産 NV300
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
ルノーの大/中型LCVは、一部の特装車を除いて日本に導入された実績はありません。小型LCVベースのカングーが大人気な一方、トラフィックが正規で導入される可能性は残念ながら低いでしょう。そのため、手に入れるためには並行輸入が確実な方法です。
オススメはL1H1のSPORT dCi120仕様。日本で乗るのに一番扱いやすいショートホイールベースとノーマルルーフのボディにスポーティな装いのSPORTグレードの組み合わせ。これはビジネスの相棒にも、レジャーのトランスポーターにも活躍してくれるチョイスです。
さらにオプションで用意されるSPORT+パックには、RenaultSportデザインの専用スポイラーや、サイドステップ、レーシーな雰囲気のストライピングデカールがセットになっています。これはよりスポーティさをアップするアイテムとして、ぜひチョイスしたいオプションです。
- ルノー トラフィック L1H1 Energy dCi120 Sport Panel Van SWB 6MT
- ルノー トラフィック L1H1 Energy dCi145 Business+ Panel Van SWB 6EDC
ほかにもハイパワー仕様や2ペダルのEDCのほかに、各ボディタイプやクルーバン、パッセンジャーも並行輸入できますので、お気軽にお問い合わせください。
(£1=135円時・値引き交渉前価格)
(値引き交渉前現地価格:£30,600)\6,017,000
(値引き交渉前現地価格:£32,100)\6,246,000
ディーゼル車をご希望の方へ
参考乗出し価格が掲載されていない場合には、別途お見積りいたしますのでお問合せ下さい。
なお、ディーゼル車を取り巻く環境は年々厳しくなっています。ディーゼルエンジン搭載車をご希望の場合には以下の記事もご覧ください。
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。