フォードとの商用車開発の提携により、20年以上ぶりに完全新設計となったフォルクスワーゲン 新型トランスポーターはデビュー直後から市場で大きく注目されている一台です。
日本でも乗りやすい右ハンドル英国仕様は当初、商用仕様のパネルバンから販売開始されていましたが、このたび待望の乗用MPV仕様が追加されました。
今回はフォルクスワーゲンのミドルサイズMPVモデル「トランスポーター・シャトル(VOLKSWAGEN Transporter Shuttle)」の右ハンドル英国仕様、新型モデルの内燃機関仕様を中心に先行してリリースされているT7マルチバンとの違いや、概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
フォルクスワーゲン トランスポーター・シャトルとは
トランスポーター・シャトルはフォルクスワーゲンの全長5mクラスとなる欧州ミドルサイズLCVをベースにしたMPVモデルです。ボディサイズはコンパクトなSWBボディで全長:5,050mm×全幅:1,999mm(ミラー部分を除く)×全高:1,961 mmと国産モデルではラージサイズミニバンのトヨタ アルファードやヴェルファイアよりも一回り以上大きく、かつて販売されていたグランエースや、ハイエースワゴンのグランドキャビンに近いサイズ感です。
トランスポーターのルーツを辿ると、タイプ1(ビートル)をベースにしたワンボックスで現在も「ワーゲンバス」の愛称で親しまれるタイプ2(T1)が祖先となります。T1からT3までは水平対向エンジンをリアに配置するRRレイアウトを採用していましたが、T4でFF化されました。
- トランスポーターのルーツとなるタイプ2(T1)
- 日本市場にはT4まで正規導入されていました
2003年にデビューしたT5ではLCVとしてのタフさとさらなる質感の向上により、市場で高い評価を得ました。以降2009年のフェイスリフトを経て、2016年のT6、2019年のT6.1ではT5を基にブラッシュアップを続けて完成度を高めてきました。
- 従来モデルにあたるT6.1は今なお根強い人気があります
- 第7世代では乗用車系プラットフォームを採用したT7マルチバンが独立しました
2021年には乗用車系プラットフォームを採用したT7マルチバンが先行してデビューしてトランスポーターから独立したのち、2024年にトランスポーターがフルモデルチェンジしました。フォードと商用車開発の提携により、フォード トランジット/トルネオ・カスタムとLCV系プラットフォームを共有したことに加えて、生産もトルコのフォード・オトサン工場で行われます。これにより新型モデルはT5のデビュー以来、実に21年ぶりの完全新設計となりました。
トランスポーターは貨物向け、貨客混在、送迎用途向けのシンプルな乗用仕様、乗用MPV仕様のバリエーションで展開されており、仕向け地によって名称が異なります。各仕様の組み合わせおよび、既に展開されているT7マルチバンおよびカリフォルニアを含めた現時点でのラインナップについては以下表をご参照ください。赤字部分が今回解説する仕様となります。(2025年7月現在)
バリエーション | 右ハンドル英国仕様 | 左ハンドル欧州仕様 |
---|---|---|
貨物向け | パネルバン | パネルバン |
貨客混在 | コンビ | パネルバンプラス |
送迎用途など (シンプルな乗用モデル) |
なし | コンビ |
乗用MPV | シャトル | カラベル |
高級MPV | T7マルチバン | T7マルチバン |
キャンピングカー | T7カリフォルニア | T7カリフォルニア |
新型トランスポーターの右ハンドル英国仕様は、2025年に当初はパネルバンから販売開始され、数か月遅れて乗用MPV仕様となるシャトルが追加になりました。乗用モデルとしてはT7マルチバンもありますが、メーカーは「T7マルチバンは完全に個人顧客をフォーカスしているが、新型トランスポーター・シャトルはこれに加えてフリートユースも視野に入れている」とコメントしています。
トランポーターの乗用MPV仕様はタイプ2(T1)からT4まで日本には正規導入されており、T5はモーターショーで参考出品されましたが残念ながら正規導入はされませんでした。これ以降、現在販売されている新型モデルも含め導入された実績がありません。
フォルクスワーゲン 新型トランスポーター プロモーション映像(約30秒)
ココがスゴイ!フォルクスワーゲン トランスポーター・シャトル
フォルクスワーゲン トランスポーター・シャトルを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- 待望の右ハンドル乗用MPV仕様の追加
- 多様化されたパワートレイン
- デジタル面の大幅なアップデート
- フォードと共同開発により走りの質が向上
- 卓越した牽引能力
スタイリングとインテリア
- 曲線と直線がバランスよく融合したモダンなエクステリア
- SWBとLWBが選べるボディタイプ
- 高品質で快適性が増した室内空間
- 3列8人乗りに加えて9人乗りも選択可能
ボディタイプはホイールベースの違いで全長5,050mmのSWB(ショートホイールベース)と、全長5,450mmのLWB(ロングホイールベース)があります。
ボディの差は基本的にラゲッジスペースの差となり、用途に合わせて選択可能です。T7マルチバンと比べて一回り大きくなり、LWB仕様同士では30cm近く長くなります。従来モデルと比べて全体的にボディサイズが大きくなりましたが、最小回転半径は変わらないように設計されています。日本で乗るのに重要な小回り性能が犠牲ならないことは大きなポイントです。
デザインは、T4以降の印象を強く継承して角張った従来モデルから一変、曲線と直線がバランスよく融合した、モダンかつ洗練されたものにアップデートされました。変化を加えつつも、ラジエターグリルはT5、シャープなヘッドライトはT6.1、全体的に丸みを帯びたシルエットは祖先にあたるT1のモチーフを盛り込むことで、誰もがトランスポーターの系譜を受け継ぐ一台であることが分かるようにデザインしたとメーカーはコメントしています。
リアドアは両側スライドドア(上位グレードでは電動クローザー付き)、バックドアは跳ね上げ式が標準で設定されます。オプションではパワースライドドアや観音開きバックドア、抜群の開放感を演出するパノラマガラスサンルーフなどがユーザーの希望に合わせて選択可能です。
- フォルクスワーゲン トランスポーター・シャトル(SWBボディ:サイド)
- フォルクスワーゲン トランスポーター・シャトル(LWBボディ:サイド)
- トランスポーター・シャトルは跳ね上げ式バックドアが標準設定
- 抜群の開放感を演出するパノラマガラスサンルーフがオプションで設定
インテリアも今回のフルモデルチェンジで完全新設計されました。従来モデルより拡大されたタッチスクリーンはドライバーからより見やすい位置に配置されるほか、より高品質なインテリア素材を採用し、防音材を増やした室内空間は快適性が向上しています。LCV譲りの使い勝手のよさも魅力で、豊富な収納スペースや、全ての座席の外側には深さのあるカップホルダー、モバイル機器が充電できるUSBソケットも多く用意されています。
シート配列はフロント2人掛けとなる2+3+3人の3列8人乗りと、フロント3人掛けとなる3+3+3人の3列9人乗りも選択可能です。国産ミニバンにはない9人乗りや、大人が座っても余裕のある3列目シート、フル乗車でも広いラゲッジスペースはトランスポーター・シャトルのポイントです。
デジタル面も大きくアップデートされており、12インチのデジタルクラスターが標準装備され、インフォテインメントシステムに組み合わされるタッチスクリーンは13インチの大画面に拡大されました。スマートフォンとはAppleCarPlay/AndroidAutoのワイヤレス接続に対応しています。ほかにもオプションでHarman Kardonが手掛けたオーディオシステムが用意されています。オーディオシステムについて兄弟車となるフォード トルネオ・カスタムはB&O(Bang&Olufsen)のシステムを採用しており、それぞれ異なるブランドを選択してることが興味深いです。
- トランスポーター・シャトルのインテリア
- 余裕のあるサイズのシートが全席に配置されます
- 12インチデジタルクラスターと13インチタッチスクリーンが標準装備
- オプションでフロント3人掛けシートの9人乗り仕様も選択可能
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ディーゼルのほかBEV仕様のE-トランスポーターが設定されています。
- ディーゼル
2.0L 直4ターボ TDI 110PS(80kw)/310Nm
2.0L 直4ターボ TDI 150PS(110kw)/360Nm
2.0L 直4ターボ TDI 170PS(125kw)/390Nm
内燃機関仕様は全て2.0L直4ディーゼルのTDIになります。これはフォードのEcoBlueに相当するもので、110PS、150PS、170PSの3つの出力が設定されています。環境性能も高い最新世代のユニットで燃費性能は150PS(8AT)仕様の欧州複合で12.7km/Lです。
- フォードの最新世代EcoBlueユニットに相当する2.0L TDIユニット
- 8AT仕様のセレクターはステアリングコラムに移動
駆動方式は現時点(2025年7月現在)でFFのみとなりますが、トランスポーターのパネルバンなどにはAWDの4MOTIONがあるため、今後設定される可能性があるかもしれません。乗用MPVのT7マルチバンがモーター駆動の電動AWDになった一方、トランスポーターは今でも根強い需要のある機械式AWDであるのも大きなポイントです。トランスミッションは6MTを中心に、2ペダルは8ATが設定されます。従来モデルから多段化に加え、DSGからトルクコンバーター式に変更されたことにより、より滑らかな変速フィールを実現しました。セレクターも従来のインストルメントパネルからステアリングコラムに移動されています。
走行性能とハンドリング
今回のフルモデルチェンジでは新開発の独立したリアサスペンションや最適化されたシャーシアーキテクチャが採用されました。走りに定評のあるフォードと長年トランスポーターを開発してきたフォルクスワーゲン双方の知見を融合することで、従来モデルと比べてさらに正確性が増したハンドリング性能と乗員全員が感じられる洗練された乗り心地を実現しています。
これに加えて牽引性能の高さもポイントです。TDIディーゼル仕様は最大2.5トンの牽引能力があるため、ボートなどのレジャーアイテムの牽引にも力を発揮します。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】5,050×1,999(ミラー部分を含まず)×1,961 mm
【ホイールベース】3,275mm 【トレッド】前/後:- / -mm
【車両重量】 -kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒ターボ DOHC16V フロント横置き
【総排気量】1,996cc 【直径×内径】 – ×-mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】150ps(110kw)/-rpm 【最大トルク】360Nm/1,500-2,500rpm
【燃料容量】55L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】8AT
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)トーションビーム
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ディスク
【タイヤ】(前後)215/65R16
●パフォーマンス
【最高速度】174km/h 【0-100km/h加速】14.7秒
【燃費】約12.7km/L(新欧州複合基準)【価格】英国仕様 2025モデル:£48,354
歴史とトリビア
フォルクスワーゲン トランスポーター・シャトル関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- 初代となるT1から現在まで約70年の歴史があり
- 乗用MPV仕様はT4まで日本に正規導入
- フォードと商用車開発の提携によりフォード トルネオ・カスタムの兄弟車に
- 第7世代は乗用車系プラットフォームを採用したT7マルチバンが独立
- 左ハンドル欧州仕様にはシンプルなコンビと充実装備のカラベルが設定
- フォードとの提携により兄弟車となったフォード トルネオ・カスタム
- 左ハンドル欧州仕様にはシンプルなトランスポーター・コンビが設定
ライバル
全長5mクラスの欧州ミドルサイズLCVをベースにしたMPVモデルは、兄弟車のフォード トルネオ・カスタムをはじめ、各社がラインナップするライバルが多い市場です。そのなかでも近しいライバルとしてメルセデス・ベンツ ヴィトー・ツアラーを挙げます。日本でも人気なVクラスのベースであり、メルセデス・ベンツならではの質実剛健さをもつMPVのヴィトー・ツアラーはトランスポーター・シャトル/トルネオ・カスタムのタッグと好敵手になりそうです。
- メルセデス・ベンツ ヴィトー・ツアラー
- トヨタ プロエース・ヴァーソ
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
ひさびさの完全新設計モデルとして大きく注目されている新型トランスポーターですが、T5以降のMPV仕様は日本に正規導入されておらず、従来モデルにあたるT6.1もモデルライフを通して正規導入されませんでした。これより新型モデルも日本に正規導入される可能性は残念ながら低いと予想されます。そのため、確実に手に入れるなら引き続き並行輸入がおすすめです。MPV仕様の新型トランスポーター・シャトルのグレード構成は以下の通りです。トランスポーター・シャトルは右ハンドル英国仕様のみの展開となります。
グレード構成(右ハンドル英国仕様)
- Life
16インチアルミホイール、LEDヘッドライト/デイタイムランニングライト、ボディ同色バンパー、両側スライドドア、跳ね上げ式バックドア、運転席2ウェイランバーサポート、マルチファンクションレザーステアリングホイール、オートエアコン(1ゾーン/リアはマニュアルエアコン)12インチデジタルクラスター、13インチタッチスクリーン、フロント/リアパーキングセンサー、リアビューカメラなどが装備 - Style
(Lifeに対して)17インチアルミホイール、電動格納ヒーテッドドアミラー、ヒーター付きフロントガラス、ボディ同色ミラーハウジング/ドアハンドル、電動クローザー付き両側スライドドア、フロントヒーテッドシート、3ゾーンオートエアコン、電気式補助ヒーター、スマートフォンワイヤレス充電パッドなどが装備
トランスポーター・シャトルのオススメは、SWBボディのLifeグレードに2.0L TDIディーゼル150PS仕様と8ATの組み合わせです。ベーシックグレードながらも充実した装備のLifeグレードに、大きすぎないSWBボディと右ハンドル、オートマチック限定免許でも運転できる8ATは、日本でも乗りやすく新型トランスポーター・シャトルの魅力を幅広いユーザーに味わっていただけるチョイスです。
乗用車系プラットフォームを採用し洗練されたT7マルチバンや、質実剛健という言葉を具体化したようなT6.1も大いに魅力的ですが、ヘビーデューティーな用途にも耐えうるLCV系プラットフォームを採用し、完全新設計にて全方面に渡りアップデートされた新型トランポーター・シャトルは、多人数のグランドツーリングからレジャーアイテムを満載して牽引するアウトドアシーンまで幅広く活躍しそうな一台です。新型モデル待望の右ハンドルMPV仕様をいち早く欧州現地からお取り寄せしてみませんか。
- フォルクスワーゲン トランスポーター・シャトル SWB Life 2.0 TDI 150PS 8AT(右ハンドル英国仕様)
- フォルクスワーゲン トランスポーター・シャトル SWB Style 2.0 TDI 150PS 8AT(右ハンドル英国仕様)
- フォルクスワーゲン トランスポーター・シャトル SWB Life 2.0 TDI 110PS 6MT(右ハンドル英国仕様)
ほかにも、さらに広いラゲッジスペースをご希望のユーザーにはLWBボディや、上位のStyleグレード、走りも楽しみたいユーザーには6MTなど各種仕様が並行輸入可能です。ほかにも豪華なカラベルや、シンプルな乗用仕様のコンビなどの左ハンドル欧州仕様や乗用車系プラットフォームを採用したT7マルチバンも並行輸入可能ですのでお気軽にお問い合わせください。
さらに今なお高い支持を得ている従来モデルのT6.1トランスポーターも並行輸入可能です。既に生産終了しており現地でも程度のよい物件が少なくなりつつありますが、現地市場からお探しいたしますのでご希望の方はお気軽にお問い合わせください。



(£1=185円時・現地値引き交渉前)
(現地値引き交渉前価格:£48,354)\12,115,000
(現地値引き交渉前価格:£50,754)\12,615,000
(現地値引き交渉前価格:£44,394)\11,290,000
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。
画像と動画
- フォルクスワーゲン トランスポーター・シャトル(LWBボディ)
- フォルクスワーゲン トランスポーター・シャトル(SWBボディ:リア)
- フォルクスワーゲン トランスポーター・シャトル(LWBボディ:リア)
- リアドアは両側スライドドアが標準装備(一部仕様は電動クローザー付き)
- LCVのような観音開きバックドアも選択可能
- スマートフォンの充電ができるワイヤレス充電パッドやUSBポートを装備
- シート配列は2+2+3の8人乗りが標準となります(写真はSWBボディ)
- LWBボディはラゲッジスペースがさらに広くなります
- フル乗車でも余裕のあるラゲッジスペース