欧州市場においてLCV(小型商用車)をベースとしたMPV(多用途乗用車、ミニバン)モデルは人気のジャンルのひとつ。なかでも日本のラージミニバンに近いサイズとなる5mクラスのモデルは激戦区で各社がラインナップしています。欧州LCVの老舗である「フォード トランジット」にもトランジットファミリーをベースにしたMPVが用意されており、ちょっと珍しいスポーティーな仕様も存在します。今回はフォードのMPV、フォード トルネオ・カスタムを解説。日本未導入であるこのモデルの概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報をご紹介します。
フォード トルネオ・カスタムとは
フォード トルネオ・カスタムは、LCVベースのMPVモデル。冒頭の通りLCVの老舗「トランジット」ファミリーのモデルをベースにしていますが、最も大きいトランジットではなく、2番目に大きい「トランジット・カスタム」をベースにしています。
ボディサイズは全長:4,972(5,339)mm×全幅:1,986mm×全高:1,979(1,977)mm(カッコ内はロングホイールベースのL2仕様)と、国産車ではノーマルホイールベース仕様でもトヨタ アルファード/ヴェルファイアよりも大きく、ロングホイールベースはハイエースコミューターに近い堂々とした体躯です。
現在販売されているモデルは初代モデルで2012年のデビュー。バン仕様は「トランジット・カスタム」、乗用仕様はほかのフォード製LCVベースのMPVモデルと同じく「トランジット」ではなく「トルネオ」のネームが付けられています。市場での反応は好評で、バン仕様は2013年のバン・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
2017年にはマイナーチェンジが行われ、最新のフォード車と共通した意匠に進化したのに加え、パワーユニットも一新されました。2019年にはマイルドハイブリッド仕様が追加。さらに今後2019年中にプラグインハイブリッド仕様も追加予定と言われています。
ココがスゴイ!フォード トルネオ・カスタム
フォード トルネオ・カスタムを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- 老舗LCV「トランジット」譲りのタフさ
- 高い環境性能の新世代ディーゼルエンジンを採用
- 電動化モデルも追加予定
- オプションでエアサスペンションも選択可能
- MPVでもスポーツマインドを刺激するSPORT仕様を用意
スタイリングとインテリア
- L1(ショート)とL2(ロング)、2つのホイールベースを用意
- 最新のデザイン言語を取り込んだエクステリア
- 多彩なシートアレンジ
- 豊富なボディカラーとインテリアトリムの選択肢
トルネオ・カスタムには標準ホイールベース仕様のL1(全長4,972mm)とロングホイールベース仕様のL2(全長5,399mm)の2種類のボディタイプが用意され、用途やニーズに合わせて選択が可能です。
デビュー時のキネティックデザインから、2017年のフェイスリフトでフォード最新のデザイン言語、ニュー・グローバル・デザイン・ランゲージを取り入れたものになりました。大きなグリルやシャープなヘッドライトなど、最近のフォード車に共通する意匠になっているのに加え、兄貴分となるトランジットの雰囲気を引き継いでいます。リアゲートまわりのシャープな造形も秀逸です。
欧州製LCVは衝突安全対応のためボンネットが付いていますが、衝突安全性を確保しつつボンネットの張り出しを最小限にすることで、室内空間を広げています。後席スライドドアは両側に装備。さらに乗り降りがしやすいようにサイドステップが標準装備されています。
そして注目は「SPORTグレード」。専用のエクステリアパーツやブラックアウトされたアルミホイール、さらにボンネットとリアゲートにはレーシングストライプが配され、レーシーさを前面に出したエクステリアに仕上がっています。国産ラージサイズミニバンでもスポーティな架装をした仕様がありますが、このようなレーシーな雰囲気を持ったMPVは珍しく、トルネオ・カスタムの魅力と言えます。
インテリアはグレードや仕様に合わせてトリムが設定されており、ベーシックなファブリックから、レザーコンビ、フルレザーまで合計8種類も設定されています。シート配列は基本3列8人乗り(前から2-3-3人)ですが、送迎用途が想定されるShuttleBus仕様は、フロント3人がけの3列9人(同3-3-3人)と、各列へダイレクトにアクセスできる4列9人(同2-2-2-3人)が設定されています。
そしてシートアレンジが豊富なのがポイント。2列目が回転対座可能なだけでなく、各列シートを畳んで巨大ラゲッジとして使用したり、任意のシートのみを畳むことで長尺物も楽々搭載可能です。
インフォテイメントシステムは大画面の8インチタッチパネルを備えた、最新のFORD SYNC3システムを採用。スマートフォンのミラーリングディスプレイ機能に対応しています。
搭載されるエンジンと燃費
搭載されるエンジンは全て2.0Lディーゼルでマイルドハイブリッドの設定もあります。
- ディーゼル
2.0L 直4ディーゼルターボ EcoBlue 105PS(kw)/360Nm 6MT
2.0L 直4ディーゼルターボ EcoBlue 130PS(kw)/385Nm 6MT/6AT
2.0L 直4ディーゼルターボ EcoBlue 185PS(kw)/405Nm 6MT/6AT - マイルドハイブリッド
2.0L 直4ディーゼルターボ EcoBlue 130PS(kw)/385Nm+電気モーター 6MT
2.0L 直4ディーゼルターボ EcoBlue 185PS(kw)/405Nm+電気モーター 6MT
設定されているディーゼルエンジンは全てEcoBlueと呼ばれる新世代ユニット。DPFとAdBlueを組み合わせてクリーンな排気ガス出力のほか、燃費も130PS仕様で欧州複合14.5km/Lの低燃費と高い環境性能を実現しています。
2019年にはMHEVと呼ばれるマイルドハイブリッド仕様が追加されました。これは最近欧州で増えつつあるコンパクトな48Vシステムに電気モーターを組み合わせたもので、130PSと185PS仕様のユニットに組み合わされます。燃費は185PS仕様で14.7km/Lと前述のノーマル130PS仕様よりも低燃費です。
トランスミッションは6MTを中心に130PS仕様と185PS仕様に6速ATが設定。SelectShiftと呼ばれるこのオートマチックは、シフトノブ横に備えられたボタンでマニュアル操作ができるのに加え、滑りやすい路面や急坂などではロックアップする機能も持ち合わせています。
走行性能とハンドリング
サスペンションはフロント:ストラット、リア:リジット。LCVではコンベンショナルな組み合わせですが、本来トランジットに対して求められるヘビーデューティな使い方にも応えるタフさがトルネオ・カスタムにも活かされています。
なかでもSPORTグレードには専用チューニングのスポーツサスペンションが与えられています。さらにオプションでエアサスペンションが選択可能。乗り心地を重視するなら選択したいサスペンションです。
また、背の高いボディは一般的に走行安定性に影響を与えますが、トルネオ・カスタムには、横風などから影響を最小限にし、走行安定性を守るスタビリティコントロールを装備しています。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,972×1,986×1,959 mm
【ホイールベース】2,933mm 【トレッド】前/後:- / -mm
【車両重量】-kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒直噴ターボディーゼル DOHC16V フロント横置
【総排気量】1996cc 【直径×内径】84.0×90.0mm 【圧縮比】16.5:1
【最高出力】185ps(136kw)/-rpm 【最大トルク】-Nm/-rpm
【燃料容量】-L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】6AT
【サスペンション】(前)ストラット / (後)リジット
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ディスク
【タイヤ】(前後)235/50R18(※290 Van)
●パフォーマンス
【最高速度】-km/h 【0-100km/h加速】-秒
【燃費】約14.5km/L(新欧州複合基準)
【価格】英国仕様 2019モデル:£45,660
歴史とトリビア
トルネオ関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- 欧州市場だけでなく中国でも販売
- レーシーな雰囲気のSPORTグレードはバンにも設定あり
- 2.0L EcoBlueエンジンはフォーカスSTでも採用
- プラグインハイブリッドはフォードのLCV/MPVでは初設定
ライバル
全長5mクラスのLCVをベースとしたMPVは、フォルクスワーゲン T6をはじめ、ルノー トラフィックをはじめとする兄弟車、シトロエンスペースツアラーをはじめとするPSAの兄弟車など数多くのライバルが存在します。それらのなかでも電動化モデルのラインナップは、ハイブリッドが強いトヨタですらまだないため、大きなアドバンテージと言えるでしょう。
- フォルクスワーゲン T6
- ルノー トラフィック
- 日産 NV300
- トヨタ プロエース ヴァーソ
- シトロエン スペースツアラー
- メルセデス・ベンツ Vクラス
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
フォードが日本市場から既に撤退していることに加え、バン仕様のトランジットを含めてフォードのLCV/MPVが日本市場に正規導入された実績がないため、トルネオ・カスタムが日本市場に正規導入される可能性はほとんどありません。手に入れるには並行輸入が確実な方法です。
グレード構成は、送迎用途を想定した9人乗りの「Shuttle Bus(L2ボディのみ)」、ベーシックな8人乗りグレードの「Zetec」、アルミホイールやリアエアコン、回転対座シートを装着した充実装備の「Titanium」、バイキセノンヘッドライトやレザーシートなどが奢られた最上級グレードの「Titanium X」、そして専用エアロ、17インチブラックアルミホイール、スポーツサスペンションなどを装備した「Sport」がラインナップされています。
そのなかでもオススメはSportのノーマルホイールベース(L1)仕様に、185PSエンジンに6ATの組み合わせです。これはミニバン大国の日本でも見かけない、レーシーな雰囲気のSPORTグレードにハイパワーなエンジンと標準ホイールベースの組み合わせ。ロングボディに比べて短く軽いため、キビキビと走らせられますし、L1仕様でも十分ラゲッジは広いため、数々のレジャーアイテムを積んでアクティブに走れる相棒としてのチョイスです。
- フォード トルネオ カスタム Sport L1 320 2.0L EcoBlue 185PS 6AT
- フォード トルネオ カスタム Sport L2 320 2.0L EcoBlue 185PS 6MT
ほかにも、もっと荷物を積みたい方にはロングホイールベースのL2仕様や、ラグジュアリーな方向性のTitaniumX、およびマイルドハイブリッド仕様も並行輸入できますのでお気軽にお問い合わせください。
(£1=135円時・値引き交渉前価格)
(値引き交渉前現地価格:£47,656)\8,501,000
(値引き交渉前現地価格:£45,202)\8,128,000
ディーゼル車をご希望の方へ
参考乗出し価格が掲載されていない場合には、別途お見積りいたしますのでお問合せ下さい。
なお、ディーゼル車を取り巻く環境は年々厳しくなっています。ディーゼルエンジン搭載車をご希望の場合には以下の記事もご覧ください。
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。
バン仕様のトランジット・カスタムも並行輸入できます
トルネオ・カスタムには、バン仕様のトランジット・カスタムがあります。貨物向けのパネルバンや貨客混在のダブルキャブinバンなどの仕様があるのに加え、トルネオ・カスタムと同じくSPORTグレードもラインナップされています。
各種仕様、グレード、ボディタイプ(ルーフ、ホイールベース)の組み合わせが並行輸入できますので、合わせてお問い合わせください。乗用タイプのトルネオ・カスタムよりずっと安価です。