近年のメルセデス・ベンツはコンパクトなエントリーモデルのラインナップを積極的に増やし、新たなユーザー層の獲得に努めています。3代目に移行したAクラスはワイド&ローなシルエットになり人気となっていますが、一方で当初のコンセプトを頑なに守り続けるモデルもあります。今回はクラス最高水準の安全性能を持つスペース効率に優れたコンパクト、メルセデス・ベンツ Bクラスを解説。日本未導入のハイパワーユニットやAWD仕様を中心に概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報をご紹介します。
メルセデス・ベンツBクラスとは
メルセデス・ベンツBクラスは、Cセグメントのコンパクトモデル。ボディサイズは全長:4,419mm×全幅:1,796mm×全高:1,562mm(一部仕様は1,547mm)と、全長全幅は最近フルモデルチェンジしたマツダ3が近いサイズですが、特徴は全高が高いこと。このような背高ノッポのCセグメントモデルは国産車では見当たりません。
初代モデルのデビューは2005年。W245と呼ばれるこのモデルはAクラスよりも幅が広いMPV的要素が濃いもので、コンパクトなボディサイズながら上級モデルのEクラス並の室内空間を実現していました。現在販売されているのは2018年のパリモーターショーで発表されたW247と呼ばれる3代目モデルです。プラットフォームには従来モデルと同じく「MFA」を採用。ボディサイズは全長が従来モデルより55mm拡大され、さらに前後のオーバーハングを切り詰めることでより広大な室内空間を得ています。
先行して発売されたAクラスがワイド&ローのスタイリッシュな方向にシフトしたのに対し、Bクラスは一貫して背が高く室内空間の広さを重視するコンセプトを堅守したため、以前よりもAクラスとBクラスのキャラクターが明確になったと言えるでしょう。
2019年8月にはプラグインハイブリッド(PHV)仕様が追加で発表、2019年中の発売がアナウンスされました。日本市場には初代モデルから正規導入されており、現行モデルも2019年にB180とB200d(2019年10月以降)が正規導入されています。
ココがスゴイ!新型メルセデス・ベンツ Bクラス
新型メルセデス・ベンツ Bクラスを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- 日本仕様にないAWD仕様やハイパワーユニット仕様も
- 上級グレードはリアにマルチリンクサスを採用
- 次世代インフォテインメントシステム、MBUXを採用
- Sクラスにも装備される高度な運転支援システムを装備
- PHV仕様も発表。欧州市場でまもなく発売開始予定
新型Bクラスは、先行して発売されたAクラスをベースに、メルセデスの最新技術を惜しみなく投入した意欲作です。2020年の最新規制に適合する新エンジン群と新型8速デュアルクラッチミッション、Sクラスから移植された数々の運転支援技術を搭載し、このクラスでは最高水準の安全性も実現しています。
メルセデス・ベンツ Bクラス コンセプト動画(約1分20秒)
スタイリングとインテリア
- エクステリアは少し大柄で背が高くなったAクラス
- プレデターフェイスを採用し精悍な印象に
- 国内の立体駐車場にも収まる仕様もあり
- インテリアもAクラスの意匠を基本的に継承
- スマートフォンとの親和性の高いコネクテッド技術
エクステリアは先行してフルモデルチェンジしたAクラスの意匠と歴代Bクラスのシルエットを継承したもの。一言でいえば、少し大柄で背が高くなったAクラスです。最近のメルセデス各モデルが採用するプレデターフェイスを取り入れシャープで精悍な雰囲気に進化しました。Cセグメント車の中でも高い全高はAクラスと比べて120mmも高くなっていますが、cd値は従来モデルより向上した0.24を実現しています。
AMG Lineには専用フロントグリルをはじめとするエアロパーツが与えられます。さらに、専用サスペンションの装着により15mmローダウンされ全高は1,547mmに。これは高速安定性とハンドリングの向上が目的ですが、日本の一般的なタワーパーキングの高さ制限(1,550mm)にもクリアするという副次的な効果も生んでいます。
インテリアも基本的にAクラスの意匠を継承しています。大画面のタッチパネルディスプレイや、スマホやタブレットを設置したようなフルデジタルメーター、飛行機のプロペラをモチーフとしたエアアウトレットや、さまざまなカラーが選択できるアンビエントライトも同様です。
室内空間は広く、「コンパクトでもEクラス並の室内空間」というポイントは3代目モデルにもしっかり引き継がれています。ユーティリティ性も高く、リアシートは14cmスライド可能なのに加え、40:20:40の分割でフォールディング可能。そしてドアの開口部も広く乗り降りがしやすいのも魅力です。インテリアトリムはグレードに合わせた素材がARTICOレザーに組み合わされます。
インフォテインメントシステムには最新のMBUXを採用。おなじみのAIを使った会話形インターフェースでボイスコントロール可能です。コネクテッドシステムにはMercedes meが組み合わされます。スマートフォンとの親和性も高く、前後に備えられた接続用USB端子(TypeC)や、オプションでワイヤレス充電も選択できます。
搭載されるエンジンと燃費
エンジンはガソリンとディーゼルの計4機種7仕様。※は日本仕様にあるパワーユニット
- ガソリン
1.3L 直4ターボ 136PS(100kw)/200Nm B180 6MT/7G-DCT※
1.3L 直4ターボ 163PS(120kw)/250Nm B200 6MT/7G-DCT
2.0L 直4ターボ 190PS(140kw)/300Nm B220 7G-DCT
2.0L 直4ターボ 224PS(165kw)/350Nm B250 7G-DCT - ディーゼル
1.5L 直4ターボ 116PS(85kw)/260Nm B180d 6MT/7G-DCT
2.0L 直4ターボ 150PS(110kw)/320Nm B200d 8G-DCT※
2.0L 直4ターボ 190PS(140kw)/400Nm B220d 8G-DCT
ガソリンは1.3Lと2.0Lで各々、標準とハイパワーの2仕様が設定されています。1.3Lユニットはルノー日産アライアンスとの協業を生かしたものでルノー主導で開発されました。メルセデスの4気筒エンジンでは初の気筒休止機構付です。日本にも正規導入されているB180の燃費は約15.0km/L(WTLC)、最もハイパワーなB250で約13.5km/L(新欧州複合基準)です。
ディーゼルは2020年規制をクリアする最新のもの。1.5Lと2.0Lで各々、標準とハイパワーの2仕様が設定されています。日本にも正規導入されているB200dの燃費は約19.2km/L(新欧州複合基準)、日本未導入のB180dは約20.5km/L(新欧州複合基準)という低燃費が魅力です。
駆動方式はFFを基本に、B220にのみ(独本国仕様ではB250にも)AWDの4MATICが設定されます。トランスミッションは基本的に2ペダルの7速デュアルクラッチ「7G-DCT」を中心に、2.0Lディーゼルには8速となる次世代の「8G-DCT」が搭載されました。1.3Lガソリンと1.5Lディーゼルには6MTも設定されています。
まもなく発売予定とされているPHV仕様の「B250e」は、1.3Lガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせたもので、充電した電力のみでの走行も可能です。
走行性能とハンドリング
サスペンションはフロント:マクファーソン・ストラット、リア:ツイストビームを採用。上級グレードではリアサスペンションがマルチリンクになります。従来モデルの俊敏な走りを継承しながらも、快適性が向上していると現地メディアでは評価されています。
AMG Line(B180dを除く)では専用ロワード・コンフォートサスペンションが組み合わされ、よりスポーティーな走行が可能に。その他、減衰力を統合的に制御するアクティブダンピングコントロールを備えたサスペンションの設定もあり、しなやかな乗り味を求めるユーザーにはオススメです。
動力性能は最上位のB250で最高速が約249km/h、0-100km/h加速が6.4秒となっています。
クラス最高水準の運転支援システムと安全性能
新型BクラスにはSクラスからフィードバックされた最新の運転支援システムが搭載されており、他の安全装備群と相まってクラス最高水準のアクティブセーフティを実現、特定の状況下では半自律的な運転も可能になっています。
その最たるものが「Active Distance Assist DISTRONIC」。最大500m先まで検知可能なカメラとレーダーシステムと地図やこれまでのナビゲーションデータを駆使し、ルート固有の情報を分析・予測、追突回避・軽減や速度調節等の運転支援を行います。緊急停止やレーン変更もサポートされています。
進化したカメラとレーダーシステムは道路を横断中の歩行者や自転車を高精度で検知し、標準装備された拡張ブレーキアシストにより、衝突の回避と軽減を実現しています。
これらの運転支援システムの状況はヘッドアップディスプレイ(OP)とメーターディスプレイに常時表示され、一目で確認できる他、運転支援システムの設定はステアリング上のスイッチで全ての操作が可能になっています。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】4,419×1,796×1,547 mm
【ホイールベース】2,729mm 【トレッド】前/後:1,567 / 1,547mm
【車両重量】1,495kg
●エンジン
【構成】水冷直列4気筒直噴ターボ DOHC16V フロント横置
【総排気量】1,991cc 【直径×内径】83.0×92.0-mm 【圧縮比】10.5
【最高出力】224ps(165kw)/5500rpm 【最大トルク】350Nm/1800rpm
【燃料容量】43L(51L:OP)
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】7G-DCT(7AT)
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット / (後)マルチリンク
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ディスク
【タイヤ】(前後)225/45R18
●パフォーマンス
【最高速度】249km/h 【0-100km/h加速】6.4秒
【燃費】約13.5km/L(新欧州複合基準)
【価格】英国仕様 2019モデル:£31,645
歴史とトリビア
Bクラス関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- メルセデス・ベンツのFFモデルはAクラスに次ぎ2モデル目
- 従来モデルには燃料電池実験車(F-Cell)もあり
- 2019年に追加されたB250eは、Bクラス初のPHV仕様
- 新型Bクラスは日本でも販売好調
- BクラスベースのSUV「GLB」がまもなく発売予定(2019年8月現在)
ライバル
Bクラスのような背の高いCセグメントクラスのモデルは、国産車では見当たりませんが、欧州ではいくつかのライバルが存在します。そのなかでもCセグメントクラスの王者、ゴルフをベースに全高を上げたスペース重視モデル「ゴルフSV(スーパーバン)」が最も近しいライバルと言えるでしょう。しかしベースのゴルフが間もなくフルモデルチェンジと言われているため、基本設計の古さは否めません。
- フォルクスワーゲン ゴルフSV
- BMW 2シリーズアクティブツアラー
- ルノー セニック
- フォード C-MAX
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
3代目Bクラスは日本にも導入されていますが、ハイパワーなガソリン仕様や、4MATICおよびMT仕様などは導入されておりません。これらの仕様が今後追加される可能性は不明のため、確実に手に入れるためには並行輸入が現実的な方法です。
英国仕様のトリムは2つ。17インチホイールやLED/ヘッドライト、2ゾーンオートエアコンなどが装備されたエントリー向けの「Sport」と、18インチAMGホイールに専用エクステリア、サスペンション、スポーツシートなどが装備された上級版の「AMG Line」が全パワーユニットで選択できます。
英国仕様の右ハンドルモデルで選択可能な組み合わせは次表の通り。独本国仕様ではB160/B160dやB250 4MATIC等も存在し、トリムももう少し細分化されます。基本的にB200以下のグレードは6MTです。左ハンドルモデルをご希望の場合は詳細を別途ご相談ください。
グレード | エンジン | ミッション | トリム |
---|---|---|---|
B180 | 1.3L ガソリン 136ps | 6MT 7G-DCT |
Sport AMG Line |
B200 | 1.3L ガソリン 163ps | 6MT 7G-DCT |
Sport AMG Line |
B220 B220 4MATIC |
2.0L ガソリン 190ps |
7G-DCT | AMG Line |
B250 | 2.0L ガソリン 224ps | 7G-DCT | AMG Line |
B180d | 1.5L ディーゼル 116ps |
6MT 8G-DCT |
Sport AMG Line |
B200d | 2.0L ディーゼル 150ps | 8G-DCT | Sport AMG Line |
B220d | 2.0L ディーゼル 190ps | 8G-DCT | AMG Line |
オススメは「B250 AMG Line」。これはBクラスとして最も走りの質を追求したチョイスです。日本には導入されないハイパワーガソリンユニットとなるB250は、AクラスでのA35やA45に相当するAMGモデルが今のところ追加予定がないと言われているため、Bクラスでは最強仕様となる組み合わせ。リアサスペンションもマルチリンクになり、ローダウンされることで立体駐車場にも格納可能です。
- メルセデス・ベンツ B250 AMG Line 7G-DCT
- メルセデス・ベンツ B220 4MATIC AMG Line 7G-DCT
ほかにはある程度のパワーを持ち、正規導入されていない4MATIC仕様もオススメです。6MT仕様なども並行輸入できますので、お気軽にお問い合わせください。
(£1=135円時・値引き交渉前価格)
(値引き交渉前現地価格:£31,645)\5,840,000
(値引き交渉前現地価格:£32,665)\5,990,000
ディーゼル車をご希望の方へ
参考乗出し価格が掲載されていない場合には、別途お見積りいたしますのでお問合せ下さい。
なお、ディーゼル車を取り巻く環境は年々厳しくなっています。ディーゼルエンジン搭載車をご希望の場合には以下の記事もご覧ください。
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
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