2025年のジャパン・モビリティーショーで日産が展示した車種のひとつが新型マイクラ。
欧州でBEV専用車として復活し話題になりましたが、長年日本ではマーチの名前で日産のボトムレンジを支えてきた一台でもあります。
日欧共に長年愛されてきたこのモデルのなかに、日本未導入ながらも魅力的なモデルがありました。
今回は日産のコンパクトカー「マイクラ(NISSAN Micra)」をプレイバック解説。残念ながら日本市場には最後まで正規導入されなかった5代目モデルのフェイスリフト後のモデル(2019年~2023年)にフォーカスを当て概要・スペック・価格・並行輸入で乗るための情報を解説します。
日産 マイクラとは
マイクラは日産のBセグメント級のボディサイズをもつコンパクトカーです。一時期日産 ピクソ(欧州で販売されていたスズキ アルトのOEMモデル)がありましたが、長年欧州市場で日産のボトムレンジを担ってきました。ボディサイズは全長:3,999mm×全幅:1,743mm(ミラー部分を含まず)×全高:1,455mmと全幅が少し超える以外は5ナンバーサイズのコンパクトカー並みで、かつて日本で販売されていたマーチ(4代目)よりも大きく、幅以外はノートよりも小さいサイズ感です。
- 日産 マイクラ(初代モデル:1982年)
- マーチをベースにしたパイクカーのBe-1(1987年)
初代モデルのデビューは1982年、前年の東京モーターショーで発表されたコンセプトカー「NX-018」の市販化モデルとなります。日本では公募にて名付けられた「マーチ」、欧州では「マイクラ」の名前で展開されました。日産の新世代リッターカーのコンパクトモデルとして、ジウジアーロがデザインしたクリーンなボディに広い室内、低燃費で使い勝手の良さなどから仕向け地問わず高い評価を得て、10年というロングセラーモデルとなりました。日本のマーチでは、当時初となるツインチャージャーエンジンを搭載したスーパーターボや、マーチをベースとしたBe-1をはじめとするパイクカーなどバリエーションが多かったのも特色です。
- 英国日産で生産された2代目モデル(1992年)
- 歴代唯一マイクラの名前で日本に導入された3代目のマイクラC+C(2007年)
1992年にデビューした2代目では、欧州向けは英国日産(NMUK)のサンダーランド工場で生産され、より欧州に密着したモデルとして英国を中心に高い評価を得ました。その結果、1993年には日本車で初となる欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
以降は、歴代唯一オープン仕様のC+Cがマイクラの名前で日本でも展開された2002年デビューの3代目を経て、2010年デビューの4代目モデルは生産拠点が変更になり、日本仕様のマーチはタイで生産される輸入車になり、欧州仕様のマイクラも生産がインドの工場に変更されました。
- 日本では現時点で最後のマーチとなる4代目モデル(2010年)
- 欧州市場向けに投入された5代目モデル初期型(2016年)
欧州では2016年に5代目モデルにフルモデルチェンジしました。プラットフォームは日産のCMF-Bを採用し、生産はインドからフランスに変更されました。5代目モデルは欧州を主眼としたモデルとして開発され、現地では激戦区のBセグメントモデルとして戦うために「マイクラの再定義」をコンセプトに掲げ「デザイン」「走行性能」「質感」全てにおいて上級志向に進化しました。2019年にはフェイスリフトが実施され、今回紹介するモデルとなります。内外装のアップデートをはじめ、新ダウンサイジングターボユニットの採用や2ペダルトランスミッションの追加など幅広い改良が行われました。メーカーはこれまで以上の「More MICRA」を実現するために各所をアップデートしたコメントしています。2021年には当時最新の環境基準に適合するためにパワーユニットが改良されたのち、2023年に生産終了しました。
日本では2022年まで4代目モデルがマーチとして販売されたほか、サイズが近いノートやノートオーラが展開されていたため、5代目マイクラはモデルライフを通して日本に正規導入されませんでした。
一旦歴史が途絶えたマイクラですが、2025年にBEV専用車種として復活しました。同時期に復活したルノー トゥインゴの兄弟車になり、2025年のジャパンモビリティーショーで展示されましたが、現時点で日本への導入については発表されておりません。(2025年12月現在)
ココがスゴイ!日産 マイクラ
日産 5代目マイクラを語るうえで外せないポイントが以下の5つです。
- 現時点で最後の純エンジン仕様
- 小さなボディに高品質な装備
- GT-Rの技術を応用した新ダウンサイジングターボユニット
- 上級車種向けのアイテムで走りの質感向上
- スポーティな装いのN-SPORTグレードの追加
スタイリングとインテリア
- マーチよりもワイド&ローなボディ
- 小さなボディに美しさと力強さを両立
- グランドツーリングでも疲れづらいシートの採用
- 臨場感のあるサウンドを提供するオーディオシステムの設定
エクステリアについては、従来モデルと比べてボディサイズがより「低く」「幅広く」「長く」なり、ワイド&ローなスタイルを手に入れました。ボディタイプは4代目モデル同様に5ドアのみの設定になります。
デザインは、Vモーショングリルを起点として切れ上がったヘッドライトを通して、フロントからリアに向かって流れる曲線のラインは美しさと力強さという相反する要素を両立しています。これは2015年に発表されたコンセプトカーのスゥエイを忠実に再現しており、コンパクトカーであっても手の込んだものに仕上がっています。フェイスリフトではVモーショングリルがより細くデザインされたものになり、シャープさが増したほか、グレードによりLEDヘッドライトが標準装備になりました。
- 日産 マイクラ(サイド)
- 日産 マイクラ(リア)
- フェイスリフトで新意匠のVモーショングリルを採用
- LEDヘッドライトを一部仕様に初採用
インテリアも従来モデルと比べて大幅にアップデートされました。タッチスクリーンを中心に配置したインストルメントパネルはクリーンなデザインで、二眼式メーターは見やすく、各種コントロールには物理ボタンが残されており確実なコントロールが可能です。実用的な使いやすさだけでなく、インストルメントパネルをはじめシートや各内装パーツにはボディカラーに応じて効果的な指し色が入るほか、各所にアルカンターラなどの素材が使われる仕様も設定されており、従来モデルよりも質感が高くなりました。シートは欧州コンパクトカーとして長距離のグランドツーリングでも疲れづらいものが用意され、リアシートは3:2で分割可倒することで最大950Lのラゲッジ空間を備えます。
インフォテインメントシステムは7インチのタッチスクリーンにNissanConnectが組み合わされ、スマートフォンとはAppleCarPlay/AndroidAutoで連携が可能です。サウンドシステムは一部仕様でBOSEが出掛けたパーソナルオーディオが選択可能です。ヘッドレストに組み込まれたスピーカーを含め全方位から臨場感のあるサウンドを提供します。
- マイクラのインテリア
- コンパクトでも使い勝手の良いラゲッジ空間を備えます
- 7インチタッチスクリーンにNissanConnectが組み合わされます
- BOSEが手掛けたパーソナルオーディオにはヘッドレストスピーカーを装備
搭載されるエンジンと燃費
パワーユニットは、ガソリンのみの設定です。
- ガソリン
1.0L 直3ターボ IG-T100 100PS(74kw)/160Nm(2019年~2020年まで)
1.0L 直3ターボ IG-T92 92PS(68kw)/160Nm (2021年~2023年まで)
環境規制対応のため、年式により出力が異なりますが、エンジン自体はどちらも日産ではMR10DETと呼ばれる直3 1.0Lのガソリンターボになります。
- GT-Rの技術を応用したMR10DETエンジン
- 待望の2ペダル Xtronicオートマチックを採用
フェイスリフト前の0.9L(MR09DET)から排気量アップをはじめ、電動ターボチャージャーの採用、燃焼プロセスの最適化や軽量化、GT-Rの技術を応用したボアスプレーコーティングによるレスポンス向上など最新技術を用いたダウンサイジングターボユニットです。海外向けの日産 アルメーラほか、アライアンス内ではルノー キャプチャー/クリオ、ダチア ジョガーなどにも搭載されています。環境性能も高く当時の最新環境規制(Euro-6d-Temp/Euro-6d)にも対応し、燃費は欧州複合で18.8km/Lです。当初はガソリン自然吸気やディーゼルなどがありましたが、フェイスリフトのタイミングで廃止になっています。
駆動方式はFFで、トランスミッションは当初は5MTのみでしたが、フェイスリフトのタイミングで待望の2ペダルとなるXtronicオートマチック(CVT)が設定されました。
走行性能とハンドリング
サスペンションはフロント:マクファーソンストラット、リア:トーションビームとなり、このクラスでは一般的な組み合わせです。一方、5代目では新たに乗り心地を向上させるアクティブライドコントロールと、アンダーステアを低減させるアクティブトレースコントロールが搭載されました。当時は上級車種のキャッシュカイやエクストレイルに搭載されていた技術で、これらによりクラスを超えた運転の楽しさと安定感のある走りを実現しています。
安全機能については、歩行者検知対応のインテリジェントエマージェンシーブレーキや、ブライドスポットワーニング、アラウンドビューモニターなどが仕様により設定されます。
サイズとスペック
【全長×全幅×全高】3,999×1,743(ミラー部分を含まず)×1,455 mm
【ホイールベース】2,525mm 【トレッド】前/後:- / -mm
【車両重量】- kg
●エンジン
【構成】水冷直列3気筒ターボ DOHC12V フロント横置き
【総排気量】999cc 【直径×内径】 ー×-mm 【圧縮比】-:1
【最高出力】92ps(68kw)/5,000rpm 【最大トルク】160Nm/5,000
【燃料容量】-L
●駆動系
【駆動方式】FF 【トランスミッション】5MT
【サスペンション】(前)マクファーソンストラット/ / (後)トーションビーム
【ブレーキ】(前)ベンチレーテッドディスク / (後)ドラム
【タイヤ】(前後)195/55R16
●パフォーマンス
【最高速度】177km/h 【0-100km/h加速】11.8秒
【燃費】約18.8km/L(新欧州複合基準)【価格】-
歴史とトリビア
日産 マイクラ関連の歴史とトリビアを簡単にご紹介します。
- コンセプトカー「スゥエイ」の市販化モデル
- 2019年カー・オブ・ザ・イヤー ファーストカーアワード受賞
- 3代目のオープン仕様は歴代唯一日本でマイクラの名前で展開
- インドでは4代目モデルをパルスの名前でルノーでも展開
- 最新モデルはBEVになりルノートゥインゴの兄弟車として復活
- 2015年に公開されたコンセプトモデルのスゥエイ
- BEVとして復活した6代目マイクラ(2025年)
ライバル
各社がしのぎを削るホットな市場である欧州Bセグメントクラスですが、5代目マイクラの最も近しいライバルとしてフォード フィエスタを挙げます。市場から惜しまれつつも2023年に生産終了したフィエスタですが、使い勝手のよさと小気味よい走りから40年近く現地で愛され、最後まで手強いライバルであり続けました。
- フォード フィエスタ
- フォルクスワーゲン ポロ
- シュコダ ファビア
- セアト イビザ
- ルノー クリオ
- プジョー 208
- シトロエン C3
- オペル/ボクスホール コルサ
- トヨタ ヤリス
- フォード フィエスタ
- トヨタ ヤリス(欧州仕様)
並行輸入するなら。オススメのグレードと価格情報
4代目までマーチとして日本にも導入されていたマイクラですが、5代目はモデルライフを通して残念ながら正規導入されることはありませんでした。そのため5代目マイクラをご希望のお客様には並行輸入がおすすめです。参考情報としてフェイスリフト後の最終型となる2022年モデル、右ハンドル英国仕様のグレード構成は以下の通りです。
グレード構成(右ハンドル英国仕様:2022年時点)
- ACENTA
16インチFLEXアルミホイール、ボディ同色ドアミラー/ドアハンドル、ブラッククロスインテリアトリム、室内側クロームドアハンドル、サテンシルバードアノブ、マニュアルエアコン、7インチタッチスクリーン+NissanConnect、AppleCarPlay/AndroidAuto接続対応、4スピーカー、オーディオコントロール内蔵ステアリング、クルーズコントロールなどが装備 - TEKNA
(ACENTAに対して)17インチアルミホイール、リアプライバシーガラス、グレーの指し色が入ったアブソルートブラックインテリアトリム、フロントドアパッドとダッシュボードのフェイクレザーインサート、BOSEパーソナルオーディオパック(4スピーカー+ヘッドレストスピーカー)インテリジェントキーおよびプッシュスタート、インテリジェントアラウンドビューモニターなどが装備 - N-SPORT
(ACENTAに対して)17インチブラックアルミホール、ブラックエクステリアパックプラス、リアプライバシーガラス、N-SPORTパッケージ、LEDターンインジゲーター内蔵電動格納ヒーテッドドアミラー、LEDヘッドライト、フェイクレザー/アルカンターラコンビシート、リアビューカメラ、リアパーキングセンサー、インテリジェントキーおよびプッシュスタートなどが装備
生産終了となった5代目マイクラですが、現時点(2025年12月現在)の欧州中古車市場には2019年~2023年式のフェイスリフト後となるモデルを中心に中古車が出ております。そのなかでもオススメは、右ハンドル英国仕様のACENTAにガソリン1.0LターボのIG-T92と6MTの組み合わせです。ベーシックグレードながらも装備が充実しているACENTAグレードに環境性能も高いダウンサイジングターボと6MTの組み合わせは、欧州Bセグメントコンパクトとしてキビキビとした走りが楽しめる現地ユーザーの選択に近いチョイスです。より充実した装備や2ペダルがご希望のユーザーには、上位グレードのTEKNAにXtronicオートマチックの組み合わせもよいでしょう。
日本で現在販売されているノートやノートオーラはe-Power専用となり、欧州市場のマイクラもBEVとして電動化されたいま、現時点で最後のエンジン仕様でMTも選択できる5代目マイクラは、クルマとしてのコンベンショナルな魅力を大いに味わえる一台です。新車生産が終わり、程度の良い中古車は今後市場から少なくなる方に向かうのは確かです。今だからこそお好みの仕様で現地からお取り寄せしてみませんか。
- 日産 マイクラ ACENTA 1.0 IG-T92 5MT(右ハンドル英国仕様)
- 日産 マイクラ TEKNA 1.0 IG-T92 Xtronic Automatic(右ハンドル英国仕様)
ほかにも左ハンドル欧州仕様をはじめ、オートマチック仕様やスポーティな装いのN-SPORTグレードなど、欧州現地の中古車市場から程度のよい物件をお探しして並行輸入可能ですのでお気軽にお問い合わせください。

(現地値引き交渉前価格:お問合せください)
(現地値引き交渉前価格:お問合せください)
掲載価格について(為替差益、現地ディスカウント還元!)
※ウィズトレーディングでは参考乗り出し価格例として新車、中古車は掲載時の為替レートで表記しておりますが、お見積り等はご依頼時点の為替レートを適用、差益分があれば還元させていただきます。
また、欧州各国の仕入れ先はディーラーとの価格交渉も頑張っております。これらのディスカウントも当然、皆様へのご提案価格へ反映させていただきます。
現地との綿密な相談による「正確さと速さ」をモットーにしています
海外では仕様・オプション等の位置づけが日本の慣習と異なることも多く、並行輸入では注意が必要です。新車・中古車共にご納得のできる仕様を確実にご納車出来るように、時差を考慮しつつ、仕入れ先とは何度も仕様確認や質問事項をやり取りしており、正確さと速さをモットーに務めております。
画像と動画
- 5代目マイクラのエンブレム
- 視野性の高いインフォメーションディスプレイ内蔵二眼式メーター
- コンパクトなボディに対して余裕のあるリアスペース
- スポーティな装いのN-SPORT仕様
- N-SPORTには専用ブラックアルミホイールが装備されます
- N-SPORTの専用エンブレムがリアに装着されます

































